法人税

役員報酬の金額の決め方。少なすぎたり高すぎる場合に注意すべきことも解説。

*この情報は2023/12/25時点の情報に基づき記載しています。

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こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回は、

役員報酬

についてのお話です。

役員報酬とは、文字通り

役員に対する報酬

です。

役員報酬の細かいルールについてはこちらをご参照なさってください。

役員報酬の金額の決定方法

役員報酬の決め方は会社ごとにそれぞれです。

法律上の決まりはありません。

とても困ります!!

そうですよね。

そこで統計や会社の業績に連動、生活費などを考慮してはいかがでしょうか。

統計の数値

国税庁の民間給与実態統計調査結果(令和4年分)によると、社長の平均年収は

約647万円

です(資本金2,000万円以下)

この数値を参考にして役員報酬を決めるのも一つかと思います。

会社の売上や利益に連動

会社の

前年売上の20%

前年利益の50%

(役員報酬を除いた利益です)

と決めているケースもあります。

もしくは、

予想した

当期の売上の20%や利益の50%ですね。

生活費

同族経営を行っている会社では、

生活費

をもとに役員報酬を決めるケースがあります。

その際に子供の教育費や住宅ローンなどを考慮することを忘れないようにしましょう。

社会保険料

役員に報酬を支払う場合には、原則

社会保険に加入

しないといけません。

(非常勤を除く。代表者は非常勤にはなれません。)

この社会保険料って

高い

んですよね。

毎月の社会保険料の支払額は、役員報酬の約30%です。

厚生労働省

これは令和5年分の料率表(東京都)ですが、40歳以上の場合には、保険料の率は30.12%(11.82%+18.3%)です。

もちろん30.12%のうち、半分は個人負担であり、残りは法人負担です。

「それなら実質的な負担額は15%じゃないか!!」

と思いますよね。

はい、わがります。

でも、

「これは私が経営している会社だよ」

っていう人にとっては、個人も法人も境目は薄いですよね。

したがって、全体的な負担を考えて役員報酬を決定したほうがいいでしょう。

役員報酬が少なすぎる場合

当たり前ですが、役員報酬が生活費より少ない場合には役員は役員報酬で生活ができないこととなります。

生活できない場合には、役員は

会社からお金を借りて

生活することが考えられます。

会社が役員にお金を貸し付けると、会社自体の経営体制に問題があるとみなされ、金融機関からお金を借りにくくなることが想定できます。

役員貸付金についてはこちらに詳細を記載しています。

役員報酬が高すぎる場合

(中略)Hらの職務の内容、請求人の収益及び使用人に対する給料の支給の状況並びに類似法人の役員報酬の支給状況に照らして判断すると、Hらの役員報酬は、(中略)、それぞれ、上記(ハ)の類似法人の平均的な役員報酬額(中略)が相当であり、これを超える部分の金額は過大であると認められる。

平9.9.29裁決

上記は採決例なのですが、

・業務内容と支給額に差がある場合には、

・役員報酬を経費として認めないことができる

こととしています。

数百万程度でも、実際の業務と報酬がかけ離れている場合には経費としては認められないということですね。

まとめ

今回は役員報酬の決め方についてお話しました。

・役員報酬は、統計・売上や利益の一定割合・生活費などから決めてもよい。

・役員報酬は低すぎると会社からお金を借りる羽目になるかも。

・役員報酬は高すぎると否認されることがある。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。