freee・マネーフォワード・弥生、個人事業主はどれを選ぶ?経理が苦手な人の最小限の運用ルール

横浜市で個人事業主・フリーランスの税務顧問と確定申告サポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。
「freee・マネーフォワード・弥生、結局どれを選べばいいのか」「クラウド会計を入れたのに、入力が溜まって結局使っていない」「税理士に頼むなら自分はどこまでやればいいのか」――経理が苦手な個人事業主の方から、ソフト選びと続け方について毎年ご相談を受けます。結論から言うと、3つのソフトはどれも確定申告まで一通りできる水準にあり、「どれを選ぶか」より「続けられる運用ルールを最初に決めるか」のほうが結果を左右します。
この記事では、3ソフトの特徴比較(操作の考え方・料金の目安・銀行連携・インボイス対応・税理士との共有)、業種・経理レベル別の選び方、経理が苦手な人向けの最小限の運用ルール(口座とカードを事業用に分ける/レシートは週1回撮影/月1回残高を合わせる)、税理士と分担すると楽になる作業、導入時に当事務所がサポートする範囲を解説します。料金やプラン名は各社が頻繁に改定するため、本記事の金額は2026年11月6日時点に各社の公式サイトで確認した目安(税抜)で、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。
3ソフトの特徴比較
個人事業主向けの代表的なクラウド会計ソフトは、freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンラインの3つです。それぞれ設計の考え方が異なります。
| 比較項目 | freee会計 | マネーフォワード クラウド確定申告 | やよいの青色申告 オンライン |
|---|---|---|---|
| 操作の考え方 | 簿記の知識がなくても使えるよう「取引」を登録する独自の操作。質問に答える形で確定申告書を作る | 銀行・カードの明細を自動取得し、仕訳を提案する形。簿記の用語(勘定科目・借方貸方)が比較的前面に出る | 「かんたん取引入力」で簿記を意識せずに入力でき、従来の会計ソフトに近い帳簿の見え方 |
| 料金の目安(年払い・税抜) | スターター 約1.2万円/年、スタンダード 約2.4万円/年。スターターはレシート撮影が月5枚まで、消費税申告は非対応 | パーソナルミニ 約1.1万円/年、パーソナル 約1.5万円/年(2026年12月1日以降の更新から約2.3万円/年に改定予定)、パーソナルプラス 約3.6万円/年 | セルフ 約1万円/年、ベーシック 約1.5万円/年、トータル 約2.5万円/年。初年度無料や割引のキャンペーンが行われることが多い。プラン差はサポートの範囲で機能は共通 |
| 銀行・カード連携 | 主要な銀行・カード・電子マネー・決済サービスに対応 | 銀行・カード・電子マネー・ECサイトなど2,300以上のサービスと連携(公式サイト記載、2024年2月時点の同社調べ) | 「スマート取引取込」で主要な銀行・カードに対応 |
| レシート・領収書 | スマホ撮影で自動読み取り(スタンダード以上は枚数ではなく月10GBまでの容量上限) | AI-OCRで読み取り(プランにより件数の扱いが異なる) | スマホ撮影で読み取り(スキャン取込) |
| 消費税・インボイス | スタンダード以上で消費税申告書を作成。インボイスの区分記載に対応 | パーソナル以上で消費税申告に対応 | 消費税申告書の作成に対応 |
| e-Tax | ソフトから電子申告が可能(スマホ対応) | ソフトから電子申告が可能 | ソフトから電子申告が可能 |
| 税理士との共有 | 税理士を「メンバー」として招待し、同じ画面を見ながら作業できる | 税理士をメンバーとして追加し共同で作業できる | 会計事務所向けソフトとデータを共有する仕組みがある |
| 向いている人 | 簿記を学ぶ気はないが、自分で入力まで完結させたい人。請求書発行も一体で使いたい人 | 口座・カードの取引が多く自動取得で楽をしたい人。将来法人化して同シリーズで続けたい人 | 費用を抑えたい人。簿記や従来の会計ソフトに少し慣れがある人、初年度無料で試したい人 |
