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【税理士が解説】会社設立前に決めるべき7つのことと諸費用まとめ|資本金・住所・法人名・役員の考え方

会社を作ろうと思ったときに、まず最初に浮かぶのが
「手続きめんどくさそう…」とか「いくらかかるんだろう?」ですよね。

でも実際は、登記そのものよりも前にやる
「何を決めるか」「どう準備するか」のほうが大事です。

たとえるなら、登記は“家を建てる工事”、
そして今話しているのは“設計図を描く段階”。

この設計をミスると、あとで直せない部分が出てきます。
この記事では、税理士の視点から
会社設立前に決めるべきこと・かかる費用・やっておくといい準備をぜんぶまとめました。


目次

1. 会社の目的(事業内容)を決める

まずは「この会社で何をやるか」。
登記のときに“事業目的”という項目に書きます。

ここは後から変更もできるんですが、
融資・補助金・契約時にめちゃくちゃ見られる部分なんです。

「今はデザイン業だけど、将来ECもやるかも」
と思ったら、最初から“デザイン業・通信販売業”と書いておきましょう。
少し広めに書いておくのがコツです。


2. 会社の名前(商号)を決める

会社名は「名刺よりも先に見られるあなたの顔」です。
読みやすくて、覚えやすくて、検索しやすい名前が理想。

同じ住所に同名会社は登記できません。
でも地域が違えばOK。
とはいえ商標登録があるとトラブルのもとになるので、
Google検索+特許情報プラットフォームで事前チェックを。

あと、ドメイン(〇〇.co.jp)が取れるかも超重要。
会社名を決める前に一度検索しておくと後悔しません。


3. 会社の住所(本店所在地)を決める

登記する住所。ここは「会社の本拠地」として扱われます。
自宅でもOKですが、賃貸契約に「事務所利用禁止」があると使えません。

最近はバーチャルオフィスやコワーキングスペースを
本店住所にする人も増えています。
月数千円〜で郵便物も受け取れるので便利。

引っ越すと登記変更に数万円かかるので、
できれば長く動かさない住所がベストです。


4. 会社の形態を決める(株式会社 or 合同会社)

これ、すごくよく聞かれます。

ざっくりいうと👇

項目株式会社合同会社
設立費用約25〜35万円約11〜15万円
知名度高いやや低い
経営の仕組み所有と経営が分かれるオーナー経営(シンプル)
向いている人投資・採用を考える人小規模・低コストで始めたい人

「将来的に人を雇う」「信用を重視したい」なら株式会社、
「少人数でサクッと始めたい」なら合同会社で十分です。


5. 資本金の金額を決める

「資本金は1円でも設立できる」
……って聞いたことありますよね。

たしかにできます。
でも、現実的には1円では銀行口座も融資も通りにくいです。

目安は100〜300万円。
信用・資金繰り・税金のバランスがちょうどいいラインです。

出資比率も要注意。
2人で出す場合は、
「60:40」と「51:49」で意思決定の力関係が変わります。
最初にきっちり決めましょう。


6. 役員構成を決める

1人でも設立OKですが、複数でやるなら「ルール」が命。

・代表は誰か
・報酬はどうするか
・辞めたら株はどうなるか

このあたり、最初に曖昧にすると
“会社よりも人間関係”が壊れます。
契約書を1枚用意しておくだけで、後のトラブルはかなり減ります。


7. 事業年度(決算月)を決める

決算月は自分で決められます。
おすすめは繁忙期を避けた月

飲食業なら12月は避けて3月とか。
また、最初の決算を短く設定すると、税金を少し先送りできます。
たとえば10月設立→3月決算にすると、半年後に初の納税です。

税理士と相談して、資金繰りに合う月を選びましょう。


8. 会社設立にかかる諸費用まとめ

設立費用は「会社の種類」と「代行を頼むかどうか」で変わります👇

株式会社の場合

項目金額目安備考
定款認証手数料約5万円公証役場で支払い
登録免許税資本金×0.7%(最低15万円)法務局で支払い
定款印紙代0円(電子定款)/4万円(紙定款)電子化で節約
設立代行手数料(司法書士)約5〜10万円書類作成・電子定款代行
合計約25〜35万円前後代行ありの現実的な金額

