所得税を修正申告したら?住民税・個人事業税・国民健康保険料の確認ポイント
所得税を修正申告して追加納付を済ませても、それだけで関連する負担の確認が終わるとは限りません。所得の訂正は、個人住民税や個人事業税、加入している国民健康保険の保険料にも影響する場合があります。
ただし、所得が増えた額に一定の割合を掛ければ、追加負担の総額が分かるわけではありません。税目や保険制度ごとに、計算方法、控除、限度額、対象となる年度を確認する必要があります。
この記事では、個人事業主が所得を増額する修正申告をした場合を中心に、横浜市・神奈川県の制度に沿って確認点を整理します。
修正した年の所得は、翌年度の住民税や国民健康保険料などに関係します。
1.修正した「年分」と、その後の「年度」を分ける
最初に、どの年の所得を、何の理由で、いくら訂正したのかを整理しましょう。修正前後の申告書、修正した売上や経費の資料、所得税の納付記録をまとめておくと、その後の確認にも使えます。
個人住民税や国民健康保険料では、ある年の所得を基に翌年度分を計算する仕組みがあります。そのため、所得税の年分と、変更が関係する税・保険料の年度を混同しないことが大切です。複数年を修正した場合は、年分ごとに確認します。
2.住民税は修正後の所得や控除を確認する
個人住民税は、所得に応じた所得割と、定額の均等割などで構成されます。所得税の修正により、住民税の所得割や非課税判定などに影響する場合があります。
所得税と住民税では、控除や税額計算が同じとは限りません。「増えた所得の10%が必ず追加される」「均等割は絶対に変わらない」と決めつけず、変更後の計算を確認してください。
横浜市では、所得税の確定申告書を税務署へ提出した場合、同時に市民税・県民税の申告をしたものとみなすと案内しています。ただし、修正後の情報がいつ反映されるか、別に確認すべき事項があるかは、担当する自治体に確認しましょう。
変更に関する通知が届いたら、対象年度、所得・控除の内容、既に納めた税額との差額、納期限を照合します。「自分で同じ申告を出し直さなければ反映されない」とも、「何も確認しなくてよい」とも一律には考えないようにしてください。
出典:横浜市「個人の市民税・県民税(概要)」
3.個人事業税は所得税と違う計算を確認する
個人事業税は、法律で定められた業種の事業を行う個人が対象となる県税です。すべての個人事業主に、同じ条件で課税されるものではありません。
事業主控除は、年間を通じて事業を行っている場合は290万円です。年の途中で開業・廃業した場合は、事業を行った月数に応じた計算となります。「所得税の申告書の所得が290万円を超えたか」だけで判定せず、法定業種、事業税の所得計算、ほかの控除なども確認します。
また、所得税の青色申告特別控除は、個人事業税では適用されません。所得税と同じ控除後の金額を、そのまま事業税の課税対象額にしないよう注意が必要です。
所得を修正した場合は、所管の県税事務所に、個人事業税の計算や通知への反映を確認しましょう。
神奈川県では、所得税の修正申告をした場合など、通常の8月・11月とは別の納期限で個人事業税を納めることがあります。届いた納税通知書に記載された納期限を確認してください。
出典:神奈川県「個人事業税」
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b004/index.html
出典:神奈川県「個人事業税のあらまし」3ページ(青色申告特別控除の取扱い)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/6489/r805kojiaramashi.pdf
4.国民健康保険料は加入状況と所得の変更を確認する
横浜市の国民健康保険料は、所得や加入者数などに基づいて計算されます。所得状況が変わった場合には再算定が行われ、保険料額通知書により知らせる仕組みです。
2026年度は、医療分・支援分・介護分に加え、子ども・子育て支援金分が設けられています。介護分は原則として40歳から64歳の加入者が対象です。負担額は、その年度の料率や限度額、加入月数、軽減の適用などによって異なります。
したがって、「所得が100万円増えたら保険料は必ず10万円増える」といった一律の計算はできません。被用者保険や国民健康保険組合などに加入している場合も、横浜市の国民健康保険と同じ計算を当てはめないでください。
横浜市は、保険料の賦課決定について、その年度の最初の保険料の納期の翌日から起算して2年を経過した日以後はできないと案内しています。これは単純に「修正申告から過去2年」という意味ではありません。対象年度や期限の確認は、区役所保険年金課で行いましょう。
出典:横浜市「保険料について」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/hokenryo/04hokenryounituite.html
出典:横浜市「令和8年度保険料の料率等について」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/hokenryo/r7hokennryouritu.html
5.追加負担と納期限は通知ごとに整理する
所得税の追加納付額だけを見て資金計画を終えず、関係する税・保険料について、次の項目を一覧にしておくと確認しやすくなります。
- 修正した所得税の年分と修正内容
- 住民税、個人事業税、国民健康保険料の対象年度
- 当初の税額・保険料額と、変更後の金額
- 既に納めた額、追加の納付額と納期限
- 自治体への確認日、担当窓口と回答内容
納付が難しい場合は、通知を放置せず、それぞれの納付先へ早めに相談しましょう。分割納付や猶予等が認められるかは個別の条件によるため、相談しただけで納期限や延滞金の扱いが変わるとは考えないようにしてください。
(仮定例)2024年分の所得税を増額修正した個人事業主の場合
横浜市に住み、横浜市の国民健康保険に加入している個人事業主が、2024年分の売上の計上漏れに気付き、所得を増やす修正申告をしたと仮定します。
所得税の追加納付に加えて、2024年の所得を基に計算される2025年度の住民税と国民健康保険料、2024年分の所得を基にする個人事業税について、変更の通知が届く可能性があります。通知が届いたら、対象年度、所得や控除の内容、すでに納めた額との差額、納期限を一覧にして照合します。追加の負担額は、税目や保険制度ごとの計算で確認します。実際の事例ではありません。
まとめ
所得税を修正申告した後は、住民税・個人事業税・加入している保険制度への影響も確認します。ただし、すべてが同じ割合で増えたり、同じ期間だけさかのぼったりするわけではありません。
所得税の申告書と自治体からの通知を対応させ、対象年度、計算内容、納付額と期限を一つずつ確認しましょう。
税務調査や修正申告への対応については、当事務所の税務調査サポートをご覧ください。
https://iwamototax.com/tax-audit/
※2026年11月4日時点の一般的な解説です。横浜市・神奈川県の制度を中心に説明しています。他の自治体や保険制度、個別の課税関係は、それぞれの担当窓口に確認してください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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