個人事業主の1年の納税スケジュール|所得税・消費税・住民税・事業税・予定納税はいつ、いくら準備する?

横浜市で個人事業主・フリーランスの税務顧問と確定申告をお手伝いしている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。
「3月に所得税を払ったのに、6月に住民税、8月に事業税の通知が来て驚いた」「7月に『予定納税』の通知が届いたが、何のお金か分からない」「来年はいくら用意しておけばいいのか」――独立して1〜3年目の方から、毎年のようにいただくご相談です。会社員のときは給与から天引きされていた税金が、個人事業主になると年に何度も、別々の時期に、別々の通知で届きます。納税の時期と金額の目安を1年のカレンダーで把握しておけば、「突然の通知」に慌てることはなくなります。
この記事では、個人事業主が1年間に納める税金(所得税・消費税・住民税・個人事業税・予定納税・固定資産税など)の年間カレンダー、それぞれのざっくりした計算の仕組みと目安、予定納税の減額申請、納税資金の積み立て方、納税が難しいときの相談先を解説します。本記事は2026年11月6日時点の制度に基づき、2026年分(令和8年分)の所得にかかる税金を中心に説明しています。納期限が土日祝に当たる場合は翌平日になります。
個人事業主の納税年間カレンダー
横浜市の個人事業主の方を前提に、主な納税と手続きを月ごとにまとめました(従業員がいる場合の源泉所得税は後述)。毎年同じ流れで、2026年分の所得については、所得税・消費税の確定申告と納付が2027年3月、住民税が2027年6月から、個人事業税が2027年8月から、2026年分の所得税額をもとにした予定納税(対象の方のみ)が2027年7月・11月になります。
- 1月:住民税(普通徴収)第4期(1月末)。従業員がいる場合は法定調書・給与支払報告書の提出(1月31日)、源泉所得税の納期の特例分の納付(1月20日)、償却資産の申告(1月31日)。
- 2月:固定資産税第4期(横浜市は2月末)。確定申告の受付開始(2月16日)。
- 3月:所得税の確定申告・納付(3月15日)、消費税の確定申告・納付(3月31日)。
- 4月:振替納税を選んでいる場合、所得税・消費税の口座引き落とし(4月中旬〜下旬)。固定資産税第1期(横浜市は4月末)。
- 5月:大きな納税はなし。納税資金の積み立てを見直す時期。
- 6月:住民税の決定通知と第1期の納付(6月末)。国民健康保険料の決定通知(横浜市は6月から翌年3月まで分割)。予定納税の対象者には6月15日までに税務署から通知。
- 7月:所得税の予定納税第1期(7月31日)。固定資産税第2期(横浜市は7月末)。源泉所得税の納期の特例分(7月10日)。
- 8月:個人事業税第1期(8月31日)。住民税第2期(8月末)。消費税の中間申告(年1回の方は8月31日)。
- 9月:大きな納税はなし。
- 10月:住民税第3期(10月末)。生命保険料などの控除証明書が届き始める。
- 11月:所得税の予定納税第2期(11月30日)。個人事業税第2期(11月30日)。予定納税の減額申請(第2期分)は11月15日まで。
- 12月:固定資産税第3期(横浜市は12月末)。年末までの経費の支払いと在庫の確認。
こうして並べると、3月・6月・7月・8月・11月に納税が集中していることが分かります。特に独立2年目は、前年分の所得税(3月)、住民税(6月から)、事業税(8月から)、さらに予定納税(7月・11月)が初めて重なる年で、資金繰りが最も苦しくなりやすい時期です。
横浜市の個人事業主の場合、3月・6月・7月・8月・11月に納税が重なります。
各税金のざっくりした計算の仕組みと目安
- 所得税:事業所得(売上-経費-青色申告特別控除)から所得控除(基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除など)を引いた課税所得に、5%〜45%の累進税率をかけ、2.1%の復興特別所得税を加えます。基礎控除は2026年分は合計所得に応じて62万〜104万円です(2026年・2027年分は令和8年度税制改正による引上げ後の金額)。
- 住民税:前年の所得をもとに市区町村が計算し、6月に通知が届きます。所得割は原則10%(市民税6%+県民税4%)で、これに均等割(年数千円)が加わります。基礎控除は43万円で、所得税より控除が小さいため、所得税がかからない方でも住民税はかかることがあります。
