税務署から電話が来たら?理由の見分け方・言ってはいけない3つの言葉・正しい対応【税理士解説】

「税務署から電話がきた…」

このフレーズを聞いただけで、背筋が凍るような感覚を覚えた経験はありませんか?あるいは、なにげなく郵便ポストを開けたら、差出人が「税務署」の通知書が…なんてこともあるでしょう。

いずれにせよ「ヤバい…何かやらかしたかな」という心理状態になることは間違いありません笑

でも実は、この「税務署からの連絡」という局面、対応次第で結果が大きく変わってくるんですよね。下手に出すぎるのもダメだし、強気に出るのも危険。「何を言うか・言わないか」が超重要なタイミングなんです。

税務署とのやり取りでは、「焦って余計なことを言ってしまった」「聞かれてもいない推測や心当たりまで話してしまった」という失敗が起こりがちです。

正直、ほとんどの人は税務署と話す訓練を受けていません。それは当然です。だからこそ、いざという時の「NGワード」を知っておくことが、あなたの財産と心の平和を守る鍵になるんです。

今回は、税務署からの電話や通知を受けた際に絶対に言ってはいけない3つのフレーズと、その代わりに何を言うべきかをお伝えします。さらに、連絡の理由が「申告忘れ」だった場合に備えて、「期限後申告」のペナルティの計算方法や、自主申告のメリットも解説します。これさえ読めば、税務署からの連絡にも冷静に対応できるようになりますよ。

税務署から電話が来る主な理由と見分け方

税務署からの電話には、いくつかの典型的な理由があります。まず「何についての連絡か」を確認し、それが行政指導なのか税務調査なのかを見分けることが、落ち着いて対応するための第一歩です。

国税庁の説明では、税務調査は、特定の納税者の所得や税額などを認定する目的で質問検査等を行い、申告内容を確認するものです。これに対して行政指導は、申告書の計算誤りや記載漏れなどが疑われるときに、自発的な見直しや、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を求めるものです。担当者は、具体的な手続に入る前に、調査と行政指導のどちらに当たるのかを明示することとされています。

① 申告内容についての問い合わせ・「お尋ね」(行政指導)

  • 何を聞かれるか:提出した申告書に計算誤り・転記誤り・記載漏れや、税法の適用誤りがないかの確認です。電話のほか、文書(いわゆる「お尋ね」)で確認を求められることもあります。必要に応じて、修正申告書などの自発的な提出を求められます。
  • どう対応するか:申告書の控えや帳簿・領収書で該当箇所を確認し、誤りがあれば修正申告などで自主的に直します。行政指導に応じて自主的に修正申告をした場合、延滞税がかかることはありますが、過少申告加算税はかかりません。誤りがないと考える場合は、根拠となる資料をもとに説明しましょう。

② 税務調査の事前通知

  • 何を聞かれるか:自宅や事業所に来る実地調査の前には、原則として事前通知があります。事前通知は原則として電話により口頭で行われ、実地調査を行う旨、調査開始の日時・場所、対象となる税目・期間、調査の目的などが伝えられます。
  • どう対応するか:伝えられた内容をメモし、日程は資料の準備状況や税理士の都合を確認してから回答します。事前通知の際には都合を尋ねられることになっており、通知を受けた後も、合理的な理由があれば日程の変更を相談できます。調査の連絡を受けたら、早めに税理士に相談しましょう。

③ 無申告の照会

  • 何を聞かれるか:申告書が提出されていない場合に、申告義務があるかを確認するため、事業活動の有無などを聞かれ、必要に応じて申告書の自発的な提出を求められます。国税庁の通達では、このような要請は「調査」に当たらない行為とされています。
  • どう対応するか:収入があったのか、申告が必要だったのかを資料で確認し、必要であれば1日でも早く期限後申告をします。確認していないのに「収入はありません」と答えるのは避けましょう。期限後申告の手続とペナルティは第3章・第4章で解説しています。

④ 納付の督促・催告

  • 何を聞かれるか:納期限までに税金が納付されていない場合に、納付を求める電話や文書が届きます。国税局の「集中電話催告センター室(納税コールセンター)」が、税務署に代わって電話や文書で催告することもあります。
  • どう対応するか:すでに納付している場合は、納付日と納付方法を伝えます。未納であれば、延滞税が増えないよう早めに納付しましょう。一度に納付するのが難しい場合は、放置せずに相談してください(納税の猶予などは第5章で紹介しています)。なお、国税庁は、納付のためにATMの操作や指定口座への振込みを求めることはないとしています。

