MENU

税務調査で何年分遡られる?期間の目安と対策方法を解説

突然ですが、税務調査って聞くとめちゃくちゃ怖くないですか?

僕もこの業界に入りたての頃は「税務調査=全部バレる=人生終了」みたいに思ってたんですけど、実際はそんなことないんですよね。でも、クライアントさんから一番よく聞かれるのが「何年分調べられるんですか?」という質問。

今日はこの疑問を、できるだけわかりやすく解説していきます。結論から言うと、期間は調査の性格によって全然違うんです。詳しく見ていきましょう。

目次

税務調査の遡及期間は調査の性格で決まる

期間は調査のレベルで変わる

実は税務調査って、調査の性格によって遡る期間が全然違うんです。

1. 軽微な修正が必要な場合:3年間 これは「期間は短く、聞いてきてる」という状態です。税務署も「ちょっとした修正で済みそうだな」と判断した場合、3年分だけサクッと調査して終了します。これが実務上、最も多いパターンですね。

2. 初回調査や本格的な調査:5年間 「初めての調査」や「しっかり調べる必要がある」と判断された場合は5年間遡られます。

3. 悪質性が疑われる場合:7年間 意図的な脱税や重大な過少申告が疑われる場合は、最大7年間遡って調査されます。

「悪質」というのは具体的には:

  • 意図的に売上を除外した
  • 架空の経費を計上した
  • 二重帳簿を作成していた
  • 資料を隠蔽・破棄した

なぜこんなに期間が違うの?

税務署も効率を考えているんです。軽微な問題なら短期間で済ませて、次の調査先に向かいたい。でも、問題がありそうな会社にはじっくり時間をかける。合理的ですよね。

実際の税務調査では何年分調べられるの?

調査期間の判断は最初に決まる

実務的には、税務署は調査に入る前に「この会社は何年分調べるか」をある程度決めています。

3年調査になりやすいケース:

  • 過去の申告に大きな問題がない
  • 業種的にリスクが低い
  • 軽微な修正で済みそう
  • 税務署の負担を軽くしたい場合

5年調査になりやすいケース:

  • 初回の税務調査
  • 申告内容に疑問点がある
  • 業種的にチェックが必要
  • 標準的な調査を行いたい場合

7年調査になりやすいケース:

  • 過去に重大な問題があった
  • 申告内容に明らかな異常がある
  • 内部告発や密告があった
  • 悪質性が強く疑われる場合

調査官の心理を読む

これは僕の経験談なんですが、調査官も最初の段階で調査方針を決めています。

「この会社は申告もきちんとしてるし、3年分をサクッと確認して終わりにしよう」

「初回調査だから、5年分はしっかり見ておこう」

「この申告内容は怪しいな。7年分全部調べる必要がある」

こんな感じで、調査の深度は最初からある程度決まっているんです。だから、日頃の申告がいかに大切かがわかりますよね。

期間別の対策方法

どの期間でも必要な基本書類は同じ

実は、3年・5年・7年のどの調査でも、準備すべき書類の種類は基本的に同じです。違うのは「何年分用意するか」だけなんです。

すべての調査で必要な書類:

  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 売上台帳、仕入台帳
  • 領収書、請求書の原本
  • 銀行通帳のコピー
  • 契約書類
  • 議事録(法人の場合)

チェックポイントの一部:

  • 売上計上のタイミングは適正か?
  • 経費に私的使用分が混じってないか?
  • 消費税の処理は正しいか?

3年調査の場合(標準的な調査)

軽微な修正で済む場合の3年調査なら、比較的負担は軽いです。上記の書類を3年分準備すればOK。

心構え: 税務署も「サクッと終わらせたい」と思っているので、必要な書類をきちんと準備して協力的に対応すれば、比較的スムーズに終わります。

5年調査の場合(少し厳しめな調査)

上記の書類を5年分準備する必要があります。

デジタル化のススメ 5年分となると書類の量も膨大になるので、スキャンしてクラウドに保存しておくと管理が楽になります。ただし、法的要件を満たすスキャン方法があるので、税理士に相談してくださいね。

7年調査の場合(徹底的な調査)

悪質性が疑われる場合の7年調査は、最も厳しい調査になります。上記の書類を7年分、完璧に準備する必要があります。

よくある誤解と正しい知識

誤解1:「時効があるから古い分は大丈夫」

これ、よく聞くんですけど危険な考え方です。古い分もとっておいた方が有利になることがあります。

誤解2:「書類がなければ調査できない」

書類がなくても、銀行の取引履歴や反面調査(取引先への調査)で事実は判明します。むしろ「書類を紛失した」こと自体が心証を悪くする可能性があります。

誤解3:「個人事業主は調査されにくい」

規模が小さいから調査されないということはありません。

むしろ、帳簿の管理が甘くなりがちな個人事業主の方が、調査で問題が発覚しやすいケースもあります。

まとめ:準備が全て

税務調査で何年分遡られるかは、結局のところ「あなたの申告内容次第」です。

今日から始められる対策:

  1. 帳簿をきちんとつける:これが一番大事
  2. 領収書は確実に保管:デジタル化も検討
  3. 不明な取引は税理士に相談:自己判断は危険
  4. 定期的な申告内容のチェック:矛盾がないか確認

「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、税務調査ほどこの言葉が当てはまるものはありません。

もし税務調査の通知が来てしまったら、一人で悩まず専門家に相談してください。適切な準備と対応で、調査期間を最小限に抑えることは十分可能です。

最後に、日頃からの正しい申告と帳簿管理が、結果的に一番の税務調査対策になることを覚えておいてくださいね。

よろしければシェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

岩本隆一のアバター 岩本隆一 税理士

横浜に根ざす税理士として、“今すぐ困っている”小規模事業者を支援しています。強みは、初回から代表が直接ヒアリングし、その日のうちに方針とやることを明確化する即応性。年商2,000万円前後/従業員0~3名の実情に合わせ、記帳から申告、調査当日の立会いまで一気通貫で伴走。資料不足・過去分の整理・夜間土日相談も歓迎。横浜のフットワークと、やさしい説明で不安を最短で解消します。

目次