宗教法人の駐車場収入に税金はかかる?月極・時間貸しと申告の確認点

横浜市の岩本隆一税理士事務所、代表税理士の岩本隆一です。

「境内の空いている場所を月極駐車場として貸しているけれど、申告は必要だろうか」「駐車場会社にまとめて貸せば、お寺側には税金がかからないのだろうか」。宗教法人が土地を活用するときは、契約前に税務上の扱いを確認しておきたいところです。

宗教法人でも、駐車場業などの収益事業から生じた所得には法人税がかかります。また、消費税は法人税とは別の基準で判断します。「宗教法人の所有地だから」「収入を本堂の修繕に使うから」という理由だけで、税金がかからなくなるわけではありません。

この記事では、月極・時間貸し・駐車場会社への一括貸付けを中心に、会計担当者の方が確認したい点を整理します。

宗教法人の駐車場収入は、原則として収益事業の確認が必要です

宗教法人は、法令で定める収益事業から生じた所得が法人税の課税対象になります。収益事業は34種類あり、その一つが駐車場業です。

ここでいう所得は、駐車場の収入そのものではありません。収益事業の収入から、税務上認められる経費などを差し引き、必要な調整をして計算します。収入があるだけで、その全額に税率を掛けるわけではないため、まずは収入と支出の記録をそろえましょう。

根拠:国税庁「法人税のあらまし」課税所得の範囲
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/01-02.pdf

貸し方ごとに、確認する点を分けましょう

月極駐車場として継続して貸している

近隣の方や事業者などに駐車場所を提供し、毎月料金を受け取る場合は、原則として駐車場業に当たります。利用者が檀家・信者であることや、貸している台数が少ないことだけで、収益事業から外れるわけではありません。

駐車場所としての土地の貸付けも、法人税上の駐車場業に含まれます。舗装や精算機がない場合も、設備がないという理由だけで申告不要とは判断できません。

根拠:国税庁・法人税基本通達15-1-68「駐車場業の範囲」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_31.htm

時間貸しや、行事の時期に有料で貸している

不特定の方に時間単位で有料の貸付けを継続して行う駐車場も、収益事業に当たります。また、「一年中営業していないから大丈夫」とも限りません。毎年の行事や繁忙期に繰り返し有料で貸す場合は、継続して行う事業に当たるかを確認します。

料金表、貸した日、利用状況、料金の受取り方を残しておくと、後から実態を説明しやすくなります。

根拠:国税庁・法人税基本通達15-1-5「継続して行われるもの」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm

駐車場会社にまとめて貸している

駐車場に適した土地を、駐車場所として一括で貸す事業も、法人税上は駐車場業に含まれます。運営会社が利用者から料金を集め、宗教法人は毎月決まった賃料を受け取る形でも、法人税の確認が必要です。

また、料金の集金や日常管理だけを会社に委託している場合も、委託したことで宗教法人の収益事業ではなくなるわけではありません。契約書で、土地を貸しているのか、駐車場運営を委託しているのかを確かめましょう。

根拠:国税庁「令和8年版 宗教法人の税務」冊子14頁、法人税基本通達15-1-2
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r08_shukyo.pdf
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm

参拝者に無料で利用してもらっている

宗教活動のために参拝者へ無料で駐車場所を提供しているだけなら、通常、有料の駐車場事業とは状況が異なります。ただし、無料区画と月極区画を併設している場合は、それぞれの利用状況を分けて確認します。

「協力金」「御志納」などの名前だけで税務上の扱いは決まりません。駐車利用の対価として一定額を受け取るのか、利用と引換えではない任意の寄附なのかなど、実際の運用を確認します。消費税では、反対給付のない喜捨・贈与として受け取る金品は課税対象になりません。

参考:国税庁「令和8年版 宗教法人の税務」冊子18頁「2 課税対象」、「No.6105 課税の対象」(消費税の対価性について)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r08_shukyo.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6105.htm

消費税は、法人税と別に判断します

駐車場については、「法人税の収益事業に当たるか」と「消費税の課税取引に当たるか」を分けて考えることが大切です。

駐車場という施設の利用料は、消費税の課税対象

車両の管理を行ったり、駐車場として地面を整備したり、フェンス・区画などを設けて利用させたりする場合、その利用料は消費税の課税対象になります。月極契約で1か月以上貸していても、駐車場という施設を利用させる取引なら、単なる土地の貸付けとは扱いが異なります。

根拠:国税庁「No.6213 駐車場の使用料など」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6213.htm

土地だけを貸している場合は、契約と整備状況を確認

一方、駐車場施設の利用を伴わない土地そのものの貸付けは、契約上の貸付期間が1か月以上であれば、原則として消費税は非課税です。例えば、駐車場用の地面の整備や区画・フェンス等の設置をしておらず、車両の管理もしていない土地の貸付けについては、この取扱いを確認します。

