フリーランス ITエンジニアが無申告になりやすい3つの理由

あなたのスマホに突然、知らない番号から着信が。出てみると「税務署の者ですが…」という恐怖の一言。

「え、ぼくですか?なにか問題でも…?」

「はい、あなたの過去5年分の確定申告が提出されていないようですが…」

というシナリオを想像してみてください。心臓が飛び出るような感覚ではないでしょうか。

実はこのシナリオ、当事務所に相談に来るフリーランスエンジニアの方によく聞く話なんです。

では、なぜITエンジニアは無申告になりやすいのでしょうか?

1. コードは書けるのに、帳簿は書けない問題

フリーランスエンジニアの皆さんは複雑なシステムを設計し、バグを徹底的にデバッグし、クライアントの厳しい要求に対応できる天才たち。でも、なぜか「確定申告」という年に一度のタスクをこなせないのはなぜ?

これは「技術的負債」ならぬ「税務的負債」です。

僕が対応したあるエンジニアはこう言いました。

「岩本さん、僕はAWS上に負荷分散したマイクロサービスを構築できるのに、freeeで経費をつけることができないんです」

つまり、エンジニアの脳は「技術的に難しいこと」に対しては無尽蔵のリソースを割けるのに、「面倒くさいけど技術的には簡単なこと」に対してはものすごく忌避感があるのです。

さらに問題なのは、フリーランスになりたての頃は収入も少なく、「税金なんて払わなくていいだろう」という誤解をしがち。そして気づけば年収1000万円超えなのに無申告…という悲劇が始まるのです。

2. 「税務署VSエンジニア」という最悪の非対称戦争

あなたはGitHubでコードをpushするとき、コンフリクトを恐れますか?もし何か問題があったらプルリクを却下されるだけですよね。

でも税務署とのコンフリクトは全く違います。

彼らはあなたのすべての取引履歴を要求する権利を持っています。開発環境を整えるために買ったMacBook Proのレシート?「なぜこれが必要経費なのか説明してください」。海外カンファレンス参加費?「事業との関連性を証明してください」。

さらに恐ろしいのは、税務署にはあなたの取引データがすでに存在する可能性があることです。

クライアントがあなたに支払った報酬は、クライアント側で「外注費」として経費計上されています。その情報と、あなたの申告内容が一致しなければ、税務署のAIシステムが「この人、怪しい!」と判断するわけです。

これは最悪の非対称戦争です。あなたは自分の収入と経費しか知らないのに、税務署はあなたが知らない情報まで知っているのですから。

3. エンジニア特有の「お金の入り方」の複雑さ

一般的なサラリーマンは、毎月25日に給料振込、ボーナス年2回、という単純なパターンです。

しかしフリーランスエンジニアの収入はカオスそのもの:

  • A社からは源泉徴収あり、月末払い
  • B社からは源泉徴収なし、検収後45日払い
  • C社は海外企業でUSD建て、Paypal経由
  • クラウドソーシングサイトからの小口案件多数
  • 個人開発アプリの収益(AppStore/GooglePlay)
  • 技術書執筆の印税
  • YouTubeやnoteの収益

この収入の複雑さがエクセルシートを破壊し、確定申告への意欲を根こそぎ奪っていくのです。

特に厄介なのは、源泉徴収されているものとそうでないものが混在している点。「源泉徴収されているから大丈夫だろう」という誤解から無申告に陥るケースが非常に多いです。

エンジニアが陥る「無申告スパイラル」とその恐怖

無申告は複利で効いてきます。最初の1年を逃すと、次の年はより心理的ハードルが上がります。

「去年も出してないし、今さら出すと怒られるんじゃ…」

そして3年、4年と経過すると、もはや心理的に手をつけられない「レガシーコード」状態に。自分で修正するのは不可能と感じるようになるのです。

しかし放置すればするほど、ペナルティはどんどん増えていきます:

  • 無申告加算税(税務署指摘前なら5%、指摘後なら15%〜30%)
  • 延滞税(年2.4%〜8.7%が日割りで加算)
  • 青色申告特別控除の喪失(最大65万円)

これを5年分計算すると…本来の税額の1.5倍以上になることも珍しくありません。

僕が対応したあるエンジニアは、本来納めるべき税金600万円に対し、ペナルティだけで230万円も追加で支払うことになりました。これはMacBook Pro 5台分です!

税務署からの電話がかかってくる前に

もしあなたが「やばい、俺のことだ…」と感じているなら、今すぐアクションを起こしましょう。

具体的には:

1. 「完璧主義」を捨てる

エンジニアは「完璧なコード」を書きたがる傾向があります。しかし税務申告において重要なのは「完璧さ」ではなく「提出すること」です。

多少の誤差があっても、期限内に提出した確定申告書は、無申告よりも100倍マシです。

2. 会計ソフトを使いこなす

freee、MFクラウド、やよいの青色申告などのクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携できます。毎日10分の作業で、確定申告が劇的に楽になります。

GitHubのコミットを毎日するように、経費登録も日次でやりましょう。

3. 専門家に依頼する(最も効率的な選択)

自分でコードを書くか、既存のライブラリを使うか、という選択と同じです。

税務のプロに依頼することで、あなたは本業に集中できます。時間単価の高いエンジニアなら、自分で確定申告に悩むより、専門家に依頼した方がコスパが良いケースが多いです。

4. 最悪でも「期限後申告」を

すでに無申告状態が続いている場合でも、税務署からの連絡前に自主的に申告することで、ペナルティを大幅に軽減できます。

「無申告加算税」は税務署から指摘される前なら5%、指摘された後なら15%〜30%です。この差は年収が高いエンジニアほど絶対額として大きくなります。

実例:「5年無申告」からの生還

当事務所のクライアントKさん(34歳・フルスタックエンジニア)は、フリーランス5年目にして無申告状態でした。

年収推移:

  • 1年目:700万円
  • 2年目:950万円
  • 3年目:1,200万円
  • 4年目:1,500万円
  • 5年目:1,800万円

このまま放置していたら、おそらく税金+ペナルティで1,000万円以上の請求が来ていたでしょう。さらに「悪質」と判断されれば、重加算税(40%)が課される可能性もありました。

しかし税務署から連絡が来る前に自主的に申告したことで、ペナルティは約200万円に抑えることができました。

おわりに:あなたのスキルセットに「税務」も追加しよう

プログラミング言語やフレームワークと同じように、税務の知識もスキルセットの一部と考えましょう。

React、Vue、Angular…そしてTax。

そう考えれば、確定申告も単なる「年に一度のデプロイ作業」に過ぎません。適切にCICD(継続的な帳簿入力と確定申告)を構築すれば、あなたのビジネスはより強固になります。

当事務所ではいつでもフリーランスエンジニアの税務相談をお受けしております。無申告からの復帰、適切な経費計上のアドバイス、確定申告のサポートなど、ITエンジニアの皆様の税務面での不安を解消するお手伝いをいたします。お気軽にお問い合わせください。

執筆者紹介

代表

代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で累計1,000件以上の実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、無資格スタッフに丸投げせず代表自らが直接対応します。税務調査対応とIT(クラウド会計・LINE)を活用したスピード処理に圧倒的な強みを持ち、土日夜間もフットワーク軽く経営者を守り抜きます。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

不安を安心に変える、横浜で最も信頼される経営者の味方へ。

「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、あなたの「一番の理解者」として全力でサポートします。
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