税務調査はいつまで遡る?対象期間・時効と調査範囲の基本ルール

税務調査はいつまで遡る?対象期間・時効と調査範囲の基本ルール
税理士の岩本隆一です。税務調査のご依頼募集中です。
今回は、税務調査の対象期間・時効と調査範囲について解説したいと思います。これ、実は税務調査で一番よく聞かれる質問なんですよね。
「税務調査って、一体何年前まで調べられるの?」
この疑問に、実務経験をもとにお答えしていきます。
税務調査の基本的な対象期間
まず結論から言うと、税務調査の対象期間は基本的に3年間です。
これは国税通則法に定められていて、「更正の請求ができる期間」として設定されています。つまり、税務署が「間違いを見つけたから修正してね」と言えるのは、原則として3年間ってことです。
ただし、これは「悪意がない場合」の話。実際の税務調査では、もっと複雑なんです。
実際の税務調査ではどうなる?
実務で経験している税務調査の対象期間は、こんなイメージで行われています:
定期的に税務調査を受けている場合:3年間
前回の税務調査から一定期間が経過して、定期的な調査として実施される場合は3年間が対象期間になることが多いです。
これは、前回の調査で大きな問題がなく、継続的に適正な申告をしていると税務署が判断している証拠でもあります。
初めての税務調査:5年間
会社設立後や開業後、初めて税務調査を受ける場合は5年間が対象期間になるのが一般的です。
税務署としては「今まで調査していない期間をしっかり確認したい」という気持ちがあるので、より長期間を調査対象とするんですね。
悪質な場合:7年間
もし「故意に税金を逃れようとした」と判断されると、対象期間は7年間まで延びます。これは結構重いペナルティで、該当するケースは:
- 売上の除外(いわゆる売上隠し)
- 架空経費の計上
- 帳簿の改ざんや隠蔽
みたいな、明らかに「わざとやった」と思われる行為です。
調査範囲はどこまで広がる?
基本的な調査範囲
税務調査の調査範囲は、対象期間だけじゃなくて、こんな感じで決まります:
会社の場合
- 法人税
- 消費税
- 源泉所得税
- 印紙税
個人事業主の場合
- 所得税
- 消費税
- 住民税(市町村への情報提供)
反面調査という恐怖
これが一番厄介なんですが、税務調査では「反面調査」というものがあります。
要するに、調査対象の会社だけじゃなくて、取引先にも「この会社との取引内容を教えて」って聞きに行くんです。これ、取引先からすると「あの会社、税務調査されてるらしいよ」ってバレちゃうので、信用問題に発展することもあります。
時効はいつから計算する?
時効は申告期限から5年です。
また、悪質な場合には申告期限から7年となります。
例えば、
2023年3月15日が申告期限だとした場合には、2028年3月16日には時効が成立するということですね。
実務での対応ポイント
帳簿の保存期間
法人は7年間、個人事業主は5年間の帳簿保存義務があります。
でも僕がお客さんにお勧めしているのは、最低でも7年間は保存することです。なぜかというと:
- 税務調査の対象期間が最大7年だから
- 取引先から過去の資料を求められることがあるから
- 経営判断の参考資料として使えるから
調査対象になりやすいケース
実務経験上、こんな会社は税務調査の対象になりやすいです:
- 売上が急激に増加した
- 利益率が同業他社と比べて異常に低い
- 現金取引が多い
- 海外取引がある
- 過去に重加算税を受けたことがある
逆に税務調査無いケースはこちらで記載しています。
事前準備の重要性
税務調査の連絡が来てから慌てても遅いので、普段から:
- 帳簿をきちんと整理しておく
- 領収書や請求書を整理して保管する
- 取引の根拠資料を残しておく
- 疑問に思われそうな取引は事前に説明資料を作っておく
みたいな準備をしておくことをお勧めします。
まとめ
税務調査の対象期間・時効と調査範囲について、ポイントをまとめると:
対象期間
- 定期的な税務調査:3年間
- 初めての税務調査:5年間
- 悪質な場合:7年間
調査範囲
- 法人税だけでなく、消費税や源泉税も含む
- 反面調査で取引先にも影響する可能性
対策
- 帳簿は7年間保存
- 日頃からの整理整頓が重要
- 疑問に思われそうな取引は説明資料を準備
税務調査って、経営者にとっては本当にストレスフルな出来事です。でも、普段からきちんと帳簿をつけて、適正な申告をしていれば、そんなに怖がる必要はありません。
もし税務調査の連絡が来て不安になったら、一人で悩まずに税理士に相談することをお勧めします。経験豊富な税理士なら、適切なアドバイスができるはずです。