住民税

【2024年税制改正】定額減税とは。対象者、控除額、実施方法についても解説【減税】

*この情報は2023/12/15時点の情報に基づき記載しています。

この記事の対象者

・日本人に住んでいる人

「性能を炸裂させろ!!」

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回のお話は

定額減税

のお話です。

定額減税とは

・一人あたり4万円を減税する制度

・2024年6月から実施

定額減税は、みんなにとって嬉しい減税制度です。

対象者、控除額及び控除方法にクセがありますのでみていきましょ!!

対象者

税制改正大綱では下記の通り記載しています。

居住者の所得税額から、特別控除の額を控除する。ただし、その者の令和6 年分の所得税に係る合計所得金額が 1,805 万円以下である場合に限る。

令和6年度税制改正大網

まとめると下記の通りです。

・居住者(≒日本に住んでいる人)

・所得が1,805万円以下の人(給与収入だと2,000万円以下の人)

「日本に住んでる人だけよ」は別にいいですよね。これを限定しないと世界中の人にくばることになってしまいます。80億人に減税するのはさすがにしんどいです。

これに対して、あんまし良くないなと思う対象者の絞り方はこちら!!

所得制限!!

所得1,805万円超の人は減税の対象になりません。

給与収入だと2,000万円を超える方は対象とならないんですよね。

岸田「俺等が助けたいのは高所得者層じゃないんだ!!」

岸田「高所得者層は助けなくてもどうにでもなるでしょ!!」

といった具合ですよね。

高所得者が逃げ出したくなる国造りを目指しているのでしょうか??

減額する金額(控除額)

税制改正大綱では下記の通り記載しています。

所得税についてはこちらです。

特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の 所得税額を超える場合には、所得税額を限度とする。
① 本人 3万円
② 同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に該当する者に限る。略) 1人につき 3万円

令和6年度税制改正大網

住民税についてはこちらです。

特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の 所得割の額を超える場合には、所得割の額を限度とする。
① 本人 1万円
② 控除対象配偶者又は扶養親族(国外居住者を除く。) 1人につき 1万 円

令和6年度税制改正大網

まとめると下記の通りです。

・本人 4万円(所得税3万円、住民税1万円)

・扶養している人 1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)

若干ややこしいですね。

図にするとこんな感じです。

「誰も扶養していません!!」という人の場合には、シンプルに4万円が減税です。

「妻を扶養してます!!」という人には

「君には妻の分の4万円をプラスして8万円も減税するよ!!」ということです。

「妻と子供2人を扶養してます!!」という人には

「3人も扶養しているの?大変だね。君には4万円☓3倍の12万円を減税するからね!!」

という感じです。

例えば、クレヨンしんちゃんでいうと、

松坂せんせいは、独身貴族なので4万円が減税になります。

野原ひろしの場合には、みさえ、しんのすけ、ひまわりの3人を養っているので、16万円(4万円+4万円☓3人)が減税額となります。

減税の方法

・給与から引かれる源泉所得税からマイナスをする

・給与から引かれる住民税からマイナスをする

給与から源泉所得税って引かれてますよね。

例えば、給与額面が100万円で、源泉所得税が10万円引かれているとします。

給与 100万円 - 源泉所得税 10万円 = 手取額 90万円

こういった人に減額するとなると、

給与 100万円 - 源泉所得税 7万円 = 手取り額 93万円

といった具合になります。

住民税も同じですね。

例えば、給与額面が100万円で、源泉所得税と住民税が10万円ずつ引かれているとします。

給与 100万円 - 源泉所得税 10万円 - 住民税 10万円 = 手取額 80万円

こういった人に減額するなると、

給与 100万円 - 源泉所得税 10万円 - 住民税 9万円 = 手取り額 81万円

といった具合になります。

「シンプルにお金支給してくれた方がややこしくなかったのに!!」という声が聞こえてきそうですね。笑

実施方法

定額減税の実施方法は、①給与をもらっている人、②年金をもらっている人、③事業所得者でそれぞれ異なります。

給与所得者

所得税と住民税で若干異なるので注意してください。

所得税

・6月の源泉所得税から控除

・控除しきれない金額は7月以降の給与から順次控除

・6月だけで控除できる場合

・6月だけで控除しきれない場合

例えば、松坂せんせいが(何もなければ)6月の源泉所得税が10万円だった場合には、6月に源泉される金額は7万円(10万円-3万円)となります。

野原ひろしが(何もなければ)6月の源泉所得税が10万円だった場合には、6月に源泉される金額は0円(10万円-12万円=-2万円→0万円)となります。

そして、野原ひろしが、(何もなければ)7月の源泉所得税も10万円だった場合には、7月に源泉される金額は8万円(10万円-6月の残り2万円=8万円)となります。

住民税

・実施方法は特別徴収か普通徴収かで違う

・特別徴収は7月の給与から11等分した金額を控除する

・普通徴収は第一期分の住民税から順次控除していく

特別徴収(≒会社が納付する)の場合には、6月は特別徴収を行わずに、7月の給与から減税していきます。年間の住民税を7月から5月まで11等分して減額をします。

「扶養がいないよ!!」って人の場合には、総額で10,000円の減額になりますので、一月あたり909円の減額ですね。

そして仮に7月以降の住民税が10,000円の場合には、9,091円が減額されるわけです。

普通徴収(≒自分で納付する)の場合には、第一期分の住民税から全額を引くようになります。

もし第一期分から引ききれない金額がある場合には、第二期分以降から引いていきます。

公的年金の受給者

・所得税は6月の年金から控除、住民税は10月の年金から控除

・引ききれない分は次回の年金から控除

・8月でも控除しきれない場合には、10月以降順次控除していく

給与と仕組みはだいたい同じです。

事業所得者

所得税と住民税で若干異なるので注意してください。

所得税

・所得税は第一期分の予定納税額から控除

・扶養分も引きたい場合には申請が必要

例えば、松坂せんせいが副業をやっていて(何もなければ)7月の予定納税が10万円だった場合には、7月に納税する金額は7万円(10万円-3万円)となります。

また、野原ひろしが副業をやっていて(何もなければ)7月の予定納税が10万円だった場合に、「扶養がいるよ」と申請を行えば、7月に納税する金額は0円(10万円-12万円=-2万円→0円)となります。

そして11月に納税する金額は、(何もなければ)11月の予定納税が10万円だった場合には11月に納税する額は8万円(10万円-6月の残り2万円=8万円)となります。

住民税

・第一期分の住民税から順次控除していく

第一期分の住民税からきます。第一期分から引ききれない金額については、第二期分以降から引いていきます。

疑問点

・給与、年金、事業所得のうち2つ以上ある人はどうするのか

・住民税の課税世帯だけど、源泉所得税が引かれない人はどうするのか

まだ税制改正大綱には明記されていません。

どうなるのでしょうか。

まとめ

今回は定額減税についてお話しました。

・定額減税は一人あたり4万円税金を減税する制度

・2024年6月開始

・給与、年金、予定納税から順次減税される

今回もお読みいただきましてありがとうございました。