顧問税理士が税務調査に立ち会ってくれない・来ないとき|別の税理士にスポットで頼めるか、費用と手順

更新日:2026年11月7日

この記事の要点

  • 税務調査の立会いは、顧問税理士でなくても、今回の調査だけを別の税理士に依頼できます。顧問契約を解除する必要はありません。
  • 新しく依頼した税理士が「税務代理権限証書」を提出すれば、その税理士が調査の窓口になります。証書は税目・年分を区切って随時提出でき、代理人が複数いる場合の定めもあります。
  • 税理士でない人(家族・経理担当・知人)が納税者の代わりに調査官へ主張することはできません。立会いを頼む相手は税理士に限られます。
  • 費用は「事前準備・当日の立会い・調査後の修正申告」の3要素で決まります。公的な基準はないため、見積りで内訳を確認しましょう。

横浜市で税務調査の立会いとスポット(単発)対応をお引き受けしている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「調査の連絡を顧問税理士に伝えたら、『立会いは契約に入っていない』と言われた」「顧問の先生が高齢で、当日は来られないらしい」「申告は自分でやってきたので、頼める税理士がいない」――税務調査の通知を受けた個人事業主や小規模法人の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

結論から言えば、立会いは今回の調査だけを別の税理士に依頼できます。この記事では、その根拠、依頼の流れ、費用の目安、顧問税理士との関係の整理の仕方を解説します。本記事は2026年11月7日時点の税理士法・国税通則法と国税庁の公表資料に基づいています。

顧問税理士が税務調査に立ち会わない・来ないのはなぜか|よくあるケース

顧問税理士がいるのに立ち会ってもらえないと、「見捨てられたのか」と感じるかもしれません。ただ、実際には税理士側にも事情があることがほとんどです。よくあるケースを一般化すると、次のとおりです。

  • 契約の範囲に調査対応が含まれていない:顧問料は記帳や申告書の作成までで、立会いは別契約・別料金という事務所は少なくありません。「別途の見積りが必要」という意味で言われていることもあります。
  • 年1回の申告だけの関与だった:税理士側は「顧問」という認識を持っていないことがあります。
  • 税理士の高齢・体調・引退:終日の立会いが難しく、後任も決まっていないケースです。
  • 繁忙期や日程の都合:確定申告期や決算が集中する時期に調査日が重なると、調整がつかないことがあります。
  • 調査対応の経験が少ない:立会いは年に数件という事務所もあり、「調査は専門の先生に」と勧められることもあります。

また、自分で申告してきた方や、記帳を税理士でない業者に任せていた方など、そもそも税理士がいない方もいます。申告を手伝ってくれた人に立会いを頼みたくなりますが、次の点に注意が必要です。

税理士以外の人は、納税者の代わりに調査官へ主張できない

調査に立ち会い、納税者の代わりに調査官へ主張や説明をすることは「税務代理」にあたり、税理士(税理士法人)の独占業務です(税理士法2条・52条)。国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問33も、記帳補助者が納税者の代わりに主張・陳述を行うことは税務代理行為にあたり、原則として税務代理人しか行えないとしています。調査官の守秘義務の観点から、第三者の同席は断られることもあります。

経理担当の従業員が事実関係を説明するために同席することは可能ですが、調査官との折衝や法令上の反論は、税理士に依頼する必要があります。

税務代理権限証書は調査ごとに別の税理士でも提出できる

税理士が税務代理をするときは、委任を受けていることを証する「税務代理権限証書」を税務署に提出します(税理士法30条)。国税庁の手続案内では提出時期は「随時」とされ、申告書に添付するだけでなく、調査が決まってから単独で提出することもできます。

国税庁の様式と記載要領を見ると、この証書は「税目」と「年分等」を区切って委任の範囲を書く仕組みです。つまり、顧問税理士が過去の申告書に添付した証書とは別に、今回の調査の対象となる税目・年分について、新しい税理士が自分の証書を提出できます。範囲を特に限定する場合は「その他の事項」欄に記載します。

さらに、様式には調査に関係する次の欄があります。

  • 調査の通知・終了の際の手続に関する同意:同意を記載すると、調査の事前通知や調査結果の説明などは、その税理士に対して行われます(国税通則法74条の9第5項、74条の11)。
  • 代理人が複数ある場合における代表する代理人の定め:顧問税理士の証書が残っている状態で別の税理士が証書を出すと、代理人が複数いる状態になります。新しい税理士を「代表する代理人」と定めておけば、複数の代理人への調査の通知は、その税理士に対して行えば足りることになります(国税通則法74条の9第6項、国税庁FAQ問15)。

