建設業の税務調査事例から学ぶ!指摘されやすいポイントと対策法

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
今日は建設業の税務調査について話そうと思います。
正直、建設業って税務調査でめちゃくちゃ狙われやすいんですよね。なんでかっていうと、現金取引が多いし、外注と雇用の境界が曖昧だし、材料費の管理も複雑だし…とにかく「怪しい」要素が満載なんです。
でも、ちゃんと準備しておけば怖くない。実際の事例を見ながら、どこを気をつければいいのか、一緒に学んでいきましょう。
建設業の税務調査、なぜこんなに多いの?
建設業界って、他の業界と比べて税務調査の頻度が高いんです。これには理由があります。
現金商売の宿命 建設業って、まだまだ現金でのやり取りが多いじゃないですか。材料を現金で買ったり、職人さんに現金で日当を払ったり。税務署からすると「現金=売上の隠蔽リスク」って見えちゃうんですよね。
外注費の扱いが複雑 これが一番ややこしい。同じ職人さんでも、時には外注扱い、時には雇用扱いになったりする。この境界線が曖昧だと、源泉徴収漏れや消費税の計算ミスにつながりやすいんです。
実際の事例1:外注費vs給与の判定ミス
事例の概要
A建設会社では、長年同じ大工さんに仕事を依頼していました。毎月決まった金額を「外注費」として支払い、源泉徴収もしていませんでした。
ところが税務調査で「これは実質的に給与だ」と判定され、過去3年分の源泉所得税と延滞税で約200万円の追徴課税を受けました。
なぜ指摘されたのか?
- 毎月固定額の支払い(成果報酬ではない)
- 会社の指揮命令に従って作業
- 材料や道具は会社が提供
- 他社の仕事は実質的にできない状況
対策のポイント
外注なのか雇用なのか、ちゃんと整理しておくことが大切です。
外注として扱うための条件
- 請負契約書をしっかり作成
- 成果物に対する報酬である旨を明確化
- 材料や道具は請負業者が準備
- 作業時間や場所の拘束を最小限に
実際の事例2:材料費の水増し計上
事例の概要
B工務店では、実際には使用していない材料費を経費として計上していました。協力業者と組んで、架空の請求書を作成していたんです。
税務調査で現場確認が行われ、帳簿上の材料と実際の使用量に大きな乖離があることが発覚。重加算税も含めて約500万円の追徴課税となりました。
なぜバレたのか?
- 現場視察で実際の施工内容と帳簿が一致しない
- 材料単価が相場と比べて異常に高い
- 同じ業者からの購入が集中している
対策のポイント
材料管理の基本
- 現場ごとの材料使用量を記録
- 発注書・納品書・請求書の三点セット管理
- 定期的な在庫確認
- 材料単価の相場チェック
実際の事例3:完成工事高の期間帰属ミス
事例の概要
C建設会社では、工事の完成時期と売上計上時期がずれていました。3月に完成した工事を4月に売上計上するなど、意図的ではないものの結果的に所得の繰り延べとなっていました。
指摘内容
- 工事完成基準による売上計上の徹底
- 期末時点での未完成工事と完成工事の区分け
- 約300万円の申告漏れ
対策のポイント
完成工事高の計上タイミング
- 工事完成基準を採用している場合は完成時点で売上計上
- 工事進行基準の場合は進捗に応じて計上
- 期末における工事の完成状況を正確に把握
税務調査を乗り切るための事前準備
帳簿書類の整備は基本中の基本
最低限準備しておくべき書類
- 工事台帳(工事ごとの収支管理)
- 外注業者との契約書
- 材料購入に関する三点セット
- 現金出納帳(現金取引が多い場合は特に重要)
- 銀行口座の通帳コピー
現場の実態と帳簿の整合性チェック
税務調査では、実際に現場を見に行くことも多いです。帳簿上の内容と現場の実態が合っているか、定期的にチェックしておきましょう。
税理士との連携強化
建設業の税務は複雑です。専門的な知識が必要な部分も多いので、建設業に詳しい税理士との連携は必須ですね。
まとめ:正直な申告が一番の対策
結局のところ、一番大切なのは「正直に申告すること」です。
確かに建設業は複雑で、グレーゾーンも多い。でも、だからこそちゃんと整理して、透明性を保つことが大切なんです。
税務調査を恐れるより、普段からちゃんとした帳簿をつけて、適正な申告をする。これが一番のリスクヘッジです。
もし税務調査の連絡がきても、「やることはちゃんとやってる」って胸を張って対応できるように、日頃の準備を怠らないようにしましょう。
建設業の皆さん、お互い頑張りましょうね。何かわからないことがあったら、遠慮なく専門家に相談してください。一人で悩まず、チームで乗り切っていきましょう!