法人税を修正するときの地方税|法人住民税・事業税の申告と納付

法人税の申告内容を訂正するときは、法人住民税や法人事業税への影響も一緒に確認しましょう。税務署へ法人税の修正申告書を提出すれば、自治体への申告や納付まで自動的に済むわけではありません。

法人税の修正申告書を提出する日が、法人住民税の申告・納付期限となる場合もあります。法人税の手続が終わってから考えるのではなく、提出前から地方税の計算と納付も準備することが大切です。

この記事では、法人税を増額修正する場合を中心に、神奈川県・横浜市への申告先、税目ごとの確認事項、期限と経理処理を整理します。

1.税務署・県・市への手続を分けて確認する

神奈川県内の法人では、次の申告先を確認します。

  • 法人県民税、法人事業税:所在地を所管する県税事務所
  • 法人市民税:事務所等がある市町村。横浜市では総務局法人課税課の法人市民税担当
  • 特別法人事業税:国税ですが、法人事業税と併せて都道府県へ申告・納付

特別法人事業税と、税務署へ申告する国税の「地方法人税」は別の税目です。名称だけで提出先を判断しないようにしてください。

複数の自治体に事務所等がある場合は、本店所在地だけでなく、関係する自治体ごとの申告を確認します。事務所の新設・廃止や従業者数等に訂正があるときは、税額を自治体ごとに分ける計算にも注意が必要です。

出典:神奈川県「法人県民税」「特別法人事業税(国税)」
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b005/index.html
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b013/index.html
横浜市「申請書等様式・手引き(法人市民税に関するもの)」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/jigyosya/tebiki/houjin-dl.html
参考:財務省「税の種類に関する資料」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a01.htm

2.法人税額と所得金額のどちらが変わったかを整理する

法人住民税には、法人税額を基に計算する「法人税割」と、資本金等の額などに応じた「均等割」があります。法人税の増額は法人税割に影響しますが、均等割が同じ割合で増えるわけではありません。均等割についても、資本金等の額、従業者数、事務所等の設置期間などに訂正がないかを別に確認します。

一方、法人事業税は、法人の区分や事業内容に応じて、所得、収入金額、付加価値額、資本金等の額を使って計算します。法人税の税額に一定の率を掛けるだけの税金ではありません。所得や経費の訂正が、どの計算項目に影響するかを確認します。

外形標準課税の対象となる法人では、所得割だけでなく付加価値割などへの影響も確認が必要です。資本金が1億円以下でも一定の減資法人や100%子法人等は対象になり得るため、対象事業年度の制度に沿って判定します。

特別法人事業税は、標準税率で計算した法人事業税の所得割額または収入割額を基に計算します。追加負担を「増えた法人税額の約10%」などと一律に見積もらず、税目・事業年度・自治体ごとに計算しましょう。

出典:神奈川県「法人県民税」「法人事業税」「特別法人事業税(国税)」
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b005/index.html
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b006/index.html
https://www.pref.kanagawa.jp/zei/kenzei/a001/b013/index.html
神奈川県「令和6年度税制改正に伴う外形標準課税の適用対象法人の見直しについて」
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/6482/r6gaikeiminaoshi.pdf
横浜市「法人市民税」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/jigyosya/shizei/hojin/houjin.html

3.自主修正・国税の更正による法人住民税と事業税の期限を確認する

法人税の増額修正によって法人住民税にも不足が生じる場合は、原則として法人税の修正申告書を提出する日までに、法人住民税も申告・納付します。法人税の修正等による場合とは別に、分割基準や均等割の税率など法人住民税独自の誤りで不足が生じた場合は、遅滞なく修正申告・納付します。法人事業税の不足を自主修正で是正する場合も、遅滞なく申告・納付が必要です。

法人税の修正と地方税の申告・納付期限

法人税の増額修正に伴い、地方税に不足が生じる場合の期限です。

自主的に修正申告する場合法人住民税(法人税割)は、原則として法人税の修正申告書を提出する日までに申告・納付します。法人事業税の不足も遅滞なく申告・納付します。
法人税の更正・決定を受けた場合法人住民税は、その法人税を納付すべき日までに申告・納付します。法人事業税は、税務官署が更正・決定を通知した日から1か月以内です。
「法人税を修正した後なら一律に1か月の猶予がある」とは考えず、税目と法人の区分ごとに期限を確認します。
出典:地方税法53条34・35項、72条の31第2・3項、321条の8第34・35項、国税通則法35条2項2号。法人事業税の1か月の期限は、収入割のみを申告納付する法人を除きます。本文の説明を図にまとめたものです。