運営会社に貸している場合も、「一括貸しだから非課税」とは決められません。貸付けの対象に既存の舗装や設備が含まれるか、誰が整備・管理を行うか、契約の内容と現況がどうなっているかを確認します。法人税では収益事業に当たり、消費税では土地の貸付けとして非課税になるケースもあるため、税目ごとの整理が必要です。

根拠:国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」、消費税基本通達6-1-4、6-1-5
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6225.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/01.htm

課税取引に当たることと、納税義務があることは別

消費税の課税対象となる駐車場収入があっても、その宗教法人に消費税の納税義務があるかは、改めて判定します。

確認するのは、原則として前々事業年度に当たる基準期間の課税売上高、特定期間の課税売上高等、課税事業者の選択やインボイス登録の有無などです。駐車場以外にも課税売上があれば、法人全体で確認します。

「今年の駐車場収入が1,000万円以下だから申告不要」とは判断できません。インボイス登録をすると免税事業者ではいられなくなるため、借主に求められたときも、税負担や事務負担を確認してから判断しましょう。

根拠:国税庁「No.6121 納税義務者」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6121.htm

一般課税では、寄附金やお布施などの特定収入にも注意

宗教法人が一般課税で消費税を計算する場合、特定収入に当たる寄附金やお布施などがあり、その課税期間の特定収入割合が5%を超えるときは、仕入税額控除の調整が必要です。特定収入割合が5%以下の場合や、簡易課税制度または適用対象となる課税期間に2割特例を利用する場合、この調整は不要です。

ここでいう特定収入割合は、寄附金を駐車場の売上げだけで割った割合ではありません。駐車場の売上げ・経費だけでなく、法人全体の収入とその使途を確認しましょう。なお、この調整が不要でも、消費税の申告・納付が不要になるわけではありません。

根拠:国税庁「No.6495 国、地方公共団体や公共・公益法人等に特定収入がある場合の仕入控除税額の調整」、「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」令和8年6月版、冊子4・6・11頁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6495.htm
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/shohizei_5.pdf

宗教活動と駐車場事業の会計を分けましょう

駐車場業が収益事業に当たる場合は、宗教活動などの会計と区分して経理します。収入と費用だけでなく、資産・負債についても整理が必要です。

日々の記帳では、次のように分けると確認しやすくなります。

  • 駐車場収入:契約先・区画・対象月が分かるように記録する
  • 駐車場に直接かかった費用:管理委託料、清掃費、駐車場の照明代などを内容ごとに整理する
  • 宗教活動と共通する費用:面積や作業時間など、費用の性質に合った合理的な基準で、継続して配分する
  • 設備や借入れ:舗装、精算機などの取得資料や借入資料を保存する

例えば、同じ照明が参拝者用と月極用の両方を照らしているなら、電気代をすべて駐車場の経費にするのではなく、使用実態に合う配分を検討します。配分した割合だけでなく、その理由も残しておきましょう。

根拠:国税庁・法人税基本通達15-2-1、15-2-5
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_02.htm

なお、舗装工事や設備の購入は、支払った事業年度に全額を経費にできるとは限りません。資産として計上し、耐用年数や償却方法に応じて減価償却する場合があります。見積書・工事明細・請求書を保管し、支出の内容から確認します。

参考:国税庁「No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)」「No.5402 修繕費とならないものの判定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5410.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm

また、駐車場の収入を本堂の修繕や宗教活動に充てても、その支出をすべて駐車場事業の経費にできるわけではありません。収益事業から宗教活動側への支出には「みなし寄附金」の取扱いがあり、損金に算入できる金額にも限度があります。

根拠:国税庁「令和8年版 宗教法人の税務」冊子15頁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r08_shukyo.pdf

駐車場を始めるときに確認したい届出と申告

収益事業開始等届出書

宗教法人が新たに収益事業を開始した場合は、開始した日以後2か月以内に、所轄税務署へ収益事業開始等届出書を提出します。開始時の収益事業に係る貸借対照表や、規則の写しなども必要です。すでに別の収益事業を行っている場合は、現在の届出内容と追加で必要な手続を確認します。

根拠:国税庁「C1-6 公益法人等又は人格のない社団等の収益事業開始等の届出」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_4.htm

青色申告の承認申請

初めて収益事業を開始する年度から青色申告を希望する場合、申請期限は「開始した日以後3か月を経過した日」と「その事業年度終了の日」のうち、早い日の前日です。

決算が近い時期に始める場合は、申請までの期間が短くなります。収益事業開始等届出書とは別の手続なので、開始前から確認しておくと安心です。

根拠:国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

決算後の申告と、地方税・宗教法人法上の手続

収益事業を行う宗教法人の法人税の確定申告は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。収益事業が赤字だからといって、申告の確認が不要になるわけではありません。消費税や地方税についても、必要な申告・届出を別に確認します。

