パチンコ・競馬の税金はいくらから?確定申告の基準と払戻金の税務調査

更新日:2026年11月6日

「競馬では年間で負けているから、税金の申告は関係ない」と考えていませんか。公営競技の払戻金は、手元に残った利益と税法上の所得が一致するとは限りません。

この記事では、日本の個人が受け取る競馬・競輪・オートレース・ボートレースの払戻金を中心に、一時所得と雑所得の違い、外れ券の扱い、確定申告の注意点を整理します。紹介する事例は公表された判決・裁決に基づくもので、当事務所の相談実績を示すものではありません。

あわせて、パチンコ・スロットの勝ち分の扱いと、確定申告が必要になる金額の目安も説明します。

税務の説明は2026年11月6日に確認した公表資料に基づきます。過去年分の申告や個別事情のある場合は、その年分の制度と取引内容を確認してください。

公営競技の払戻金は、原則として一時所得

公営競技の払戻金は、原則として一時所得に当たります。ただし、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得と認められる場合には、雑所得となります。所得区分は有利な方を自由に選べるものではありません。

雑所得に当たるかは、購入の期間・回数・頻度・方法、利益が生じた規模や期間などを総合して判断します。ネット投票を利用している、購入額が大きい、毎週買っている、といった事情だけで決まるわけではありません。

国税庁の通達は、競馬の馬券について、購入方法や長期的な収支などの具体的な判断材料を示し、競輪の車券等もこれに準じるとしています。詳細は所得税基本通達34-1を参照してください。

パチンコ・スロットの勝ち分も課税対象(原則は一時所得)

国税庁が一時所得の例として挙げているのは競馬や競輪の払戻金などで、パチンコ・スロットは名指しされていません。ただし、一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の所得で、働いた対価や資産を売った対価としての性質を持たない一時的な所得をいいます。趣味として遊んで得た勝ち分はこれに当てはまるため、原則として一時所得として扱われると考えられます。

収入は換金額、差し引けるのは勝ちにつながった玉代など

収入になるのは、出玉を景品に交換し、その景品を換金して受け取った金額です。そこから差し引けるのは、その収入を得るために直接要した金額に限られます。パチンコ・スロットでいえば、換金につながった遊技に使った玉代・メダル代(貸玉・貸メダルの料金)がこれに当たります。

負けた日に使った玉代・メダル代は、勝ち分を得るために直接要した支出とはいえないため、ほかの日の勝ち分から差し引けないのが原則です。そのため、年間では負けていても、勝った日の分だけで所得が生じることがあります。公営競技で外れ券の購入費用を差し引けないのと同じ考え方で、計算の流れは次の見出しで説明します。

営利目的で継続的に行う場合は雑所得になり得る

営利を目的として継続的に行い、そこから生じた所得と認められる場合は、一時所得ではなく雑所得になる可能性があります。ただし、所得税基本通達34-1が具体的な判断材料を示しているのは競馬の馬券(競輪の車券等はこれに準じる)で、パチンコ・スロットについての記載はありません。通う回数が多い、金額が大きいといった事情だけで決まるものではないため、判断に迷う場合は記録をそろえて個別に確認してください。

パチンコ・スロットは、投票券の購入履歴のような記録が残りにくい遊びです。日付・店舗・使った金額・換金した金額を日ごとにメモしておくと、申告が必要かどうかを判断する材料になります。根拠は国税庁「No.1490 一時所得」と所得税基本通達34-1です。

一時所得の計算では、外れ券を差し引けない

50万円の控除と、2分の1にする計算を分ける

公営競技の払戻金を一時所得として計算する場合は、年間の払戻金から、その払戻金に対応する的中した投票券の購入費用を差し引きます。外れた投票券の購入費用は差し引けません。

  • 一時所得の金額=総収入金額-その収入を得るために直接支出した金額-特別控除額(最高50万円)
  • 総所得金額に算入する金額=一時所得の金額×2分の1

50万円の特別控除は、レースごとや競技ごとではなく、その年の一時所得全体に対して適用します。生命保険の満期返戻金など、ほかの一時所得があれば一緒に確認します。控除額は控除前の所得額が上限で、控除だけでマイナスにはなりません。

2分の1にした金額は税額ではありません。給与所得などと合算したうえで、所得控除や税率等を適用して税額を計算します。根拠は国税庁「No.1490 一時所得」と公営競技の払戻金の案内です。

仮定例:年間収支が赤字でも所得が生じる

以下は計算方法を説明するための仮定例で、実際の税務調査事例ではありません。公営競技の払戻金が一時所得に該当し、ほかの一時所得はないものとします。

  • 年間の払戻金:120万円
  • 的中した投票券の購入費用:20万円
  • 外れた投票券の購入費用:130万円

実際の年間収支は、120万円-20万円-130万円=30万円の赤字です。一方、一時所得の金額は120万円-20万円-50万円=50万円。総所得金額に算入する金額は、その2分の1の25万円となります。

