転売の税務調査で確認されやすい点|申告が必要な条件と売上・仕入・在庫の計算
更新日:2026年11月6日
フリマアプリやネットショップで商品を仕入れて売る「転売」で利益が出ている場合、確定申告が必要になることがあります。税務調査や税務署からの照会では、売上の集計、仕入と在庫の計算、名義の使い方などが確認されやすくなります。
この記事では、転売をしている会社員・学生・個人事業主の方に向けて、申告が必要になる条件と、確認されやすいポイントを国税庁の公表資料をもとに整理します。特定の調査事例や当事務所の相談実績を紹介するものではありません。利益の計算には、わかりやすさのための仮定例を使います。
税務の説明は、2026年11月6日に確認した国税庁等の公表資料に基づきます。過去の年分を見直す場合は、その年分に適用される制度を確認してください。
転売の利益は課税の対象。不用品の売却とは区別する
自分で使っていた衣類や家財など、生活用の資産を売って得た所得は非課税です(1個または1組30万円超の貴金属・宝石・書画・骨とうなどを除く)。一方、利益を得る目的で商品を仕入れて売る転売の所得は課税の対象となり、一般的には雑所得、事業として行っていれば事業所得になります(国税庁「No.1906」)。
事業所得か雑所得かは、社会通念上、事業といえる程度で行っているかで判断します。取引を記録した帳簿書類を保存していない場合は、収入金額が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合を除いて、事業所得ではなく雑所得等として扱われます(所得税基本通達35-2)。
会社員・学生でも申告が必要になる場合
年末調整を受けている会社員は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です(国税庁「No.1900」)。20万円は売上ではなく、売上から仕入や経費を差し引いた所得で判定します。学生でも、所得の合計額によっては申告が必要です。住民税の申告も別に確認してください。
利益は「売上-売上原価-経費」で計算する
転売の所得は、売上から、売れた商品の仕入代金(売上原価)と、販売手数料・送料などの経費を差し引いて計算します。年末に売れ残っている商品の仕入代金は、その年の売上原価にはなりません。
計算方法を示す仮定例です。その年に転売を始め、年初の在庫はないものとします。実際の調査事例ではありません。
売上原価と棚卸の考え方は、国税庁の「青色申告の決算の手引き(一般用)」にも説明があります。
税務調査・照会で確認されやすいポイント
- 売上の集計:複数のフリマアプリ・ネットショップの売上をすべて集計しているか。入金額ではなく販売価格で計上しているか。
- 仕入と在庫:仕入の記録があり、年末の在庫を差し引いているか。
- 名義:家族名義のアカウントや口座を使っていても、実際に転売を行っている人の所得として申告しているか。
- 私的な支出の混在:自分で使う物の購入を仕入や経費に含めていないか。
ネット販売の売上と、決済記録・口座明細との整合については、ネットショップ運営者の無申告が把握される経路で国税庁の公表資料とあわせて解説しています。
取引の記録とデータを残す
事業を行う方には、記帳と帳簿書類の保存の義務があります(国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」)。雑所得に当たる場合も、所得を正しく計算して説明できるよう、取引の記録を残しておきましょう。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、請求書・領収書などの現金預金取引等関係書類を5年間保存する義務があります。電子データで受け取った請求書・領収書などは、電子取引データとして保存します。詳しくは電子帳簿保存法の電子取引データ保存をご覧ください。
- 各サービスの販売履歴・売上明細(年ごとにダウンロードして保存)
- 仕入の注文履歴・領収書・請求書
- 年末の在庫の棚卸表(品名・数量・仕入単価)
- 売上金の入金と仕入代金の支払がわかる口座・カードの明細
売上が大きくなったら、消費税も確認する
個人の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は消費税の課税事業者になります。前年1月~6月の課税売上高が1,000万円を超えた場合(給与等の支払額で判定することもできます)や、インボイスの登録をしている場合も、免税事業者にはなりません(国税庁「No.6501 納税義務の免除」)。無申告の期間がある場合の判定は、無申告の期間に消費税の申告も必要?で解説しています。
税金以外のルールも確認する
中古品を仕入れて販売する営業を行う場合は、古物営業法による許可が必要になることがあります。許可の要否や申請先は、営業所を管轄する警察署で確認してください(例:神奈川県警察「古物営業許可申請手続」)。また、各販売サービスの利用規約で、転売や出品が制限されている商品もあります。
申告していなかったことに気づいたら
申告が必要だった年分は、販売履歴と仕入の記録から年分ごとに所得を計算し、期限後申告をします。税務署から調査の通知を受ける前に自主的に申告すると、加算税が軽減される場合があります(国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」)。記録が不足している年分も、金額を推測で作らず、残っている資料でどこまで確認できるかを整理してから相談してください。
加算税の条件は無申告加算税がかからない条件、数年分をまとめて申告する進め方は複数年分の無申告をまとめて申告する順番で解説しています。
まとめ:販売履歴・仕入・在庫の3つをそろえる
- 不用品の売却は非課税でも、仕入れて売る転売の利益は課税の対象です。
- 所得は「売上-売上原価(年末在庫を除く)-経費」で計算し、会社員は20万円基準も所得で判定します。
- 家族名義を使っても、実際に転売を行う人の所得として申告します。
- 売上が大きくなったら消費税、中古品を扱うなら古物営業法の許可も確認します。
この記事は一般的な情報であり、個別の所得区分や申告要否を確定するものではありません。過去の転売の申告に不安がある場合は、販売履歴と仕入の記録をそろえて税務署または税理士に相談してください。
当事務所の対応内容は、税務調査サポートのご案内をご覧ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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