書面調査の流れと回答テンプレート大全|押さえるべきポイントとNG例

みなさんこんにちは、税理士の岩本隆一です。無申告や税務調査を多く取り扱っている税理士事務所を営んでいます。(いつでもお問い合わせください!!)
そもそも「書面調査」とかほんとにヤバいの?
マジでヤバいです。
税務署から突然「お尋ね」という名のペラ一枚が送られてきて、それにどう対応するかで人生が変わることもあります。大げさじゃなく。
僕の事務所に週に3〜4件は「税務署からこんな書類が来たんですけど…」という相談が来ます。多くの場合、すでに対応が手遅れなケースもあって、正直「もっと早く相談してくれよ…」と思うことも。
よく言われるのが「なんで黙ってればいいものをペラペラ喋っちゃったんですか?」って質問。自白しちゃう人って本当に多い。みんな警察ドラマ見てるのに、自分が主人公になるとすぐ自白しちゃうんですよね。
税務調査も同じです。書面で「これどうなってますか?」って聞かれて、必要以上に答えちゃう。そしたらもう終わり。「あ、こいつ隠してるな」って思われたら実地調査が来て、家宅捜索みたいなことになりかねません。
今日は「書面調査」について、超具体的にお話します。このブログを読めば、明日書面調査が来ても冷静に対応できるはずです。
書面調査の種類と実態:マジで知らないと損する話
これが「書面調査」の実態だ
書面調査って一言で言っても、その種類は超多様です。
- 税務署からの「お尋ね」(これが一番厄介)
- 公正取引委員会からの照会(独禁法違反の調査)
- 社内の内部監査部門からの質問状
- 裁判関連の証拠提出要請
など、いろいろあります。
ただ読者のみなさんが一番気にするのは「税務調査」でしょう。だから今日は主にそれを中心に話します。
税務署から来る「お尋ね」、これがほんとにタチが悪い。なぜなら、一見シンプルな質問に見えて、実は超絶に計算されているから。
例えば「〇〇株式会社との取引内容について教えてください」
この一行だけの質問の裏には、「この会社との取引、全部架空じゃね?」という疑惑が隠されていることが多いです。
主な書面調査の種類と危険度
税務調査の書面調査には、大きく分けて以下のようなものがあります:
レベル1:単純確認型
「申告書の住所と本籍地が違いますが、引っ越されましたか?」といった軽めの確認。これは普通に答えてOK。危険度★☆☆☆☆
レベル2:個別取引確認型
「〇〇株式会社との取引〇〇万円について詳細を教えてください」といった特定取引の確認。要注意。危険度★★★☆☆
レベル3:網羅的確認型
「海外との取引全てについてリストアップしてください」など、網を張るタイプの質問。超危険。危険度★★★★☆
レベル4:告発準備型
「下記の取引について、契約書、請求書、支払証明書を全て提出してください」など、すでに証拠固めの段階。危険度★★★★★
レベル3以上が来たら、もう専門家に相談するしかありません。自力対応は99%失敗します。マジで。
書面調査への対応フロー:失敗しない7つのステップ
書面調査が来たときの対応フローを、超実践的に解説します。
STEP1:まず落ち着く(マジで大事)
書面調査が来ると大抵の人は動揺します。「やばい、バレた?」「何かミスした?」と考えて頭が真っ白に。
でも、ここで冷静さを失うと終わりです。だいたいの人は動揺して余計なことを話しちゃう。
僕の顧問先でも、税務署から電話が来ただけで「すみません、あの経費は私的なものでした!」と自白した社長さんがいました。税務署は単に住所確認の電話だったのに…。
受け取ったら最低でも24時間は何も行動しないこと。これ鉄則です。
STEP2:何を聞かれているのか正確に把握する
書面をよく読んで、何を聞かれているのか正確に把握します。複数の質問がある場合は、質問ごとに分解して整理しましょう。
特に気をつけたいのが「質問の裏にある真の意図」です。さっきも言いましたが、税務署は釣りをしているようなもの。餌に簡単に食いつくと、あとで痛い目を見ます。
STEP3:回答期限を確認し、必要なら延長を依頼
多くの書面調査には回答期限が設定されています。この期限を守れないと、それだけで印象が悪くなります。
もし期限内に対応できない場合は、必ず事前に連絡して延長を依頼しましょう。延長依頼自体はほぼ100%通ります。黙って遅れるのだけはNG。
STEP4:関連する証拠書類を整理する(でも出すとは限らない)
関連する証拠書類を整理しますが、全て出すわけではありません。質問に対して必要最小限の回答をするための資料だけを準備します。
「念のため」で余計な資料を出すと、新たな質問のネタを与えることになります。税務調査は「証拠漁り」なので、余計な餌は与えないこと。
STEP5:回答書を作成する
回答書の作成では、以下の点に注意します:
- 事実に基づいて正確に記述
- 必要最小限の情報だけを記載
- 質問されていないことには触れない
- 曖昧な表現や推測は避ける
- 使う言葉に細心の注意を払う
特に重要なのが「質問されていないことには答えない」という鉄則。「念のため」で情報を追加すると、それが新たな疑惑を生みます。
STEP6:専門家のレビューを受ける