⑤ 提出書類の不備の確認

  • 何を聞かれるか:申告書に添付すべき書類(控除を受けるための証明書など)が付いていない場合に、その書類の提出を求められます。添付書類の自発的な提出を求めることも、「調査」に当たらない行為とされています。
  • どう対応するか:どの書類が足りないのか、いつまでに提出すればよいかを確認して提出します。手元にない場合は再発行の手続などを確認し、提出の見込みを担当者に伝えましょう。

どれに当たるか分からないときは、「今回のご連絡は税務調査でしょうか、それとも行政指導でしょうか」と確認しましょう。行政指導と税務調査の違いや、それぞれの対応の注意点は「行政指導と税務調査の違い」で詳しく解説しています。

出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2・問12・問16・問20、国税庁「国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達」1-2、国税庁「集中電話催告センター室(納税コールセンター)のご案内」

国税局から電話が来た場合

税務署ではなく「国税局」から電話が来ることもあります。国税局は、税務署を指導・監督するとともに、自らも大法人などの税務調査、悪質な脱税に対する査察調査、大口の滞納整理などを行う機関です。課税部(資料調査課など)、査察部、徴収部といった部署があり、税務署の管轄を越える広い地域の事務を担うこともあります。

  • 税務署との違い:連絡してくるのが国税局の職員でも、まず「調査か行政指導か」「調査なら税目・期間・目的は何か」を確認する点は税務署の場合と同じです。用件を確認しないまま、推測で詳しく説明することは避けましょう。
  • 査察部:悪質な脱税者を検察当局に告発するための査察調査を担当する部署です。一方で、国税庁の注意喚起には、「国税局査察部です。税金の未納があります」と切り出して住所・氏名・口座番号などを聞き出そうとする不審な電話の例も紹介されています。部署名を名乗られただけで本物と判断しないことが大切です。
  • 納付の催告:前述のとおり、国税局の納税コールセンターが税務署に代わって納付の催告をすることがあります。

国税局を名乗る電話を受けたら、その場で即答せず、まず相手の部署名・氏名・折り返し先の電話番号を確認して、いったん電話を切りましょう。そのうえで、相手が伝えた番号ではなく、国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」で調べた国税局・税務署の代表番号にかけ直し、最寄りの税務署の総務課か国税局の納税者支援調整官に、本当にその連絡があったのかを確かめると安心です。

出典:国税庁「国税庁の機構」、国税庁「国税庁をかたった偽メールにご注意ください」(不審な電話の事例)

1. 税務署からの連絡:電話と通知への心構え

税務署から連絡が来る理由は様々です。確定申告書の内容確認、添付書類の不足、申告書の提出や納税の確認・催促、そして税務調査の日程調整(事前通知)などが考えられます。取引先の調査(反面調査)に関連して連絡が来ることもあります。

連絡手段としては、電話や封書、ハガキなどが用いられます。突然の連絡に驚くかもしれませんが、まずは落ち着いて対応することが大切です。

税務署から電話が来たときの初動

電話を受けたときの基本を、対応の順にまとめました。

相手の所属・氏名を確認所属(税務署名・部署名)、氏名、連絡先を確認します。不審なときは国税庁HPで調べた番号にかけ直します。
調査か行政指導かを確認税務調査か行政指導かを確認します。調査なら対象の税目・期間と調査の目的も聞きます。
話した内容をメモする相手の情報、連絡日時、用件、話した内容を記録し、後の確認や税理士への相談に役立てます。
即答せず折り返す分からない点や日程は「記録を確認して改めて回答します」と伝え、準備や立ち会いの都合を確認します。
税理士に相談する調査の連絡や複雑な質問は、税理士に確認したうえで回答します。立ち会いを頼む場合は日程も相談します。
連絡を無視・放置せず、留守番電話には折り返し、書面は内容を確認しましょう。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2、「不審な照会文書等への注意」。本文の説明を図にまとめたものです。

