無申告

無申告で住宅ローンが組めない?金融機関の審査ポイント

みなさんこんにちは、税理士の岩本隆一です。無申告や税務調査を多く取り扱っている税理士事務所を営んでいます。(いつでもお問い合わせください!!)

Contents
  1. 家買いたいけど無申告でローン組めない説
  2. 無申告ってそもそもどういう状態?
  3. 銀行はローン審査で何見てるの?
  4. 無申告だとどんな地獄が待ってるの?
  5. 絶望的な無申告状態でも住宅ローンを組む「0.1%の可能性」
  6. 無申告からの復活:時間軸で考える
  7. 無申告者の住宅ローン戦略:実践編
  8. 体験談:無申告でも住宅ローンを組めた人の例
  9. 無申告の裏リスク:住宅ローン以外の問題
  10. ぶっちゃけQ&A:本音ベースの疑問と回答
  11. まとめ:無申告からの住宅ローン戦略

家買いたいけど無申告でローン組めない説

「やべっ、確定申告してないけど家買いたい…」

こんな相談、めちゃくちゃ多いんですよね。ぶっちゃけ答えとしては「無申告じゃほぼ確実に住宅ローン審査は通りません」です。でも「ほぼ確実に通らない」の裏には「100%絶対に無理ってわけじゃない」という僅かな希望も隠れてます。今回はその「0.1%の可能性」について真面目に話します。

ちなみに僕自身、税理士として無申告の方の申告対応をこれまで多くのやってきました。その経験から、本当のところをお伝えします。

無申告ってそもそもどういう状態?

「無申告」って言葉、よく聞くけど実際どういう状態なのか知ってます?

簡単に言うと「確定申告しなきゃいけないのに、してない人」です。

会社員で給与だけの人は基本的に年末調整で完結するので、確定申告不要です。なので「無申告」という概念自体が当てはまらないんですよね。

でも、こんな人は確定申告が必要です:

  • 給与収入2,000万円超えの勝ち組サラリーマン
  • 副業で20万円以上稼いでる人(YouTubeやブログ、投資も含む)
  • 複数の会社から給料もらってる”複業”の人
  • 不動産投資やってる大家さん
  • 個人事業主・フリーランス(これが一番多い)

特に最後の個人事業主・フリーランスの人は、会社員と違って年末調整がないから、自分で申告する必要があるんです。これを数年間サボってると「無申告」状態になります。

銀行はローン審査で何見てるの?

住宅ローン審査で銀行が見てるのは、ズバリこの5つです:

  1. 安定した収入あるの? → 核心中の核心
  2. 借金返済の負担率(DTI)は? → 収入の何%がローンに消えるか
  3. 過去の返済ちゃんとしてた? → 信用情報機関のデータ
  4. 勤続年数・事業やってる年数は? → 最低でも3年は欲しい
  5. 貯金とかある? → 頭金や緊急時の備え

で、一番重要な「安定した収入の証明」に使われるのが「確定申告書」なんです。要するに、「この人は毎年これだけ稼いでて、ちゃんと税金も納めてます」という公的な証明書がないと、銀行は「本当に返せるの?」と思うわけです。

無申告だとどんな地獄が待ってるの?

無申告状態で住宅ローンを申し込むと、こんな悲惨なことになります:

1. 収入証明が全くできない

一番キツいのがこれ。確定申告してないから「確定申告書の控え」が提出できない。役所からの「所得証明書」も出ない(もしくは「所得0円」と記載される)。

銀行「あなたの年収はいくらですか?」
あなた「年収1,000万です!」
銀行「証明できますか?」
あなた「…できません」
銀行「じゃあ審査無理です^^」

こんな会話になるのは目に見えてます。

2. 「ルール守れない人」のレッテル

無申告は税法違反です。これ、結構重要。銀行からしたら「確定申告という最低限のルールすら守れない人に3,000万円貸して大丈夫?」と思われても仕方ない。これが信用スコアにダイレクトに影響します。

3. 「過去の実績」が示せない

住宅ローン審査では通常、過去2〜3年分の所得を確認されます。銀行は「一時的な収入じゃなくて、安定して稼げてるか」を重視するからです。無申告が続いていると、この「安定性」を証明できません。

絶望的な無申告状態でも住宅ローンを組む「0.1%の可能性」

ここからが本題。「無申告だけど、どうしても家買いたい」という人向けの攻略法です。

1. まずは最優先で申告する(できれば青色申告で)

