【完全版】税務調査って実際どうなの?税金の種類別に調査の実態をまとめてみた

どうも、税理士の岩本隆一です。税務調査のご以来募集中です。
今回は、多くの経営者や個人事業主が「いつかくるんじゃないか…」とビクビクしている税務調査について、税目別に実態をまとめてみました。
実は僕も過去に何度か税務調査を受けたことがあるんですが、想像していたのと全然違って驚いたことが多かったです。なので、これから調査を受ける可能性がある人の参考になればと思います。
そもそも税務調査って何?
税務調査とは、税務署が「ちゃんと税金払ってる?」をチェックしにくることです。基本的に任意調査と強制調査があるんですが、ほとんどの場合は任意調査です。
「任意」とはいえ、実質的には断れないので、「事実上の強制調査」だと思っておいた方がいいですね。
【法人税】一番メジャーな調査
法人税の税務調査とは、法人向けの税務調査です。
調査の特徴
- 頻度: 約3~7年に1回程度
- 期間: 2~3日間が一般的
- 調査官: 2~3名のチームで来ることが多い
- 重点項目: 売上の計上時期、経費の妥当性、交際費、役員報酬
実際どんな感じ?
僕が受けた時は、朝9時頃に税務署の人が2名でやってきました。思ったより普通の人たちで、最初は雑談から始まったのが印象的でした。
「会社の事業内容を教えてください」から始まって、帳簿や契約書、領収書などを順番にチェックしていきます。特に売上の計上時期については結構細かく見られました。
よく指摘されるポイント
- 交際費と会議費の区分が曖昧
- 個人的な支出が経費に混入
- 役員への貸付金の処理
- 在庫の計上もれ
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
【所得税】個人事業主は要注意
個人事業主向けの税務調査です。
調査の特徴
- 頻度: 法人税よりやや少ない
- 期間: 1~2日間
- 重点項目: 売上の除外、必要経費の妥当性、雑所得との区分
実際どんな感じ?
個人事業主の場合、自宅兼事務所の人が多いので、調査も自宅で行われることがあります。プライベート空間に税務署の人が来るのは、正直結構ストレスでした。
特にネット系の事業をやっている場合、売上の発生時期や経費の区分について詳しく説明を求められます。
よく指摘されるポイント
- 現金売上の除外疑惑
- 家事関連費の按分が適切でない
- 青色申告の要件を満たしていない
- 副業収入の申告もれ
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
【消費税】意外と厳しい調査
調査の特徴
- 頻度: 法人税調査と一緒に行われることが多い
- 重点項目: 課税売上割合、仕入税額控除の要件、輸出免税の適用
実際どんな感じ?
消費税は「預かった消費税 – 支払った消費税 = 納税額」という構造なので、売上と仕入の両方を詳しくチェックされます。
特に輸出業務がある会社や、課税売上割合が95%を下回る会社は要注意です。
よく指摘されるポイント
- 課税売上と非課税売上の区分ミス
- 仕入税額控除の要件不備(請求書の記載事項など)
- 輸出免税の適用誤り
- 簡易課税の計算ミス
【源泉所得税】忘れがちだけど重要
調査の特徴
- 頻度: 他の税目と同時に調査されることが多い
- 重点項目: 源泉徴収の対象判定、税率の適用、納期限
実際どんな感じ?
源泉所得税は「他人から預かった税金」なので、ミスがあると結構厳しく指摘されます。特にフリーランスへの支払いがある会社は要注意。
よく指摘されるポイント
- フリーランスへの報酬で源泉徴収しなかった
- 税理士報酬で源泉徴収を忘れた
- 役員賞与の源泉徴収ミス
- 外国人への支払いの源泉徴収
【贈与税・相続税】資産家は要覚悟
調査の特徴
- 頻度: 相続発生後1~2年以内
- 期間: 1日~数日間
- 重点項目: 財産の評価、名義預金、生前贈与
実際どんな感じ?
相続税調査は他の調査と雰囲気が全然違います。亡くなった方の生前の財産状況を詳しく聞かれるので、遺族にとってはかなり精神的負担が大きいです。
特に名義預金(形式的には家族名義だけど、実質的には被相続人の財産)の指摘が多いです。
よく指摘されるポイント
- 名義預金の存在
- 生前贈与の事実確認
- 財産評価の妥当性
- 海外財産の申告もれ
【住民税・事業税】地方税も侮れない
調査の特徴
- 頻度: 国税の調査後にフォローアップで来ることが多い
- 重点項目: 国税の調査結果との整合性
実際どんな感じ?
基本的には国税(法人税・所得税)の申告をベースに課税されるので、国税で修正があった場合にフォローアップで調査されることが多いです。
ただし、事業税については事業所の所在地や事業内容によって独自の論点があります。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
【印紙税】地味だけど見落としがち
調査の特徴
- 頻度: 他の調査のついでにチェックされることが多い
- 重点項目: 契約書の印紙貼付、金額区分
実際どんな感じ?
印紙税は調査というより「ついでにチェック」という感じです。でも、不貼付だと3倍の過怠税がかかるので意外と痛いです。
最近は電子契約が増えて印紙税がかからないケースも多いですが、紙の契約書がまだある会社は要注意。
税務調査を受ける前に準備しておくべきこと
1. 帳簿書類の整理
- 総勘定元帳
- 現金出納帳
- 売上帳、仕入帳
- 契約書、請求書、領収書
- 銀行の通帳
2. 論点の整理
- 自分でも「これはちょっと微妙かも…」と思う取引は事前に論点を整理しておく
- 税理士と事前に打ち合わせをしておく
3. メンタルの準備
- 税務調査は「悪いことをした人への罰」ではない
- 適正な申告をしていれば怖がる必要はない
- でも、完璧な申告は難しいので、多少の修正は覚悟しておく
強制調査と任意調査の違い
税金の種類とは違いますが税務調査には強制か任意かっていう違いがあります。
有名なマルサの女 とかは強制調査ですね
任意調査についてはほとんどの世の中の全部調査がこちらに該当することという形になります
一応任意となってますが現実的なところで言うと 絶対に調査を受けなくちゃいけないということになってます
詳しくはこちらをご確認ください
まとめ:税務調査は「対話」だと思おう
税務調査って聞くと「怖い」「厳しい」というイメージがありますが、実際は税務署の人との対話です。
もちろん、彼らも仕事なので厳しくチェックしてきますが、敵対的な関係になる必要はありません。
大事なのは:
- 正直に答える
- 分からないことは分からないと言う
- 隠し事をしない
- 税理士に相談する
税務調査を受けた経験から言うと、「完璧な申告」は現実的には難しいです。でも、誠実に対応していれば、大きな問題になることはほとんどありません。
それよりも、日頃からしっかりとした帳簿をつけて、適切な申告をしておくことが一番大切ですね。