最初に確認したいのは「税務調査」か「行政指導」か

申告内容の見直し・確認に関する連絡では、「税務調査」か「行政指導」かを確認します。税務署からのすべての連絡が、この二つだけに分かれるという意味ではありません。

  • 行政指導:申告書の記載漏れの確認や、「申告内容を見直して、必要なら修正申告をしてください」といった要請です。行政指導に応じて自主的に修正申告をした場合、延滞税はかかる場合がありますが、過少申告加算税はかかりません(期限後申告の場合、無申告加算税は原則5%)。
  • 税務調査:実地調査の場合は原則として事前通知があり、調査の開始日時・場所、対象となる税目・期間、調査の目的などが伝えられます。

どちらに当たるかで、修正申告や期限後申告をしたときの加算税の取扱いが異なります。無申告加算税は第4章、修正申告の過少申告加算税は第5章で説明します。不明であれば「これは税務調査ですか、それとも行政指導ですか?」と確認しましょう。出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2

なお、税理士が税務代理権限証書を提出している場合、事前通知は税理士にも届きます(納税者の同意があれば、税理士への通知だけで済ませることもできます)。

電話を受けたときの基本

  • 相手の確認:最初に、相手の所属(税務署名・部署名)と氏名、連絡先を確認しましょう。
  • 用件の確認:何のための連絡なのかを確認します。税務調査であれば、対象の税目・期間と調査の目的も確認しておきましょう。
  • メモを取る:相手の情報、連絡日時、用件、話した内容などを記録しておくと、後で確認したり税理士に相談したりする際に役立ちます。
  • 詐欺に注意:税務署職員を名乗る詐欺も存在します。国税庁は、還付金の受取りや納付のためにATMの操作を求めたり、納付のために口座への振込を求めたり、アンケート等と称して電話したりすることはないと注意を呼びかけています。AI・自動音声の電話で納付を求めることもありません。口座番号や暗証番号を聞き出そうとする手口にも要注意です。不審に思ったら即答せずにいったん電話を切り、国税庁ホームページで調べた税務署の電話番号にかけ直して確認しましょう。
  • 無視はしない:連絡を無視したり放置したりするのは最悪の対応です。税務署の不信感を高め、状況を悪化させる可能性があります。留守番電話にメッセージがあれば必ず折り返し、書面が届けば内容を確認し、必要であれば対応しましょう。

届いた書類でまず確認すること

書類と封筒を一緒に保管し、差出元、表題、対象税目・年分、求められる対応、記載された期限を確認しましょう。不審なときは、文書記載の連絡先だけでなく、国税庁公式案内で調べた窓口へ確認してください。回答・申告・納付・不服申立ての期限は別です。開封日から期限を数えればよいと考えず、内容や期限が分からないときは書類を手元に置いて相談しましょう。

出典:国税庁「不審な照会文書等への注意」

2. 税務署からの電話・通知で絶対に言ってはいけない「禁断の3フレーズ」

ここでは、未確認の推測を断定すること、準備や立ち会いの都合を確認せず日程を即答すること、事実と違う説明をすることについて、確認すべき点を整理します。

禁断フレーズ1:「その入金は売上ではありません」(未確認のまま断定する)

税務署から申告内容について確認を求められたとき、帳簿や資料を見ていないのに「その入金は売上ではありません」と決めつけて説明してしまうのは避けましょう。問題なのは用件を質問することではなく、未確認の内容を事実として断定することです。

なぜ地雷なのか?

  • 未確認の内容を事実として説明しない:取引や経費の内容を資料で確認せずに断定すると、後で記録と食い違うことがあります。確認できた事実を伏せるという意味ではありません。
  • 確認できている範囲を伝える:記憶だけでは分からない点は、その旨を伝えて資料を確認しましょう。後で誤りに気づいた場合は、速やかに訂正します。

代わりに何を言うべきか

  • 申告内容の見直し・確認に関する連絡なら、「これは税務調査でしょうか。それとも行政指導でしょうか」と確認。
  • 調査の場合は「対象の税目と期間、調査の目的を教えてください」と確認。これらは事前通知で伝えられる事項なので、聞いて問題ありません。
  • その場で回答できない場合は、「記録を確認して、改めて回答します」と伝え、回答の時期も相談しましょう。必要に応じて税理士に相談します。
  • 心当たりについても、確認済みの事実と未確認の推測を分け、記録を確認して正確に回答しましょう。

禁断フレーズ2:「はい、明日で大丈夫です」(準備や予定を確認せず即答する)

税務署から調査の日程について連絡があったとき、「早く終わらせたい」と、資料の準備状況や税理士の予定を確認しないまま「明日で大丈夫です」と約束してしまうことがあります。

必要な準備や立ち会いの都合を確認してから、日程を相談しましょう。

なぜ地雷なのか?