遅くても申告はできます。延滞税や無申告加算税のペナルティは発生しますが、「無申告」というレッテルよりマシです。

過去5年分までさかのぼって申告できるので、直近3年分をさっさと申告しましょう。自力でやるのは難しいなら、税理士に依頼するのがおすすめです(私みたいな税理士に👀)。

個人事業主なら「青色申告」を選んで、65万円の控除を受けるのがベスト。青色申告を選ぶと、銀行の評価も上がります。

2. 審査甘めの金融機関を探す(でも金利は高い)

メガバンクや地方銀行では無理でも、ノンバンク系の金融機関なら可能性があります。アイフルやアコムのグループ会社、新生銀行系列など。

ただしこれらは「審査は通りやすいけど金利は高い」というトレードオフがあります。例えば、メガバンクが金利1%台なのに対して、ノンバンク系は3〜4%台になることも。月々の返済額は1.5倍くらい違ってくるので、計算して判断しましょう。

実例:3,000万円を35年ローンで借りた場合

  • メガバンク(金利1.5%):月々約85,000円
  • ノンバンク(金利4.0%):月々約143,000円

差額は月5万円以上!これが35年続くと、総返済額で2,100万円以上の差になります。恐ろしい…。

3. フラット35という選択肢

住宅金融支援機構の「フラット35」も検討の余地アリ。直近1年分の確定申告があれば申し込める場合もあります(原則は2年です。取扱金融機関の独自運用がある場合のみ1年で申し込める可能性があります)。金利は民間より若干高めですが、審査基準が少し違うので可能性はあります。

4. 共働きなら配偶者の収入で勝負

これが一番現実的な解決策かも。

例えば、あなたが個人事業主で無申告、配偶者が会社員で安定収入がある場合、配偶者だけの収入でローンを組むという手があります。その場合、あなたの収入は審査に含めず、配偶者の収入だけで返済比率を計算します。

共働き最強説、ここでも健在ですね。

無申告からの復活:時間軸で考える

無申告状態から住宅ローン審査通過までの道のりを、リアルな時間軸で考えてみましょう。

短期(3ヶ月〜半年)

  • 未申告分の確定申告を急いで行う
  • 税理士に相談(←ここ大事)
  • 所得証明書を取得する

ただし、この段階では住宅ローン審査は厳しいでしょう。銀行は「今までサボってた人が急に申告し始めた」と見抜きます。

中期(半年〜1年)

  • 定期的な確定申告の実施
  • 青色申告に切り替える
  • 貯金を増やす(頭金のため)

1年くらい真面目に申告し続けると、少しずつ信頼を取り戻せます。

長期(1年以上)

  • 2〜3年分の申告実績を作る
  • クレカやカーローンでの返済実績も作る
  • 安定した事業基盤を作る

理想的には、2〜3年間きちんと申告し続ければ、ほとんどの金融機関で審査に通る可能性が出てきます。

無申告者の住宅ローン戦略:実践編

実際に住宅ローンを組むなら、これをやれ!という具体的な戦術です:

1. 頭金を多めに用意する(物件価格の30%以上)

無申告のハンデを少しでも減らすには、頭金を多めに用意するのが効果的。物件価格の30%以上あると、銀行の審査も少し緩くなります。

例:4,000万円の物件なら、1,200万円以上の頭金を用意する

2. 保証人や連帯保証人を立てる

親や兄弟などに保証人になってもらえると、審査通過率が上がります。特に保証人の年収や資産状況が良好なら、かなり有利に。

ただし、保証人になると「あなたが返済できなくなったら保証人が支払う」という重い責任が生じるので、しっかり説明した上でお願いしましょう。

3. 物件選びを工夫する

マンションと一戸建てだと、マンションの方が審査は通りやすい傾向があります。理由は「担保価値の安定性」。マンションは資産価値が下がりにくいと銀行は考えているからです。

