こんにちは、みなさん。税理士の岩本です。
今日はリスクしかない「確定申告してないけど大丈夫かな問題」について本気で話します。
「うっかり確定申告を忘れた」「今年は収入少ないから大丈夫でしょ」「バレないならしなくていいじゃん」
マジでやめた方がいいです。このブログ(僕が言うのもアレですがw)結構多くの人に読まれてるので、無申告の人もたくさんいると思うんですよね。だから今日は「税務調査はいつ来るのか」「調査官は何を見るのか」を徹底解説します。
結論:無申告は3〜5年後に超高確率でバレます
はい、結論からいきましょう。無申告は必ずバレます。しかも痛いタイミングで。
税務署が無申告を把握する方法は多様化していて、デジタル時代になってからその精度は年々上がっています。
(デジタル以前は全くこない!!なんてこともありましたが今は時代が変わりました。全く来ていない人もいますが、そういう人は本当は儲かっていない人ですね。断言できます。)
そして恐ろしいことに、調査は3〜5年経ってから突然やってくることが多いんです。
「え?何で今?」って感じですよね。でもここに税務署の罠があります。
税務調査はなぜ3〜5年後にやってくるのか?
これは「除斥期間」という税法上の期間が関係しています。無申告の場合、税務署は過去5年分まで遡って課税できます。悪質なケース(意図的な隠ぺいなど)では7年分まで遡れます。
つまり税務署からしたら「急ぐ必要ないよね!数年放置して、一気に5年分まとめて取り立てた方が効率いいじゃん!」となるわけです。
効率的すぎる…恐ろしい…。
税務署はどうやって無申告者を見つけるのか?
では税務署はどうやってあなたが申告していないことを知るのでしょうか?
1. 支払調書という恐怖
これが最強です。あなたに報酬を支払った会社や個人は、「支払調書」という書類を税務署に提出する義務があります。つまり「誰に、いくら支払ったか」という情報が税務署に直接届いているのです。
フリーランスの仕事、講演料、原稿料、YouTube収益、アフィリエイト収入…すべてバッチリ記録されています。税務署はこれと確定申告書を照合して「あれ?このデザイナー、100万円もらってるのに申告ゼロじゃん」とすぐに発見できます。
これがデジタル化されて自動照合されるようになったので、昔の「人海戦術」時代と比べて発見率は桁違いに上がっています。もう「バレない」という幻想は捨ててください。
2. 銀行口座の調査
「でも僕、現金でもらってるから大丈夫でしょ?」
甘いです。その現金、どこに入れるんですか?タンス?それとも銀行?
税務署は法律に基づいて、必要な場合には銀行口座の情報にアクセスできます。定期的な収入があるのに無申告、それだけで十分な調査対象です。
3. 第三者からの情報提供(通称:タレコミ)
これが意外と多いんです。元従業員、取引先、家族(離婚した配偶者とか)、嫉妬している競合他社、近所の人…誰でも匿名で国税庁にタレコミできるんですよ。
「あの人、申告してないのに毎月高級レストラン行ってますよ」とか。こういうのが調査のきっかけになることも少なくありません。国税庁のウェブサイトでは匿名でのタレコミフォームまであるんですからね。
4.取引先への税務調査
これが一番確率が大きいと思います。取引先に税務調査が入って誰にいくら払っているかを把握します。
「この取引先ちゃんと申告しているかな?」と税務署の職員は確認します。そして「ちゃんと申告していないな!!」とわかれば税務調査を行うことになります。
税務調査官はココを見る!7つの着眼点
では本題。税務調査官は何を重点的に調べるのでしょうか?特に無申告者に対する調査では、以下の7つのポイントが集中的にチェックされます。
着眼点1:売上計上漏れ・収入除外
これが基本中の基本です。支払調書、銀行口座への入金記録、取引先の帳簿…あらゆる情報源から「申告されていない収入」を徹底的に洗い出します。
調査官「この入金は何ですか?」 あなた「あ、それは…友人からの借金です」 調査官「毎月同じ金額の借金…ですか?」
こんなやり取りになりかねません。個人口座と事業用口座の混同も即バレします。
着眼点2:売上高1,000万円前後の攻防
これは税務署がめちゃくちゃ注目するポイントです。なぜなら売上1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生するため、多くの事業者が999万円で止めようとするからです。
毎年売上が950万円台〜990万円台で推移している事業者は、「消費税逃れ」の疑いをかけられやすいです。これがバレると「重加算税」という鬼のようなペナルティ(通常の40%増し)が課されます。
着眼点3:不審な経費・架空経費
「この高級レストランでの食事、取引先との打ち合わせですか?誰と会ったんですか?」 「家族旅行なのに出張費に計上…?」
経費の水増しや私的支出の経費計上は真っ先に狙われるポイントです。2023年からは無申告者が帳簿の提出を拒むと経費全部認められない可能性もという鬼ルールも導入されました。つまり売上だけカウントされて経費ゼロ扱い。地獄ですね。
