YouTuber税務調査事例集|申告漏れで追徴課税された具体的なケース

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
今日はちょっと重たい話をしますね。
YouTuberの税務調査って、実際どんな感じなのか気になりませんか?僕のところにも「税務署から連絡きたんですけど…」って青ざめた顔で相談に来るYouTuberさんが結構いるんですよ。
で、税務調査の事例を見てると、「あー、これはアウトだわ」ってケースがほんと多い。今回は実際にあった事例をベースに、どんなところで引っかかりやすいのか解説していきます。
事例1:企画費という名の「遊び代」で追徴課税300万円
まず最初の事例。チャンネル登録者50万人くらいのゲーム系YouTuberAさんのケース。
Aさん、年収2000万円くらい稼いでたんですが、経費として計上してたものがヤバかった。
- 友達との飲み会代:月20万円(企画会議費として計上)
- 旅行代:年間150万円(動画撮影のための取材費として計上)
- ゲーム購入費:年間80万円(すべて経費扱い)
税務調査が入って、調査官がチェックしたのは銀行の入出金履歴とクレジットカードの明細。そしたら…
「この居酒屋代、動画に全然関係ないですよね?」 「この旅行、プライベートじゃないですか?」
結果的に、経費として認められなかった金額が800万円。追徴税額は約300万円になりました。
事例2:広告収入の申告漏れで重加算税まで課税
次はもっとヤバい事例。登録者100万人の美容系YouTuberBさんのケース。
Bさんの問題は、広告収入の申告が漏れてたこと。具体的には:
- Google AdSenseの収入:きちんと申告
- 企業からの直接案件:一部申告漏れ
- アフィリエイト収入:ほぼ申告せず
特にアフィリエイト収入が年間500万円あったのに、確定申告書には記載なし。税務署は各ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に支払調書を請求して、すぐにバレました。
さらに悪いことに、Bさんは「忘れてました」じゃなくて「バレないと思った」と正直に答えちゃったんですね。これで「故意の申告漏れ」と判断され、重加算税まで課税。
追徴税額は約400万円。本税200万円+重加算税35%で約70万円+延滞税で、合計約400万円の追徴でした。
事例3:経費の線引きで揉めたケース
3つ目は経費の範囲で揉めた事例。料理系YouTuberCさんのケース。
Cさんは料理動画を作るために食材を大量購入してて、それを経費計上してました。でも問題は:
- 食材購入後、動画撮影に使わなかった分も経費扱い
- 家族の食事分も「試食のため」として経費計上
- 高級食材ばかり購入(動画の企画に必要以上に高額)
税務調査で調査官から指摘されたのは「事業に直接関係する部分だけが経費」ということ。
結果的に、食材費の70%が経費として認められず、追徴税額は約150万円になりました。
なぜYouTuberは税務調査の対象になりやすいのか
YouTuberが税務調査の対象になりやすい理由、実はいくつかあります:
1. 収入が把握しやすい
Google AdSenseやYouTube Studioの収益は、プラットフォーム側が税務署に報告してます。だから収入隠しはほぼ不可能。
2. 経費の曖昧さ
「これって経費?」っていう判断が難しいものが多い。動画のための購入なのか、プライベートなのか、線引きが難しいんです。
3. 急激な収入増加
前年まで会社員だったのに、いきなり年収1000万円とかになると、税務署の目に留まりやすい。
YouTuberが気をつけるべき税務調査対策
事例から学ぶ申告のポイント
- 収入は全て申告する
- AdSense収入
- 企業案件収入
- アフィリエイト収入
- グッズ販売収入
- スーパーチャット収入
- 経費は証拠を残す
- レシート・領収書の保管
- 動画での使用状況の記録
- 事業利用とプライベート利用の区分
- 経費計上の基準を明確にする
- 動画に直接関係するもののみ
- プライベート利用分は按分計算
- 常識的な金額範囲内
まとめ:税務調査を恐れず、適正申告を
YouTuberの税務調査事例を見てきましたが、共通してるのは「適当にやってたらバレた」ということ。
税務署も別に意地悪してるわけじゃなくて、適正に申告してもらいたいだけなんですよね。だから:
- 収入は全て正直に申告
- 経費は根拠を持って計上
- 分からないことは税理士に相談
これだけで、税務調査のリスクはグッと下がります。
YouTuberとして活動してるみなさん、税務調査って聞くと怖いイメージあるかもしれませんが、適正にやってれば全然怖くありません。むしろ、ちゃんとした申告をすることで、事業としての信頼性も上がります。
もし税務調査の連絡が来たり、申告に不安があったりしたら、ぜひ税理士に相談してくださいね。