- 個人事業税:事業所得(青色申告特別控除を差し引く前の金額)から事業主控除290万円を引いた額に、業種ごとの税率(多くは5%)をかけます。1年を通じて事業を行った場合、利益が290万円以下なら課税されません(年の途中で開業・廃業した場合は、事業主控除が事業を行った月数による月割りになります)。文筆業など法定業種に当たらない仕事は対象外です。神奈川県税事務所から8月に通知が届き、確定申告をしていれば別途の申告は不要です。
- 消費税:課税事業者(2年前の課税売上が1,000万円超、またはインボイス登録をした方)が対象です。原則は「預かった消費税-支払った消費税」ですが、簡易課税や、インボイス登録を機に課税事業者になった方向けの負担軽減措置(2割特例は2026年分まで、その後の措置は「3割特例とは?」)があります。前年の消費税額(国税分)が48万円を超えると翌年に中間申告が必要になります。
- 固定資産税:土地・建物を持っている場合に市区町村から4期で課税されます。事業用部分は経費になります。
- 国民健康保険料・国民年金保険料:税金ではありませんが、国民健康保険料は前年の所得で決まり6月に通知が届くため、住民税と同じタイミングで負担が増えます。どちらも全額が社会保険料控除になります。
税負担の目安を仮定例で示します(社会保険料控除以外の控除はないものとし、横浜市在住、法定業種で税率5%と仮定)。青色申告特別控除後の事業所得が400万円、社会保険料控除が60万円の場合、所得税約14万円+住民税約30万円+個人事業税約9万円=約53万円で、利益の13%程度です。事業所得が800万円、社会保険料控除が80万円の場合は、所得税約91万円+住民税約68万円+個人事業税約29万円=約188万円で、利益の24%程度になります。ここに消費税(課税事業者の場合)と国民健康保険料が加わります。
予定納税とは|減額申請ができる場合
予定納税は、前年の所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の方が、その3分の1ずつを7月と11月に前払いする制度です。税務署から6月15日までに通知が届き、確定申告で精算されます。上の仮定例で所得税が約91万円だった方は、翌年7月と11月に約30万円ずつの予定納税が発生します。「去年の税金は払い終わったのに、また請求が来た」と感じる方が多いのですが、来年3月に納める税金の前払いです。
廃業・休業や業績の悪化、大きな所得控除の発生などで、その年の所得税が前年より少なくなる見込みの場合は、減額申請ができます。第1期分と第2期分の減額は7月15日までに(6月30日時点の見込みで)、第2期分のみの減額は11月15日までに(10月31日時点の見込みで)、「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出します。申請には見込みの計算が必要なので、業績が落ちている場合は早めにご相談ください。
納税資金の積み立て方
納税資金で困る最大の原因は、売上の入金をすべて「使えるお金」として見てしまうことです。次のルールを決めておくと、納税の時期に慌てなくなります。
- 納税用の口座を分ける:事業用口座とは別に納税専用の口座を作り、入金のたびに一定割合を移します。
- 積み立ての割合を決める:所得税・住民税・事業税の合計は、上の仮定例のように利益の15〜25%程度が目安です。売上に対する利益率が50%の事業なら、売上の8〜12%を積み立てる計算になります。消費税の課税事業者は、これとは別に預かった消費税(簡易課税なら売上の2〜4%程度、本則課税なら経費の構成によって異なる)を積み立てます。
- 月次で納税予測を更新する:試算表をもとに年末の利益を予測し、3月・6月・7月・8月・11月の納税額を見積もります。顧問契約では、この納税予測を定期的にお伝えしています。
- 振替納税を利用する:所得税・消費税は口座振替にすると、納期限が4月の引き落とし日まで1か月以上延びます。手続きは確定申告書と一緒に「振替依頼書」を出すだけで、e-Taxでも申し込めます。
- 控除・共済を活用する:小規模企業共済やiDeCoの掛金は全額所得控除になり、納税額を下げながら将来の資金を積み立てられます(制度の比較は別記事で解説予定)。
納税が難しいときの相談先
納期限までに納められない場合も、放置せずに手を打てば延滞税の負担や差押えを避けられる可能性があります。一時の納税が困難な事情がある場合は「納税の猶予」、財産の換価によって事業の継続が困難になる場合は「換価の猶予」を税務署に申請できます(詳しくは「国税を一度に払えないときは?納税の猶予・換価の猶予」)。住民税・事業税・国民健康保険料も、それぞれ市区町村・県税事務所に分割納付の相談ができます。延滞税がいくらになるかは「延滞税の計算シミュレーション」で確認できます。