このように、法令と様式そのものが「代理人が複数いること」「委任の範囲を区切ること」を前提に作られています。顧問税理士がいるからといって、別の税理士に立会いを頼めないわけではありません。税理士が調査で具体的に何をするのか、本人が答える場面はどこかは、「税務調査で税理士が代理人として行うこと」で解説しています。

例(仮定):顧問税理士がいる個人事業主が、立会いだけを別の税理士に依頼した場合

個人事業主のAさんには、確定申告を毎年依頼している顧問税理士がいます。所得税・消費税の調査(3年分)の事前通知を受けて相談したところ、「立会いは対応していない」と言われました。Aさんは別の税理士と、該当年分の調査対応に限定した委任契約を結びました。新しい税理士は、税目・年分を記載した税務代理権限証書に、調査の通知に関する同意と代表する代理人の定めを記載して提出し、調査担当者と日程を調整しました。顧問税理士には、Aさんから「調査の対応だけ専門の税理士に頼む」と伝え、申告書の控えと会計データの提供を依頼しました。説明のための仮定の例で、実際の事例ではありません。

スポット依頼の流れ|通知から調査当日まで

  1. 通知内容をメモし、日程は即答しない:事前通知では、開始日時・場所・目的・税目・対象期間・用意する帳簿書類などが伝えられます(国税通則法74条の9)。「税理士に相談して折り返します」と伝えて構いません。日程は合理的な理由があれば協議してもらえ、申出は口頭で足ります(国税庁FAQ問16・17)。
  2. 相談先を探し、初回相談を受ける:通知のメモ、対象年分の申告書の控え、帳簿(会計データ)、通帳、気になる点のメモがあると話が早く進みます。整理されていなくても構いません。
  3. 委任契約と税務代理権限証書の提出:見積りに納得したら契約し、税理士が証書を提出します。これ以降、税理士が調査担当者との窓口になります。
  4. 日程の再調整:準備期間を確保するため、必要があれば税理士が日程を協議します。税務署は税務代理人の都合や繁閑にも配慮するとしています(国税庁FAQ問16)。
  5. 事前準備(資料の点検と予行練習):申告内容を点検し、調査官が確認しそうな項目(売上の計上時期、経費の内容、在庫、家族や役員への支払い、消費税の区分など)の根拠資料をそろえます。誤りが見つかれば、調査前の修正申告も検討します。
  6. 調査当日:税理士が同席し、法令上の論点や帳簿処理の根拠を説明します。事業の内容など事実関係は本人が答える場面もありますが、準備ができているかどうかで調査の進み方は大きく変わります。

調査後は、調査結果の説明を受け、修正申告に応じるか、更正を待って争うかを判断します(国税通則法74条の11)。修正申告書の作成や納税の相談も、スポットの依頼に含められます。依頼のタイミングによる違いは「税務調査の連絡を受けてから税理士に依頼するまで」で解説しています。

費用の目安|日当・事前準備・修正申告

税理士の報酬は、2002年に税理士会の報酬規定が廃止されてから、各事務所が自由に決めています。「相場」といえる公的な基準はなく、同じ「立会い」でも事務所によって中身と金額が異なります。そのうえで、費用は一般的に次の3要素で構成されます。

  • 事前準備:申告内容の点検、資料の整理、想定問答と予行練習。対象年分の数と帳簿の整理状況で工数が変わります。各事務所の料金表などでは、数万円から十数万円程度の幅で示されることが多いようです。
  • 当日の立会い(日当):調査日数に応じた日当制が一般的で、1日あたり数万円から10万円程度の幅で示されることが多く、顧問先かスポットかで分けている事務所もあります。小規模な調査は1〜2日で終わることが多いですが、延びた場合の扱いは確認してください。
  • 調査後の修正申告:指摘があった場合に、税目・年分ごとに修正申告書を作成する費用です。数万円から十数万円程度の幅で示されることが多く、指摘がなければ発生しません。

これらは一般的な傾向で、事務所の方針や調査の規模によって上下します。見積りでは、①3要素がそれぞれ含まれているか、②日数が延びたときの追加料金、③成功報酬(追徴税額の減少分に応じた報酬)の有無、④見積り後の追加請求の有無を確認すると、行き違いを防げます。

当事務所の料金は、調査の規模や進行状況によって必要な作業が大きく異なるため、無料相談で状況を伺ったうえで個別にお見積りしています。詳しくは料金案内をご覧ください。

