YouTuber・動画配信者の税務調査|収入の集計と経費の区分・準備資料
更新日:2026年11月6日
YouTubeなどの動画配信で収入がある場合、広告収益だけでなく、企業案件の報酬、アフィリエイト、メンバーシップ、グッズ販売など、収入の種類が多くなりがちです。税務調査や税務署からの照会では、収入の集計漏れと、経費とプライベートの支出の区分が確認されやすくなります。
この記事では、YouTuber・動画配信者の方に向けて、申告が必要な収入、経費の考え方、準備しておきたい資料を、国税庁の公表資料と法令をもとに整理します。特定の調査事例や当事務所の相談実績を紹介するものではありません。
税務の説明は、2026年11月6日に確認した国税庁等の公表資料に基づきます。過去の年分を見直す場合は、その年分に適用される制度を確認してください。副業として配信している方の無申告リスクは、副業YouTuberが税務署に狙われる5つの理由もご覧ください。
動画配信の収入は、種類ごとに集計して漏れを防ぐ
日本の居住者(非永住者を除きます)は、海外の事業者から支払われる収益も含めて申告の対象です(所得税法7条1項1号)。また、商品やサービスの無償提供を受けた場合も、金銭以外の物や経済的な利益として収入になることがあります(所得税法第36条第1項)。
収入の種類ごとに、金額を確認できる資料を年ごとに保存しておきます。
事業所得か雑所得か、会社員の20万円基準
動画配信の所得は、社会通念上、事業といえる程度で行っていれば事業所得、そうでなければ雑所得です。取引を記録した帳簿書類を保存していない場合は、収入金額が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合を除いて、業務に係る雑所得になります(所得税基本通達35-2)。
会社員の方は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です(国税庁「No.1900」)。20万円は収入ではなく、経費を差し引いた所得で判定します。住民税の申告は別に確認してください(副業20万円以下でも申告は必要?)。
経費は「動画の制作・配信との関係」を説明できるものに限る
動画配信の経費になるのは、動画の制作・配信のために必要な支出です。機材や自宅の家賃・通信費のように、プライベートでも使うものは、業務に使った部分を合理的な基準で区分します。
支出ごとに、どの区分に当たるかを考えます。判断の根拠になる記録を残すことが大切です。
- 動画編集ソフト・素材の利用料
- 撮影専用の機材・小道具
- 外注した編集・サムネイル制作の費用
- 自宅の家賃・電気代・通信費
- 私用でも使うパソコン・カメラ
- 私用でも使う車
- 撮影と関係のない友人との飲食
- 家族旅行・私的な買い物
- 動画で使わなかった食材・商品
- 取得価額が10万円以上の機材は、原則として耐用年数に応じて減価償却します。一定の要件を満たす青色申告者は、一定の要件を満たす青色申告者は、2029年3月31日までに取得した40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満)の資産について、合計300万円までその年の経費にできる特例があります(国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」)。
- 自宅を作業場所にしている場合の按分は、個人事業主の経費はどこまで?家事関連費の按分で解説しています。
税務調査・照会で確認されやすいポイント
- 広告収益以外の収入(企業案件・アフィリエイト・グッズ販売・無償提供)が申告に含まれているか
- 売上の計上時期が、入金日ではなく収入が確定した時期になっているか
- 飲食・旅行・購入品などの経費が、動画の制作・配信と結びつけて説明できるか
- 家族や知人に支払った出演料・編集料が、実態に見合った金額か(生計を一にする家族への支払は、事業所得の場合、青色事業専従者給与などの要件を満たすときを除き、原則として経費になりません(所得税法56条、国税庁「No.2075」))
売上が大きくなったら、消費税とインボイスも確認する
個人の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は消費税の課税事業者になります。前年1月~6月の課税売上高が1,000万円を超えた場合(給与等の支払額で判定することもできます)や、インボイスの登録をしている場合も、免税事業者にはなりません(国税庁「No.6501」)。国外の事業者から受け取る収益の消費税の扱いは、取引の内容によって異なるため、個別に確認が必要です。インボイス登録後の申告については、インボイス登録後の無申告をご覧ください。
準備しておきたい資料
- 配信サービスの収益レポート・支払明細(年ごとに保存)
- 企業案件の契約書・請求書、届いた支払調書
- アフィリエイト・グッズ販売の売上明細
- 経費の領収書・請求書、撮影日や使用した動画のメモ
- 収益の入金口座と、経費の支払に使った口座・カードの明細
- 帳簿(会計ソフトのデータ)と確定申告書の控え
申告漏れに気づいたら、自主的に申告する
申告していなかった年分は期限後申告、申告した内容に漏れがあった年分は修正申告をします。税務署から調査の通知を受ける前に自主的に申告すると、加算税が軽減されたり、かからなかったりする場合があります(国税庁「No.2024」、「No.2026」)。条件と計算例は無申告加算税がかからない条件で解説しています。
国税庁が公表した事例:動画配信の収入を申告せず告発されたケース
国税庁の「令和6年度 査察の概要」では、動画配信によるサイト運営会社からの使用料収入や、ネットショップでの商品販売収入を得ていたのに、所得税の確定申告書を提出しないまま法定納期限を過ぎ、所得税を免れていた事案が、無申告事案として告発されたことが紹介されています。
同じ資料によると、令和6年度に告発された無申告事案は13件で、そのうち8件は、不正行為はないものの故意に申告書を提出しないで税を免れた「単純無申告ほ脱事案」でした。査察の対象は悪質な事案ですが、動画配信の収入も申告が必要な所得であることを示す例です。
まとめ:収入の種類ごとの資料と、経費の根拠を残す
- 広告収益だけでなく、企業案件・アフィリエイト・グッズ販売・無償提供も収入として集計します。
- 海外の事業者から支払われる収益も、居住者は申告の対象です。
- 経費は動画の制作・配信との関係を説明できるものに限り、私用と共用のものは按分します。
- 売上が大きくなったら、消費税とインボイスの扱いも確認します。
この記事は一般的な情報であり、個別の所得区分や経費の可否を確定するものではありません。過去の申告に不安がある場合は、収益レポートと経費の記録をそろえて税務署または税理士に相談してください。
当事務所の対応内容は、税務調査サポートのご案内をご覧ください。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
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