当事務所では、顧問契約のお客様に月次の納税予測をお伝えし、納税用口座への積み立て額の目安をご案内しています。詳しくは税務顧問+確定申告のページをご覧ください。経費の考え方は「個人事業主の経費はどこまで?」で解説しています。
まとめ:納税は3・6・7・8・11月に集中、利益の15〜25%を別口座に
個人事業主の税金は、3月の所得税・消費税、6月からの住民税、7月・11月の予定納税、8月・11月の個人事業税と、時期も通知元もばらばらに届きます。所得税・住民税・事業税の合計は利益の15〜25%程度が目安で、課税事業者はこれに消費税が加わります。納税専用の口座に入金の一定割合を積み立て、月次で納税予測を更新し、振替納税を使えば、納税で資金繰りが崩れることはほぼ防げます。業績が落ちた年は予定納税の減額申請を、納められないときは猶予の相談を、放置せず早めに行ってください。
「個人事業主の1年の納税スケジュール」まとめ
- 3月:所得税(15日)・消費税(31日)/6月:住民税1期・国保決定/7月:予定納税1期/8月:個人事業税1期・住民税2期・消費税中間/10月:住民税3期/11月:予定納税2期・個人事業税2期/1月:住民税4期
- 所得税は累進税率(基礎控除は2026年分で62〜104万円)、住民税は所得割10%+均等割(基礎控除43万円)、個人事業税は(利益-290万円)×5%が基本
- 仮定例:事業所得400万円で税額合計約53万円(約13%)、800万円で約188万円(約24%)。消費税・国保は別
- 予定納税は前年の所得税が15万円以上の人が7月・11月に1/3ずつ前払い。業績悪化時は7月15日・11月15日までに減額申請
- 納税専用口座に利益の15〜25%(+預かり消費税)を積み立て、振替納税で納期を4月に延ばす
- 納められないときは納税の猶予・換価の猶予、自治体への分割相談を早めに
「個人事業主の納税」に関するよくある質問
独立した年は、翌年3月の確定申告で初めて所得税を納めます。その後、翌年6月に住民税(前年の所得分)、8月に個人事業税(利益が事業主控除〔通年で290万円、年の途中の開業は月割り〕を超える場合)の通知が届きます。予定納税は前年の所得税が15万円以上の場合に発生するため、早くても独立2年目の7月からです。消費税は、開業初年と2年目は原則として免税ですが、インボイス登録をすると初年から課税事業者になります。つまり、1年目は事業の利益にかかる納税はほとんどなく(会社員だった方は、前年の給与に基づく住民税などはかかります)、2年目の3月から急に負担が始まるため、1年目のうちから納税用口座への積み立てを始めておくことが大切です。
住民税は4期(6月・8月・10月・1月)、国民健康保険料は横浜市では6月から翌年3月の分割納付が原則ですが、それでも難しい場合は、市の税務窓口・保険年金課に分割や納付期限の相談ができます。放置すると督促手数料や延滞金がかかり、最終的には差押えの対象になるため、納期限前に連絡することが重要です。また、国民健康保険料は前年の所得で決まるため、今年の所得が大きく減っている場合は減免の制度が使えることがあります。所得税については、納税の猶予制度を税務署に申請できます。
予定納税は確定申告で精算される前払いですが、納期限(7月31日・11月30日)までに納めないと、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税がかかります。「どうせ3月に払うから」と後回しにすると、延滞税の分だけ損をすることになります。業績が落ちて納めるのが難しい場合は、減額申請(7月15日・11月15日まで)を行えば、見込みの税額に応じて予定納税額を減らせます。申請期限を過ぎてしまった場合は、納税の猶予の相談を検討してください。
納税予測・資金繰りのご相談は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。
「来年いくら用意すればいいか知りたい」「予定納税の減額申請をしたい」「納税資金の積み立て方を相談したい」など、個人事業主・フリーランスの税金と資金繰りのことなら、お気軽にご相談ください。横浜市内の方を中心に、代表税理士が直接対応します。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
税務・申告に関するご相談を承ります。
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