横浜市で会社設立費用を抑えるには?特定創業支援等事業と登録免許税の軽減

横浜市で会社を設立する予定の方は、登記の前に「特定創業支援等事業」を確認しておきましょう。

対象となる創業支援を受け、必要な条件を満たすと、会社設立時の登録免許税を抑えられます。最低税額が適用される場合、株式会社は15万円から7万5,000円、合同会社は6万円から3万円になります。

ただし、横浜市に住んでいるだけで自動的に適用される制度ではありません。この記事では、費用の軽減額と、設立前に確認したい手続きを解説します。

※2026年11月4日時点の公表情報に基づきます。

いくら安くなる?軽減されるのは登録免許税

登録免許税は、会社の設立登記にかかる税金です。この制度を利用した場合の税額は、次のようになります。

  • 株式会社:通常は資本金の0.7%、最低15万円。軽減後は資本金の0.35%、最低7万5,000円。
  • 合同会社:通常は資本金の0.7%、最低6万円。軽減後は資本金の0.35%、最低3万円。

例えば、資本金300万円で設立する場合、株式会社では7万5,000円、合同会社では3万円、登録免許税の負担が少なくなります。

「設立に必要な費用すべてが半額になる」という意味ではありません。定款に関する費用や専門家報酬、講座の受講料などは分けて考える必要があります。

出典:横浜市「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明に関する注意事項」

特定創業支援等事業とは

創業に必要な「経営・財務・人材育成・販路開拓」を継続して学ぶ、認定されたセミナーや相談支援です。国の資料では、4回以上の授業を行う創業セミナーなど、原則として1か月以上継続する支援が代表例として挙げられています。

一般的な起業セミナーなら何でも対象になるわけではありません。横浜市が掲載する対象事業から選び、修了条件を確認しましょう。講座ごとに期間・料金・実施方法が異なるため、設立予定日から逆算して検討することが大切です。

出典:中小企業庁「産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画のガイドライン」、中小企業庁「2026年版中小企業白書」コラム3-2-3、横浜市「創業支援・対象セミナー一覧」

横浜市に住んでいれば利用できる?

証明書の発行対象になるかどうかと、登録免許税の軽減を受けられるかどうかは、分けて確認します。

横浜市の証明書は、直近5か年度以内に対象の支援を修了し、市内での創業・事業、または市内居住に関する条件などを満たす方が対象です。

一方、登録免許税の軽減は、創業前の個人や創業後5年未満の個人が、横浜市内で株式会社・合同会社を設立する場合が対象です。市内在住でも、横浜市の証明書で他市町村に会社を設立する場合、この軽減は受けられません。

個人事業を続けたまま別の会社を新設する場合は、横浜市の証明書発行対象外です。一方、その個人事業を法人成りする場合は、開業届に記載した開業日から5年未満であることが必要です。

なお、横浜市は、個人事業を廃業している場合は証明書の発行対象になると案内しています。ただし、居住地・創業地や受講修了時期など、その他の発行条件も満たす必要があります。

2社目の創業は原則として対象外です。ただし、市の創業支援ページには、1社目の代表を退いている場合や1社目を廃業している場合は登録免許税の軽減を受けられる旨の案内もあります。証明書の発行対象に関する記載とは説明の範囲が異なるため、該当する方は受講前に横浜市へ証明書の発行可否と適用条件を確認してください。

出典:横浜市「証明書の発行対象者」、横浜市「創業支援・登録免許税減免の注意事項」、横浜市「証明に関する注意事項」

手続きは会社の登記前に進める

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 自分と設立予定の会社が対象になるか確認する
  2. 対象講座に申し込み、必要な支援をすべて受ける
  3. 横浜市に証明書を申請する
  4. 証明書を受け取り、設立登記の際に提出する

登録免許税の軽減を受けるには、横浜市の案内上、会社法上の発起人かつ会社の代表者となる本人が証明を受ける必要があります。セミナーも代表者本人がすべての回を受講する必要があり、役員や社員による代理受講では対象になりません。

また、すでに登記を終えた会社は、この登録免許税の軽減を後から受けることはできません。すでに設立した会社が組織変更を行う場合も、この軽減の対象外です。設立を急いでいる場合ほど、先に受講日程と証明書の発行時期を確認しましょう。

出典:横浜市「創業支援の流れ・注意事項」、横浜市「証明に関する注意事項」

証明書は即日発行されない

横浜市の案内では、証明書の発行には申請書受領後、5営業日程度かかります。郵送を利用する場合は、郵送日数も必要です。

発行手数料は無料ですが、講座の受講料は別途確認してください。2026年11月4日時点では、電子申請システムのメンテナンスにより、郵送または窓口での申請が案内されています。申請前に横浜市の公式ページで最新の受付方法を確認しましょう。

証明書には有効期限があります。現行案内では、登録免許税の軽減規定の適用期限は2027年3月31日です。ただし、創業時期や支援を受けた年度によって、それより早く証明書の期限が来る場合があります。

出典:横浜市「証明書の申請・受取・有効期限」

融資や補助金の制度も確認できる

特定創業支援等事業の証明書は、登録免許税以外の支援にも関係します。

例えば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、有効な証明書を取得した方が特別利率の対象になります。ただし、融資には別途審査があり、借り入れが保証されるわけではありません。

また、創業関連保証や小規模事業者持続化補助金〈創業型〉なども確認する価値があります。

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉では、特定創業支援等事業による支援を受けた日と開業日(設立年月日)の両方が、公募締切日から遡って1年以内に含まれることが要件です。申請する回の公募要領で、対象期間とその他の条件を確認してください。

各制度には独自の対象条件や申請時期があるため、証明書を取れば必ず利用できるとは考えず、最新の募集要項を確認しましょう。

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」、横浜市「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明に関する注意事項」、小規模事業者持続化補助金〈創業型〉事務局

会社設立は、費用とスケジュールを一緒に考えましょう

横浜市で会社を設立するなら、特定創業支援等事業は設立前に確認したい制度の一つです。

まずは対象となるかを確認し、受講料と税額の軽減額、修了までの期間、希望する設立日を比べて検討しましょう。会社形態や資本金、設立後の税務・会計も含めて準備すると、設立後の手続きも進めやすくなります。

会社設立に向けた準備については、当サイトの「会社設立サポート」ページもご覧ください。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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