管理組合が収益事業を始めるときの届出|収益事業開始届出書・申告期限・法人番号・法人住民税

管理組合が収益事業を始めるときの届出|収益事業開始届出書・申告期限・法人番号・法人住民税

横浜市でマンション管理組合の税務サポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「駐車場の外部貸しを始めることになったが、税務署に何を出せばよいのか」「法人番号は管理組合にもあるのか」「申告の期限は総会の前か後か」「法人住民税も申告するのか」――収益事業に当たる収入があると分かった管理組合の理事長・会計担当の方が、最初に直面するのが届出と申告の手続きです。手続き自体は定型的ですが、国(税務署)・都道府県・市の3か所に別々の届出が必要で、申告期限が総会の時期と重なりやすいという管理組合特有の事情があります。

この記事では、収益事業開始届出書(税務署・2か月以内)と添付書類、法人番号の指定と都道府県・市への届出、申告期限と申告書の種類、納税の方法と均等割の扱い、毎年の流れと担当交代時の引き継ぎ資料を、横浜市内の管理組合を例に解説します。本記事は2026年11月6日時点の法人税法・地方税法・各自治体の案内に基づいています。どの収入が収益事業に当たるかは「管理組合に法人税の申告が必要になる収入とは?」、所得の計算は「管理組合の収益事業の所得計算」で解説しています。

収益事業開始届出書税務署・開始日から2か月以内

法人化していない管理組合(人格のない社団等)や管理組合法人(法人税法上は公益法人等とみなされます)が新たに収益事業を開始したときは、収益事業を開始した日以後2か月以内に、納税地の所轄税務署長へ「収益事業開始届出書」を提出します(法人税法150条、法人税法施行規則65条)。納税地は管理組合の主たる事務所の所在地、通常はマンションの所在地です。横浜市内であれば、所在する区を管轄する税務署(横浜中・横浜南・神奈川・保土ケ谷・鶴見・緑・戸塚など)が提出先になります。

収益事業を始めたときの届出の流れ

法人化していない管理組合が外部貸しを始めた場合の、届出から最初の申告までの順番です。

開始日を確認する外部の相手に共用部分を使わせ始めた日が開始日です。駐車場なら外部契約者の利用開始日で、入金日ではありません。
税務署へ開始届を提出開始日以後2か月以内に収益事業開始届出書を提出します。開始時の貸借対照表と規約の写しを添えます。
青色申告の承認申請開始日以後3か月と事業年度末の早い日の前日が期限です。開始届と同時に提出するのが安全です。
法人番号の指定を受ける届出をきっかけに法人番号が指定され、代表者宛てに通知書が届きます。理事長の引き継ぎ書類に保管します。
県・市へ設立・開設の届出法人事業税・法人住民税のため、県税事務所と市にも届け出ます。横浜市内なら県・市とも2か月以内です。
事業年度末から2か月で申告総会が間に合わないときは、事業年度終了日までに申告期限の延長の特例を国・県・市に申請します。
届出の遅れ自体に加算税のような罰則はありません。気づいた時点で提出し、申告は期限内に行います。
出典:法人税法150条・122条2項、国税庁「C1-6 公益法人等又は人格のない社団等の収益事業開始等の届出」。本文の説明を図にまとめたものです。
  • 開始日の考え方:契約に基づいて外部の相手に共用部分を使わせ始めた日(駐車場なら外部契約者の利用開始日、基地局なら設置・賃貸借の開始日)です。収入の入金日ではありません。
  • 法令上の添付書類:①収益事業開始時の収益事業に係る貸借対照表、②規約(定款・規則)の写し。管理組合では管理規約と使用細則の写しを添えます。
  • 実務上添えておくとよいもの:収益事業の概要(収入の種類・相手・契約期間)、外部貸付を決めた総会・理事会の議事録、当年度の収支予算書。届出書の「収益事業の種類」欄には「不動産貸付業」「駐車場業」などの業種名を記載します。
  • 開始時の貸借対照表:収益事業に属させる資産(専用の預金口座があればその残高、収益事業用の設備)と負債を記載し、差額を元入金とします。開始時点で資産を区分していなければ、元入金ゼロの貸借対照表になることもあります。

