重加算税とは?税務調査で課される条件と計算方法を詳しく解説

税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
税務調査の話になると、必ずと言っていいほど出てくるのが「重加算税」という言葉。でも実際のところ、重加算税ってそもそも何なのか、どんな時に課されるのか、ちゃんと理解している人って意外と少ないんですよね。
今日は、税務調査で重加算税を課される条件や計算方法について、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。
そもそも重加算税って何?
重加算税は、簡単に言うと「悪質な税金逃れに対するペナルティ」です。
普通の申告ミスとかだったら「過少申告加算税」という軽めのペナルティで済むんですが、「これは意図的にやってるでしょ」「隠そうとしてるでしょ」という場合に課されるのが重加算税なんです。
税率も過少申告加算税の10%に対して、重加算税は35%とかなり重い。だから「重」加算税って呼ばれてるわけです。
重加算税が課される条件とは?
では、どんな場合に重加算税が課されるのでしょうか?国税通則法では「仮装又は隠蔽」があった場合とされています。
仮装とは
仮装っていうのは、「事実を偽って見せること」です。具体的には:
- 架空の経費を計上する
- 売上を他人名義にして隠す
- 偽の契約書や領収書を作る
- 帳簿に虚偽の記載をする
例えば、実際には200万円の売上があったのに、帳簿には100万円としか記載していない。これは明らかに「仮装」ですよね。
隠蔽とは
隠蔽は「事実を隠すこと」です。例えば:
- 売上の一部を帳簿に記載しない
- 二重帳簿を作成する
- 重要書類を隠す・破棄する
- 調査官に虚偽の説明をする
「売上があったのを隠してました」というのは典型的な隠蔽行為です。
税務調査でよくある重加算税の事例
実際の税務調査で重加算税が課されやすいケースをいくつか紹介します。
ケース1:売上除外
飲食店を経営しているAさん。現金売上の一部を帳簿に記載せず、個人の生活費に使っていました。税務調査で発覚し、重加算税が課されました。
これは典型的な「隠蔽」ですね。
ケース2:架空経費の計上
建設業のBさん。実際には発生していない材料費を計上して、税金を少なくしていました。調査で架空であることが判明し、重加算税の対象となりました。
これは「仮装」に該当します。
ケース3:二重帳簿
小売業のCさん。税務署用の帳簿と実際の売上を記録した帳簿を別々に作成していました。当然、重加算税が課されました。
重加算税の計算方法
重加算税の税率は以下の通りです:
申告期限内に申告書を提出している場合
- 35%
申告期限内に申告書を提出していない場合
- 40%
計算式は: 重加算税額 = 追加本税額 × 税率
計算例
例えば、申告期限内に申告書を提出していたけれど、税務調査で100万円の追加税額が発生した場合:
重加算税額 = 100万円 × 35% = 35万円
つまり、本来の税金100万円に加えて、35万円のペナルティを払うことになります。合計135万円ですね。
かなり痛い出費になります。
似たような罰金である過少申告加算税に比べると大きな罰金となります。
重加算税を回避するためのポイント
重加算税を課されないためには、以下のポイントが重要です:
1. 正確な記帳を心がける
当たり前のことですが、日々の取引を正確に記録することが基本です。「後でまとめてやろう」とか思って放置すると、記憶が曖昧になって間違いの元になります。
2. 証拠書類をしっかり保存
領収書や契約書などの証拠書類は、きちんと整理して保存しましょう。税務調査で「証拠がない」となると、調査官に疑われる原因になります。
3. 不明な点は専門家に相談
「これって経費になるのかな?」「この処理で合ってるかな?」と迷ったら、税理士に相談することをおすすめします。自己判断で進めて後で問題になるより、最初からちゃんと確認した方が安心です。
4. 税務調査では正直に対応
もし税務調査が入った場合は、隠し事をせず正直に対応しましょう。嘘をついたり、書類を隠したりすると、それ自体が重加算税の対象になってしまいます。
まとめ:重加算税は予防が一番
重加算税は、一度課されると税率が高く、経営に大きな影響を与えます。でも、日頃から適切な経理処理を行い、透明性を保っていれば、基本的に課されることはありません。
「仮装・隠蔽」という悪質な行為があった場合にのみ課されるペナルティなので、普通に商売をしている限りは心配する必要はないんです。
ただし、「これくらいなら大丈夫だろう」という軽い気持ちでやったことが、結果的に重加算税の対象になってしまうケースもあります。
不安な点があれば、早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。税務調査で困ったことがあれば、いつでもご相談ください。適切な対応で、皆さんの事業を守るお手伝いをさせていただきます。