フリーランスの税務調査|流れと確認されやすい5つのポイント・準備資料

更新日:2026年11月6日

フリーランス(個人事業主)として確定申告をしていると、税務署から税務調査の連絡を受けることがあります。調査は、申告内容が帳簿や請求書・領収書と合っているかを確認する手続です。流れと確認されやすい点を知っておけば、落ち着いて準備できます。

この記事では、デザイン・ライティング・エンジニアリングなどの仕事をするフリーランスの方に向けて、調査の流れ、確認されやすいポイント、準備資料を国税庁の公表資料をもとに整理します。特定の調査事例や当事務所の相談実績を紹介するものではありません。

税務の説明は、2026年11月6日に確認した国税庁の公表資料に基づきます。過去の年分を見直す場合は、その年分に適用される制度を確認してください。

税務調査の流れ:事前通知から終了まで

実地の税務調査は、原則として事前に電話などで通知されます。流れの概要は次の図のとおりです。手続の詳細は国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」に掲載されています。

個人事業主の税務調査の流れ

一般的な流れです。調査の内容や期間は、事業や申告の内容によって異なります。

① 事前通知調査の開始日時・場所、対象の税目・期間などが通知されます。都合が悪い場合は日程の調整を相談できます。
② 準備対象期間の申告書の控え、帳簿、請求書・領収書、通帳などをそろえます。
③ 調査当日事業内容の聞き取り、帳簿と請求書・通帳との照合、経費の内容の確認などが行われます。
誤りがなかった場合「更正決定等をすべきと認められない」旨の通知を受けます。
誤りがあった場合内容の説明を受け、修正申告などを勧められます。応じるかどうかは納税者が判断します。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」。修正申告の勧奨に応じなかった場合は、税務署が更正を行うことがあります。

調査全体の流れと当日の対応は、税務調査の流れとは?事前準備から調査終了まででも詳しく解説しています。

フリーランスで確認されやすい5つのポイント

1. 売上の計上時期(年末をまたぐ案件)

請負の仕事の収入は、物の引渡しを要するものは目的物の全部を完成して引き渡した日、引渡しを要しないものは約束した役務の全部を完了した日の年分に計上するのが原則です(所得税基本通達36-8)。請求や入金が翌年になっても、計上する年分は変わりません。

年末に納品した案件の計上時期(仮定例)

計上時期の考え方を示す仮定例です。成果物を納品する請負の仕事の場合。実際の調査事例ではありません。

12月20日納品(引渡し)
12月31日年の区切り
1月10日請求書発行
2月末入金
この案件の売上は、納品した年(12月の属する年分)に計上します。
12月中に納品した案件の請求が翌年になる場合は、年末に「納品済み・未請求」の案件を一覧にして、売掛金として計上します。

2. 源泉徴収された報酬の扱い

原稿料や講演料など一定の報酬は、取引先が支払う際に所得税を源泉徴収することがあります(国税庁「No.2795」)。この場合、売上には源泉徴収される前の金額を計上し、差し引かれた税額は確定申告で精算します。入金額だけを売上にしていると、売上も源泉徴収税額も少なくなるため注意しましょう。

3. 自宅兼事務所などの家事按分

自宅の家賃・光熱費・通信費、私用でも使うパソコンなどは、業務に使った部分を合理的な基準で区分して経費にします。面積や使用時間など、割合の根拠を説明できるようにしておきます。考え方は個人事業主の経費はどこまで?家事関連費の按分で解説しています。

4. 青色申告特別控除の要件

青色申告特別控除の金額は、青色申告特別控除の金額は、複式簿記での記帳、貸借対照表の添付、期限内の申告、e-Taxでの申告や優良な電子帳簿の保存など、要件によって変わります(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)。。要件を満たしていない控除額で申告していないかを確認しましょう。詳しくは青色申告特別控除の要件と期限後申告をご覧ください。

5. 消費税とインボイス

前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合や、インボイスの登録をしている場合などは、消費税の申告が必要です(国税庁「No.6501」)。登録後の申告漏れがないか確認してください。インボイス登録後の無申告も参考になります。

税務調査の前に準備しておきたい資料

  • 確定申告書・青色申告決算書(収支内訳書)の控え
  • 帳簿(会計ソフトのデータ)
  • 請求書・契約書・発注書、取引先から届いた支払調書
  • 経費の領収書・請求書、電子取引のデータ
  • 事業用・私用の預金通帳とクレジットカードの明細
  • 家事按分の根拠(間取り図、使用時間の記録など)

帳簿書類の保存期間は帳簿・領収書は何年保存する?、調査前の確認項目は税務調査の事前準備チェックリストで確認できます。

指摘を受けたとき・誤りに気づいたとき

調査で誤りを指摘された場合は、指摘の内容と金額の計算根拠を確認してから、修正申告に応じるかを判断します。納得できない点がある場合の進め方は、税務調査の結果に納得できないときは?で解説しています。所得税を修正すると、住民税のほか、業種や加入状況によって個人事業税・国民健康保険料にも影響することがあります(所得税を修正申告したら?)。

調査の通知を受ける前に自分で誤りに気づいた場合は、自主的に修正申告をすることで、加算税の扱いが変わることがあります(国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」)。

まとめ:日々の記帳と、請求書・通帳の照合が準備の基本

  • 税務調査は事前通知→調査→終了の流れで進み、修正申告の勧奨に応じるかは納税者が判断します。
  • 売上は、請負なら納品日・役務完了日の年分に計上し(月額契約など期間に応じて報酬を受ける契約は期間ごとに計上)、源泉徴収前の金額で集計します。
  • 家事按分は根拠を示せるようにし、青色申告特別控除と消費税の要件も確認します。

この記事は一般的な情報であり、個別の取引の判断を確定するものではありません。調査の連絡を受けて不安がある場合は、申告書の控えと帳簿・請求書をそろえて税理士に相談してください。

当事務所の対応内容は、税務調査サポートのご案内をご覧ください。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

税務・申告に関するご相談を承ります。

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