過去に収益事業を始めていたのに届出をしていなかった場合も、気づいた時点で提出します。届出の遅れ自体に加算税のような罰則はなく、問題になるのは申告をしていないことのほうです。過去分の申告が必要な場合の進め方は「過去に申告していなかった管理組合はどうする?」で解説します。

あわせて検討したいのが青色申告の承認申請です。新たに収益事業を開始した人格のない社団等・公益法人等は、収益事業開始の日以後3か月を経過した日と、その事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を提出すると、初年度から青色申告ができます(法人税法122条2項)。青色申告にすると、収益事業の赤字(欠損金)を翌年度以降10年間繰り越せるほか、30万円未満の設備を一時に経費にできる特例などが使えます。期限が開始届より短いので、開始届と同時に提出するのが安全です。

(仮定例)10月1日から駐車場の外部貸しを始めた場合

(仮定例)4月〜3月を会計年度とする法人化していない管理組合が、総会の決議を経て、10月1日から駐車場の空き区画を外部の人に貸し始めたとします。収益事業開始届出書は開始日以後2か月以内に提出するため、提出期限は11月30日です。青色申告の承認申請書もこのとき一緒に提出します。

あわせて、神奈川県の県税事務所と横浜市にも設立・開設の届出をします。税務署への届出をきっかけに法人番号が指定されるので、通知書は理事長の引き継ぎ書類に保管します。最初の申告は翌年3月31日に終わる事業年度分で、5月の総会で決算を承認する場合は、申告期限の延長の特例も早めに検討します。実際の事例ではありません。

出典:国税庁「C1-6 公益法人等又は人格のない社団等の収益事業開始等の届出」

法人番号の指定と都道府県・市への届出

法人番号は、登記のある管理組合法人には設立時に指定されています。法人化していない管理組合(人格のない社団等)には自動的には付かず、収益事業開始届出書など国税・地方税に関する届出書を税務署に提出すると、国税庁長官から法人番号が指定され、代表者宛てに通知書が届きます(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律39条1項)。その後の申告書・納付書・地方税の届出にはこの法人番号を記載します。人格のない社団等の名称・所在地・法人番号は、本人の同意がない限り国税庁の法人番号公表サイトには公表されません。公表を希望する場合は同意書を提出します。

法人税の届出は税務署だけで完結し、都道府県・市には連携されません。収益事業を行う管理組合は法人事業税・法人県民税(都道府県)と法人市民税(市)の申告義務も生じるため、それぞれに届出が必要です。横浜市内の管理組合の場合は次のとおりです(2026年11月6日時点の各自治体の案内による)。

提出先書類期限添付書類
所轄税務署(国)収益事業開始届出書/青色申告の承認申請書開始日以後2か月以内/開始日以後3か月と事業年度末の早い日の前日開始時の貸借対照表、規約の写し
神奈川県(所管の県税事務所)法人設立・開設届出書事業を開始した日から2か月以内規約の写し(管理組合法人は登記事項証明書も)
横浜市(法人課税課)法人設立・開設届出書(県と共通の様式)設立・開設の日以後2か月以内規約の写し(管理組合法人は登記事項証明書も)

届出書の様式は県・市で共通化されているものが多く、神奈川県の様式は市町村提出分を含む複写式になっています。横浜市以外の自治体では期限や提出先が異なるため、マンションの所在する県・市の案内を確認してください。eLTAX(地方税ポータルシステム)を利用すれば、県と市への届出を電子で提出できます。

申告期限と申告書の種類・延長の特例

法人税・地方税の申告期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。管理組合の事業年度は、規約に定めた会計年度(4月1日〜3月31日など)がそのまま法人税の事業年度になります(法人税法13条)。3月決算なら5月31日が申告・納付の期限です。

ここで問題になるのが総会の時期です。法人税の確定申告は確定した決算に基づいて行うため、管理組合では総会で収支決算が承認されてから申告するのが自然ですが、標準管理規約に沿った規約では通常総会は会計年度開始後2か月以内に開けばよいことになっており、総会が5月下旬になると申告期限と重なります。この場合は、申告期限の延長の特例を使います。規約の定めにより決算が事業年度終了後2か月以内に確定しないことが常況であれば、「申告期限の延長の特例の申請書」を事業年度終了日までに税務署へ提出し、申告期限を1か月延長できます(法人税法75条の2)。都道府県には法人事業税の申告期限の延長の承認申請書を、市には延長を受けた旨の届出を別に提出します(横浜市は異動届出書に税務署への申請書の写しを添付)。延長した期間には利子税(地方税は延滞金)がかかるため、本来の期限(3月決算なら5月31日)までに見込額を納付(見込納付)し、延長期間に対する利子税・延滞金が生じないようにします。

