【税理士が解説】税務調査が一度も来ない会社の特徴5選と注意点

税務調査の立ち会い対応や適切な確定申告のサポートを手掛ける、横浜市の岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「起業して数年経つのに、うちの会社には一度も税務調査が来ないけれど大丈夫なのだろうか」
「近隣の同業者には税務調査が入ったと聞いたのに、自社にまったく連絡がないのは逆に怪しまれているのではないか」

日頃から税務相談をお受けする中で、このような疑問や不安をお聞きすることがよくあります。特に創業から間もない経営者様や、初めて決算業務を担当される経理責任者様にとって、税務調査という存在は実態が見えにくく、来ないなら来ないで「忘れた頃に突然やってきて重いペナルティを課されるのではないか」と勘繰ってしまうのも無理はありません。

結論から申し上げますと、税務調査が来ない会社には明確な理由や特徴が存在します。税務署も限られた人員と時間の中で調査を行っているため、やみくもに対象を選んでいるわけではありません。

今回は、長年にわたり横浜市エリアを中心に数多くの税務調査や申告業務に携わってきたプロの視点から、税務調査が今まで来ない会社に共通する5つの特徴と、調査が来ない会社が留意すべき重要ポイントについて分かりやすく解説いたします。

なぜ税務調査が一度も来ない会社が存在するのか

日本全国には約300万以上の法人が存在していますが、1年間に税務調査(実地調査)が入る割合は、近年では全体のおよそ1%〜3%程度と言われています。過去には3%強の時期もありましたが、現在は低下傾向にあります。つまり、統計上は平均して数十年に1度巡ってくるかどうかの確率であり、毎年数多くの法人において「今年は税務調査が来なかった」という状態が発生しています。

国税庁の基本方針として、税務調査は適正な課税と公平な納税の実現を目的に行われます。そのため、税務署は膨大な申告データ(KSKシステム等)を分析し、調査を実施した際に「申告漏れや誤りを発見できる可能性が高い会社」や「追徴課税による税収効果が大きい会社」を優先的にピックアップしています。

税務調査手続の基本的な枠組みについては、国税庁の公式ページでも公開されています。

国税庁:税務調査手続に関するFAQ

反対に言えば、税務署の分析システムにおいて「申告誤りのリスクが低い」「調査に行っても大きな是正事項が見込まれない」と判断された会社は、優先順位が後回しになり、結果として長年調査が入らない状態が続くことになります。

税務調査が今まで一度も来ていない会社に見られる5つの特徴

具体的にどのような会社が税務署の優先リストから外れやすいのか、現場の実務経験を踏まえた5つの特徴を解説します。

特徴1 売上・利益規模がコンパクト

税務調査における最も分かりやすい基準の一つが「事業規模」です。

売上高が数千万円程度の小規模事業者様と、売上高が数十億円の大企業とでは、仮に同じ割合の計算ミスがあったとしても発生する追徴税額の絶対量が大きく異なります。税務署としても、限られた調査人員のコストを考慮した際、より規模が大きく追徴税額の見込みが大きい会社へ調査官を投入したいという心理が働きます。

一般的に年商1,000万円未満〜数千万円規模の事業者様は、高額な不正を行っている疑いがない限り、比較的税務調査の優先順位が低くなる傾向にあります。

特徴2 現金取引が少なく取引の透明性が高い業種である

会社が営んでいる「業種」や「取引形態」も、調査の頻度に大きく影響します。

飲食業、建設業、美容業、不動産業などの「現金の出し入れが頻繁に発生する業種」や「経費の線引きが曖昧になりやすい業種」は、売上の抜き取りや架空経費の計上が起こりやすいため、昔から税務調査のターゲットになりやすい分野です。

