税務調査の資料準備完全ガイド|調査官がチェックするポイントとは

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
税務調査って聞くと、なんか胃がキュッとなりませんか?僕も税理士として何度も立ち会ってきましたが、初めて通知を受け取った方の「え、どうしよう…」という表情は今でも印象に残っています。
でも大丈夫です。きちんと準備すれば、税務調査は決して怖いものではありません。今回は「資料をどこで見つけて、どう準備すればいいのか」について、実際の調査現場での経験を踏まえてお話しします。
税務調査官が「まず見る」資料とは?
1. 総勘定元帳(これが全ての基本)
調査官が事務所にやってきて、まず「総勘定元帳を見せてください」と言います。これは会計ソフトから出力できるやつですね。
どこにある?
- 会計ソフト内(弥生会計、freee、MFクラウドなど)
- 紙で印刷してファイリングしている場合は、経理担当者の机周り
- 税理士に依頼している場合は、税理士事務所に保管
準備のポイント: 調査対象年度の全科目について、月別・年計で出力しておきましょう。A4用紙で印刷すると、けっこうな厚みになりますが、これが調査の「地図」になります。
2. 現金出納帳・預金通帳
「現金の動きを確認させてください」これもテンプレ質問です。
どこにある?
- 現金出納帳:会計ソフト内または手書き帳簿
- 通帳:金庫、机の引き出し、銀行取引印と一緒に保管
- ネットバンキングの場合:取引履歴の印刷物
調査官のチェックポイント:
- 現金残高と実際の手持ち現金が合っているか
- 大きな現金取引(特に10万円以上)の妥当性
- 個人口座との資金の行き来
3. 売上関連資料
「売上について確認します」この時点で緊張が走ります。
どこにある?
- 請求書控え:ファイルボックス、PCのフォルダ
- 領収書控え:領収書綴り、レジジャーナル
- 契約書:金庫、重要書類ファイル
- 入金確認資料:通帳、売掛金台帳
よくある見落とし: 雑収入として処理した売上、返品・値引きの処理、期末の売掛金計上もれ。これらは要注意です。
4. 仕入・外注費関連資料
どこにある?
- 請求書(受領分):支払先別ファイル
- 支払証憑:通帳、手形控え
- 契約書・見積書:取引先別ファイル
- 検収書・納品書:月別ファイル
経費関連で調査官が「必ず」チェックする資料
交際費・会議費
これ、めちゃくちゃ詳しく見られます。
どこにある?
- 領収書:月別経費ファイル
- 出金伝票:会計ソフト内の伝票
- 手帳・スケジュール帳:意外と重要!
- 参加者リスト、議事録:フォルダやメールで保管
調査官の視点: 「この飲食代、本当に仕事関連?」「参加者は誰?」「何を話し合った?」こんな感じで深堀りされます。
旅費交通費
どこにある?
- 交通系ICカードの履歴:駅で印刷可能
- 航空券・新幹線チケット:経費ファイル
- 宿泊費領収書:出張先別ファイル
- 出張報告書:PC内、または手書き
消耗品費・雑費
「雑費が多いですね」って言われるパターン。
どこにある?
- 文房具等のレシート:小額経費ファイル
- ソフトウェア購入履歴:メール、ダウンロード履歴
- 年会費・手数料:通帳、クレジットカード明細
人件費関連の資料
給与・賞与
どこにある?
- 給与台帳:給与ソフト、手書き台帳
- 源泉徴収簿:税務ファイル
- 雇用契約書:人事ファイル
- タイムカード:月別保管
注意ポイント: 家族従業員の給与、役員報酬の変更時期、社会保険との整合性をチェックされます。
固定資産関連
減価償却資産
どこにある?
- 固定資産台帳:会計ソフト内
- 購入時の契約書・請求書:固定資産ファイル
- リース契約書:契約書ファイル
調査前の効率的な資料整理術
1. 年度別ファイリング
各年度ごとに以下をまとめておく:
- 総勘定元帳(印刷版)
- 月別経費ファイル
- 売上関連資料
- 重要契約書
2. デジタル資料の整理
PCやクラウド内の資料も整理を:
- 請求書PDFファイル
- メールでの取引記録
- 写真で撮った領収書
3. 「説明資料」の準備
数字だけじゃ伝わらない部分を補足:
- 事業概要説明書
- 組織図
- 主要取引先一覧
- 特殊な取引の説明メモ
調査当日の資料提示のコツ
調査官とのコミュニケーション
「資料が見つからなくて…」は印象が良くありません。
- 「少しお時間いただけますか」
- 「こちらに関連資料があります」
- 「詳細は後日提出いたします」
こんな感じで、きちんと対応する姿勢を見せましょう。
資料の提示順序
- まず全体像(総勘定元帳)
- 個別取引の詳細資料
- 補足説明資料
この順序で提示すると、調査官も理解しやすくなります。
まとめ:準備が8割
税務調査の成功(?)は、事前準備で8割決まります。資料がどこにあるか把握できていれば、調査官からの質問にもスムーズに答えられますし、変に疑われることもありません。
普段から資料の整理整頓を心がけて、「いつ税務調査が来ても大丈夫」な状態を作っておきましょう。
もし資料の準備で不安な部分があれば、税理士に相談することをおすすめします。プロの目線で、どこに問題がありそうか事前にチェックしてもらえるので、安心して調査に臨めますよ。
税務調査対応のご相談は岩本税理士事務所まで 経験豊富な税理士が、調査前の準備から当日の立会いまでサポートいたします。