どのソフトも、①銀行・カードの明細を自動で取り込み、②現金払いのレシートをスマホで撮影して登録し、③年末に確定申告書を作ってe-Taxで送る、という流れは共通です。違いは「②を続けやすい仕組み」と「簿記の用語にどれだけ触れるか」にあります。
業種・経理レベル別の選び方の考え方
- 簿記の知識がなく、入力の手間を最小にしたい:取引件数が少なければfreeeのスターター、または弥生のセルフ/ベーシック。freeeは質問形式の操作で迷いにくく、弥生は費用が最も抑えやすい傾向です。
- 口座・カードの取引が多い(ネット販売・複数の決済サービス):自動取得の連携先の多さと仕訳の自動提案が効くため、マネーフォワードかfreeeのスタンダード。決済サービス(Amazon・楽天・Square・PayPayなど)の連携状況を契約前に確認します。
- 請求書を毎月発行する(コンサル・デザイン・士業など):請求書作成と入金管理を一体で使えるfreeeか、マネーフォワードの請求書機能との組み合わせ。弥生も請求書サービスと連携できます。
- インボイスの課税事業者(または近く課税事業者になる):消費税申告書を作れるプラン(freeeはスタンダード以上、マネーフォワードはパーソナル以上、弥生は標準対応)を選びます。2割特例や簡易課税の選択はソフトの設定で変わるため、課税方式を決めてから設定します。
- すでに税理士に依頼している・依頼する予定:税理士が普段使っているソフトに合わせるのが最も効率的です。同じ画面を共有できれば、質問のやりとりが「スクリーンショットを送る」から「同じ取引を一緒に見る」に変わります。
- 将来法人化を考えている:3社とも法人向けの同シリーズがあり、個人事業の設定や取引先マスタの一部を引き継げます。個人の間に操作に慣れておくと法人化後の移行が楽になります。
一つ注意したいのは、「高いプランほど楽になる」とは限らない点です。上位プランの機能(電話サポート、レポート、承認フロー)は法人や複数人の経理を前提としたものが多く、一人で経理をする個人事業主には下位プランで十分なことが多いです。足りなければ途中でプランを上げられます。
経理が苦手な人の最小限の運用ルール
ソフトを入れても続かない原因は、ほぼ「入力が溜まってから一気にやろうとする」ことにあります。次の3つのルールだけ守れば、年末の作業は確認だけになります。
入力を溜めないための最小限のルールです。どのソフトでも共通です。
- ルール1:口座とカードを事業用に分ける:事業の入金・支払いに使う銀行口座とクレジットカードを1つずつ決め、生活費は別の口座・カードで払います。これだけで、自動取得した明細のほとんどが「事業の取引」になり、「これは何の支払いか」を思い出す作業が激減します。屋号付き口座でなくても構いません。既存の個人口座を1つ事業専用に切り替えるだけで十分です。
- ルール2:現金払いのレシートは週1回まとめて撮影する:財布のレシートを週に1回(曜日を決める)スマホで撮影して登録し、撮影済みのレシートは月ごとの封筒に入れます。撮影した時点で日付・金額・店名は読み取られるので、科目は「前回と同じ」を選ぶだけです。溜めると1枚ずつの判断が重くなるため、量ではなく頻度を守ります。
- ルール3:月1回、残高を合わせる:月初に、ソフト上の事業用口座の残高と実際の通帳残高が一致しているかを確認します。一致していれば、その月の自動取得と登録は漏れがないということです。合わなければ、未登録の明細か重複登録があるので、その場で直します。この「残高が合っている状態」を毎月作っておくと、年末にまとめて直す作業がなくなります。
加えて、自動取得した明細の「科目の確定」は、まとめて行わず、通知が来たら5分で片付ける癖をつけます。ソフトは前回と同じ取引先なら同じ科目を提案するため、使い続けるうちに提案どおりに登録できる取引が増え、確認して登録するだけで済むことが多くなります(どの程度で慣れるかは取引の内容によります)。迷った取引は「要確認」のメモを付けて飛ばし、月1回の残高確認のときに税理士に聞く形にすると、手が止まりません。
