法人税務調査の事例と対策|実際のケースから学ぶ対応方法
税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
税務調査って、実は「運ゲー」じゃない話
どうも、みなさん。
法人の税務調査って聞くと、なんか「運が悪かったら来る」みたいなイメージありませんか?でも実際は全然そんなことなくて、ちゃんとした理由があって調査対象に選ばれるんですよね。
今日は実際の事例を交えながら、法人の税務調査でよくあるパターンと、その対策について話していきます。僕が20年近く税理士やってきて見てきた「リアル」をお伝えできればと思います。
そもそも、なぜその法人が選ばれるのか
税務署って、実はめちゃくちゃデータ分析してるんですよ。適当に選んでるわけじゃないんです。
選ばれやすい法人の特徴
- 売上が急激に伸びている
- 同業他社と比べて利益率が極端に低い
- 過去に申告漏れがあった
- 業界の平均と比べて経費率が異常に高い
要するに、「何かおかしくない?」って思われるような数字になってると、調査対象になりやすいということです。
実際にあった事例1:飲食店の「まかない」問題
これ、めちゃくちゃよくある話なんですが、ある居酒屋チェーンの事例です。
従業員のまかないを全部「福利厚生費」で処理してたんですね。でも税務署からすると「それって給与じゃない?」という話になったんです。
何が問題だったか
- まかないの金額が1人月3万円相当
- 従業員が自由に選べる仕組みになっていた
- 現金で支給することもあった
結果的に、まかない代の一部を給与として認定され、源泉所得税の追徴課税を受けました。
対策のポイント まかないは「全員一律」「現物支給のみ」「常識的な金額」に抑えることが大切です。月1万円程度なら問題になることはほとんどありません。
実際にあった事例2:IT企業の「研究開発費」トラブル
これは最近増えてる事例なんですが、AI関連のスタートアップ企業での話です。
新しいサービス開発のための費用を全部「研究開発費」として処理していたんですが、税務署からは「それって通常の営業活動じゃない?」と指摘されました。
何が問題だったか
- 既存事業の改良も「研究開発」として処理
- 人件費の80%を研究開発費に計上
- 明確な区分けができていなかった
対策のポイント 研究開発費として認められるのは「新技術・新製品の開発」に限られます。既存サービスの改良や保守は通常の経費として処理するのが安全です。
税務調査官が必ずチェックする3つのポイント
長年この業界にいて分かったんですが、調査官って必ず見るポイントがあるんですよね。
1. 役員報酬の妥当性
「社長の給料、高すぎない?」って話です。特に小さな会社で社長が月200万とか取ってると、「本当にその価値の仕事してます?」って突っ込まれます。
2. 交際費の内容
領収書に「○○様他」って書いてあると、「他って誰ですか?」って必ず聞かれます。家族との食事を交際費にしてるパターンも多いんですよね。
3. 外注費と給与の区分
「この人、実質的に従業員じゃないですか?」って指摘されるケースが激増してます。業務委託契約でも、実態が雇用関係なら給与として課税されちゃいます。
調査が来たときの「絶対やっちゃダメ」行動
これ、本当に大事なんですが、調査官が来たときに絶対やっちゃいけないことがあります。
NGな対応
- 嘘をつく(バレたときのダメージが10倍になります)
- 書類を隠す(隠蔽行為は重加算税の対象)
- 感情的になる(調査期間が長引く原因に)
正しい対応
- 事実をありのまま説明する
- 分からないことは「分からない」と言う
- 税理士に立ち会ってもらう
まとめ:税務調査は「準備8割」
結局のところ、税務調査って準備が全てなんですよね。
日頃から適切な帳簿付けをして、根拠となる資料をちゃんと保存しておけば、それほど怖いものではありません。
逆に言うと、普段から「これ、説明できるかな?」って意識で経理処理をしておくことが一番の対策になります。
今日からできる対策
- 領収書にはメモを残す習慣をつける
- 役員報酬は同業他社と比較検討する
- 外注先とは明確な契約書を交わす
- 定期的に税理士とコミュニケーションを取る
税務調査って、確かに面倒ですが、適切に対応すれば必要以上に怖がることはありません。むしろ、自社の経理体制を見直すいい機会だと捉えることもできます。
何か不安なことがあれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。一人で抱え込まずに、一緒に解決していきましょう。