法人向け税務調査の概要。実際どうなの?税理士が現場で見た本当の話

法人の税務調査、実際どうなの?税理士が現場で見た本当の話
どうも、税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
普段は法人のお客様の税務顧問をやってるんですが、今回は税務調査について、現場で実際に見てきたリアルな話をお届けしようと思います。
「税務調査」って聞くと、なんかめちゃくちゃ怖いイメージありますよね。でも実際は、きちんと準備してれば全然怖くないんです。むしろ、知らないまま放置してる方がよっぽど危険。
今日は税理士として数百件の調査に立ち会ってきた経験から、包み隠さず話していきます。
税務調査のタイミング、こんな会社が狙われやすい
正直、これやってると目をつけられる
税理士として色んな会社を見てきて分かったんですが、調査対象になりやすい会社には共通点があります。
数字が不自然な会社 前年と比べて売上が急に半分になってたり、逆に倍増してるのに説明がつかない会社。あと、同業他社と比べて明らかに利益率が異常な会社は、確実にマークされてます。
申告期限を守らない会社 これはもう、アウト確定です。期限後申告や無申告の会社は、税務署のブラックリストに載ってると思ってください。
現金商売なのに利益が薄すぎる会社 飲食店、美容院、工務店など、現金取引が多いのに「利益はほとんど出てません」って会社。税務署からすると「本当に?」って疑われます。
調査時期は結構読める
税務署の事務年度は7月〜翌年6月なので、調査は7月から12月に集中します。特に9月〜11月は調査ラッシュ。
逆に1月〜6月は比較的静かなので、この時期に体制を整えるのがベスト。僕もお客様にはこの時期に内部監査をおすすめしてます。
実際の調査現場で見たリアルな話
うまくいった調査の事例
先日立ち会った製造業(年商3億円)の調査は、本当にスムーズでした。
事前準備がバッチリだった 調査の連絡が来てから、一緒に帳簿と資料を総点検。過去3年分の取引で説明が必要そうなものは全部整理しました。
調査当日 税務署員:「この期に外注費が急に増えてますね」 社長:「新規事業を始めたので、専門業者に委託したんです。契約書と請求書はこちらです」 税務署員:「なるほど、よく分かりました」
こんな感じで、資料があるとスムーズに説明できるんです。
結果 軽微な計算ミスが2件見つかりましたが、それだけ。追徴税額も数万円で済みました。
逆にヤバかった調査
これは本当にひどかった…建設業のお客様で、僕が顧問になる前の話ですが。
準備不足の典型例
- 請求書と領収書がバラバラ
- 現金出納帳が3ヶ月分行方不明
- 外注費と給与の区別が曖昧
- 社長の個人的な支出が会社の経費に混入
調査の結果 売上除外、架空経費、重加算税まで課せられて、追徴税額が800万円超。社長は「なんでこんなことに…」って青ざめてました。
税務署が必ずチェックするポイント
僕の経験上、調査官が絶対に見るのはこの辺り:
- 現金売上の計上漏れ(特に期末近くの売上)
- 架空外注費や水増し経費
- 役員関連の取引(貸付、報酬、経費)
- 外注費と給与の区分処理
- 交際費の範囲と金額
危険な会社の特徴を税理士目線で解説
これは確実にバレる、やっちゃダメなこと
売上の除外 「現金売上だからバレないでしょ」って思ってる社長、多いんですが、税務署は反面調査で簡単に発覚させます。取引先に確認されたら一発でアウト。
架空経費の計上 領収書を偽造したり、個人的な支出を経費にしたり。これも絶対バレます。税務署は領収書の筆跡まで見てますから。
関連会社間の利益移転 親会社の利益を子会社に移すために、不当に高い外注費を払ったりする手法。移転価格税制で一発アウトです。
業種別の危険ポイント
建設業 工事進行基準の適用ミス、一人親方への支払いを外注費として処理(本来は給与)、材料費の前倒し計上など。
IT・WEB業界 システム開発費の処理(資産計上vs費用処理)、クラウドサービス料金の複数年契約の処理、ストックオプションの処理など。
飲食業 現金売上の除外、まかない代の処理、アルバイト給与の源泉徴収漏れなど。
その他、具体的な事例は下記からご確認ください。
税務調査で困らないための実践的対策
普段からやっておくべきこと
帳簿の信頼性を高める これが一番重要。僕がお客様に必ずお願いしてるのは:
- 取引の根拠資料(契約書、請求書、領収書)を必ず保管
- 現金出納帳は毎日つける
- 月次で残高確認をする
内部チェック体制の構築 社長一人に任せない。経理担当者との相互チェック、定期的な税理士による監査で、リスクを早期発見。
グレーゾーンは事前相談 新しい取引を始めるときは、必ず税務上の取り扱いを確認。後から「知らなかった」では済まされません。
調査の連絡が来たときの対応
まずは冷静に 調査の連絡が来ても、パニックになる必要はありません。適切な準備をすれば大丈夫です。
税理士への連絡 顧問税理士がいる場合は、即座に連絡を。調査日程の調整から資料準備まで、全面的にサポートします。
資料の整理 過去3年分(場合によっては5年分)の帳簿書類を整理。特に以下は必須:
- 総勘定元帳
- 現金出納帳
- 請求書・領収書
- 契約書
- 議事録
調査当日の心構え
正直に対応する 嘘をついたり、隠し事をするのは絶対NG。分からないことは「確認します」でOK。
感情的にならない 税務署員も人間です。協力的な態度で接すれば、向こうも建設的に対応してくれます。
記録を残す 調査官とのやり取りは、後でトラブルにならないよう記録を残しましょう。
他の種類の税金にも注意
法人税の修正申告をすると、所得が増えた分だけ法人事業税や法人住民税の税金も増えます。
税務署は法人税や消費税などの税務署に関わる税金しか説明しないのでご注意ください。
詳しくはこちらをご確認ください。
最後に:税理士として伝えたいこと
税務調査は、会社の税務処理を見直す良い機会でもあります。適切な処理をしていれば、恐れることはありません。
むしろ、普段から「調査が来ても大丈夫」な体制を作っておくことで、経営の透明性も高まり、金融機関からの信頼も得られます。
税務調査の不安がある方は、ぜひ税理士に相談してください。事前の準備が何より大切です。僕たち税理士は、そのためにいるんですから。
というわけで、税務調査についてのリアルな話でした。少しでも参考になれば嬉しいです!