反面調査とは?取引先・銀行への確認と、連絡を受けたときの対応
税務署は、納税者本人の資料だけでは申告内容を確認できない場合などに、取引先や金融機関へ取引の事実を確認することがあります。一般に「反面調査」と呼ばれるものです。反面調査があったというだけで、脱税や重加算税の適用が決まるわけではありません。
1.反面調査は何を確認する手続か
取引先の帳簿や請求書、支払記録などと照合し、取引の内容や金額を確認します。「正直な人には行われない」「銀行のすべての情報が無条件で開示される」と一律に説明することはできません。質問検査権の対象や必要な範囲は、税目や事実関係によって確認する必要があります。
銀行についても、所得税・法人税・消費税等の調査に必要があり、国税通則法第74条の2等に定める対象に該当する場合には、質問や帳簿書類の検査、提示・提出の要求が行われます。預金取引の記録等が確認資料となることがありますが、あらゆる顧客情報が無条件に提供されるという意味ではありません。
全国銀行個人情報保護協議会の指針では、法令に基づく場合の例として、国税通則法に基づく質問検査権が示されています。個人情報だから一切提供できないとも、質問検査権があれば何でも提供できるとも考えず、根拠と必要な範囲を確認します。法令上の質問検査と、任意の協力を求める資料情報収集も区別する必要があります。
出典:全国銀行個人情報保護協議会「個人情報保護指針」(個人情報保護委員会掲載)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/07_zenginkyo_shishin.pdf
2.事前の連絡はあるのか
国税庁FAQ問23では、反面調査について事前通知の法令上の規定はない一方、運用上は原則として対象となる取引先等へあらかじめ連絡するとしています。ただし、一部の間接諸税では、納税者以外の取引先等に対する調査でも、原則として法令上の事前通知が必要とされています。納税者本人への事前通知と、反面調査を受ける取引先への連絡は分けて考えましょう。
3.取引先として連絡を受けたら
相手の所属・氏名と用件、対象取引、求められる資料を確認します。訪問時は質問検査章と顔写真付き身分証明書を確認してください。不審な場合は、公式サイトで確認した税務署の連絡先へ問い合わせましょう。
取引先として、税務署から取引の確認を求められた場合の流れです。
記録で確認できることと、記憶だけのことを区別します。実務上、すぐに確認できない事実は、資料を調べてから回答する旨を伝えるとよいでしょう。取引相手に合わせて帳簿や説明を作り替えたり、事実と異なる回答をしたりしてはいけません。
国税庁が公表した事例:売上の書類を破棄していたため、取引先への反面調査で収入を把握した事例
国税庁の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、給与収入のほかにゲーム機器やスマートフォンなどの転売収入があったのに、所得税を申告していなかった個人の事例が紹介されています。本人は経費の書類は保存していた一方、売上に係る書類はすべて破棄していました。
そこで、取引先に対する反面調査等によって転売の収入が把握され、所得税(7年分)と消費税(1年分)が課税されました。書類の破棄は隠蔽行為に当たるとして重加算税も課され、追徴税額(加算税込み)は所得税約2,700万円、消費税約200万円です。取引先側の記録が、申告内容を確認する資料になることが分かります。
出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」事例2
4.資料の範囲が分からないとき
資料の提示・提出が必要な趣旨、対象期間、提出方法を担当者へ確認します。「関係ない」と自己判断して一切対応しないのではなく、必要性を確認し、用意できない事情があれば説明しましょう。
国税庁FAQ問3は、正当な理由のない提示・提出の拒否等について罰則がある一方、必要性を説明し、理解と協力の下、承諾を得て行うと説明しています。国税通則法第128条第2号は、同号に掲げる質問検査権に基づく質問への不答弁・虚偽答弁や検査の拒否・妨害等を対象とします。同条第3号は、帳簿書類等の提示・提出等の要求に正当な理由なく応じないことや、偽りの記載・記録のある物件の提示・提出等を対象とします。該当する場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。依頼への不明点や直ちに対応できない事情は説明し、具体的な対応を確認してください。
まとめ
取引内容を示す契約書、請求書、入出金記録を対応させ、事実に基づいて回答することが基本です。反面調査の有無だけで不正や処分を断定せず、不明な依頼は担当者や専門家へ確認しましょう。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問3・問23
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
出典:国税庁「国税庁をかたった偽メールにご注意ください」職員証の説明
https://www.nta.go.jp/information/attention/attention.htm
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」第74条の2以下・第128条第2号・第3号
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066
最終確認・更新:2026年11月6日。 ※2026年11月5日時点の一般的な解説です。個別の権限・対応は税目や事実関係によって異なります。
税務署から連絡が来てお困りの方は、税務調査サポートのページで対応内容と流れをご確認ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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