同じ払戻金でも、収支と所得は違う

計算方法を示す仮定例です。公営競技の払戻金が一時所得に当たり、ほかに一時所得がない場合。実際の税務調査事例ではありません。

① 実際の年間収支
年間の払戻金120万円
− 的中券代20万円
− 外れ券代130万円
実際の年間収支30万円の赤字

実際の収支では、的中券・外れ券の両方の購入費用を差し引きます。

② 一時所得の計算
年間の払戻金120万円
− 的中券代20万円
− 特別控除50万円

外れ券代130万円は差し引けません。

一時所得の金額50万円
さらに × 1/2
総所得金額に算入する金額25万円これは税額ではありません
「年間では負けた」だけで、申告不要とは判断できません。
特別控除はその年の一時所得全体で最高50万円(控除前の所得額が上限)。25万円は給与所得などと合算する金額です。申告の要否は、ほかの所得や申告不要制度の条件を含めて確認します。雑所得に当たる場合は、この計算方法を使いません。

外れ券代は控除できないため、「全体では負けた」という理由だけで申告不要とは判断できません。

確定申告が必要かは、給与やほかの所得も含めて判断する

会社員の「20万円以下」は条件付き

給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下など一定の条件を満たす場合は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要となることがあります。

この判定では、一時所得は50万円の特別控除後の金額を2分の1にした額を使います。ほかに副業等の所得があれば、それも合わせて判定します。払戻金そのものが20万円を超えるかどうかではありません。

詳しい条件は国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」、一時所得の判定方法は国税庁「給与所得者に一時所得があった場合」に示されています。自営業者、複数の勤務先がある方、公的年金を受け取る方などは、それぞれの条件で確認してください。

還付申告と住民税は別に確認する

医療費控除などのために所得税の確定申告をする場合は、20万円以下の所得も原則として申告に含めます。「20万円以下なら非課税」という制度ではありません。国税庁のQ&Aでも説明されています。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。居住地の自治体に確認してください。例えば横浜市の案内でも、給与以外の所得が20万円以下の場合の住民税申告について説明されています。

パチンコの税金はいくらから?申告が必要になる目安

パチンコ・スロットの勝ち分が一時所得に当たる場合、税金の計算に使う金額は次のように求めます。

  • 一時所得の金額=(換金した金額の年間合計-その収入を得るために直接要した玉代等)-特別控除額(最高50万円)
  • 総所得金額に算入する金額=一時所得の金額×2分の1

50万円の特別控除は、その年の一時所得全体で最高50万円です。競馬の払戻金や生命保険の満期返戻金など、ほかの一時所得があれば合計して計算します。ほかに一時所得がなければ、換金額から直接要した玉代等を引いた「勝ち分の差額」が年50万円以下のとき、一時所得の金額は0円です。

会社員は「勝ち分の差額が年90万円以下」が一つの目安

前の見出しで説明したとおり、給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員など(給与の全部が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下などの条件があります)は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。

副業などほかの所得がなく、一時所得がパチンコ・スロットの勝ち分だけの場合、この20万円以下に収まるのは「勝ち分の差額」が年90万円以下のときです。(90万円-50万円)×2分の1=20万円となるためです。

ただし、これは所得税の確定申告が不要になる目安で、「90万円以下なら税金が一切かからない」という意味ではありません。所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は別に必要になる場合があります。お住まいの市区町村に確認してください(例:横浜市の案内)。

自営業の方、年金を受け取る方、医療費控除などで申告する方

自営業の方など、もともと所得税の確定申告をする方は、一時所得の金額が生じていれば、20万円以下でも合算して申告します。会社員が医療費控除などの還付を受けるために確定申告をする場合も、20万円以下の所得を含めて申告する必要があります(国税庁のQ&A)。

公的年金を受け取っている方には、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要となる制度があります。源泉徴収の対象とならない公的年金等を受け取っている場合は対象外です。この制度で所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」で確認してください。

計算例(仮定):年間の収支は赤字でも申告が必要になる場合

以下は計算方法を示すための仮定例で、実際の事例ではありません。給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員で、副業の所得やほかの一時所得はないものとします。

項目金額
勝った日に換金した金額の年間合計180万円
その勝ちにつながった遊技の玉代・メダル代60万円
負けた日に使った玉代・メダル代(差し引けない)150万円
勝ち分の差額(180万円-60万円)120万円
特別控除50万円
一時所得の金額(120万円-50万円)70万円
総所得金額に算入する金額(70万円×2分の1)35万円

実際の年間収支は、180万円-60万円-150万円=30万円の赤字です。それでも、負けた日の玉代等は差し引けないため、総所得金額に算入する金額は35万円となり、20万円を超えます。この仮定では、所得税の確定申告が必要です。35万円は税額ではなく、給与所得と合算して税額を計算するための金額です。