  • 必要な資料をそろえられないおそれ:対象期間の帳簿、領収書、通帳などの準備状況を確認せず日程を決めると、必要な資料を当日までに用意できないおそれがあります。対象期間や求められる資料を担当者に確認しましょう。
  • 税理士の予定を確認できない:立ち会いを依頼する場合、税理士の予定を確認せずに約束すると、希望する日に立ち会いを受けられないことがあります。

代わりに何を言うべきか

  • 「日程については確認の上、改めてこちらからご連絡させていただけますか?」と即答を避ける。
  • 準備や立ち会いの都合は担当者に伝えて相談しましょう。合理的な理由がある場合の日程変更は、個々の事情に基づいて判断されます。ただし、日程変更だけで加算税が軽くなるわけではありません。
  • 申告の誤りが見つかった場合は、通知の内容やこれまでのやり取りを確認し、正しい申告に向けて速やかに対応してください。日時が未定でも調査通知が済む場合があり、加算税の判定に関係します。

申告の誤りは速やかに確認する:過少申告加算税と無申告加算税は別の制度です。調査通知後でも、更正・決定を予知する前かどうか等で取扱いが異なります。「具体的な指摘前」「実地調査開始前」だけでは判定できません。日程を遅らせること自体が加算税の軽減条件になるわけではありません。

出典:国税庁「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等」第2章2

出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)」問24

禁断フレーズ3:未確認の「大丈夫です」や事実と違う「ありません」

本当に記憶がない場合と、事実を知りながら虚偽の回答をする場合は異なります。分からないことは分からないと伝え、記録を確認して回答しましょう。未確認の推測を断定したり、事実と違う説明をしたりしないことが大切です。

記憶が曖昧であることだけで、直ちに虚偽答弁や重加算税の対象になるという意味ではありません。

なぜ地雷なのか?

  • 確認せずに「大丈夫です」と答えない:確認していない事項まで問題がないと答えると、何を確認済みなのかが伝わりません。確認できた事実と、まだ確認が必要な点を分けて伝えましょう。
  • 虚偽の説明をしない:重加算税は隠蔽・仮装等の要件に基づいて判断されます。申告所得税等の事務運営指針は、具体的事実への虚偽答弁等とその他の事実関係を総合し、申告時の隠蔽・仮装が合理的に推認できる場合を挙げています。記憶がないことと同一には扱いません。
  • 確認が必要な点を明確にする:答えられない事項は、何を確認すれば回答できるかを整理し、担当者に伝えましょう。
  • 法的リスク:通常の税務調査は「任意調査」と呼ばれますが、調査官が質問検査権に基づいて行う質問に答えなかったり、偽りの答弁をしたりすると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になり得ます(国税通則法128条)。うっかりした言い間違いや記憶違いがすぐに罰則の対象になるわけではありませんが、気づいたら早めに訂正しましょう。

代わりに何を言うべきか

  • 正直に答える:事実を伝える。誤りがあれば認める。これが鉄則です。
  • 分からないことは分からないと伝える:すぐに答えられない場合は「記録を確認して後日回答します」と時間をもらう。
  • 複雑な内容は税理士に相談する:すぐに回答できない場合は、確認が必要な点を伝え、税理士に相談したうえで回答します。
  • 推測と事実を分ける:未確認の内容を事実として断定せず、確認できている範囲と確認が必要な点を伝えましょう。

回答の誤りに気づいた場合は、どの事実が違っていたかを確認し、早めに訂正しましょう。出典:国税庁「申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の取扱いについて」第1・1(8)

そのまま使える!税務署からの電話への返答例

いざ電話が鳴ると、頭が真っ白になるものです。手元に置いておけるよう、使えるフレーズをまとめておきます。

こんなときこう返す
相手が本物か不安「お名前と部署、連絡先を伺えますか。こちらから税務署にかけ直します。」
申告内容の見直し・確認の連絡を受けた「今回の申告内容の確認は、税務調査でしょうか。それとも行政指導でしょうか。」
調査だと言われた「対象の税目と期間、調査の目的を教えていただけますか。」
日程を聞かれた「税理士と日程を確認して、こちらから折り返しご連絡します。」
すぐに答えられない質問をされた「記録を確認して、後日回答します。」
複雑な内容を聞かれた「税理士に確認したうえで回答します。」

3. 連絡の理由が「申告忘れ」なら:そもそも「期限後申告」って何?

