印紙税税務調査で指摘されやすいポイントと対応策
税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
今日は「印紙税の税務調査」について書いてみようと思います。
正直、印紙税って地味じゃないですか?法人税とか所得税と比べると、なんか脇役感がすごい。でも、これが意外と侮れないんですよね。税務調査でガッツリ指摘されて、追徴課税でヒーヒー言ってる会社を何度も見てきました。
「えー、印紙なんて貼り忘れただけでしょ?」って思うかもしれませんが、甘い、甘すぎる。印紙税の世界は思ってるより奥が深くて、しかも税務署も結構本気で見てきます。
なぜ印紙税が税務調査で狙われるのか
これ、理由がちゃんとあるんです。
まず、印紙税って「軽く見られがち」なんですよね。だから対策が甘い会社が多い。税務署からすると、「ここ掘れば出てくる」的な感じなんでしょう。
それに、印紙税の間違いって「故意じゃない」ことが多いから、会社側も反論しにくいんです。「あー、確かに貼り忘れてました」「この契約書、印紙いるんですね、知らなかった」みたいな。
税務署的には、比較的簡単に追徴できる「おいしい」分野なんですよ、これが。
税務調査で必ずチェックされる書類
1. 売買契約書関係
これ、もう鉄板です。特に不動産関係の契約書。金額がデカいから印紙代も高いし、税務署も本気度が違います。
よくあるパターンが「変更契約書の印紙漏れ」。最初の契約書にはちゃんと印紙貼ってるのに、金額変更した時の変更契約書に印紙貼ってない。これ、めちゃくちゃ多いです。
2. 工事請負契約書
建設業の方、要注意です。工事の契約って、途中で金額変わることが多いじゃないですか。その度に印紙が必要になるケースがあるんですが、見落としがち。
下請けとの契約書も要チェック。元請けの契約書にはちゃんと印紙貼ってるのに、下請けとの契約書は貼ってない、みたいなパターン。
3. 領収書
5万円以上の領収書には印紙が必要ですが、これも意外と見落とします。特に「分割払い」の領収書。一回あたりは5万円未満でも、総額で5万円超えてたら印紙必要な場合があります。
4. 手形・小切手
最近は少なくなりましたが、まだ使ってる会社もありますよね。為替手形、約束手形、小切手。これらも印紙税の対象です。
税務調査官がよく指摘するポイント
印紙の金額間違い
「一応貼ってはいるけど、金額が足りない」パターン。契約金額に応じて印紙代は変わるんですが、境界線を間違えることが多いんです。
例えば、契約金額が1000万円の場合、印紙代は1万円。でも999万円だと5000円。この1万円の違いで印紙代が倍になる。だから契約書作る時は、この境界線を意識した方がいいですよ。
電子契約との使い分け
最近増えてるのが「一部だけ電子契約」のパターン。メインの契約は電子でやってるから印紙不要だけど、変更契約は紙でやってて印紙貼り忘れ、みたいな。
電子契約なら印紙不要ですが、紙の契約書と混在してると管理が大変になります。
消印の問題
印紙貼っても消印してないと無効です。これ、意外と知らない人多い。ハンコ押すか、署名するかしないとダメ。
しかも、消印は「契約当事者」がやらないといけません。第三者が消印してもダメ。
実際にあった指摘事例
ケース1:システム開発契約書
IT企業でよくあるパターン。システム開発って「請負契約」なのか「委任契約」なのかで印紙の要否が変わります。
契約書のタイトルは「システム開発委託契約書」だったんですが、中身を見ると完全に請負契約の内容。これで印紙なしにしてたら、税務調査でバッチリ指摘されました。
ケース2:リース契約書
リース契約って基本的には印紙不要なんですが、「売買の性質を持つリース」は印紙が必要になる場合があります。
リース期間終了後に所有権が移転する契約だったのに、普通のリース契約として印紙なしで処理。これも指摘されました。
効果的な対応策
1. 契約書のチェック体制を作る
誰が見ても分かるチェックリストを作りましょう。契約書作る度に「印紙必要?金額いくら?」って確認する仕組み。
2. 電子契約の活用
正直、これが一番確実。電子契約なら印紙不要だし、管理も楽。ただし、相手方が電子契約に対応してくれない場合もあるので、そこは調整が必要。
3. 税理士との連携
契約書を作る段階で税理士に相談するのがベスト。後から「実は印紙必要でした」ってなると面倒だし、余計なコストもかかります。
4. 定期的な見直し
年に一回くらいは、過去の契約書を見直して印紙漏れがないかチェック。早めに気づけば、自主的に修正申告することで加算税を軽くできる場合もあります。
まとめ
印紙税の税務調査、甘く見ちゃダメです。地味だけど、しっかり対策しないと痛い目見ます。
特に建設業、不動産業、IT業界の方は要注意。契約書が多い業界は、それだけリスクも高いってことです。
「印紙なんて小さな話」って思わずに、しっかり管理体制を整えておきましょう。税務調査で慌てることのないように。
何か分からないことがあったら、遠慮なく税理士に相談してくださいね。印紙税の相談も、もちろん大歓迎です。