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税務調査で帳簿書類のどこを見られる?チェックポイントと対策を解説

税務調査って聞くと、多くの経営者や個人事業主の方が「何をチェックされるんだろう?」「どんな書類を準備すればいいの?」と不安になりますよね。

実際、税務調査では調査官が様々な帳簿書類をチェックしますが、闇雲に見ているわけではありません。彼らには明確な着眼点があり、特に重点的に確認するポイントが決まっているんです。

僕自身、これまで数多くの税務調査に立ち会ってきましたが、調査官がどこを見るかはある程度パターン化されています。そのポイントを事前に知っておけば、適切な準備ができるし、調査当日も慌てることなく対応できます。

今回は、税務調査で調査官が帳簿書類のどこを重点的にチェックするのか、そして事前にどんな対策をしておけばスムーズに乗り切れるのかを、実体験を交えながらできるだけわかりやすく解説していきます。

目次

税務調査官が帳簿書類で最初に見るポイント

1. 現金出納帳の動き

調査官がまず手に取るのは、だいたい現金出納帳です。なぜかというと、現金の動きって嘘をつきにくいから。

「あれ、この日に10万円出金してるけど、何に使ったの?」 「領収書はある?」 「現金残高と実際の現金、合ってる?」

こんな感じで質問されます。現金出納帳は、会社のお金の流れの「入り口」みたいなものなので、ここがおかしいと他も怪しいと思われちゃうんです。

2. 売上の計上時期と金額

次に狙われるのが売上関係。特に:

  • 売上の計上時期:12月に納品したのに12月に売上計上してない?
  • 売上の抜け漏れ:請求書は出したけど売上帳に記載されてない取引はない?
  • 売上値引きや返品:理由が明確で適切な処理になってる?

「この取引、なんで翌月計上になってるの?」って聞かれたときに、ちゃんと答えられるようにしておくことが大切です。

3. 経費の妥当性

経費については、調査官は「本当に事業に必要な支出?」という視点で見てきます。

特にチェックされがちなのは:

  • 交際費(プライベートの飲食代を混ぜてない?)
  • 旅費交通費(家族旅行を出張にしてない?)
  • 消耗品費(個人的な買い物を混ぜてない?)
  • 外注費(実質的に給与じゃない?)

「この飲食代、誰と何の話をしたの?」なんて聞かれることもあります。誰と飲食したかくらいはレシートの裏にでも書いておきましょう。

帳簿書類以外で見られる書類

預金通帳

帳簿と預金通帳の突合せは必ずやられます。

「帳簿では現金で支払ったことになってるけど、通帳から引き落とされてるよね?」 「この入金、売上に計上されてないけど何?」

こういう指摘を受けないように、日頃から帳簿と実際のお金の動きを一致させておくことが重要です。

請求書・領収書

調査官は請求書や領収書を一枚一枚チェックします。特に:

  • 日付が修正されていないか
  • 金額が正しく帳簿に反映されているか
  • 宛名が会社名になっているか
  • 個人的な支出が混じっていないか

「この領収書、日付が修正されてるけど、なんで?」なんて聞かれることもあります。

契約書類

大きな取引や継続的な取引については、契約書の内容と実際の処理が一致しているかチェックされます。

調査官はこんなところを重点的に見ている

不自然な数字の動き

調査官って、数字のプロなんです。だから、不自然な動きにはすぐ気づきます。

例えば:

  • 売上が毎月きれいに同じ金額(実際の商売でそんなことある?)
  • 経費が期末に集中している(節税対策?)
  • 現金取引が異常に多い(売上隠し?)

個人と法人の区分

特に中小企業や個人事業主の場合、個人的な支出と事業の支出がごちゃ混ぜになりがち。調査官はここを厳しく見てきます。

「この携帯代、プライベート使用分は除いてる?」 「この車の経費、プライベート使用分はどう計算してる?」

期間損益の適正性

会計期間をまたいだ取引の処理も要注意。

「この3月の売上、実際の納品は4月だよね?」 「この経費、実際に発生したのはいつ?」

事前準備のポイント:こうしておけば安心

1. 帳簿の整理整頓

まず基本中の基本ですが、帳簿をきちんと整理しておくこと。

  • 日付順に並んでいる
  • 摘要欄にちゃんと内容が書いてある
  • 計算ミスがない
  • 現金残高が合っている

「うちの帳簿、きちんとしてるな」と思ってもらえれば、調査も比較的スムーズに進みます。

2. 根拠資料の整備

すべての取引について、根拠となる資料を準備しておきましょう。

  • 請求書・領収書
  • 契約書
  • 通帳のコピー
  • メモや議事録

「この取引の詳細を教えて」と言われたときに、すぐに資料を出せるようにしておくことが大切です。

3. 説明できる体制を整える

調査官からの質問に対して、きちんと説明できるようにしておくこと。

特に:

  • 売上の計上基準
  • 経費の判断基準
  • 個人使用分の按分方法
  • 特殊な取引の処理方法

「なんとなく」ではなく、「こういう理由でこう処理した」と説明できることが重要です。

税務調査を乗り切るための心構え

正直に対応する

変に隠そうとしたり、嘘をついたりするのは逆効果。調査官はプロなので、嘘はすぐバレます。

間違いがあったら素直に認めて、今後気をつけることを伝える方が印象が良いです。

過度に恐れない

税務調査は「適正な申告をしているかの確認」です。きちんとやっていれば、そんなに怖がる必要はありません。

専門家を活用する

自分だけで対応するのが不安な場合は、税理士に依頼することをおすすめします。立会いだけでなく、事前準備から一緒にやってくれるので安心です。

まとめ:日頃からの準備が一番大切

税務調査で帳簿書類のどこを見られるかは、ある程度パターンが決まっています。

重要なのは、日頃からきちんとした帳簿をつけて、根拠資料を整理しておくこと。そして、すべての取引について説明できるようにしておくことです。

「完璧」である必要はありませんが、「誠実」であることは大切。間違いがあっても、それがわざとではないことが伝われば、調査官も理解してくれます。

税務調査は確かに緊張しますが、きちんと準備していれば必要以上に恐れることはありません。むしろ、自分の会計処理を見直すいい機会だと思って、前向きに取り組んでみてください。

何か不安なことがあれば、遠慮なく税理士に相談してくださいね。僕たちがお手伝いします!

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この記事を書いた人

岩本隆一のアバター 岩本隆一 税理士

横浜に根ざす税理士として、“今すぐ困っている”小規模事業者を支援しています。強みは、初回から代表が直接ヒアリングし、その日のうちに方針とやることを明確化する即応性。年商2,000万円前後/従業員0~3名の実情に合わせ、記帳から申告、調査当日の立会いまで一気通貫で伴走。資料不足・過去分の整理・夜間土日相談も歓迎。横浜のフットワークと、やさしい説明で不安を最短で解消します。

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