着眼点4:現金取引の多用
「現金だからバレない」
これが税務調査官が最も警戒するマインドです。現金取引が多い業種(飲食、美容、個人サービス業など)ほど重点的に調査対象になります。
レジの売上と入金額の差額、現金管理状況、生活水準と申告所得の乖離…すべて細かくチェックされます。豪華な暮らしをしているのに所得が少ないと一発で「コイツ怪しい」フラグが立ちます。
着眼点5:複数年にわたる矛盾・不自然な変動
「去年500万円あった売上が今年は急に150万円…何かあったんですか?」
調査官は3〜5年分のデータを横並びで検証します。特別な理由もなく売上や利益率が激変していると、「意図的な操作」の疑いがかけられます。
また開業3年目以降の事業者は特に注意。この時期に消費税の課税事業者になることが多いため、重点的に調査されやすいんです。
着眼点6:関連者取引・資産計上
「奥さんに月50万円の給料…具体的にどんな仕事をしているんですか?」 「この200万円のパソコン、なぜ一括経費計上してますか?減価償却すべきでは?」
家族への不当に高額な給与支払いや、本来資産計上すべきものを一括経費計上する手法も即座に指摘されます。これらは「所得分散」や「経費の前倒し」として古典的な手法なので、調査官は見逃しません。
着眼点7:業種特有のリスク・新分野
特定の業種は申告漏れが多いという統計があるため、重点的に調査されます。建設業、飲食業、風俗関連業、士業などが典型例です。
また最近はYouTuber、インフルエンサー、アフィリエイター、暗号資産(仮想通貨)トレーダーなどの新興職業も「今期の重点調査分野」になっています。なぜなら「税金のルールがよく分からないから申告していない」人が多いと踏んでいるからです。
実際、国税庁はYouTuberの収入把握に力を入れており、専門チームまで作ったとの噂もあります(マジかよ)。
税務調査で指摘されるとどうなるのか?地獄の無申告加算税
では、現実的な話をします。無申告が発覚するとどうなるのか?
当然、本来の税金は払わなければなりません。それに加えて「無申告加算税」という名のペナルティが課されます。税務署から指摘された場合の税率は以下の通り:
- 50万円までの部分:15%
- 50万円超300万円以下の部分:20%
- 300万円超の部分:30%(令和6年1月1日以後に適用)
つまり、本来100万円の税金なら、無申告加算税15〜20万円が追加されるわけです。
さらに「延滞税」という金利も日々発生します。納期限の翌日から2ヶ月以内は年2.4%、それ以降は年8.7%。クレカよりも高い金利です。
5年間放置すると、本来の税金が100万円でも、ペナルティ込みで150〜200万円になることも珍しくありません。もはや人生終了レベル。
自主的に申告するとペナルティが劇的に減る!
でも大丈夫、解決策はあります。それが「期限後申告」という手続き。
最大のメリットは、自主的に申告するとペナルティが激減すること。
税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、無申告加算税は本来15〜30%のところが**一律5%**に軽減されます。これだけでも100万円の税金なら、10〜25万円も違ってきます。
実際に僕の知り合いのWebデザイナーも3年間無申告だったのが、税理士に相談して自主的に期限後申告したところ、ペナルティだけで30万円も安くなりました。
そして何より「いつバレるか…」という精神的恐怖から解放される価値は計り知れません。
まとめ:無申告は時限爆弾。そして税務署は爆弾処理のプロではなく爆破のプロ
無申告を続けることは、時限爆弾を抱えたまま毎日を過ごすようなものです。「いつ爆発するか」は分からないけど、「爆発すること」は確実な状態。
「バレないだろう→バレたらどうしよう→バレたら終わりだ」と徐々に精神を蝕んでいきます。
この記事を読んで背筋が凍った方、今すぐ税理士に相談することを強く強く強くお勧めします。自力でやるなら国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で過去分の申告書も作成できます。
ちなみに税理士費用は10〜30万円くらいかかりますが、無申告加算税の軽減だけで元が取れる可能性大。それに精神的な安心を買うと思えば安いものです。
あなたの選択は?時限爆弾と一緒に毎日ビクビク生きますか?それとも今すぐ解除しますか?
僕なら断然後者を選びます。だって人生一度きりじゃないですか。その貴重な時間を税務署の恐怖に支配されながら過ごすなんて、あまりにもったいなさすぎる。
今日から、新しい一歩を踏み出しましょう。
この記事に関することはいつでもご相談ください。期限後申告でお悩みの方は、岩本隆一税理士事務所までお気軽にご連絡いただければと存じます。一人で悩まず、僕たちと一緒に解決していきましょう。