法人税の更正・決定によって法人住民税に不足が生じた場合は、その法人税を納付すべき日までに法人住民税も申告・納付します。国税通則法35条2項2号による法人税の納期限は、更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1か月を経過する日です。通知書を受け取った日から1か月ではありません。

これに対し、地方税法72条の31第3項による法人事業税の修正申告・納付期限は、税務官署が法人税の更正・決定の通知をした日から1か月以内です。この規定では、収入割のみを申告納付すべき法人は対象から除かれます。ただし、収入割のみの法人でも事業税の課税標準額や税額に不足があれば、同条2項による遅滞ない修正申告・納付が必要です。通知書の発出日・通知日・受領日を区別し、税目と法人の区分ごとに期限を確認してください。「法人税を修正した後なら、一律に1か月の猶予がある」と考えないことが大切です。

提出前に、国税と地方税の申告書、追加納付額、提出先、期限をそろえて確認しましょう。すでに法人税だけを提出している場合は、地方税の対応状況を速やかに確認してください。

税額が減る場合は、増額の修正申告とは別に、更正の請求等の手続と期限を確認する必要があります。

出典:地方税法53条34・35項、72条の31第2・3項、321条の8第34・35項
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
国税通則法35条2項2号
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066
参考:厚木市「法人市民税の申告、納付について」(自主修正・更正等の期限の区分)
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/kurashi_tetsuzuki/zeikin/12/12391.html

(仮定例)横浜市内だけに事務所がある法人が、前期の法人税を増額修正する場合

横浜市内だけに事務所がある法人が、前期の売上計上漏れに気付き、法人税の修正申告をすると仮定します。

法人税額が増えて法人県民税・法人市民税の法人税割に不足が生じる場合は、原則として法人税の修正申告書を提出する日までに、県税事務所と横浜市へそれぞれ申告・納付します。法人事業税に不足がある場合も、遅滞なく修正申告・納付します。提出前に、国税と地方税の申告書、追加納付額、提出先、期限を一覧にして確認しましょう。実際の事例ではありません。

出典:地方税法53条35項・72条の31第2項・321条の8第35項(e-Gov法令検索)、厚木市「法人市民税の申告、納付について」

4.事業税の損金算入時期と、延滞税・延滞金の違いを確認する

法人事業税と特別法人事業税は、法人税の所得計算で損金に算入できます。ただし、「支払った翌年度の経費になる」という扱いではありません。

原則として、申告書を提出した日の属する事業年度に損金算入します。更正・決定による税額は、その更正・決定があった日の属する事業年度が基準です。直前事業年度分の事業税等を損金に算入できる特例もあるため、複数期を修正するときは、各期の所得計算と対応させて検討します。

一方、法人税、地方法人税、法人住民税の本税は損金に算入されません。各種加算税・加算金と延滞税は損金不算入です。地方税の延滞金も原則として損金不算入ですが、地方税の納期限の延長に係る延滞金は除かれます。国税の延滞税と、一定の例外がある地方税の延滞金を区別し、本税と附帯する負担を分けて処理してください。

出典:国税庁「No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm
国税庁「法人税基本通達」9-5-1・9-5-2
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_05_01.htm

5.税目ごとの提出・納付状況を残す

準備と確認には、次の資料をまとめておくと役立ちます。

  • 修正前後の法人税・地方税の申告書と計算明細
  • 売上や経費など、修正の理由と金額が分かる資料
  • 更正・決定の場合は通知書と封筒
  • 自治体ごとの当初税額、修正後の税額、既に納めた額、追加納付額
  • 提出先、提出日、受付結果、納期限、納付記録

電子申告を利用する場合も、国税と地方税、それぞれの提出先と受付結果を確認します。申告書の送信と税金の納付は分けて確認し、どちらか一方だけで完了としないようにしましょう。

資金繰りが厳しい場合は、追加負担の見込みを早めに整理し、それぞれの納付先へ相談してください。相談しただけで期限や延滞金の取扱いが変わるわけではありません。

まとめ

法人税を修正するときは、法人住民税・法人事業税・特別法人事業税について、影響する計算項目、提出先、申告・納付期限を併せて確認します。事業税等の損金算入時期も含め、対象となる事業年度ごとに整理しましょう。

法人税の提出前から地方税の準備を進め、申告と納付の両方の記録を残すことが、手続の漏れを防ぐために大切です。

※2026年11月5日に確認した公表資料に基づく一般的な解説です。神奈川県・横浜市への申告を例にしており、法人の区分、事業内容、対象事業年度、修正の理由によって確認事項や取扱いは異なります。

税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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