「確定申告、忘れてた…」 「期限、とっくに過ぎてた…」

こんな経験、ありませんか?

確定申告には期限があって、所得税なら原則として毎年2月16日〜3月15日まで(土日祝日にあたる場合は翌平日まで)。この期限を過ぎてからの申告を「期限後申告」と呼びます。税務署からの連絡(申告のお尋ねや申告の案内など)が、この期限後申告に関するものであることも少なくありません。

期限後申告の手続き:意外と簡単

期限後申告は難しそうに聞こえますが、やることは普通の確定申告とほぼ同じです。特別な書類も不要。

ただ「遅れました、すみません🙇‍♂️」という気持ちで普通に申告書を出すだけ。

  • 申告方法:通常の確定申告書(第一表、第二表など)に必要な情報を記入して提出します。期限後申告専用の様式はありません。なお、すでに提出した申告の内容を直す場合は、税額が少なすぎたなら「修正申告」、多すぎた(還付が少なかった)なら「更正の請求」という手続きになります。
  • 提出場所:納税地を管轄する税務署に提出します。郵送や時間外収受箱への投函、あるいはe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用した電子申告も可能です。e-Taxを利用すれば、税務署の閉庁後でも提出できます。
  • 必要書類:基本的に通常の確定申告と同じです。確定申告書、青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)、源泉徴収票、控除を受けるための証明書類(保険料控除証明書など)、マイナンバーカードなどの本人確認書類を用意し、収入や経費の根拠となる領収書や帳簿類も手元に整理しておきます。
  • 過去の申告:対象年分と、申告・更正・決定の状況を確認してください。期限後申告、修正申告、更正の請求と、税務署が更正・決定できる期間制限は別です。更正の請求は原則として法定申告期限から5年以内ですが、他の手続も一律に5年までと考えず、個別に確認しましょう。

出典:国税通則法第18条・第19条・第23条・第70条

出典:国税庁「申告に誤りがあった場合」

期限に遅れたことに気づいたら、1日でも早く申告することが重要です。放置すればするほど、次に説明するペナルティが重くなる可能性があります。

4. 申告が遅れると発生する「3つの痛い罰」と、最も重い重加算税

よく「申告が遅れてもペナルティなんてたいしたことないでしょ?」と思っている人がいますが、これが大間違い。

ペナルティは思った以上に重くなることがあります。本税が大きいほど、また申告・納付が遅れるほど、加算税や延滞税の額も大きくなります。あなたの大切なお金が国庫に吸い込まれていくイメージですね…😱

では、期限後申告で発生する3つのペナルティと、悪質な場合に無申告加算税などに代えて課される重加算税を、順番に見ていきましょう。

罰1 無申告加算税:自主申告なら大幅に軽くなる

無申告加算税は、期限内に申告しなかった場合に課される加算税です。調査通知前の自主的な申告、通知後で調査による決定を予知する前の申告、決定を予知して行う申告・税務署の決定で区分されます。次表は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する所得税(令和5年分以後)の通常の割合です。

申告のタイミング50万円以下の部分50万円超300万円以下の部分300万円超の部分
調査通知前の自主的な申告5%5%5%
調査通知後で、調査による決定を予知する前に申告10%15%25%
調査による決定を予知して行う申告・税務署の決定15%20%30%

調査通知前に自主的に期限後申告した場合の無申告加算税は原則5%です。ただし、不適用・加重等の条件は別に確認します。行政指導に応じる場合も、連絡の種類と申告までの経緯を確認してください。「具体的な指摘前」「実地調査開始前」というだけで5%になるわけではありません。

なお、令和4年分以前の所得税には300万円超の区分がなく、50万円超の部分は調査による決定を予知して行う申告等では20%(調査通知後で決定予知前なら15%)です。また、前年・前々年や過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されている場合や、調査で売上の帳簿を提示できない場合などは、割合がさらに上乗せされることがあります。

【計算例】納付すべき税額が100万円の場合(令和5年分以後の所得税で、加重措置がない場合)

  • 調査による決定を予知して行う申告・税務署の決定:50万円×15%+50万円×20%=17万5,000円
  • 調査通知後で、調査による決定を予知する前に申告:50万円×10%+50万円×15%=12万5,000円
  • 調査通知前の自主的な申告:100万円×5%=5万円