顧問税理士との関係はどうする?|伝え方・引き継ぎ・後日の変更

多くの方が気にされるのが顧問税理士への伝え方です。「調査の対応は専門の税理士に依頼したい」と伝えれば足り、顧問契約を解除する必要はありません。立ち会えない事情があるのですから、前向きに受け止めてくれる場合も多くあります。

一方で、調査の対応には顧問税理士の協力があると進めやすくなります。申告書の作成経緯や会計処理の理由を把握しているのは、申告書を作った税理士だからです。可能であれば、対象年分の申告書の控え・決算書・総勘定元帳(会計データ)、固定資産台帳、消費税の届出書の控え、判断に迷った処理の経緯を受け取り、立会いを頼む税理士に渡してください。

税務代理権限証書を調査対象の税目・年分に限定して提出し、代表する代理人の定めを記載しておけば、調査の連絡はスポットの税理士に集約されます。顧問税理士が引き続き記帳や次回の申告を担当する場合でも、役割を分けて進められます。

調査後に顧問を続けるか変更するかは、落ち着いてから考えて構いません。変更するなら、直前の決算・申告が終わった区切りで切り替えると引き継ぎがスムーズです。資料の受け取りや前任への伝え方は「税理士を変更する手順」で解説しています。なお、委任が終了したときは、税理士側から税務署に「税務代理の委任が終了した旨の通知」を提出する手続があります。税理士が行う手続ですので、変更後の税理士に確認してください。

当事務所のスポット対応|横浜駅から徒歩11分、代表税理士が直接担当

岩本隆一税理士事務所(横浜市西区)では、顧問契約のない方からの税務調査の立会い・事前準備・修正申告のスポット依頼をお受けしています。

  • 代表税理士が直接担当:初回相談から当日の立会い、修正申告まで代表の岩本が担当し、途中で担当者が変わることはありません。
  • 初回相談・お見積りは無料:通知内容、対象年分、帳簿の状況を伺い、事前準備・立会い・修正申告の3要素に分けてお見積りします。お見積り後の追加請求はありません。
  • LINEでの相談が可能:「まず何をすればいいか」といったご質問もLINEでお送りいただけます。電話受付は平日9〜17時、土日祝・夜間は事前予約制です。
  • 最低2回の予行練習:本人が答える事実と税理士が引き受ける論点を分け、当日に備えます。
  • アクセス:横浜駅(JR)から徒歩11分。対面のほか、オンライン相談、資料の郵送・データ共有にも対応しています。

顧問税理士がいる方には、顧問の先生との役割分担を含めて進め方をご提案します。税理士がいない方、無申告の期間がある方も、まずは現状をそのままお話しください。

よくある質問

Q. 顧問税理士に知らせずに、別の税理士に税務調査の立会いを頼めますか?

A. 法律上は可能ですが、おすすめはしません。申告書の作成経緯を把握しているのは顧問税理士で、調査の対応にはその情報が必要です。また、顧問税理士の税務代理権限証書に「調査の通知に関する同意」があれば、税務署からの連絡が顧問税理士にも入ります。「調査の対応だけ別の税理士に頼む」と一言伝え、資料の協力をお願いするのが現実的です。伝え方に迷う場合は、ご相談の際に一緒に整理します。

Q. 税務調査に、家族や経理担当の従業員、経理に詳しい知人を立ち会わせてもいいですか?

A. 経理担当の従業員が事実関係を説明するために同席することは、調査官が必要と認めた範囲で可能です。しかし、納税者の代わりに調査官へ主張や説明を行うことは税務代理にあたり、税理士でない人は行えません(税理士法2条・52条、国税庁FAQ問33)。第三者の同席は断られることもありますので、税理士に依頼してください。

Q. 調査の数日前や当日になってからでも、スポットで税理士に頼めますか?

A. ご相談いただけます。数日前であれば当日の立会いと答え方の確認はでき、日程の再調整を申し入れることも可能です。調査が始まった後でも、途中から税務代理権限証書を提出して関与できます。ただ、できることが最も多いのは通知を受けた直後ですので、早めのご相談をおすすめします。

税務調査の立会いだけでも、横浜の岩本隆一税理士事務所へ

「顧問税理士に立ち会ってもらえない」「税理士がいないまま調査の通知が来た」「費用の目安を知りたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。横浜市内の個人事業主・小規模法人の方を中心に、代表税理士が直接立ち会います。顧問契約は不要で、今回の調査だけのご依頼も歓迎します。ご依頼に関する初回相談・お見積りは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。

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参考(一次資料)

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
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