相続税申告の流れと10か月のスケジュール|家族が月ごとにやること

相続税申告の流れと10か月のスケジュール|家族が月ごとにやること

横浜市で相続税申告のサポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「親が亡くなった。相続税の申告が必要かもしれないが、何から始めればいいのか分からない」「期限は10か月と聞いたが、その間に何をどの順番でやるのか」「兄弟で分け方がまとまらないまま期限が来たらどうなるのか」――相続税の申告は、ほとんどの方にとって人生で1〜2回しか経験しないため、全体像が見えないまま時間だけが過ぎてしまいがちです。

この記事では、亡くなった後の手続きを税務の視点で月ごとに整理した10か月のスケジュール、税理士に相談するおすすめのタイミング、遺産分割がまとまらないときの申告の仕方、期限に間に合わない場合のリスク、当事務所の進め方と初回相談で持参する資料を解説します。本記事は2026年11月6日時点の相続税法・所得税法と実務に基づいています。

相続税申告の10か月スケジュール

相続税の申告と納税の期限は、「相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内」です。準確定申告(亡くなった方の所得税の申告)は4か月以内、相続放棄は3か月以内と、途中にも期限があります。亡くなった日を起点に、家族がやることを月ごとに並べると次のようになります。

相続税申告までの10か月の流れ

亡くなった日を起点に、家族がやることを時期ごとに並べました。

7日〜14日以内死亡届の提出、年金の受給停止、健康保険の資格喪失などを行います。葬儀費用の領収書は保存します。
1〜2か月目:相続人と財産遺言書の有無を確認し、戸籍で相続人を確定します。残高証明書などで財産を調べ、税理士に相談するのもこの時期がおすすめです。
3か月以内:相続放棄借金が財産を上回る可能性があれば、家庭裁判所で相続放棄・限定承認の手続きをします。
4か月以内:準確定申告亡くなった方の1月1日から亡くなった日までの所得税を申告し、納付します。
5〜9か月目:評価と分割財産を評価して遺産分割を話し合い、遺産分割協議書と申告書を作成します。
10か月以内:申告・納税相続税の申告書を提出し、納税します。遺産分割がまとまらなくても、期限は延びません。
亡くなってから1〜2か月の時期に相談すると、余裕をもって準備を進められます。
出典:国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」、No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」。本文の説明を図にまとめたものです。
  • 7日以内:死亡届の提出(葬儀社が代行することが多い)、火葬許可証の受け取り。
  • 14日以内:年金の受給停止(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内。日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は原則として届出を省略できます)、健康保険の資格喪失(国民健康保険は14日以内)、世帯主の変更(亡くなった方が世帯主で、15歳以上の世帯員が2人以上残る場合など)。葬儀費用の領収書はすべて保存します(相続財産から差し引けます)。
  • 1か月目:遺言書の有無を確認します。自筆証書遺言(法務局に保管していないもの)は家庭裁判所の検認が必要で、公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言は検認不要です。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めて相続人を確定し、通帳・証券・保険証券・不動産の権利証・固定資産税の納税通知書から財産の概要をつかみます。
  • 2か月目:財産調査を本格化します。金融機関の残高証明書(亡くなった日時点)と過去の取引履歴、不動産の固定資産評価証明書・登記事項証明書、生命保険の支払通知などを集めます。このあたりで税理士に相談し、申告が必要かどうかと税額の概算、今後のスケジュールを確認するのがおすすめです。
  • 3か月以内:相続放棄・限定承認の期限です。借金が財産を上回る可能性がある場合は、この期限までに家庭裁判所で手続きします。財産調査が間に合わない場合は、期間の伸長を申し立てることもできます。
  • 4か月以内:準確定申告(亡くなった方の1月1日から亡くなった日までの所得税の申告)と納付。事業所得や不動産所得があった方、給与が2か所以上あった方、年金が400万円超の方などが対象です。消費税の課税事業者だった場合は消費税の準確定申告も必要です。
  • 5〜7か月目:財産の評価(土地の評価、非上場株式の評価など)を進め、遺産分割の話し合いを行います。納税資金をどの財産から出すかも、この段階で考えます。亡くなった方の口座は凍結されているため、遺産分割前に葬儀費用などを引き出す必要があれば、預貯金の仮払い制度(相続開始時の残高×1/3×法定相続分まで、1金融機関あたり150万円が上限)を使えます。
  • 8〜9か月目:遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印を押印します。申告書を作成し、添付書類をそろえます。
  • 10か月以内:申告書の提出と納税。納税は原則として現金一括ですが、要件を満たせば延納(分割払い)や物納も選択できます。
  • 申告後:預金・株式の名義変更や解約、不動産の相続登記(2024年4月から義務化され、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内)。未分割で申告した場合は、分割後4か月以内の更正の請求(後述)。