一方で、以下のような業種は売上・経費ともに銀行振込などのデジタルなデータとして残ることが多く、不当な資金操作が難しいため、相対的に調査の優先順位が下がります。

  • システム開発・ITサービス業(BtoB中心)
    取引の大部分が口座振り込みで管理されています。
  • 製造業(主に大手企業の下請け)
    納品書や請求書の発行フローが明確です。
  • 事務代行・コンサルティング業
    人件費や固定費が中心で現金取引がほぼありません。
  • 一般的な卸売業・通信販売業
    EC決済や受発注データがデジタルで完結します。

横浜市内の事業者様においても、取引がすべて口座振込で完結している法人様は、現金売上を扱う店舗型ビジネスに比べて調査の打診が少ない傾向が見られます。

特徴3 毎年申告している売上や利益に急激な変動がない

税務署のシステムは、過年度の申告データと比較して「売上や利益率が急激に変化した会社」を自動検知します。

例えば、前年まで年商3,000万円・利益200万円で安定していた会社が、突然年商1億円に跳ね上がったり、逆に売上は同等なのに利益だけが赤字に転落したりすると、システムの異常値としてアラートが鳴り、調査官の目に留まります。

これに対して、毎年一定のペースで売上が推移し、売上原価率や販促費の割合にも極端なブレがない会社は、税務署から見て「安定した申告を行っている安全な会社」と認識され、調査対象に選ばれにくくなります。

特徴4 税理士が関与し適正な申告書が作成されている

申告書に税理士の署名・押印があるかどうかも非常に大きな要素です。

税理士が関与して作成された申告書は、専門家の目を通して会計基準や税法に則った処理がなされているため、自分一人で申告手続きを行っている会社に比べてエラーや初歩的な不備が圧倒的に少ないと評価されます。

さらに、申告書に「税理士法第33条の2に基づく書面添付」がなされている場合、税務調査の前にまずは税理士に対する意見聴取が行われます。この意見聴取の段階で税務署側の疑問点がクリアになれば、実地調査に移行せず「調査省略」となるケースもあります。地元の税理士と連携して適正な会計処理を継続している会社は、高い信頼性を確保できていると言えます。

特徴5 会社設立からの経過年数がまだ浅い

会社を立ち上げてからの「年数(歴史)」も関係しています。

設立から1年〜3年程度の若い会社は、過去の取引蓄積自体が少ないため、調査に入っても税務署側が得られる成果(是正事項)が限定的であると判断されがちです。税務調査が行われる時期として多いのは、事業が軌道に乗り、過去数年分の申告実績が蓄積された「設立5年目〜10年目」あたりのタイミングです。

したがって、「設立して3年間一度も調査が来ない」というのは至極当然のことであり、過剰に心配する必要はありません。逆に設立から15年以上経過していて一度も調査が来ていない場合は、前述の他の要素(小規模・安定経営・税理士関与)が揃っている優良企業である可能性が高いと言えます。

セルフチェック自社の税務調査リスク・診断リスト

自社がどの程度税務調査の対象になりにくいか、以下のチェックリストで確認してみましょう。当てはまる項目が多いほど、税務調査の優先順位が下がっていると考えられます。

  • 売上規模の安定性
    年商が数千万円以下で推移している。
  • 取引形態の透明性
    売上・仕入れ・経費の支払いがほぼ100%銀行口座振込である。
  • 業績推移の平準性
    過去3年間の売上・原価率・経費率に極端な乱高下がない。
  • 専門家の関与
    毎期の決算・申告を税理士へ依頼しており署名押印がある。
  • 設立年数の浅さ
    会社設立からまだ3期〜5期以内である。

上記のチェック項目に多く当てはまる場合は、税務署側から見て「今すぐ実地調査を行う優先度が高くない」と判断されている可能性が高いでしょう。

税務調査が来ない会社でも決して安心・放置してはいけない理由

ここまでお伝えした特徴に当てはまり、「うちの会社は大丈夫そうだ」と胸を撫で下ろした方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「税務調査が一度も来ていない=申告内容に100%問題がない」という意味では決してありません。