また、新築より中古の方が総額が低くなるので、その分借入額も減らせます。

体験談:無申告でも住宅ローンを組めた人の例

私のクライアントで、無申告から住宅ローン審査に成功した例を紹介します(もちろん個人情報は変えてます)。

Aさん(38歳・WEBデザイナー)のケース

・状況:5年間無申告 
・対策:3年分まとめて青色申告、頭金40%用意
・結果:地方銀行で3,000万円のローン審査通過
・期間:申告開始から1年3ヶ月後

Aさんは無申告期間が長かったですが、①まとまった頭金があった、②申告開始後1年以上真面目に続けた、③青色申告で帳簿をしっかり作った、という3点が功を奏しました。

Bさん(42歳・飲食店経営)のケース

・状況:3年間無申告
・対策:父親を連帯保証人に、過去分を白色申告
・結果:信用金庫で2,500万円のローン審査通過
・期間:申告開始から6ヶ月後

Bさんは資産家の父親を連帯保証人にしたことで、比較的短期間で審査に通過できました。銀行は「最悪、保証人が払ってくれる」と判断したようです。

無申告の裏リスク:住宅ローン以外の問題

住宅ローンだけじゃなく、無申告にはこんなリスクもあります:

1. 税務調査が来る可能性

無申告が3年以上続くと、税務署からの調査対象になりやすくなります。調査が入ると、本来の税金 + 延滞税+ 無申告加算税を一気に払うことになります。

延滞税の税率は年7.3%/14.6%が上限。令和4〜7年は実際の適用利率が年2.4%(2か月以内)/8.7%(2か月超) です。

無申告加算税の税率は、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来するものは、納付税額のうち
・50万円以下 15%
・50万円超〜300万円以下 20%
・300万円超 30% 
になります。

私の経験上、無申告4年目くらいから急に税務署からの接触が増えます。彼らも「確実に取れる」ところから取りに来るんですよね…。

2. 起業家としての信用問題

無申告だと、取引先や顧客からの信用も失います。特に大企業との取引では、「反社チェック」の一環で納税状況を確認されることも。

3. 年金がもらえなくなる!?

国民年金は納付状況によって将来の受給額が変わります。無申告だと、年金事務所は「あなたの所得を把握できない」ので、最高額の保険料が請求されます。それを払わないと、将来の年金額が減ります。

最悪のケース、10年以上未納だと「年金0円」になることも…。老後の安心も失うリスクがあります。

ぶっちゃけQ&A:本音ベースの疑問と回答

Q: 無申告でも銀行融資は絶対に無理ですか?

A: 正直言って、メガバンクはほぼ確実に無理です。でも、ノンバンク系やフラット35、あるいは頭金を多く用意するなどの工夫をすれば、可能性はゼロじゃないです。

例えば、私のクライアントでは「頭金50%用意 + 青色申告1年分 + 保証人あり」という条件で、地銀のローンに通った人もいます。

Q: 申告してないのバレます?

A: めちゃくちゃバレます(笑)。特に住宅ローン審査では100%発覚します。銀行は必ず市区町村の所得証明書を取り寄せるからです。そこに「所得証明できません」と書かれていたら一発アウトですね。

Q: 個人事業主だけど、収入少ないから申告してませんでした…

A: 収入が少なくても、確定申告の義務はあります。特に住宅ローンを検討しているなら、「赤字でも申告しておく」のが超重要です。

銀行は「収入が少ない」より「申告義務を放棄している」ことの方を重く見ます。収入が少なくてもきちんと申告をしていれば、「誠実な納税者」と評価してくれる可能性があります。

Q: いきなり高額所得で申告するのはマズい?

A: 超マズいです。例えば、今まで無申告だった人が突然「年収1,500万円」とか申告すると、銀行も税務署も「???」となります。特に税務署は「過去も同じくらい稼いでたのでは?」と疑い、過去に遡って調査する可能性が高いです。

申告を再開する場合は、実態に合った金額で正直に申告しましょう。

まとめ:無申告からの住宅ローン戦略

無申告では住宅ローンの審査通過は超難しいですが、諦める必要はありません。やるべきことは:

  1. 今すぐ申告を始める(青色申告が望ましい)
  2. 頭金を多めに用意する(物件価格の30%以上)
  3. 信用を回復するまで1〜2年かける
  4. 必要なら保証人を立てる

税金の問題は先送りすればするほど、雪だるま式に大きくなります。「いつか家を買いたい」と少しでも思うなら、今日から申告を始めましょう。

ちなみに当事務所では、無申告状態からの復帰支援や住宅ローン審査に向けたアドバイスなど、税務に関する相談をいつでもお受けしております。初回相談は無料ですので、「ヤバい、どうしよう…」という方は、ぜひお気軽にご連絡ください!