税務調査の結果に納得できないときは?修正申告前の確認と不服申立て
税務調査で指摘を受けたときは、何が問題とされ、どの税目・年分の税額が、どのような計算で変わるのかを確認しましょう。
修正申告の勧奨を受けている段階と、税務署長等から更正などの処分を受けた段階では、利用する手続が異なります。この記事では、所得税・法人税などの国税について、確認すべき内容と手続の違いを整理します。地方税の手続は、通知を出した自治体に確認してください。
1.まず、指摘の理由と資料を照合する
実務上の準備として、指摘事項ごとに次の内容をまとめておくと、認識の違いや未確認の点を整理しやすくなります。
- 対象となる税目、年分・事業年度、取引
- 指摘された事実と、税務上の取扱いの理由
- 修正前後の金額と計算の内容
- 契約書、請求書、帳簿、入出金記録などの関連資料
説明を理解できない点や、手元の資料と違う点は具体的に伝え、必要な説明を求めましょう。事実として確認できることと、記憶や推測にとどまることを分けることも大切です。
2.修正申告は、提出する前に内容を確認する
税務署から修正申告を勧められても、それに応じるかどうかは納税者の判断です。国税庁は、勧奨に応じなかったことだけで、応じた場合より基本的に不利な取扱いを受けることはないと説明しています。応じない場合には、調査結果に基づく更正等の処分が行われます。
修正申告は納税者自身が行う申告なので、その修正申告自体を対象に不服申立てはできません。指摘の内容や金額に疑問が残る場合は、提出前に税理士等へ相談し、何を確認する必要があるか整理してください。
ただし、修正申告をした後でも、加算税の賦課決定を受けた場合には、その賦課決定について不服申立てをすることができます。修正申告自体と、税務署長等が行う加算税の処分は別に考え、通知書に記載された処分内容と期限を確認してください。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問25・26
国税庁「No.7210 『不服申立て』ができる場合、できない場合」
3.修正申告後に誤りが分かったら、更正の請求を検討する
修正申告をした後でも、納める税額を多く申告していた場合などは、更正の請求ができることがあります。正しいと考える税額や請求の理由を整理し、その理由を裏付ける資料を用意します。請求した内容が必ず認められるわけではありません。
所得税の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。修正申告を提出した日から、新たに5年が始まるわけではありません。対象税目や請求の理由によって期限等が異なる場合があるため、個別に確認してください。
更正の請求に対して、その一部だけを認める処分や、更正すべき理由がない旨の通知を受けた場合は、その処分が不服申立ての対象になります。申告そのものと、その後に行われる処分を分けて考えましょう。
国税不服審判所「更正の請求に対する『一部又は全部に理由がないとした処分』でも、不服申立てできるの?」
4.処分に不服があるときは、通知書と期限を確認する
税務署長等による更正・決定や加算税の賦課決定などに不服がある場合は、その処分の取消しや変更を求める不服申立てを検討します。
更正・決定や加算税の賦課決定などの処分を受けた場合の流れです。
原則として、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、次のどちらかを選んで行います。
- 処分を行った税務署長等への「再調査の請求」
- 国税不服審判所長への「審査請求」
再調査の請求を先に行うことが必須ではなく、最初から審査請求をすることもできます。再調査の請求を選び、その決定後も不服がある場合は、再調査決定書謄本の送達があった日の翌日から1か月以内に審査請求をすることができます。
通知書は封筒と一緒に保管し、受領日、対象の処分、不服申立先と期限の案内を確認しましょう。税務署への相談や説明のやり取りだけで期限を過ぎないよう、早めに手続を確認してください。
(仮定例)修正申告の勧奨に応じず、更正の通知を受けた場合
税務調査で売上の計上時期について指摘を受け、修正申告を勧められたものの、契約書や請求書を見直しても指摘に納得できなかった事業者を考えます。
勧奨に応じるかどうかは納税者の判断で、応じない場合は調査結果に基づいて更正が行われます。更正通知書が届いたら受け取った日を記録し、原則としてその翌日から3か月以内に、税務署長への再調査の請求か、国税不服審判所長への審査請求を選んで行います。不服申立てをしても徴収の手続が自動的に止まるわけではないため、納付についても別に確認します。実際の事例ではありません。
出典:国税不服審判所「不服申立手続等」、国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問25
5.不服申立てと、納付・徴収の手続は別に確認する
不服申立てをしただけで、処分の効力や徴収の手続が自動的に止まるわけではありません。差押財産の換価には原則的な制限があり、徴収の猶予等が認められる場合もありますが、それぞれ条件を確認する必要があります。
納付が難しい場合は、税額を争う手続とは別に、所轄税務署の徴収担当へ早めに相談してください。一般的な納税の猶予・換価の猶予と、不服申立てに伴う徴収の取扱いを同じ制度として扱わないことが大切です。
出典:国税不服審判所「不服申立てをした場合の『徴収の手続』はどうなるの?」
6.相談前にまとめたい資料
- 当初の申告書と、提出済みの修正申告書
- 更正通知書、加算税の通知書など、受け取った書類と封筒
- 指摘内容、説明を受けた日、確認したい点のメモ
- 主張を裏付ける契約書、帳簿、取引記録等
- 納付状況と、資金繰りの相談に必要な資料
納得できない理由を「事実関係」「税務上の取扱い」「計算」に分け、通知を受けた日と手続の期限を先に確認しましょう。状況に応じて税理士等に相談し、訴訟を検討する場合は弁護士にも確認してください。
※2026年11月5日に確認した公表資料に基づく、国税についての一般的な解説です。利用できる手続や期限は、処分の種類、通知の内容、対象税目、個別の事情によって異なります。
税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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