贈与税を申告し忘れた場合の時効は何年?税務署にバレるタイミングも解説

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
どうも、みなさん。今日は贈与税の申告を忘れちゃった時の話をしていきます。
正直に言うと、僕のところには「贈与税の申告を忘れていて、どうしたらいいですか?」って相談が月に何件もきます。これまで30件ほど対応してきましたが、みんな最初は「時効まで逃げ切れるんじゃないか」って思ってるんですよね。
でも現実は…まあ、今日詳しく話していきましょう。
贈与税の時効は基本的に6年、悪質な場合は7年
まず基本的なルールから。贈与税の時効は基本的に6年です。
これは国税通則法第70条に定められていて、贈与があった年の翌年3月15日から6年が経過すると、税務署は課税処分ができなくなります。
ただし、悪質な無申告の場合は7年になります。
「悪質」っていうのは、単純に忘れていたとか知らなかったとかじゃなくて、意図的に隠していたケースです。例えば:
- 贈与の事実を隠すために複数の口座に分散
- 架空名義の口座を使用
- 贈与契約書の日付を偽造
こういうのは7年になっちゃいます。
時効の起算点
贈与税の場合、贈与を受けた年の翌年3月15日から時効がスタートします。
例えば2023年に贈与を受けた場合:
- 2024年3月15日から時効開始
- 2030年3月15日で時効完成(6年の場合)
ただし、これは「税務署が何もアクションを起こさなかった場合」の話です。
実際のケース①:子供が通帳を偶然発見して発覚
正直に言うと、僕が見てきた中で一番多いパターンがこれです。
親が子供に内緒で、子供名義の口座を作って毎年お金を入金してるケース。子供は全然知らないんですよ。で、ある日たまたま通帳を見つけて「え、これ何?」ってなる。
最近あったケースだと、お母さんが娘の名前で口座を作って、10年間毎年300万円ずつ入金してたんです。娘さんは25歳になって初めて気づいて、慌てて相談に来ました。
正直なところ、これが贈与って言えるのかっていうと、微妙なところなんですよね。片方が全く把握してないわけですから、法的には贈与契約が成立してるのか怪しい。
でも税務上の取り扱いとしては、「もうお母さんがあげたんで、贈与として処理してください」っていう形になっちゃうんです。実際のところ、僕も税務調査の立ち会いでは贈与として取り扱うように判断してるところですね。
「お母さんが勝手にやったことなのに、なんで私が払わないといけないんですか?」って言われるんですが、法律上は受贈者(もらった人)が納税義務者なんです。
実際のケース②:「え、株式も贈与なの?」という驚き
これも意外と多いんです。
「息子に株式をあげたよ」って軽い感じで言ってくる方がいるんですが、株式の譲渡も立派な贈与です。特に非上場株式だと、評価が複雑で、思った以上に高額になることがあります。
先日も、会社経営をされてるお父さんが息子さんに自社株を「お疲れ様」みたいな感じで譲渡したケースがありました。息子さんは「ただでもらったから税金なんてかからないでしょ?」って思ってたんですが、株式評価をしてみると3000万円相当。贈与税は約800万円。
「え、800万円も払うの?株式もらっただけなのに?」って、めちゃくちゃ驚いてました。
現金じゃなくても、価値のあるものをもらったら贈与税の対象になるんです。これ、意外と知らない人が多いんですよね。
実際のケース③:名義預金で税務調査にひっかかる
これは相続税の調査で発覚するパターンです。
お父さんが亡くなって、相続税の申告をする時に、家族名義の預金口座がたくさん出てくる。でも実際は全部お父さんが管理してた、いわゆる「名義預金」。
税務署は「これ、本当に贈与してたの?」って疑ってくるんです。
- 通帳や印鑑をお父さんが管理
- 家族は口座の存在すら知らない
- お父さんの収入から入金
こういう場合、贈与として認められないことが多いんです。そうすると、相続財産として扱われて、相続税がかかってしまいます。
「お父さんが『贈与した』って言ってたのに…」って困る家族が本当に多いです。
税務署にバレるタイミングは予想以上に多い
正直に言うと、「時効まで逃げ切れる」と思ってる人は甘いです。
パターン①:相続税の申告時
これが一番多い発覚パターンです。親が亡くなって相続税の申告をする時に、過去の贈与が丸見えになります。
相続税の申告では、過去7年間の贈与を申告しないといけないので、そこで「あれ?この贈与、贈与税の申告してないよね?」ってバレちゃう。
パターン②:預金の入出金履歴
これも多いです。税務署は銀行に資料請求して、過去の入出金履歴を全部チェックします。
特に:
- まとまった金額の入金
- 家族間での資金移動
- 定期的な同額の入金
こういうのは一発でバレます。
「現金でやりとりしてるから大丈夫」って思ってる人もいますが、現金だって痕跡は残ります。どこかのタイミングで口座から引き出してるわけですから。
パターン③:不動産取得時
不動産を購入する時も危険です。法務局から税務署に情報が行くので、「この人の年収でこの価格の不動産買えるの?」って疑われます。
頭金の出どころを調べられて、「あ、これ親からもらったお金ですね」ってバレるパターンです。
無申告がバレた時のペナルティは想像以上に重い
バレた時のペナルティ、これがまた厳しいんです。
基本的なペナルティ
無申告加算税
- 50万円まで:15%
- 50万円超:20%
延滞税
- 最初の2ヶ月:年2.4%(令和5年の場合)
- それ以降:年8.7%
重加算税(悪質な場合)
- 40%
実例で計算してみると…
贈与税100万円を3年間放置していた場合:
- 本税:100万円
- 無申告加算税:20万円
- 延滞税:約25万円
- 合計:約145万円
ほぼ1.5倍です。これ、結構きついですよね。
しかも、税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、無申告加算税は軽減されます:
- 税務調査の通知前:5%
- 税務調査の通知後、調査開始前:10%
早めに対応するメリットは大きいです。
今からでも遅くない対処法
「もう手遅れかも…」って思ってる人、大丈夫です。
期限後申告をしよう
まずは素直に申告しましょう。期限が過ぎていても申告はできます。
僕がこれまで対応してきた30件、全部最終的には解決してます。隠そうとするより、正直に申告した方が結果的に安くつくことが多いです。
専門家に相談
特に:
- 贈与の金額が大きい
- 複雑な取引がある
- 既に税務署から連絡が来ている
こういう場合は、絶対に専門家に任せた方がいいです。自分で判断して間違うと、余計にペナルティが重くなることもあります。
延納の申請
一括で払えない場合は、延納の申請もできます。ただし、これは事前に申請が必要で、申告期限内に延納申請書を提出しないといけません。後から「やっぱり分割で」というのは基本的にできないので注意が必要です。
まとめ:正直に言うと、基本的にはバレると思っといた方がいい
30件の贈与税無申告案件を見てきて、正直に言います。
基本的にはバレると思っといた方がいいです。
時効まで逃げ切れた事例?正直、ほとんどないです。どこかのタイミングで必ず発覚します。
特に最近は:
- マイナンバーでの情報連携
- 金融機関からの情報提供の強化
- デジタル化による調査能力の向上
税務署の情報収集能力は年々上がってます。
「時効まで逃げ切れるかも」なんて淡い期待を抱くより、早めに正直に申告した方が絶対にいいです。
税務署も、最初から隠そうとする人には厳しいですが、「間違ってました、すみません」って素直に申告する人には意外と優しいものです。
贈与税の申告で困っていることがあれば、一人で悩まず、まずは税理士に相談してみてください。きっと良い解決策が見つかりますから。
それでは、また次回!