贈与税

贈与税の申告漏れはバレるのか|贈与税に強い税理士が解説

*この情報は2023/12/26時点の情報に基づき記載しています。

この記事の対象者

・贈与を受けた人

「性能を炸裂させろ!!」

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回のお話は

贈与税の申告漏れ

についてです。

贈与税の申告は、ざっくりいうと

・年間110万円超の贈与を受けた場合には

・贈与を受けた人が

・翌年3月15日までに申告しないといけません

という制度です。

「知らなかった」「忘れていた」「わざと申告しなかった」などいろんなケースがあると思います。

まずは無申告が見つかる可能性について見ていきます。

無申告がバレるケース

無申告がバレる主なケースだけをお伝えします。

預金口座に送金してもらう

預金口座に送金してもらった場合には、明確な履歴が残ることになります。

その送金履歴について「贈与ではない」と明確な回答を出来ない場合には、贈与があったものとして課税される可能性があります。

現金を手渡しでもらう

現金を手渡しでもらっても

バレる

可能性があります。

現金で手渡しをするにも、あげる人が現金を預金口座から引き出したり、もらった人が現金を預金口座に預け入れするからですね。

税務署からのお尋ね

不動産の購入や相続があった場合に税務署からのお尋ねがあるケースがあります。

不動産のお尋ねはこちらです。

税務署

このお尋ねに答えることで、無申告が発生するということですね。

「マイホームがほしい」「自分の貯金じゃたりない」「お父さんに頭金を出してもらおう!!」といったケースだと、

「お尋ねに頭金の出処は?」とお尋ねに書いてあるわけです。

「現金でもらった」と答えて発覚してしまうケースです。

「嘘をつけばバレないの?」と思うところですが、嘘をつくとより酷いペナルティを受ける可能性があるのでやめましょう。

法定調書の提出

保険会社や貴金属店などは税務署に法定調書(支払調書)というものを提出します。

保険会社の法定調書はこちらです。

国税庁

こちらに受取人などが記載されているため、贈与に該当することがあれば税務署にバレることになります。

贈与に該当するケースとは次のケースですね。

・保険料をAさんが支払っている。

・保険金を受け取ったのはBさんである。

貴金属の法定調書はこちらです。

国税庁

誰から買い取ったと記載しているので、「そのときに受け取ったお金はどこいったの?」と目をつけられるということですね。

ペナルティは?

贈与税の申告を行わないと無申告加算税重加算税及び延滞税が課せられる可能性があります。

無申告加算税とは

国税庁HPに(所得税のページですが)次のとおり記載しています。

期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。

国税庁

無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。

国税庁

意訳すると

・申告期限までに申告しない場合には、

・無申告加算税を課税する

・金額は、本来の税額の15%(50万円超は20%)

ということです。

例えば、

「申告期限から遅れて申告をしました!」「そのときに10万円の贈与税を払いました!」

という場合には、

10万円☓15%で1.5万円の無申告加算税が別途発生します。

重加算税とは

国税通則法に次のとおり記載しています。

無申告加算税が課される場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を仮装・隠蔽し、その仮装・隠蔽したところに基づいて期限内申告書の提出をせず又は期限後申告書を提出したときは、無申告加算税の基礎となる税額の40%に相当する重加算税が課せられる。

国税通則法68条

意訳すると

・悪質なケースの場合、

・重加算税を課税する

・金額は発生した税額の40%

ということです。

悪質なケースってなにかってことですけど、国税庁HPでは次の通り記載しています。

(1) 受贈者又は受贈者から受贈財産(受贈財産に係る債務を含む。)の調査、申告等を任せられた者(以下「受贈者等」という。)が、帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿をしていること。

(2) 受贈者等が、課税財産を隠匿し、又は事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。

(3) 受贈者等が、課税財産の取得について架空の債務をつくり、又は虚偽若しくは架空の契約書を作成していること。

(4) 受贈者等が、贈与者、取引先その他の関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿を行わせていること。

(5) 受贈者等が、自ら虚偽の答弁を行い又は贈与者、取引先その他の関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、受贈者等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことなどが合理的に推認し得ること。

(6) 受贈者等が、その取得した課税財産について、例えば、贈与者の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと又は遠隔地にあったこと等の状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと。

国税庁

ざっくり短めでいうと

・嘘の申告をした。

・申告義務はわかっていたが、申告をしなかった。

ということですね。

延滞税

延滞税とは遅延利息のようなものです。

納税が遅れた分だけ、延滞税が発生します。

利率は下記の通りとなっています。

1 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合(※1)+1%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表①の割合が適用されます。

 2 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合(※1)+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表②の割合が適用されます。

国税庁

つまり、令和6年中については、下記の通りになります。

・納期限から2ヶ月目までが2.4%、

・納期限から2ヶ月目後は8.7%となります。

どれくらいまで遡るの?

ケース期間
原則6年間
悪質な場合7年間
名義預金なし

原則としては、国税通則法に次の記載があります。

税務署長は、贈与税について、国税通則法第70条(略)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(略)又は賦課決定(略)を当該各号に定める期限又は日から6年を経過する日まで、することができる。

国税通則法第36条

要するに、申告期限から

6年間

遡るということです。

2023年に贈与を受けた場合には、2030年3月16日に時効を迎えるということですね。

ちなみに2023年3月16日で時効を迎えた贈与は、2016年分の贈与です。

他の税法は5年なので、1年長いです。

また、次の記載もあります。

4 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた贈与税(略)についての更正決定若しくは賦課決定又は偽りその他不正の行為により国税通則法第2条第9号に規定する課税期間において生じた同条第6号ハに規定する純損失等の金額が過大にあるものとする同号に規定する納税申告書を提出していた場合における当該納税申告書に記載された当該純損失等の金額(略)についての更正は、前3項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正決定又は賦課決定の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。

国税通則法第36条4項

こちらは、悪質なケースなのですが

7年

となっています。

「悪質なケースって何?」と思うところですが、ざっくりいえば

重加算税が課税されるケース

でいいと思います。

他には名義預金についても別途取り扱いがあります。

名義預金とは、「他人の名義で自分のお金を預金する」ということです。

例えば、子供名義の口座を作って、自分のお金を保管しておくことです。

こちらは

時効がない

です。

そりゃそうですよね。そもそも贈与してないので。

もちろん名義預金の場合には

贈与税が発生しません。

どうすればいい?

無申告の場合には、すぐに

申告をしてください

期限後に申告することを期限後申告といいます。

申告書の方法がわからない方は、税務署に行って教えてもらいましょう。

まとめ

今回は贈与税の無申告の場合について記載しました。

・無申告は様々な方法でバレる

・時効は原則6年

・ペナルティもある

今回もお読みいただきましてありがとうございました。