申告書の主なものは次のとおりです。管理組合法人も法人化していない管理組合も、申告書の様式は普通法人と同じものを使い、収益事業に係る部分だけを記載します。

区分書類内容
法人税(税務署)別表一・次葉、別表二、別表四、別表五(一)(二)、必要に応じて別表七(一)(欠損金)、別表十五(寄附金)、別表十六(減価償却)所得金額と税額の計算。地方法人税も別表一で同時に申告します。
添付書類収益事業に係る貸借対照表・損益計算書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書公益法人等とみなされる管理組合法人では、収益事業以外の事業に係る貸借対照表・損益計算書の添付も求められる場合があります。総会資料の収支決算書を添えておくと説明がしやすくなります。
法人事業税・法人県民税(県税事務所)第六号様式ほか所得に対する事業税・特別法人事業税と、法人税額に対する県民税法人税割・均等割。
法人市民税(市)第二十号様式ほか法人税額に対する市民税法人税割と均等割。

法人税の申告はe-Tax、地方税の申告はeLTAXで電子提出できます。法人化していない管理組合も、法人番号の指定を受けたうえで利用者識別番号を取得すれば利用できます。なお、普通法人に義務付けられている中間申告(予定申告)は、人格のない社団等・公益法人等には義務がありません。前年度の税額が大きくても、年1回の確定申告だけで足ります。消費税については、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合に「消費税課税事業者届出書」を提出し、消費税の申告が加わります。

納税の方法と均等割の扱い

納付期限は申告期限と同じ、事業年度終了後2か月以内です。法人税・地方法人税は、税務署から送られる(またはe-Taxで作成する)納付書で金融機関・税務署窓口から納付するほか、e-Taxからのダイレクト納付(事前に口座を登録)、インターネットバンキング(ペイジー)、クレジットカード納付(決済手数料あり)が使えます。地方税は、eLTAXの共通納税か、県・市の納付書で金融機関から納付します。管理組合の口座は理事長名義や管理会社の保管口座になっていることが多いので、どの口座から納付し、収支決算書にどう記載するかを事前に決めておきます。

法人住民税には、法人税額に比例する「法人税割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」があります。管理組合法人は、地方税法上、収益事業を行わない限り法人住民税が課されませんが、収益事業を行うと均等割と法人税割の両方が課されます。法人化していない管理組合も、収益事業を行う人格のない社団等として同じ扱いです。均等割は最低区分で、神奈川県が年2万円、横浜市が年5万円に横浜みどり税(均等割額の9%)を加えた金額で、県・市合わせて年7万円台になります(2026年11月6日時点)。所得がゼロでも赤字でも、収益事業を行っている事業年度には均等割がかかります。事業年度の途中で収益事業を始めた・やめた場合は、月割りで計算します。収益事業をやめたときは、税務署に「収益事業廃止届出書」、県・市に異動の届出を提出すると、以後の均等割はかかりません。

毎年の流れと担当交代時の引き継ぎ資料

3月決算(4月〜3月の会計年度)で、申告期限の延長の特例を受けている管理組合の年間の流れを例示します。

時期すること担当の目安
3月(期末前)外部契約の更新・解約の確認、翌年度の収益事業収入の見込み、配分基準の確認理事会・管理会社
4月決算整理(未収・前受の整理)、共通費の配分表の作成、収益事業会計の損益計算書・貸借対照表の作成会計担当・管理会社・税理士
5月総会で収支決算の承認。5月31日までに法人税・地方税の見込納付(延長を受けている場合)理事長・会計担当
6月6月30日までに法人税・地方税の確定申告(延長を受けていない場合は5月31日まで)、差額の納付税理士・会計担当
随時新しい外部契約を結ぶとき:収益事業の範囲の変化を確認。理事交代時:引き継ぎ資料の更新理事会

