税務調査の流れ・手続き完全図解

みなさんこんにちは、税理士の岩本隆一です。無申告や税務調査を多く取り扱っている税理士事務所を営んでいます。(いつでもお問い合わせください!!)
恐怖の税務調査がきた!その時あなたはどうする?
ある日突然、税務署から「税務調査に伺います」という電話がかかってきたらどうしますか?
ほとんどの経営者は「え?なんで?」「何か悪いことした?」と焦りますよね。でも大丈夫です。この記事を読めば、税務調査の全体像が把握でき、もう怖くなくなります。
知らないと損する!税務調査の基本知識
税務調査って聞くと、なんだか「悪いことをしている人が受けるもの」というイメージがありますが、実はそうではありません。
日本の税金は「自分で計算して、自分で申告する」という申告納税制度です。そのため、ちゃんと正しく申告されているか確認するのが税務調査なんです。
つまり、税務調査=犯罪者扱いではなく、税務調査=申告納税制度の検証作業です。
でも、準備なしに税務調査を受けると痛い目に遭います…。
税務調査の種類を攻略しよう!
税務調査には大きく分けて2種類あります:
- 任意調査:一般的な調査(99%のケースはこれ)
- 強制調査(査察調査):脱税がほぼ確実な場合の刑事手続き(いわゆる「マルサ」)
さらに任意調査も種類があります:
- 実地調査:税務調査官があなたの会社に来る(最も一般的)
- 机上調査:税務署内で書類だけチェック
- 反面調査:あなたの取引先に税務署が聞き込みをする(要注意!)
- 現況調査:事前通知なしの抜き打ち調査(飲食店などでよくある)
ちなみに、反面調査は怖いです。あなたが「売上はこれだけ」と言っても、取引先に「実際はいくら支払いましたか?」と聞かれたら、嘘はつけません…。
なぜアナタが狙われた?税務調査の対象者選定の秘密
「なぜうちが調査対象に?」
これには明確な理由があります。税務署はKSKシステムという超強力なデータベースを使って、調査対象を選んでいます:
- 同業他社と比べて利益率が極端に低い(例:同業平均が売上の20%の利益なのに、あなたの会社は5%)
- 売上は増えているのに利益が減っている(超怪しい!)
- 交際費や外注費が急に増えた(個人的な費用を混ぜてない?)
- 消費税の還付申告をした(国がお金を払う側になるので、絶対チェックされる。中間納付の還付を除く)
- 長期間調査を受けていない(法人は3〜10年、個人は5〜10年サイクルが目安)
税務調査直前!何をどう準備する?
税務署から連絡があったら、すぐに以下の準備を始めましょう:
- 顧問税理士に即連絡(顧問税理士がいない場合には探しましょう。調査対応は素人がやると危険です)
- 帳簿書類の総点検(必要書類が揃っているか)
- 弱点を洗い出す(交際費や現金の処理など怪しいところ)
- 言い訳ではなく、「説明」を準備(「なぜそうしたのか」の理由が重要)
特に要注意なのは、過去の調査で指摘された項目です。これを改善していないと、税務署からの信頼度が激減します。
調査当日の攻略法!心理戦に負けるな!
調査当日は、10時頃に税務調査官が来ます(大体2名)。
朝からドキドキしているかもしれませんが、以下のポイントを抑えれば大丈夫:
①午前中の世間話は実は情報収集
「天気いいですね〜」「事業はどうですか〜」という雑談も実は重要な情報収集です。ここで会社の実態と申告内容の整合性をチェックしています。
無駄にペラペラ喋ると、思わぬことで自爆することも…。答えるのは聞かれたことだけにしましょう。
②午後からの帳簿チェックが本番
午後からは帳簿と証憑書類(領収書など)の照合作業。ここで矛盾点や不備を探しています。
特に目をつけられるのは:
- 現金の管理(会社のお金と個人のお金の区別)
- 交際費の内容(誰と何の目的で使ったか)
- 売上の計上漏れ(特に現金売上)
- 個人的な費用の混入(家族旅行を会議費にしてないか等)
税務調査官の「よくある質問」と答え方テクニック
税務調査官のよくある質問とその対応方法:
Q:「売上の計上基準はどうしていますか?」 ➡️ A:具体的に「納品時」「検収時」など、一貫した基準を答える
Q:「この大きな外注費の内容は?」 ➡️ A:発注内容、選定理由、金額の妥当性を説明できるようにする
Q:「社長の個人的な支出はどう管理していますか?」 ➡️ A:明確に区分していることを強調(プライベートカードと法人カードの使い分けなど)
調査結果はこう出る!そして追徴課税の仕組み
調査結果は主に3つ:
- 是認通知:「OK、問題なし」(全体の約2割)
- 修正申告の勧奨:「ここが間違ってるから直して」(最も多い)
- 更正・決定処分:「税務署が強制的に修正」(修正を拒否した場合など)
追徴課税のペナルティは厳しい!
- 本税(払うべき税金)
- 過少申告加算税(本税の10〜15%)
- 無申告加算税(本税の15〜20%)
- 重加算税(悪質な場合、本税の35〜40%)
- 延滞税(年率2.4〜8.7%)
例えば、100万円の申告漏れだと、本税だけでなく、加算税・延滞税で30〜50万円追加されることも…。
プロの税理士だからこそできる「調査対策」のコツ
私が税務調査対応で特に気をつけているポイント:
- 言い逃れでなく、事実に基づく「説明」
- 経営実態に合った会計処理(無理な節税より実態に合った申告)
- 数字の一貫性(売上と生活水準が合わないと怪しまれる)
- 心理戦に負けない冷静な対応(感情的になると損)
図解はこちら
図解はこちらにまとめています。よかったらご参照ください。
まとめ:税務調査は「準備8割、対応2割」
税務調査は怖いものではありません。正しく申告している人は、むしろ「調査してください!」と胸を張れるはず。
ただし、申告内容に自信がなかったり、書類の整理が不十分だったりすると、必要以上に追徴課税されるリスクがあります。
大切なのは日頃からの準備と専門家へのご相談です。
当事務所では税務調査対応の相談を随時受け付けております。「調査の通知が来た」「どう準備すればいいか分からない」「調査結果に納得がいかない」など、税務調査に関するお悩みがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。初回相談は無料です!お問い合わせはこちらから!!