この例では、調査通知前の自主的な申告の場合と、決定予知後の申告等の場合で、無申告加算税に12万5,000円の差があります。実際には申告時点の条件や加重・不適用の有無を確認します。

法定申告期限から1か月以内の自主的な期限後申告など、所定の要件をすべて満たす場合は無申告加算税が課されないことがあります。納付要件には口座振替納付の特則があり、過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されたことや、この不適用を受けたことがない等の条件もあります。自己判断せず、国税庁No.2024で全要件を確認してください。

出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

また、計算された無申告加算税額が5,000円未満の場合も徴収されません。

罰2 延滞税:1日でも早い納付がカギ

法定納期限(所得税は原則3月15日)までに税金を納付しなかった場合に、利息に相当するものとして課される税金です。法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて、日割りで計算されます。割合は年ごとに見直され、納期限の翌日から2か月を経過するかどうかで異なります。

  • 納期限まで、および納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年7.3%と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合(令和8年は年2.8%。令和4年〜令和7年は年2.4%)。
  • 納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後:年14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合(令和8年は年9.1%。令和4年〜令和7年は年8.7%)。

出典:国税庁「延滞税の計算方法」

ポイントは、期限後申告の場合の「納期限」は申告書を提出した日だということ。申告と同時に納付すれば、遅れた期間全体に低いほうの割合が適用されます。逆に、申告したまま納付しないでいると、提出日の翌日から2か月を過ぎた分は高い割合になってしまいます。

たとえば、納付すべき税額100万円を法定納期限から60日後に期限後申告し、同じ日に納付した場合(期間はすべて令和8年中)、延滞税は100万円×2.8%×60日÷365日=約4,600円(100円未満切捨て)です。

なお、本税額が1万円未満の場合は延滞税はかからず、計算された延滞税額が1,000円未満の場合も徴収されません。

罰3 青色申告特別控除の減額

令和8年分までの青色申告特別控除で、最高65万円・55万円の控除を受けるには期限内申告が必要です。期限後申告ではこれらの控除は受けられませんが、青色申告の承認が有効で、記帳・帳簿書類の保存等の要件を満たす場合は最高10万円の控除を受けられます。所得金額による限度もあるため、必ず10万円になるわけではありません。出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」

※令和9年分以後は最大75万円へ見直されます。65万円・75万円控除には期限内のe-Tax等の要件があり、75万円には追加の電子保存・届出要件も必要です。10万円区分にも条件変更があるため、対象年分の要件を確認してください。国税庁の改正案内

さらに注意:最も重い「重加算税」

これは最も重いペナルティで、意図的に所得を隠したり(隠蔽)、事実を偽って申告したり(仮装)した場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されます。単なる計算ミスや申告忘れではなく、悪質な不正行為に対するものです。

  • 過少申告(修正申告)の場合:追加で納める税額の35%。
  • 無申告の場合:納付すべき税額の40%。

過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合、さらに10%が加重されることもあります。また、税務署が更正・決定できる期間は原則5年ですが、偽りその他不正の行為がある場合は7年になります。

これらのペナルティを避ける、あるいは最小限に抑えるためには、期限を守ることが最も重要ですが、万が一遅れてしまった場合は、速やかに自主的に正しい申告・納税を行うことが最善策となります。

5. 状況をコントロールする:自主的な行動と専門家の活用

期限後申告になってしまった場合や、税務署から連絡があった場合でも、受け身にならず、主体的に行動することで状況を改善できる可能性があります。

自主的な行動の力

期限後に申告義務に気づいたら、連絡の有無にかかわらず、1日でも早く正しい申告・納付に向けて対応しましょう。連絡を受けている場合は、行政指導か調査通知か、通知の内容やこれまでのやり取りも確認してください。

  • 無申告加算税の確認:調査通知前の自主的な期限後申告は原則5%ですが、通知後は決定予知の有無等で区分され、不適用・加重もあります。第4章の条件を確認してください。
  • 延滞税の抑制:納付までの日数が短くなるため、延滞税の総額を抑えることができます。
  • 信頼性の維持:自ら誤りを是正する姿勢は、税務署に対して誠意を示すことになり、無用な疑念を招くリスクを減らせます。