公表事例から見る、一時所得と雑所得の分かれ目

公表された判決や裁決には、外れ馬券の購入代金を差し引けるかが争われたものがあります。結論だけでなく、判断の前提となった購入方法や収支の状況を読むことが大切です。

最高裁2017年12月15日判決:雑所得と認められた事例

この事案では、納税者が長期間にわたり多数の馬券を購入し、払戻金を雑所得として申告したところ、税務署は一時所得として更正等を行いました。納税者はその取消しを求めました。

最高裁は、購入パターンに従った継続的な購入、複数年にわたる多額の利益などの事情を踏まえ、払戻金を雑所得と判断しました。また、その一連の購入で利益を得るには外れ馬券の購入も不可避だったとして、外れ馬券代を必要経費と認めました。

これは具体的な事実関係に基づく判断です。一般の購入者が、この判決だけを理由に外れ券代をすべて経費にできるわけではありません。出典:国税庁掲載・最高裁2017年12月15日判決(PDF、本文2~3ページ)。

国税不服審判所2018年3月22日裁決:一時所得とされた事例

こちらの事案では、ソフトを使用して多数回・頻繁に馬券を購入していたものの、各年の損益の変動や購入内容を示す資料の状況等を踏まえ、一時所得と判断されました。

ソフトの使用や購入規模だけで結論が決まらないことを示す事例です。ただし、この裁決から「一度でも赤字なら必ず一時所得」といった一律の基準を導くこともできません。出典:国税不服審判所・2018年3月22日裁決。

雑所得なら、50万円控除と2分の1計算は使わない

雑所得に当たる場合は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算し、一時所得の50万円特別控除や2分の1計算は使いません。また、雑所得の損失を給与所得などと損益通算することはできません。所得区分の判断に迷う場合は、購入履歴と収支を整理して個別に確認してください。出典:国税庁「No.1500 雑所得」。

宝くじとオンラインカジノを、公営競技と混同しない

国内の宝くじ当せん金は別の制度

当せん金付証票法に基づく国内の宝くじの当せん金は、同法13条により所得税が課されません。競馬などの払戻金とは扱いが異なります。海外の宝くじや懸賞の賞金まで、同じ扱いになるわけではありません。出典:徳島県「宝くじの当せん金に税金はかかりますか」。

オンラインカジノは、納税しても合法にはならない

海外で合法的に運営されるオンラインカジノでも、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪です。警察庁の注意喚起を確認し、利用しないでください。

一方、税務上は、収入の原因となった行為が違法であることだけを理由に課税対象から外れるわけではありません(所得税基本通達36-1)。納税しても違法性がなくなることはありません。過去の利用による収入がある場合は、税務上の取扱いを税理士・税務署に、刑事上の問題を弁護士に相談してください。

申告のために残しておきたい記録

公営競技の払戻金については、次の情報を記録してください。銀行口座の入出金差額や投票サービスの残高だけでは、的中券の購入費用と外れ券代を区別できない場合があります。

  • 開催日・開催場・レース
  • 払戻金の受取額
  • その払戻金に対応する的中券の購入額
  • ネット投票の履歴や画面の写し、関連する入出金記録

国税庁の「払戻金の支払を受けた方へ」(PDF)には記録例が掲載されています。ネット投票の履歴は、確認できるうちに保存しておくと整理に役立ちます。記録が不足している場合も金額を作り上げず、残っている資料でどこまで確認できるか相談しましょう。

申告漏れに気づいたとき・税務調査の連絡を受けたとき

申告が必要だったのに提出していなければ期限後申告、申告済みでも納税額が少なかった場合は修正申告などの対応を検討します。まずは対象年分ごとの払戻金、購入記録、過去の申告書を整理してください。

本来の税金に加え、状況に応じて加算税や延滞税が生じることがあります。例えば、期限内申告をした方が、調査の事前通知前かつ更正を予知する前に自主的に修正申告した場合は、原則として過少申告加算税はかかりません。最初の申告が期限後申告の場合は取扱いが異なります。「自主的に申告すれば追加負担はゼロ」とは限りません。

手続の違いは国税庁「確定申告を忘れたとき」と「確定申告を間違えたとき」で確認できます。調査の連絡を受けた場合は、対象の年分や確認事項を整理し、記録を隠したり改ざんしたりせず、事実に基づいて対応してください。

加算税の種類や計算例は、付帯税(加算税・延滞税)の解説記事にまとめています。

まとめ:年間の実際の収支だけで判断しない

  • 公営競技の払戻金は原則一時所得。雑所得となるかは購入態様等を踏まえた個別判断です。
  • 一時所得では外れ券代を控除できず、年間収支が赤字でも所得が生じることがあります。
  • 50万円の特別控除、2分の1計算、会社員の20万円基準は、それぞれ意味が異なります。
  • 申告要否はほかの所得も含めて確認し、住民税にも注意します。

申告漏れや税務調査への対応に不安がある場合は、手元の記録をそろえ、税務署または税理士に相談してください。この記事は一般的な情報であり、個別の申告要否や所得区分を確定するものではありません。

当事務所の対応内容は、税務調査サポートのご案内をご覧ください。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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