管理組合は理事が1〜2年で交代するため、申告を続けるには「次の担当者が同じことをできる資料」を残すことが最も重要です。次の資料をひとまとめにして、理事長の引き継ぎ書類に含めてください。

  • 届出書の控え:収益事業開始届出書、青色申告の承認申請書、申告期限の延長の特例の申請書(国・県・市)。
  • 法人番号の通知書と、e-Tax・eLTAXの利用者識別番号・利用者ID(パスワードは別管理)。
  • 申告書の控え(直近3〜5年分)と納付書の控え。別表五(一)は翌年度の申告の出発点になります。
  • 共通費の配分表と配分基準の説明、収益事業会計の帳簿・元入金の記録。
  • 外部契約の契約書と、収益事業の範囲を判定した根拠(議事録、参照した国税庁の事例)。
  • 税理士・管理会社の担当者連絡先と、誰がどこまで担うかの分担表。

当事務所のマンション管理組合の税務サポートでは、初年度の届出一式の作成から毎年の申告まで、顧問契約なしのスポットで対応しています。理事が交代しても申告の継続性が保てるよう、引き継ぎ資料の整備もあわせてご案内しています。

「管理組合の収益事業の届出・申告」に関するよくある質問

A.届出の遅れそのものに加算税などの金銭的な罰則はありません。気づいた時点で速やかに提出してください。注意が必要なのは申告のほうで、申告期限を過ぎると無申告加算税・延滞税の対象になります。届出が遅れていても、申告期限内に申告・納付をしていれば税額への影響はありません。

A.必要です。管理組合法人は法人税法上の公益法人等とみなされ、収益事業を開始したときに収益事業開始届出書を提出する義務があります。設立時の届出とは別の手続きです。県・市についても、設立時に届出済みであれば、収益事業の開始を異動の届出で知らせます。自治体によって様式が異なるため、所管の県税事務所と市に確認してください。

A.申告期限の延長の特例を申請します。規約の定めにより総会が事業年度終了後2か月以内に開かれないことが常況であれば、事業年度終了日までに申請書を税務署へ提出し、申告期限を1か月延長できます。県・市にも別に申請・届出が必要です。延長した期間には利子税(地方税は延滞金)がかかるので、5月31日までに見込額を納付し、6月30日までに確定申告をして差額を精算します。初年度に申請を忘れた場合は、その年度は申告期限までに総会(臨時総会を含む)で決算の承認を受けて申告するか、期限後申告の扱いになるため、早めに税理士へ相談してください。

A.法人化していない管理組合(人格のない社団等)の名称・所在地・法人番号は、同意がなければ国税庁の法人番号公表サイトには公表されません。公表を希望する場合は公表同意書を提出します。登記のある管理組合法人は、他の登記法人と同様に公表されています。公表の有無は税務上の義務には影響しないため、理事会で方針を決めてください。

「管理組合が収益事業を始めるときの届出」まとめ

  • 収益事業開始届出書は開始日以後2か月以内に所轄税務署へ。添付は開始時の貸借対照表と規約の写し。青色申告の承認申請は開始日以後3か月と事業年度末の早い日の前日までなので同時に提出する
  • 法人化していない管理組合は届出書の提出で法人番号が指定される。県(県税事務所)と市にも別に設立・開設の届出が必要(横浜市内なら県・市とも2か月以内)
  • 申告期限は事業年度終了後2か月以内。総会が間に合わないときは申告期限の延長の特例(1か月)を国・県・市に申請し、本来の期限までに見込納付する
  • 申告書の様式は普通法人と同じ。中間申告は不要。法人住民税の均等割(横浜市内なら県・市で年7万円台)は所得ゼロでもかかり、廃止届で止まる
  • 届出控え・法人番号通知・申告書控え・配分表・契約書・ID類を一式にして、理事長の引き継ぎ書類に含める

管理組合の収益事業の届出と初年度の申告は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。

「届出一式をまとめて作ってほしい」「総会の時期に合わせた申告スケジュールを組みたい」「理事が交代しても続けられる体制にしたい」など、お気軽にご相談ください。横浜市内のマンション管理組合を中心に、代表税理士が直接対応します。顧問契約は不要で、届出・申告だけのスポット対応も可能です。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

税務・申告に関するご相談を承ります。

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どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、税務・申告についてサポートします。
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