自分だけで判断せず、必ず税理士や弁護士などの専門家のレビューを受けましょう。
素人が見落とす「危険な表現」や「意図せぬ自白」は本当に多いです。プロの目で見れば一発でわかります。
STEP7:適切な方法で提出し、記録を残す
指定された方法(郵送、メール、ファックスなど)で回答書を提出し、必ず提出した証拠(控えや送信記録)を保管しておきましょう。
「いつ、何を、どのように提出したか」という記録は、後々のトラブル防止に役立ちます。
最強の回答テンプレート:これで9割は乗り切れる
実際に使える回答テンプレートを公開します。書面調査の種類によって使い分けてください。
テンプレート1:税務署からの「お尋ね」への回答(基本形)
令和○年○月○日
〇〇税務署
〇〇課 御中
〒xxx-xxxx
東京都〇〇区〇〇1-2-3
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇
TEL: 03-xxxx-xxxx
件名:令和〇年分所得税確定申告に関するお尋ねについて(回答)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、令和○年○月○日付でご照会いただきました標記の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
記
1.照会事項「〇〇に関する取引について」
当該取引は、令和○年○月○日に発生した商品販売取引であり、金額は○○円(税込)です。取引先は株式会社〇〇であり、当社との間に資本関係や役員の兼任等の特殊な関係はございません。
(質問に対して必要最小限の情報のみを記載。質問されていない情報は書かない)
本件に関するお問い合わせは、下記担当までお願い申し上げます。
担当:〇〇 〇〇
TEL:xxx-xxxx-xxxx
以上
敬具
テンプレート2:「取引先との関係」を聞かれた場合の回答例
照会事項「〇〇社との取引関係について」
〇〇社とは、平成○年から取引を開始し、主に〇〇製品の仕入れを行っております。取引条件は市場価格に基づいており、支払いは月末締め翌月末払いの通常取引条件です。なお、当社と〇〇社との間には、資本関係及び役員の兼任等の特殊な関係はございません。
このように、事実を簡潔に述べるだけで十分です。余計な情報を書く必要はまったくありません。
テンプレート3:回答を保留する必要がある場合
照会事項「〇〇に関する経緯について」
ご照会の件につきましては、現在社内で事実関係を確認中でございます。詳細が判明次第、追って回答させていただきます。恐れ入りますが、回答期限の延長をご検討いただければ幸いです。
わからないことは「わからない」と正直に言うべき。嘘やごまかしは後で必ず発覚します。
絶対やってはいけない7つのNG行動
最後に、書面調査で絶対にやってはいけないNG行動を紹介します。
NG1:思いつきで回答する
「たぶんこうだったと思います」という推測での回答は最悪。確認せずに答えると、後で食い違いが発覚した際に「虚偽報告」と見なされるリスクがあります。
NG2:質問以上の情報を提供する
これほんと多いです。「念のため」と言って質問されてもいない情報まで提供する人。そんなの全部新たな疑惑のタネになるだけです。聞かれたことだけに答えましょう。
NG3:期限を無視する
「忙しかったから」は言い訳になりません。期限が守れそうにない場合は、必ず事前に連絡して延長を依頼しましょう。
NG4:感情的になる
「なぜそんなことを聞くんですか?」「そんなの関係ないでしょ!」といった感情的な反応は百害あって一利なし。冷静沈着に対応しましょう。
NG5:専門用語や業界用語を多用する
専門用語や業界用語を多用すると、誤解を招いたり、さらなる質問を誘発したりします。誰が読んでも理解できる平易な言葉で説明しましょう。
NG6:安易に署名・押印する
税務調査などで作成される「質問応答記録書」には、安易に署名・押印しないこと。内容をよく確認し、納得できない部分があれば修正を求めるか、署名を拒否する権利があります。
NG7:独自判断で対応する
「大したことないだろう」と思って、専門家に相談せずに自己判断で対応してしまうこと。これが最大のNG。書面調査は見た目以上に複雑で、素人判断は危険です。
さいごに:プロの対応で危機を機会に変える
書面調査は、正しく対応すれば怖いものではありません。むしろ、適切に対応することで税務署や監査部門からの信頼を得るチャンスでもあります。
僕の事務所では毎年100件以上の税務調査対応をしていますが、書面調査の段階で適切に対応したケースでは、ほとんど追徴課税がありません。逆に、素人判断で変な回答をしてしまったケースでは、軽く数百万円の追徴課税になることも…。
書面調査が来たら、まず落ち着いて、できるだけ早く専門家に相談することをお勧めします。「弁護士や税理士に相談するお金がもったいない」と思って自己対応した結果、何百万円もの追徴課税を食らうことを考えれば、専門家への相談料なんて安いものです。
当事務所ではいつでも相談をお請けいたしております。税務調査でお困りの際は、お気軽にご連絡ください。あなたの会社や個人事業を守るために、プロの力を借りることを強くお勧めします。