単に税務署側のリソースの都合や優先順位の関係で調査が巡ってきていないだけであり、過去の申告の中に計算ミスや経費の誤認があった場合、それは潜在的なリスクとして残り続けています。

もし何かのきっかけ(取引先への税務調査からの波及や、マイナンバー・支払調書によるデータ照合など)で数年後に調査が入った場合、過年度にさかのぼってまとめて追徴課税と延滞税を請求されることになります。日頃から「いつ調査が来ても堂々と説明できる状態」を保っておくことが、経営を守る上での最善の策です。

※過去記事:税務調査の選定基準や調査官の着眼点についてより深く把握したい方は、以下の解説も併せてご参照ください。

【税理士が解説】税務調査で絶対に損しないための完全攻略ガイド

いつ税務調査が来ても慌てないために日頃から実践すべき4つの対策

たとえ調査が来にくい特徴を備えた会社であっても、不意の調査通知に慌てないために、日々の業務で意識しておくべき4つの実務対策をお伝えします。

対策1 領収書や請求書などの証拠書類を年度別に整理・保存する

経理業務の基本ですが、売上や経費の裏付けとなる請求書、領収書、納品書、銀行通帳のコピーなどを年度別・月別に整理して保存してください。

紙での保存はもちろん、電子帳簿保存法に対応したデジタル保存を活用し、後から検索しやすい状態を作っておくことが重要です。書類が散乱していると、調査官に「管理が杜撰である」という印象を与えてしまい、細かい部分までチェックされる原因になります。

対策2 迷った経費や高額な支出は判断の根拠をメモに残す

支出の中には「これは事業用経費として落として良いのだろうか」と判断に迷うグレーゾーンの費用(高額な交際費、社内イベント費用、役員への手当など)が存在します。

そうした費用を計上した際は、単に領収書を残すだけでなく、「誰と・どのような目的で・どう事業に貢献したのか」というメモや打ち合わせメモを証拠として一緒に残しておきましょう。調査官から質問された際に、客観的な根拠をもってロジカルに説明できるよう準備しておくことが身を守ります。

対策3 現金出納帳を整備し実際の現金残高と厳密に一致させる

小口現金を取り扱っている会社の場合、帳簿上の現金残高と金庫内の「手許現金(実際の現金の額)」がズレているケースが散見されます。

税務調査では、真っ先に金庫の現金やレジの現金をカウントされることがあります。帳簿と実際の現金が一致していないと、「使途不明金がある」「売上を現金で抜いているのではないか」と疑われるため、日々の現金出納帳の記帳と残高合わせを徹底してください。

対策4 インボイス制度や軽減税率を踏まえた正しい消費税処理を行う

近年の税制改正により、消費税の計算は従来以上に複雑化しています。

インボイス(適格請求書)の発行事業者の確認漏れや、軽減税率の不適切な仕訳、複雑な経過措置(2割特例や8割控除など)の適用要件の誤りなどは、税務調査で最も指摘されやすいポイントです。自社の消費税処理が適正に行われているか定期的に見直しを行いましょう。

※過去記事:税務調査に向けた具体的な事前準備や当日の一般的な流れについて詳しく確認したい方は、以下のガイドも参考にしてください。

【税理士が解説】税務調査の流れとは?事前準備から調査終了まで徹底ガイド

「税務調査が来ない会社の特徴」まとめ

  • 調査が来にくい会社の特徴
    売上規模がコンパクト、取引が透明(非現金系)、数字の変動が少ない、税理士が関与、設立年数が浅い。
  • 調査が来ない=安全ではない
    単に優先順位の問題であることも多く、放置したまま問題が潜伏しているケースに注意が必要。
  • 日頃の準備が不可欠
    証拠書類の整理、経費根拠の記録、現金管理の徹底が不意の調査に対する最大の防御策となる。

