帳簿・領収書は何年保存する?個人・法人の保存期間と整理の基本
税務資料の保存期間は、個人か法人か、申告の種類、書類の種類によって異なります。「全部5年」「全部7年」とまとめず、適用される制度と起算日を確認しましょう。
保存期間は、申告の種類と書類の種類で異なります。
1.白色申告の個人事業者
事業所得、不動産所得、山林所得を生ずべき業務を行う方には、記帳・保存制度があります。所得が300万円以下なら帳簿を保存しなくてよい、という制度ではありません。
収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、任意に作成した帳簿は5年、決算関係書類や請求書・領収書などは5年が基本です。
保存期間は、帳簿は閉鎖の日の属する年の翌年3月15日の翌日、書類は作成または受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から数えます。消費税の仕入税額控除に必要な請求書等や、適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写し等には、別途7年保存が必要なものがあります。
起算点等の出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた」白色申告者の帳簿書類の保存期間(PDF4ページ・冊子2ページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou03.pdf
出典:国税庁 No.2080
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
なお、業務に係る雑所得では、前々年分のその業務の収入金額が300万円を超える場合、その業務に関する現金の収受・払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された領収証等の現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。事業所得等の白色申告の記帳義務や、次節の青色申告の300万円以下という条件とは別の取扱いです。
出典:国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」業務に係る雑所得の書類保存
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
2.青色申告の個人事業者
帳簿や決算関係書類等は原則7年で、書類によっては5年となるものがあります。国税庁は、5年保存でよい書類の例として、請求書・見積書・納品書・送り状などを挙げています。
領収証、預金通帳、借用証などの現金預金取引等関係書類は原則7年です。ただし、前々年分の事業所得と不動産所得の金額の合計が300万円以下の方は5年となります。この300万円の条件は、青色申告者の該当書類についての条件であり、白色申告者の記帳・保存義務を免除するものではありません。
消費税の仕入税額控除に必要な請求書等や、適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写し・提供した電磁的記録は、別途7年保存が必要です。所得税だけの5年という期間で廃棄しないでください。
保存期間は、帳簿は閉鎖の日の属する年の翌年3月15日の翌日、書類は作成または受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から数えます。
起算点・書類区分等の出典:国税庁「記帳のしかた及び帳簿の保存」帳簿書類の保存期間(PDF42ページ・掲載ページ35)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0023005-091_01.pdf
出典:国税庁 No.2070
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
3.法人の帳簿書類
法人税の帳簿と取引に関して作成・受領した書類は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します。ただし、帳簿については、法人税の申告期限延長特例を適用している場合などに一定の月数が加算されます。帳簿と書類の起算点を一律に延長後の申告期限へそろえないようにしてください。
青色申告の欠損金額が生じた事業年度や、青色申告でない事業年度で災害損失金額が生じた場合は10年間です。平成30年4月1日前に開始した該当事業年度は9年間となります。単に「赤字ならいつでも10年」と判断しないでください。
2026年4月1日以後に開始する事業年度の関連者間取引では、対価の算定に必要な事項が取引書類等に記載されていない場合、所定の書類を申告期限までに取得または作成し、保存する特則もあります。該当する法人は国税庁の最新案内を確認してください。青色申告法人以外の普通法人等にも同様の取扱いがあります。
会社法など別の法律による保存義務もあるため、税法の期間だけで廃棄を決めないことが大切です。
出典:国税庁 No.5930
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
出典:国税庁「法人税のあらましと申告の手引」帳簿書類の保存(10ページ)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/01.pdf
消費税の保存対象と起算日は別に確認する
消費税の課税事業者が保存する帳簿は、原則として、その閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します。仕入税額控除の要件となる帳簿・受領請求書等は、帳簿は閉鎖の日、請求書等は受領した日の属する課税期間を基に起算します。適格請求書等の電磁的記録も対象に含まれます。
適格請求書発行事業者が交付したインボイスの写しや提供した電磁的記録は、交付・提供した日の属する課税期間の末日の翌日から、通常は2か月を経過した日から7年間保存します。受領した請求書等と、発行した写し等を分けて管理しましょう。
消費税の確定申告期限の延長特例を適用している法人は、これらの起算日が、当該課税期間の延長後の消費税申告書提出期限の翌日となります。国税庁の案内では通常、課税期間の末日の翌日から3か月を経過した日から7年間と説明されています。施行令第63条の2第2項による第50条・第70条の13等の読み替えに基づくもので、法人税や所得税の全書類を一律に3か月起算とするものではありません。清算など別の取扱いがある場合も、適用条文と期限を個別に確認してください。
仕入税額控除のための帳簿・請求書等には、6年目・7年目はいずれか一方を保存すればよいという取扱いがありますが、交付インボイスの写し等の保存義務や、所得税・法人税等の保存義務までなくなるわけではありません。
出典:国税庁「No.6621 帳簿の記載事項と保存」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6621.htm
出典:国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm
出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm
出典:国税庁「適格請求書等の写しの保存」問79
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-10.pdf
出典:e-Gov法令検索「消費税法施行令」第50条・第63条の2第2項・第70条の13
https://laws.e-gov.go.jp/law/363CO0000000360
4.紙の保存と電子データの保存を分ける
電子データでやり取りした取引情報は、原則として電子データのまま保存する必要があります。改ざん防止・可視性などの要件や猶予措置は、国税庁の最新案内で確認してください。
電子取引データを紙に印刷するだけでは、原則としてこの保存義務を満たしません。紙で受け取った書類をスキャンして保存する「スキャナ保存」とは別の制度です。
「PDFにしたから紙はすぐ捨ててよい」「消費税の免税事業者だから帳簿の保存義務はない」とは判断しないでください。消費税やインボイスに関する保存要件と、所得税・法人税の保存義務も区別する必要があります。
出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
5.必要な資料へたどり着けるように整理する
実務上の整理方法として、年分・事業年度ごとに、売上、仕入・経費、給与、契約、申告・納税の記録を分ける方法があります。取引日・取引先・金額から、帳簿と根拠資料を対応させられるようにしましょう。
資料の種類、対象期間、保管先、保存期限を一覧にすると、担当者が変わっても確認しやすくなります。電子データはバックアップと閲覧環境を確保してください。これは整理の助言であり、法令上の電子保存要件を代替するものではありません。
国税庁が公表した事例:売上の書類だけを捨てていたケース
国税庁の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、給与収入のほかにゲーム機器やスマートフォンなどの転売収入があったのに、所得税を申告していなかった人の調査事例が紹介されています。この人は、経費の書類は申告に必要になるかもしれないと考えて保存していた一方、売上に関する書類はすべて破棄していたため、税務署は取引先への反面調査などで転売収入を把握しました。
所得税に加えて、消費税の課税事業者に当たるとして消費税も課税され、書類の破棄は隠蔽行為に当たるとして重加算税が課されています。追徴税額は、所得税(7年分)が約2千7百万円、消費税(1年分)が約2百万円です。売上の資料も、経費の資料と同じように保存期間に沿って残しておくことが大切です。
出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」事例2
まとめ
保存期間は書類ごとに判定し、最も短い期間へ一律にそろえないことが大切です。廃棄前には、他の税法・会社法等の保存義務や、進行中の確認・紛争の有無も確認しましょう。
最終確認・更新:2026年11月6日。 ※2026年11月5日時点の一般的な解説です。個別の保存期間と電子保存要件は、適用制度・書類・対象年度に応じて確認してください。
税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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