この流れの中で、「申告が必要かどうか」の判断は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)との比較で行います。判定の仕方は「相続税の申告が必要かどうかの判定方法」で解説しています。

(仮定例)4月10日に亡くなった場合の主な期限

ある年の4月10日に親が亡くなり、子がその日に亡くなったことを知ったとします。この場合、相続放棄の申述は知った時から3か月以内の7月10日まで、準確定申告は翌日から4か月以内の8月10日まで、相続税の申告と納税は翌日から10か月以内の翌年2月10日までが期限です。税金の申告期限が土日祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。

亡くなってから1〜2か月後の5月〜6月に税理士に相談すれば、7月10日までに財産と借入金の概要を確認して相続放棄の要否を判断でき、残りの期間で財産の評価、遺産分割、申告書の作成を進められます。実際の事例ではありません。

出典:国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」、No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」、裁判所「相続の放棄の申述」

税理士に相談するおすすめのタイミング

最もおすすめなのは、四十九日を終えて少し落ち着いた、亡くなってから1〜2か月の時期です。この時点で相談すると、申告の要否と概算税額が分かり、残りの8〜9か月で資料集め・評価・分割・申告を無理なく進められます。相続放棄(3か月)や準確定申告(4か月)の期限にも間に合います。

「財産が少ないから関係ない」と思っていても、横浜市内に持ち家があり、預貯金や生命保険を合わせると基礎控除を超えるご家庭は少なくありません。当事務所の無料相談では、財産の大まかな内容を伺って申告の要否を判定し、「申告は不要でした」という結果でも構いません。亡くなってから6か月以上経っている場合でも対応は可能ですが、資料集めと分割の時間が圧縮されるため、早めにご連絡ください。

遺産分割がまとまらないときの申告(未分割申告)

申告期限までに遺産分割が決まらなくても、申告と納税の期限は延びません。その場合は、各相続人が法定相続分で財産を取得したものとして計算し、いったん申告・納税します(未分割申告)。注意したいのは、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は、分割が決まった財産にしか適用できないため、未分割の状態では使えず、税額が大きくなることです。

そこで、未分割で申告するときは「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付しておきます。これにより、申告期限から3年以内に分割が成立すれば、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求をして、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用し、納めすぎた税金の還付を受けられます。3年以内に分割できないやむを得ない事情(調停・審判中など)がある場合は、3年経過日の翌日から2か月以内に税務署の承認を受ければ、期間をさらに延ばせます。分割見込書を出し忘れると特例が使えなくなるため、未分割で申告する場合は必ず添付してください。

期限に間に合わない場合のリスクと加算税・延滞税

申告期限を過ぎてから申告した場合、本来の税額に加えて無申告加算税がかかります。税務署の調査の通知を受ける前に自主的に申告すれば5%、通知後は15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)が基本です。さらに、納税が遅れた日数に応じて延滞税がかかります(「延滞税の計算シミュレーション」)。加えて、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、期限後申告でも要件を満たせば適用できますが、分割の成立と申告書への記載・書類の添付が必要です。

「財産の評価が終わらない」「相続人の一人と連絡がつかない」といった理由で期限に間に合いそうにない場合も、概算で期限内に申告しておき、後から修正申告や更正の請求で整える方法があります。無申告のまま放置するのが最も不利です(「相続税の無申告は時効がある?」)。

当事務所の進め方と初回相談で持参する資料

当事務所では、ご予約(電話・LINE)→無料相談(財産の大まかな内容から申告の要否とスケジュールを確認)→ご検討→ご依頼(資料収集から申告までサポート)の流れで進めます。通常はご依頼から2〜3か月で申告まで完了し、期限が迫っている場合は最短1か月程度での対応も行っています。行政書士の資格もあるため、遺産分割協議書の作成まで対応し、相続登記は提携の司法書士をご紹介します。

