保険金の無申告がばれる仕組みと正しい申告方法を税理士が解説

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
皆さん、こんにちは。今日は「保険金の無申告ってばれるの?」という、めちゃくちゃリアルな疑問について話していこうと思います。
正直に言うと、この質問をする人の気持ち、すごくわかるんですよね。保険金をもらったとき「え、これって税金かかるの?」「申告しなくてもバレないんじゃない?」って思う気持ち。
でも、これが実は超危険な考え方なんです。
実際にあった事例:70代のご婦人が税務署から突然の連絡
つい先日も、こんなケースがありました。70代のご婦人が満期保険金300万円を受け取ったんですが、「申告する必要がない」と思い込んでいたんです。
この方、実は昔の郵便局(現在のかんぽ生命)の保険に加入されていたんですね。当時の郵便局の保険って、契約内容がめちゃくちゃ良くて、所得がガッツリ出ちゃうんです。
ところが、受け取りから2年後に税務署から連絡が来て発覚。本人は「えっ、なんで税務署が知ってるの?」とびっくりしていました。
結果的に、追徴税額は約8万円。「たった8万円のために、こんなに怖い思いをするなら、最初から申告していればよかった」って後悔されていましたね。
特に昔の郵便局系の保険をお持ちの方、契約内容が良すぎて想像以上に所得が出るケースが多いので要注意です。
この話を聞いて、皆さんはどう思いますか?
保険金の無申告がバレる仕組み:税務署はここまで知っている
1. 支払調書システムの威力
まず知っておいてほしいのが、保険会社は年間100万円を超える保険金の支払いについて、必ず税務署に「支払調書」という書類を提出していることです。
つまり、あなたが保険金をもらった瞬間に、税務署は「○○さんが△△保険会社から××万円もらいました」という情報を把握しているんです。
2. 税務調査でよく言われるセリフ
実際の税務調査では、調査官から「保険会社から報告を受けている○○年○月の△△万円の収入が申告から漏れていますね」って、具体的な日付と金額を指摘されることがあります。
この瞬間、納税者の方は「え、なんで知ってるの?」って顔になるんですが、これが現実なんです。
3. マイナンバー時代の捕捉率は100%
これからの時代、マイナンバーとデジタル化の進展で、保険金の捕捉率は100%になると私は予想しています。
もう「バレないかも」という淡い期待は捨てた方がいいでしょう。
ネット保険利用者は特に要注意!担当者がいないリスク
最近特に多いのが、ネットで保険に加入している方の申告漏れです。
対面販売の保険なら担当者が「税金のことも確認してくださいね」って教えてくれるんですが、ネット保険だとそういうフォローがないんです。
特にネット世代の30~40代の方で、この申告漏れが増えている印象があります。
多くの人が知らない事実:昔の郵便局保険は特に要注意
「満期保険金って申告が必要なの?」
これ、本当によく聞かれる質問です。答えは「一定金額以上の所得があれば必要」です。
特に注意してほしいのが、昔の郵便局(現在のかんぽ生命)で契約した保険です。当時の契約って利率がめちゃくちゃ良くて、払込保険料に対して受取金額がかなり大きくなるケースが多いんです。
つまり、「そんなに儲かってない」と思っていても、実際に計算してみると想像以上に所得が出ちゃうことがあります。
具体的には、受け取った保険金から払い込んだ保険料を引いて、さらに50万円を引いた金額がプラスになる場合は申告対象になります。
正しい申告方法:これを知らないと損します
課税対象となる保険金の種類
全ての保険金が課税対象になるわけではありません。主に以下のケースで税金がかかります:
一時所得として課税される場合
- 満期保険金(払込保険料より受取額が多い場合)
- 解約返戻金(払込保険料より受取額が多い場合)
- 個人年金保険の一時金受取
相続税として課税される場合
- 死亡保険金(被保険者と保険料負担者が同一の場合)
申告の具体的な手順
- 受取保険金の確認:保険会社から送られてくる支払通知書で金額を確認
- 払込保険料の計算:これまで支払った保険料の総額を算出
- 一時所得の計算:(受取保険金 – 払込保険料 – 50万円)÷ 2
- 確定申告書への記載:一時所得の金額を申告書に記入
実際の計算例
先ほどのご婦人のケースで計算してみましょう:
- 受取保険金:300万円
- 払込保険料:220万円
- 一時所得:(300万円 – 220万円 – 50万円)÷ 2 = 15万円
この15万円が課税対象となり、所得税率10%なら1万5千円の税金。でも無申告加算税等を含めて8万円の追徴となったわけです。
無申告は犯罪?逮捕リスクの真実
脱税と無申告の違い
ここ、めちゃくちゃ重要なポイントです。
単純な申告漏れは民事上の問題ですが、故意に隠蔽した場合は刑事事件になる可能性があります。
具体的には:
- 無申告加算税:15~20%
- 延滞税:年2.4%~8.7%(2025年の税率)
- 重加算税:35%~40%(隠蔽・仮装があった場合)
逮捕に至るケース
正直に言うと、保険金の無申告で実際に逮捕されるケースはそうそうありません。
逮捕されるのは、本当に悪質で以下のようなケースです:
- 意図的に証拠隠滅を図った
- 多額の脱税(数千万円レベル)
- 反復継続的な脱税行為
- 税務署の調査に協力しない
ほとんどの場合は、追徴課税で済むのが現実です。
税務調査の実態:こんな流れで進みます
調査の開始
税務署から「税務調査を実施したい」という連絡が来ます。これ、けっこうドキドキしますよね。
調査当日
調査官が自宅や事務所に来て、帳簿や書類をチェックします。保険関係の書類も当然確認されます。
調査結果
申告漏れが発見されると、修正申告を求められます。ここで素直に応じれば、重加算税は回避できることが多いです。
修正申告の手順:今からでも間に合います
もし保険金の申告漏れに気づいたら、すぐに修正申告をしましょう。
- 必要書類の準備
- 保険金支払通知書
- 保険料払込証明書
- 銀行の入金記録
- 税額の計算
- 一時所得金額の再計算
- 追加納税額の算出
- 修正申告書の提出
- 税務署に修正申告書を提出
- 追加税額の納付
まとめ:正直者が結局得をする
保険金の無申告、確実にバレます。そして、バレたときのペナルティは想像以上に重いです。
でも、正しく申告すれば何も怖くありません。一時所得には50万円の特別控除もありますし、思っているより税額は少ないケースも多いんです。
「申告しなくてもバレないだろう」ではなく、「正しく申告して安心したい」という考え方に切り替えることをおすすめします。
特にネット保険を利用している方、担当者がいないぶん、自分で税務知識を身につけることが大切です。
不安な方は、ぜひ税理士にご相談ください。私も税務調査の対応を含めて、皆さんのサポートをしています。
この記事は2025年6月時点の情報に基づいています。税制改正等により内容が変更される場合がありますので、最新の情報については税務署または税理士にご確認ください。