法人税

役員貸付金のデメリット。無くす方法も解説。

*この情報は2023/12/25時点の情報に基づき記載しています。

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「性能を炸裂させろ!!」

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回は、

役員貸付金

についてのお話です。

役員貸付金とは、文字通り

会社が役員に貸付をしたお金

です。

様々なデメリットがありますので、ご確認ください。

役員貸付金のデメリット

役員貸付金のデメリットは3つあります。

①銀行からお金が借りにくくなる

②法人税の負担が増える

③相続人に債務が引き継がれる

いずれも

大きなデメリット

になります。

銀行からお金が借りにくくなる

法人に役員貸付金がある場合、

お金を借りにくくなります。

1つ目の理由は、

銀行が法人にお金を貸しても、役員に貸し付ける可能性がある

と考えるからです。

いわゆる迂回融資というやつですね。

銀行としては法人に事業資金として貸し付けているのに、個人に流用されるのは本位ではないからです。

2つ目の理由は、

銀行から借りる前に役員からお金を返してもらえばいい

と考えるからです。

お金を借りたいなら、外部から借りる前に、役員から返してもらってから、借りるのがスジだと思うのは当然のことだと思います。

法人税が増える

役員貸付金については、

金利を計上

しないといけません。

例えば、金融機関からお金を借りたときは金利が付きますよね。

お金の貸し借りで金利が発生することは当然のことです。

そして、法人が金利を受け取ると法人の利益となるので、法人税の負担が増えることになります。

ちなみに、貸付金に対する金利は、国税庁HPに載っています。

役員または使用人に金銭を貸し付けた場合、その利息相当額は、次に掲げる利率によります。

(1) 会社が他から借り入れて貸し付けた場合:その借入金の利率

(2) その他の場合:貸付けを行った日の属する年に応じた次に掲げる利率

(中略)

・令和4年から令和5年中に貸付けを行ったもの:0.9パーセント

国税庁HP

ざっくりいうと、

0.9%

の利息を徴収しろということです。

相続人に債務として引き継がれる

役員貸付金を返済せずに役員が亡くなった場合にはどうなると思いますか?

、、、

、、、

そうです。(放棄しない場合には)

相続人に引き継がれます。

奥さん、旦那さん、お子さんなどに会社からの借入を引き継ぎたい方はほとんどいないと思います。

引き継ぐような自体にならないように、退任やお亡くなりになる前に消しておくべきかと存じます。

役員貸付金の消し方

役員報酬の消し方について説明します。

どの方法にもメリットとデメリットがあります。

天秤にかけてご判断ください。

役員報酬を増やして返済する

役員報酬を増やして、増えた手取額を返済の原資に当てます。

事前に届出を出せば、役員賞与を支給し、返済原資とすることもできます。

メリットとデメリットは下記の通りです。

メリットデメリット
計画的に返済ができる役員の所得税、住民税及び社会保険料が増える
高すぎる役員報酬は否認されることがある
貸付金の解消までに時間がかかる
法人の経費が増える

会社が債務の放棄をする

会社が役員貸付金を放棄します。

役員の借金を

チャラにする

ということですね。

デメリットが大きいので採用するのは難しいと思われます。

メリットデメリット
早急に役員貸付金がなくなる。役員賞与とみなされ否認される
(法人の経費とならない)
役員の所得税及び住民税が増える
(役員賞与とみなされるので)
株主総会の決議が必要となる

退職金と相殺する

役員の退職時に退職金と相殺します。

退職間際であれば一番現実的な方法と考えられます。

一旦やめてほとぼりが冷めたら復帰したらいいんじゃないの?

と思う方がいるでしょう。

しかし

二度と復職できない

と考えてください。

仮に復職した場合には、退職金が税務調査で否認されて、個人・法人ともに大きな税金の負担は発生する可能性があるからです。(例外はあります。)

メリットデメリット
役員の所得税や住民税の負担が少ない高額すぎると否認される。
株主総会の決議が必要となる
役員退職時にしか使えない。

役員個人の資産を会社に売却する

土地や建物、クルマなどの役員個人の資産を会社に売却します。

会社が取得できる資産には制限がありますので注意が必要です。

高い金額で買い取っておうかな?

と考える人がいるかもしてません。

できません

不当に高い金額で取引を行った場合には、行政からの指導や税務署から否認をされる可能性がありますのでご留意ください。

メリットとデメリットは下記の通りです。

メリットデメリット
早急に役員貸付金がなくなる。役員個人に所得税や住民税が課税されることがある。
株主総会の決議が必要となる

会社の株式を買い取ってもらう

役員が株主でもある場合限定のお話です。

会社の株式を会社に買い取ってもらいます。

ただし、(ざっくりいうと)会社に剰余金がある状態でないと買い取りをすることができないので注意が必要です。

メリットとデメリットは下記の通りです。

メリットデメリット
早急に役員貸付金がなくなる。役員に所得税や住民税が課税されることがある。
手続きが煩雑。

生命保険契約を活用する(非推奨)

(色々な方が紹介してますので一応このページでも紹介します。)

生命保険契約を活用した役員貸付金を解消するスキームがあります。

早急に役員貸付金を返済したい場合に利用されています。

とてもややこしいスキームです。

①まず会社と保険会社で役員を契約者とする解約返戻金のある保険契約を結びます。

②解約返戻金を質権としてリース会社(又は金融機関)から役員個人がお金を借ります。

③役員個人はリース会社から借りたお金で、会社に借金を返済します。

④役員個人は自身の報酬などから定期的にリース会社に借金を返済します。

メリットとデメリットは下記の通りです。

メリットデメリット
早急に役員貸付金がなくなる。役員個人が毎月返済しないといけない。
必要のない保険契約を結ばざる負えなくなる
リース会社からの利息が高い可能性がある

まとめ

今回は役員貸付金について説明しました。

役員貸付金は会社において百害あって一利なしといえる存在です。

解消に向けて早めに対策を練ることをオススメします。