この「自主的に行動する」という原則は、ペナルティの軽減だけでなく、税務署との円滑なコミュニケーションを図る上でも、極めて有効な戦略と言えます。

修正申告の戦略的活用

期限内に申告したものの、後日、所得の申告漏れや経費の過大計上などの誤りに気づいた場合は、「修正申告」を行います。調査通知前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税は原則として課されません。通知後は、調査による更正の予知の有無などによって取扱いが異なります。ただし、追加で納める税金に対する延滞税は、原則として本来の法定納期限の翌日から発生します。

調査通知後でも、調査による更正を予知する前の修正申告では、過少申告加算税は原則5%、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%です。更正予知後は原則10%、同じ基準を超える部分は15%となります。加重等は別途確認します。具体的な指摘前・実地調査開始前というだけでは判定できません。出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

税理士(税務の専門家)への相談

以下のような場合は、税理士への相談を強く推奨します。

  • 複雑な申告:事業所得がある、不動産所得がある、複数年分の申告が必要など、内容が複雑な場合。
  • 税務調査の通知:税務調査の連絡があった場合は、速やかに税理士に相談しましょう。調査の準備、対応方法のアドバイス、調査当日の立ち会いなど、専門的なサポートが受けられます。税務調査に精通した税理士を選ぶことが重要です。
  • 手続きや対応への不安:期限後申告や修正申告の手続き、税務署からの問い合わせへの回答方法などに不安がある場合。
  • 納税資金の相談:税金やペナルティの支払いが困難な場合、納税の猶予や換価の猶予の申請など、税理士が代理で手続きを行えることもあります。

税理士は、単なる計算代行者ではなく、複雑な税法や税務署との対応において、納税者の権利を守り、リスクを最小化するための重要なパートナー(盾)となり得ます。

利用できる可能性のある救済措置

納税が困難な状況にある場合、以下のような制度を利用できる可能性があります。

  • 納税の猶予:災害、病気、事業の休廃業や著しい損失などで一時的に納税が困難な場合に、申請により原則1年以内の範囲で納税の猶予(分割納付など)が認められることがあります。猶予期間中は延滞税が免除または軽減される場合があります。
  • 換価の猶予:一度に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合に、納期限から6か月以内に申請することで、原則1年以内の分割納付が認められることがあります。
  • 災害による特例:大規模な自然災害などの場合、申告・納付期限の延長や納税の猶予などの特別な措置が設けられることがあります。国税庁のウェブサイトなどで最新情報を確認してください。

これらの制度を利用するには、申請と状況を証明する書類が必要です。該当する可能性がある場合は、税務署や税理士に相談してみましょう。

まとめ:「税務署との対話」で生き残るための3原則

いかがでしたか?税務署とのコミュニケーションは、まさに「言葉のマインフィールド(地雷原)」です。一歩間違えると大爆発…。

今回お伝えした「絶対NGな3フレーズ」をおさらいしましょう:

  1. 「その入金は売上ではありません」(未確認のまま断定する):まず用件を確認し、確認済みの事実と未確認の推測を分けて回答しましょう。申告内容の見直し・確認の連絡なら調査か行政指導か、調査なら税目・期間・目的も確認します。
  2. 「はい、明日で大丈夫です」(準備や予定を確認せず即答する):資料の準備状況と、必要な場合は税理士の立ち会い予定を確認してから、担当者と日程を相談しましょう。
  3. 未確認の断定や虚偽の回答:分からないことは分からないと伝え、記録を確認して回答しましょう。本当に記憶がないことと虚偽答弁は異なります。

確定申告を忘れていたことに気づいたら、対象年分と通知・これまでのやり取りを確認し、1日でも早く正しい申告・納付に向けて対応しましょう。加算税は通知や決定予知等の条件で異なり、自主申告なら一律5%とは限りません。

私がこの記事で一番伝えたいことは、「あわてず、パニックにならず、専門家に相談する」ということ。

「税務のプロ」である税務署との対話は、同じく「税務のプロ」である税理士のサポートがあれば、ずっと対等に戦えます。野球で例えると、プロ投手と対決するなら、プロバッターのアドバイスを受けた方が良いでしょう?同じことです。

当事務所では無申告や税務調査対応のご相談をお受けしています。「こんなこと聞いていいのかな…」と思わず、まずはお気軽にご連絡ください。あなたの大切なお金と心の平和を守るお手伝いをさせていただきます。

では、また次回のブログでお会いしましょう!

税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
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