(仮定例)月1回の残高確認で連携の停止に気づいた場合
(仮定例)事業用の口座とカードを分けてクラウド会計に連携している個人事業主が、月初の残高確認で、ソフト上の口座残高と通帳の残高が合わないことに気づいたとします。原因を調べると、銀行側の設定変更で連携が止まり、前月の途中から明細が取り込まれていませんでした。
連携を設定し直して止まっていた期間の明細を取り込み、重複がないことを確かめてから、残高が一致したことを確認します。月1回確認していれば、さかのぼる期間は1か月程度で済みますが、年末まで気づかなければ、数か月分の取引を思い出しながら登録することになります。実際の事例ではありません。
税理士と共有して楽になる作業の分担
クラウド会計を税理士と共有すると、「自分がやること」と「税理士がやること」を分けられます。経理が苦手な方に向いている分担の例です。
| 作業 | ご本人 | 税理士 |
|---|---|---|
| 銀行・カードの明細の取得 | 連携の設定(初回) | 設定の支援、連携が切れたときの対応 |
| 明細の科目の確定 | 提案を確認して登録(迷ったら「要確認」) | 「要確認」の取引の判断、科目のルール決め |
| レシートの登録 | 週1回の撮影 | 経費になるかの判断、家事関連費の按分ルール |
| 月1回の残高確認 | 残高の一致を確認 | 不一致の原因の特定、重複・漏れの修正 |
| 売掛金・未払金の整理 | 請求書の発行・入金確認 | 年末の未入金・未払いの計上、前受・前払の調整 |
| 減価償却・固定資産 | 購入時に領収書を登録 | 資産計上の判断、償却方法、少額特例の適用 |
| 決算整理・確定申告書 | 控除証明書の準備、内容の確認 | 決算整理仕訳、申告書の作成、e-Tax送信 |
| 消費税の判定・申告 | インボイス登録番号の確認 | 課税方式の選択、消費税申告書の作成 |
ポイントは、ご本人の作業を「取引が起きた時点の記録」に限定し、「判断」と「調整」を税理士側に寄せることです。記録は本人しかできませんが、判断は専門家のほうが速く正確です。共有ができていれば、年末に資料を箱で渡す必要はなく、申告の時期にやりとりするのは控除証明書と確認事項だけになります。税理士に依頼する範囲と料金の考え方は「税理士の顧問料と確定申告の料金」、丸投げする場合に用意する資料は「確定申告を税理士に丸投げするときの資料チェックリスト」で解説しています。
導入時に当事務所がサポートする範囲
当事務所の税務顧問・確定申告サポートでは、クラウド会計の導入を次の範囲でお手伝いしています。ご利用中(またはご希望)のソフトに合わせて進めます。
- アカウント設定:事業所情報、会計期間、青色申告・消費税の設定、勘定科目の整理(使わない科目を減らし、よく使う科目を前に出す)。
- 口座・カードの連携:事業用口座・カード・決済サービスの連携設定と、連携できない口座の明細取込(CSV)の手順の整理。
- 初期仕訳:開業日の資産・負債(開業費、事業に使う車や機器、借入金)の登録と、期首残高の設定。年の途中で導入する場合は、導入前の期間の入力方針(まとめて入力するか、月別に入力するか)も決めます。
- 運用ルールの設計:上の3つのルールをご本人の業種・取引量に合わせて具体化し、科目のルール表(この支払いはこの科目)を作ります。
- 月次の確認:顧問契約の場合は月1回、残高の一致と「要確認」の取引を一緒に確認します。スポットの場合は確定申告時にまとめて確認します。
電子帳簿保存法の対応(電子取引のデータ保存)は、クラウド会計に請求書・領収書のデータを添付して保存すれば要件を満たしやすくなります。詳しくは「電子帳簿保存法の個人事業主の対応」をご覧ください。
「クラウド会計ソフトの選び方」に関するよくある質問
取引が年に数十件程度で、現金払いが少なく、消費税の申告がなければ、表計算や無料プランでも申告はできます。ただし、青色申告特別控除65万円の要件(複式簿記・e-Tax)を満たす帳簿を表計算で作るのは手間がかかり、銀行明細の転記ミスも起きやすいです。年1万円前後のソフト代で自動取得と申告書作成が手に入るなら、時間と正確さの面で元が取れる方が多いと考えています。
