社会保険

役員報酬・給与を大幅に改定した場合の社会保険の取扱い

*この情報は2023/11/30時点の情報に基づき記載しています。

この記事の対象者

・役員報酬や給与を大幅に改定した事業者で、社会保険に加入している方

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回は

役員報酬・給与を大幅に改定した場合の社会保険の取扱い

のお話です。

役員報酬・給与を大幅に改定した場合

役員報酬・給与を大幅に改定した場合には、社会保険で手続きを行わないといけません。

大幅ってどれくらいかというと、

① もともとの等級

② 直近3ヶ月の報酬の平均が該当する等級

③ ①と②が2等級以上差がある場合

です。

わかりにくいので、事例でお話します。

例えば、Aさんは月額の給与が6万円でした。

月額平均6万円だと等級は1等級です。

出典:日本年金機構

Aさんは昇給し、(過去3ヶ月間の)月額給与が8万円となりました。

月額平均8万円だと等級は3になります。

出典:日本年金機構

等級が1から3へと変わっているので、2等級以上増減しています。

この場合には、社会保険で手続きが必要となります。

逆にAさんは昇給し、(過去3ヶ月間の)月額給与が7万円となりました。

月額平均7万円だと等級は2になります。

出典:日本年金機構

この場合には社会保険で手続きが必要

ありません。

2等級以上変わっていないので。

保険料額表の見方がわからない場合にはこちら(当ページの下部)をご参照ください。

社会保険の手続き

必要となる社会保険の手続きとは、月額変更届を所轄の年金事務所に提出することです。

(4月から昇給を行った場合には算定基礎届を出せばいいので別の取り扱いになります。)

月額変更届はこちらからダウンロードして記載し郵送で提出するのがオススメです。(電子でやる方法もありますが郵送が一番楽です。)

出典:日本年金機構

記載例です。6万円から8万円に昇給したケースで記載しています。

提出時期は

速やかに

となっています。

速やかって

いつやねん

という話ですが、

例えば、10~12月の平均月収が2等級以上上がった場合には、1月になったらすぐに提出しましょう。

提出先はこちらから検索してください。

社会保険料の変わるタイミングは?

社会保険料が変わるタイミングは

届出を行った月

です。

昇給(減給)したタイミングではありません。

したがって、昇給(減給)前の社会保険料を届け出するまで引き継ぐということです。

例えば、月額6万円の人が10月から8万円に昇給した場合に社会保険料と手取額を計算すると

9月 額面60,000円-社会保険料10,952円=手取49,048円

10月 額面80,000円-社会保険料10,952円*=手取69,048円 

   *額面が増えても社会保険料は変わらない

11月 額面80,000円-社会保険料10,952円=手取69,048円

12月 額面80,000円-社会保険料10,952円=手取69,048円

1月 額面80,000円-社会保険料11,952円*=手取68,048円

  *届け出を出したので社会保険料が変更

2月 額面80,000円-社会保険料11,952円=手取68,048円

という感じになります。

役員報酬・給与を改定してから3ヶ月のタイムラグがあることに注意が必要です。

保険料額表の見方(等級)

まず自分の役員報酬や給与がいくらなのか確認してください。

この際に各種手当や交通費を含めて考えます。

役員報酬(給与)=基本給+諸手当+交通費

役員報酬がいくらなのか確認したらその金額を下記の表でどこに当てはまるか探します。

出典:日本年金機構(年度と都道府県によって金額が異なるので注意してください。)

その当てはまる部分の左側に書いてある数字が、等級です。