根拠:国税庁「令和8年版 宗教法人の税務」冊子16頁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r08_shukyo.pdf

税務署への届出に加え、宗教法人の規則、責任役員会等の手続、所轄庁への規則変更認証申請などの確認も必要です。神奈川県は、事業開始に伴う規則変更の案ができた段階での事前相談を案内しています。税務署に届け出れば、宗教法人法上の手続もすべて済むわけではありません。

根拠:神奈川県「事業の開始の場合」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/a7g/cnt/f7147/p26207.html

境内地の用途変更などでは、事前の公告も確認

境内地を宗教活動以外の駐車場として使用する場合などは、宗教法人法第23条に基づく公告が必要になることがあります。同条は、宗教団体を包括する宗教法人を除く宗教法人が、財産処分や境内地の用途変更など、対象となる行為をするときに適用されます。法人の規則に従った手続に加え、原則として、その行為の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対する公告が必要です。

ただし、第23条第3号から第5号までの行為には、緊急の必要に基づく場合や軽微な場合の例外があり、第5号の用途変更・目的外使用には、一時的な期間に係る場合の例外もあります。短期間だから必ず不要と自己判断せず、契約期間や整備内容などに沿って確認します。

同法第24条は、境内建物・境内地である不動産や財産目録に掲げる宝物について、第23条に違反して行った行為を無効とする一方、善意の相手方または善意の第三者に対しては、その無効を主張できないと定めています。すべての駐車場契約が一律に無効になるという意味ではありません。契約や工事に着手する前に、所轄庁や必要に応じて法律の専門家へ確認しましょう。

根拠:宗教法人法第23条・第24条、文化庁「宗教法人の管理運営」16〜20頁
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000126
https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/pdf/H27_about_kanri.pdf

固定資産税は、土地の利用実態と設備を確認

宗教法人が所有する土地でも、固定資産税が一律に非課税になるわけではありません。非課税の対象は、宗教法人が専ら本来の用に供する境内建物・境内地です。一般向けの月極駐車場や運営会社への有料貸付けなど、宗教活動以外に使用する部分は、非課税の対象外となることがあります。

利用者、料金、使用する区画などの実態に基づく確認が必要なので、貸付け前に土地所在地の市区町村へ相談しましょう。舗装や精算機等については、別に償却資産申告の要否を確認します。

根拠:地方税法第348条第2項第3号。参考:彦根市「固定資産の非課税について」(同条に基づく用途非課税の説明)、横浜市「固定資産税(償却資産)に関するよくある御質問」
https://www.city.hikone.lg.jp/kurashi/zeikin/11/5/1/29047.html
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/jigyosya/shoukyakuqa.html

すでに貸していて申告が不安なときは、資料の整理から

「前の住職の代から貸していて、当時の処理が分からない」「入金はあるけれど、駐車場分だけの収支を出していない」という場合は、分かる資料を集めるところから始めましょう。

相談前に、次の資料があると確認を進めやすくなります。

  • 宗教法人の規則、決算書、過去の申告書・届出控え
  • 利用者や運営会社との契約書、料金表
  • 貸付けを始めた時期と、その後の変更が分かる資料
  • 駐車場収入の帳簿、通帳、集金記録
  • 管理費、工事費、設備購入費などの請求書・領収書
  • 区画図、写真、参拝者用と有料区画の使い分けが分かる資料

資料がそろわない場合は、何が不足しているかも含めて確認します。現在の契約だけで判断せず、いつからどのように貸していたかを整理することが大切です。

よくあるご質問

檀家にだけ貸していれば、申告は不要ですか?

檀家に限定していることだけでは、申告不要とはいえません。駐車場所を継続して有料で提供しているかなど、契約と実態から判断します。

駐車場会社に任せれば、宗教法人側の税務処理はなくなりますか?

なくなるとは限りません。土地の一括貸付けでも、管理の委託でも、宗教法人が受け取る賃料や駐車場収入の扱いを確認する必要があります。

駐車場の利益をすべて宗教活動に使えば、法人税はかかりませんか?

使途だけで非課税にはなりません。収益事業の所得計算と、宗教活動側への支出の処理を分けて確認します。

宗教法人の駐車場収入でお悩みの方へ

宗教法人の駐車場は、貸し方や設備、会計の状況によって確認点が変わります。まずは、誰に、どの場所を、どのような条件で貸しているかを整理しましょう。

宗教法人の会計・税務相談について詳しくはこちら
https://iwamototax.com/religious-corporation-tax/

※本記事は2026年11月5日に確認した公表資料に基づく一般的な説明です。実際の取扱いは、契約内容・利用状況・事業年度等を確認して判断します。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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