大丈夫です。事業用口座・カードの明細は過去分も取得できることが多いので、年初からの取引を取り込んで科目を付け、現金払いのレシートだけ月別に入力すれば、年の途中からでもその年の申告に使えます。導入時に「過去分はまとめて入力、今後は週1回・月1回のルールで」と決めておくと、溜まった分に気後れせずに始められます。
仕訳データはCSVで書き出して別のソフトに取り込めますが、科目の名称や補助科目の対応付け、固定資産の登録、連携設定はやり直しになります。年の途中の乗り換えは手間が大きいので、変えるなら年明け(1月1日以降の取引から新ソフト)に切り替え、前年分は旧ソフトで申告を完結させるのが一般的です。乗り換え前に、現在のソフトの不満が「ソフトの問題」か「運用の問題」かを切り分けることをおすすめします。
入力をすべて税理士に任せる記帳代行の形もあります。その場合は料金が上がり、資料を毎月送る手間は残ります。クラウド会計で銀行・カードの明細が自動取得される現在は、「取引の記録はご本人(ほぼ自動)、判断と決算は税理士」という分担にすると、料金を抑えながら数字を自分で把握できるようになります。経理が苦手な方ほど、自動取得の恩恵が大きい分担です。どちらが合うかは、取引量とご本人の時間の価値で決めます。
「freee・マネーフォワード・弥生の選び方と運用ルール」まとめ
- 3ソフトはどれも確定申告まで一通りできる。freeeは簿記を意識しない操作、マネーフォワードは自動取得の強さ、弥生は費用の安さと従来型の見やすさが特徴(料金は2026年11月6日時点の目安・税抜、公式サイトで確認)
- 選び方は、取引の多さ・請求書発行の有無・消費税申告の要否・税理士が使うソフト・将来の法人化で決める。上位プランが必ず楽とは限らない
- 続けるための3ルール:口座とカードを事業用に分ける/レシートは週1回撮影/月1回残高を合わせる。科目の確定は溜めずに5分で、迷ったら「要確認」
- 税理士と共有し、「記録はご本人、判断と調整は税理士」に分担すると、年末の作業は控除証明書と確認事項だけになる
- 当事務所はアカウント設定・口座連携・初期仕訳・運用ルール設計・月次確認をサポート。電子帳簿保存法の対応もクラウド会計への添付で満たしやすい
クラウド会計の導入と確定申告は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。
「どのソフトが自分に合うか相談したい」「導入の設定と初期仕訳を手伝ってほしい」「続けられる運用ルールを一緒に決めたい」など、お気軽にご相談ください。横浜市内の個人事業主・フリーランスを中心に、代表税理士が直接対応します。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
税務・申告に関するご相談を承ります。
「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、税務・申告についてサポートします。
ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。LINEでのご相談も承ります。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。
お電話でのご相談
045-900-6098
電話受付:平日9〜17時、土日祝・夜間は事前予約
横浜市地域密着・
スピード対応
横浜市全域対応
横浜市全域
鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区、港南区、保土ケ谷区、旭区、磯子区、金沢区、港北区、緑区、青葉区、都筑区、戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区
※横浜市地域密着で対応しております。資料のやり取りは郵送やデータ共有でも可能です。








