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休眠会社とは。手続き、メリット、納税義務、休眠し続けた場合の取り扱いについても解説。

*この情報は2023/12/13時点の情報に基づき記載しています。

この記事の対象者

・事業を行っていない法人

・事業を廃止する予定の法人

こんにちは、厚木市の税理士岩本隆一です。

今回のお話は

休眠会社

のお話です。

休眠会社とは

休眠会社とは、少なくとも

1年間は全く事業を行っていない

会社です。

売上や経費が発生しないことはもちろんのこと、預金の動きすらない状態をいいます。

会社法的には「12年間全く動いていない法人」が休眠会社の定義だそうですが、一般的には1年程度動いていなかったら休眠と考えていかなと思います。

休眠させるメリット

事業がうまくいかず会社を動かせない場合には、下記の選択があると思います。

・そのまま会社を存続させる

・会社を解散する

・会社を休眠させる

これら方法を比べた場合に、会社を休眠させるメリットは

・事業を再開するときに、休眠会社を使える

・均等割を免除される

・解散のための費用がかからない

の3つです。

「事業をまたやりたくなった!!」というときに会社を解散させていたら、新しく会社を作らないといけません。

また、事業を行っていなくても、そのまま会社を存続していると約7万円の均等割を支払わないといけません。したがって、「会社を動かしていないのに均等割を払いたくない!!」と思う人にも休眠がおすすめとなります。

そして、解散するためには費用がかかります。具体的には、解散登記には約40,000円+司法書士報酬、解散することを公に発表する公告には約30,000円、税務申告のための税理士報酬などがかかります。

*均等割については、東京23区は免除されませんので注意が必要です。

手続き

休眠会社とするためには、下記の書類をそれぞれの行政機関に提出します。

提出先提出書類備考
税務署異動届出書
給与支払事務所の開設・移転・廃止届出書
全事業者
都道府県事務所異動届出書全事業者
市町村異動届出書東京23区以外の事業者
(東京23区は都に届出すればOK)
労働基準監督署労働保険確定保険料申告書従業員がいる場合
(役員だけの場合は不要)
ハローワーク雇用保険適用事業所廃止届
資格喪失届
従業員がいる場合
(役員だけの場合は不要)
年金事務所健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
資格喪失届
社会保険に加入している場合

休眠中でも納税は発生するの?

休眠中でも会社が払わないといけない税金は、基本的には

ありません。

ただし、固定資産を保有している場合には固定資産税が発生します。

また、自動車を保有している場合にも、自動車税は発生しますので注意が必要です。

*法人が東京23区にある場合には、住民税均等割(70,000円)は必ず納付しないといけません。

休眠中にしないといけないこと

税金の申告

休眠中でも税金の申告は行わないといけません。

「なんで会社が動いていないのに申告しないといけないんだ!!」と感じるところですが、会社自体は存続しているので、たとえ全く動いてなくても、申告義務は消えないこととされています。

ただ、申告書自体は簡単に作れます。

税務署、都道府県税事務所、市町村役場に行き、「休眠をしているんだけど申告書の作り方を教えてほしい」と窓口に伝えれば、その場で教えてくれることでしょう。

この際には前年の申告書を持っていきましょう。

登記

株式会社の場合には、休眠中でも、役員変更登記が必要になります。

*有限会社や合同会社は必要ありません。

役員を変更しないといけない期間は定款に定めてあります。例えば、定款には下記の記載があります。

第25条 取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終の
ものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

日本公証人連合会

変更登記をしないとどうなる?

登記を変更しない場合には、最後の登記から

12年

経過している会社については、法務局が法人を

抹消

する手続きを行います。(法務局

なにも動いていない法人を残しておいても、法務局にとっては管理に手間がかかるし、犯罪に使われる可能性もあるので、消し去りたいということですね。

一応、会社に対して、「このままだと法人を抹消するよ」という通知書が登記所から送付されますので、知らぬ間になくなっているということはありません。

*有限会社や合同会社にはこの制度は適用されません。一定期間で必ず登記しないといけない事項がないからでしょうね。

まとめ

今回は休眠会社について説明しました。

少なくとも下記の二点は頭にいれてください。

・休眠すると均等割を払わなくていい(東京都以外)

・休眠しても確定申告は行わないといけない

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。