初回相談では、次のものがあれば話が具体的になります。そろっていなくても相談はできます。

  • 家族関係が分かるメモ(配偶者・子・孫などの構成、養子の有無)
  • 固定資産税の納税通知書(不動産の所在と評価額の目安が分かります)
  • 通帳(亡くなった方のものと、分かれば家族名義のもの)
  • 生命保険の証券または支払通知
  • 証券会社の取引報告書、持株会・非上場株式の有無
  • 借入金の返済予定表、葬儀費用の領収書
  • 遺言書の有無、過去に贈与を受けた記録(贈与税の申告書控え)

必要書類の取得先と日数は、別記事「相続税申告に必要な書類一覧」で詳しく解説します。料金は相続税申告サポートのページの料金案内をご覧ください。

まとめ:1〜2か月目に相談すれば、10か月は十分に間に合う

相続税の申告は、亡くなった日の翌日から10か月以内で、途中に相続放棄(3か月)と準確定申告(4か月)の期限があります。1か月目に遺言書・相続人・財産の概要を確認し、2か月目に財産調査と税理士への相談、5〜7か月目に評価と遺産分割、8〜9か月目に協議書と申告書の作成、10か月以内に申告・納税、という流れが基本です。分割がまとまらなければ法定相続分で申告し、分割見込書を添付して3年以内の更正の請求で特例を適用します。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税がかかるため、間に合わない場合も概算で申告しておくことが大切です。

「相続税申告の流れと10か月のスケジュール」まとめ

  • 期限:相続放棄3か月、準確定申告4か月、相続税申告・納税10か月(いずれも亡くなった日の翌日起算)、相続登記3年
  • 1か月目:遺言書の確認(自筆証書は検認)、戸籍で相続人確定、財産の概要把握、葬儀費用の領収書保存
  • 2か月目:残高証明・評価証明などの財産調査、税理士に相談して申告要否と概算税額を確認
  • 5〜7か月目:財産評価・遺産分割協議・納税資金の検討(仮払い制度は1金融機関150万円まで)
  • 8〜10か月:遺産分割協議書・申告書の作成、申告・納税(延納・物納の選択肢あり)
  • 未分割なら法定相続分で申告+「3年以内の分割見込書」を添付。分割後4か月以内の更正の請求で配偶者軽減・小規模宅地等を適用
  • 期限後は無申告加算税(自主5%、通知後15〜30%)と延滞税。間に合わなければ概算で申告し後から修正

「相続税申告のスケジュール」に関するよくある質問

A.残り3か月あれば、財産の内容が複雑でない限り申告は可能です。当事務所では期限が迫っている場合、最短1か月程度での申告にも対応しています。ただし、残高証明書や固定資産評価証明書の取得に1〜2週間、戸籍の収集に数週間かかることがあるため、すぐに資料集めを始める必要があります。遺産分割がまとまらない場合は、法定相続分で申告して分割見込書を添付し、後から更正の請求をする方法を取ります。まずは今日の時点で何がそろっているかを教えてください。

A.亡くなった方の1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人全員が連署して(または各相続人が別々に)、亡くなった方の納税地の税務署に4か月以内に申告します。年金収入のみで400万円以下、かつ他の所得が20万円以下の方は申告不要です。事業や不動産賃貸をしていた方、医療費控除で還付を受けられる方は申告が必要(または有利)です。亡くなった日までに支払った医療費・社会保険料・生命保険料は控除の対象になります。還付になる場合は、還付金も相続財産に含まれます。

A.まず、亡くなった方の預貯金を納税に充てられるよう、遺産分割(または一部分割)を早めに成立させて解約・払戻しを進めます。それでも不足する場合は、税額が10万円を超え、金銭での納付が困難な事情があれば、担保を提供して年賦で納める「延納」を申告期限までに申請できます(利子税がかかります)。延納でも納められない場合は、不動産などで納める「物納」の制度もありますが、要件が厳しく、申告期限までの申請が必要です。相続した不動産を売却して納税資金にする場合は、売却の時期と譲渡所得税(取得費加算の特例)も合わせて検討します。納税方法は申告期限より前に決める必要があるため、資金に不安がある場合は早めにご相談ください。

相続税申告の流れ・スケジュールのご相談は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。

「申告が必要かどうか知りたい」「何から始めればいいか分からない」「期限が迫っている」など、相続税のことなら、お気軽にご相談ください。横浜市内の方を中心に、代表税理士が直接対応します。無料相談では申告の要否とスケジュールを整理し、無理な勧誘はいたしません。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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