税務署から書面の照会が届いたら?回答前の確認と資料整理
税務署から「お尋ね」や「照会」の書面が届いたら、まず、何について、いつまでに、どのような回答や資料を求められているかを確認しましょう。
この記事では、国税に関する書面の質問へ回答する前の準備を整理します。書面が届いただけで、申告の誤りや追加の税金が確定するわけではありません。資料に基づいて確認できることと、まだ確認できないことを分けて準備することが大切です。
1.書面と封筒を保管し、差出元と依頼内容を確認する
書面と添付資料、封筒を一緒に保管し、次の項目を確認します。
- 書面の宛名、表題、発行日、受け取った日
- 税務署等の名称、担当部署、担当者
- 対象の税目、年分・事業年度、取引
- 質問の内容と、求められている資料
- 回答方法、提出先、回答期限
不審な点がある場合は、記載された連絡先だけを頼りにせず、国税庁の公式サイトで税務署の連絡先を調べ、総務課などへ確認してください。国税庁は、税務署等をかたった不審な照会文書にも注意を呼びかけています。
出典:国税庁「国税庁をかたった偽メールにご注意ください」の「不審な照会文書」
https://www.nta.go.jp/information/attention/attention.htm
国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
2.何の手続に基づく依頼なのか確認する
申告内容の見直しを求める連絡には、行政指導として自発的な見直しを求めるものと、税務調査として確認するものがあります。国税庁は、調査または行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、どちらに当たるかを明示すると説明しています。
書面の表題や文体、回答期限の長さだけで決めつけず、不明であれば「今回の依頼は、どのような手続に基づくものですか」と担当者へ確認しましょう。確認した日時と説明の内容も記録しておきます。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
3.質問ごとに、事実と根拠資料を対応させる
質問に番号が付いている場合は、その順番に整理すると確認しやすくなります。対象期間の申告書、帳簿、契約書、請求書、入出金記録などを照合し、日付・金額・取引相手を確認します。
記憶だけのことを、資料で確認済みの事実として書かないようにしましょう。記録が見つからない場合や、資料同士の数字が合わない場合は、その事情と追加で確認することを分けて整理します。元の記録を回答に合わせて作り替えてはいけません。
求められる資料の範囲が分からないときは、必要とされる趣旨、対象期間、提出方法を担当者に確認します。「質問にない資料は絶対に出さない」「関係がないと思えば一切対応しなくてよい」とは考えないでください。税務調査では、正当な理由のない帳簿書類等の提示・提出拒否や虚偽の資料の提示・提出について、罰則が科されることがあります。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問3・問6
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
4.回答を整理するための記入例
次の項目は、回答案を作る前の整理用です。国税庁の公式様式ではありません。届いた書面に回答欄や指定様式がある場合は、その案内を確認してください。この整理メモを作っただけで、回答や申告の手続が済むわけではありません。
- 質問番号・質問の内容:[ ]
- 確認できた事実:[対象期間、日付、金額、相手方、取引内容など]
- 根拠となる資料:[資料名、作成日、該当ページ・明細など]
- 未確認の事項と理由:[ ]
- 追加で確認する資料・確認の進め方:[ ]
- 添付する資料:[ ]
事実確認が終わっていない場合は、その旨を明記して確認の進め方を相談します。「資本関係はありません」「市場価格で取引しました」などの文章を、実際の関係や資料を確かめずに流用しないでください。
提出用に整える際は、質問に対応する説明が抜けていないか、数字が根拠資料と一致するか、未確認部分が断定表現になっていないかを読み直しましょう。
国税庁が公表した事例:書面照会に応じなかった無申告法人に、実地調査が行われた事例
国税庁の「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」では、税務署が多数の無申告法人に、事業の稼働状況を尋ねる書面照会(行政指導)を行った事例が紹介されています。このうち1社は、再三の書面照会に応じませんでした。
税務署は、店舗に多くの客が出入りしていることや、SNSが頻繁に更新されていることなどから事業の実態を把握し、実地調査に移行しました。銀行調査で多額の入出金を把握し、多額の利益を意図的に隠していたことが判明して、法人税・消費税約6千万円が追徴されています。書面照会に回答しないことで、確認が終わるわけではないことが分かります。
出典:国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(11ページ・無申告法人に対する事例)
5.回答期限に間に合わないときは、事情を伝えて相談する
資料の再発行や過年度の記録確認に時間がかかる場合は、期限を過ぎる前に担当者へ連絡します。何が未確認で、どのような作業が残っているか、いつごろまでに確認できる見込みかを伝え、回答方法や日程を相談しましょう。期限変更が必ず認められるとは限りません。
回答期限について相談しても、申告・納付などの法定期限が自動的に延びるわけではありません。届いた書面が申告や納付を求めるものか、処分の通知かも確認し、それぞれの期限を別に管理してください。申告・納付期限の延長は、適用される制度と手続を別途確認する必要があります。
参考(申告・納付などの期限延長の制度例):国税庁「No.8001 災害等による期限の延長」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8001.htm
6.提出方法を確認し、回答と資料の控えを残す
提出前に、宛先、提出方法、添付資料、原本・写しの別を確認します。電子データの場合も、自己判断で送り先や方法を決めず、担当者の案内を確認しましょう。国税庁のFAQでは、調査における電子データの提示・提出について複数の方法が示されています。
実務上は、送った回答書と資料の控え、提出した日、提出方法、受領を確認できる記録をまとめておくと、その後の問い合わせに対応しやすくなります。提出後に誤りが見つかった場合は、どの回答や資料のどこが違うのかを整理し、訂正の方法を担当者へ確認してください。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問5
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
まとめ
書面への回答は、質問と資料を対応させ、確認できた事実と未確認事項を分けることから始めましょう。依頼の趣旨や提出範囲が分からないとき、資料の不足や申告内容との食い違いがあるときは、担当者や税理士等へ早めに相談してください。
※2026年11月5日に確認した公表資料に基づく、国税についての一般的な解説です。回答や資料提出の要否・方法・期限は、届いた書面と対象の手続、個別の事情によって確認してください。
税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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