税務調査が一度も来ないからといって油断せず、常に正しく帳簿を整備しておくことが、将来的な追徴課税のリスクをゼロにし、健全な経営を続けるための王道です。

横浜市周辺で事業を展開されている事業者様で、「過去の申告に不安な点がある」「長年税務調査が来ておらず今の帳簿管理で問題ないかプロにチェックしてほしい」とお悩みの方は、どうぞ一人で悩まず、岩本隆一税理士事務所の「税務調査サポート」をご利用ください。当事務所では、経験豊富な代表税理士が直接お客様の現状をお伺いし、不安を解消するための万全の体制づくりをお手伝いいたします。状況をお伺いした上で、ベストな解決策をご提案します。まずは不安を解消するために税理士無料相談までお気軽にお問い合わせください。

「税務調査が来ない会社の特徴」に関するよくある質問

A.可能性は十分にあります。15年間無調査であったとしても、事業規模の拡大や業績の急変動、業界全体の集中調査などのタイミングで対象に選ばれるケースは珍しくありません。長年調査が来ていない会社ほど、過去の経理処理の癖やミスが蓄積されている場合があるため、一度専門家に帳簿のチェックを依頼しておくことをお勧めします。

A.いいえ、赤字会社であっても税務調査が入る可能性はあります。赤字であっても消費税の還付申告を行っている場合や、売上除外によって意図的に赤字を作り出している疑いがある場合、また源泉所得税の徴収漏れを確認する目的などで調査対象となるケースがあります。「赤字だから100%安全」と思い込むのは非常に危険です。

A.税理士が関与することで調査に入られる確率は大幅に下がりますが、100%来なくなるわけではありません。しかし、万が一税務調査が入った場合でも、税理士が事前準備から当日の立ち会い、調査官との法的な交渉まで一貫してサポートするため、経営者様ご自身が直接不当な追求を受けたり、過大な追徴課税を課されたりするリスクをできる限り小さく抑えることができます。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、無資格スタッフに丸投げせず代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用したスピード対応が持ち味で、土日夜間も柔軟に対応します。税務顧問・税務調査対応・相続税申告のほか、経営者向けのコーチングも行っています。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です。

不安を安心に変える、横浜で最も信頼される経営者の味方へ。

「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、あなたの「一番の理解者」として全力でサポートします。
初回相談は無料、LINEでのご相談や土日夜間の対応も可能です。

お電話でのご相談

045-900-6098
受付時間: 平日9:00~17:00(土日祝・夜間は事前予約で対応可)

横浜市地域密着・
スピード対応

横浜市全域対応

横浜市全域
鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区、港南区、保土ケ谷区、旭区、磯子区、金沢区、港北区、緑区、青葉区、都筑区、戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区

※横浜市地域密着で対応しております。資料のやり取りは郵送やデータ共有でも可能です。

個人の無申告に時効はある?知っておくべき重要なポイントと対処法

個人の無申告に時効はある?知っておくべき重要なポイントと対処法

横浜市で税務調査の対応サポートを手掛ける、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。 今日は税務調査で多くの方が直面する「過少申告加算税」について、わかりやすく解説していきたいと思います。 正直、この話って聞いただけで「・・・...

あわせて読みたい
税務調査で売上の除外は必ず把握される

税務調査で売上の除外は必ず把握される|事前準備で落ち着いて対応

横浜市で税務調査の対応サポートを手掛ける、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。 税務調査という言葉を耳にするだけで、なんだか胃がキュッと締め付けられるような、特有の重いストレスを感じてしまいませんか。私自身もこの税・・・...

あわせて読みたい
無申告でも大丈夫?ペナルティの種類と対処法を税理士が解説

無申告でも大丈夫?ペナルティの種類と対処法を税理士が解説

個人事業主や中小企業の無申告サポートを手掛ける、横浜市の岩本隆一税理士事務所、代表、岩本隆一です。 私が税理士を目指した理由は、身近にいた顧問税理士の先生方が、親身になって家族の会社を守る姿に憧れたからという、非常にシン・・・...

あわせて読みたい
お問い合わせ