合同会社の場合

項目金額目安備考
登録免許税資本金×0.7%(最低6万円)法務局で支払い
定款認証手数料0円公証役場で不要
定款印紙代0円(電子定款)/4万円(紙定款)電子化で節約
設立代行手数料(司法書士・税理士)約5〜8万円登記・電子定款・届出代行
合計約11〜15万円前後自分でやれば約6万円でも可

💡ポイント:
顧問契約を前提にすると、税理士事務所で「設立代行無料」になるケースもあります。
(うちでもそういうパターン、けっこうあります。)


その他にかかる初期費用

項目金額目安備考
会社印3点セット約1〜2万円実印・銀行印・角印
登記簿謄本・印鑑証明書数百円〜法務局で取得

9. 設立時にやっておくといいこと

「登記が終わった!」で安心するのはまだ早いです。
設立直後こそ、やっておくべきことが山ほどあります。


🏦 法人口座を開く

開設無料。審査1〜2週間。
資本金は100〜300万円が現実的ライン。
ネット銀行(GMOあおぞら・住信SBIなど)も人気ですが、HPやSNSの実態を見られます。


💻 ドメイン・メール・HPを作る

  • ドメイン:年間1,000円前後
  • メールサーバー:月1,000円前後
  • ホームページ:自作3〜10万円、外注30万円〜

💡補助金(小規模事業者持続化補助金)を使えばHP制作費の3/4が戻ることも。


🧾 税務・社会保険の届出

税務

  • 法人設立届出書(2ヶ月以内)
  • 青色申告申請(3ヶ月以内)
  • 給与支払事務所開設届(1ヶ月以内)

参考:No.5100 新設法人の届出書類(国税庁HP)

💡税理士に依頼すると5〜10万円でまとめて代行してもらえます。

社会保険

  • 社会保険新規適用届(即)

参考:1-1:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき(日本年金機構)


💰 融資・補助金をチェック

名称上限額備考
日本政策金融公庫 創業融資最大3,000万円設立2年未満対象
横浜市創業支援融資最大2,000万円条件で金利優遇あり
小規模事業者持続化補助金上限50〜200万円HP・広告費に使える

💡申請は設立後すぐがチャンス!書類が整っている今が最も通りやすいです。


✍️ 名刺・ロゴ・契約書

  • 名刺印刷:3,000〜5,000円
  • ロゴ制作:0〜5万円(AIやCanvaでもOK)
  • 契約書テンプレ:無料〜3万円

特にNDA(秘密保持契約)と業務委託契約書は最初に準備しておきましょう。


🧮 会計・経理体制

  • 会計ソフト:月1,000〜3,000円
  • 領収書スキャンアプリ:無料〜1,000円
  • 顧問税理士:月2〜5万円

💡「個人と法人の財布を分ける」が鉄則。
経理は最初に仕組み化すれば、後で地獄を見なくて済みます。


🎯 まとめ|会社設立は“設計8割・手続き2割”

登記はたしかに面倒。
でも本当に大事なのは、
「どんな会社にするか」を考えて準備する部分です。

✅ 資本金・役員・決算月をしっかり設計
✅ 費用を把握してムリのない立ち上げ
✅ 融資・補助金・会計まで見据えて動く

ここまで整えてから登記すると、
その後の経営が驚くほどスムーズになります。

もし不安があるなら、
「ちょっと相談してみる」くらいの気持ちで税理士に話してみてください。
10分の相談で、後の10年が変わることもあります。

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この記事を書いた人

岩本隆一のアバター 岩本隆一 税理士

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