法人の決算スケジュール|決算月から申告・納税まで、社長が月ごとにやること

横浜市で小規模法人の税務顧問と決算・申告サポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。
「決算月を過ぎたら、何をいつまでにやればいいのか」「税理士に何を渡せば決算が進むのか」「納税はいつ、いくら用意しておけばいいのか」――初めての決算を迎える法人の社長や、毎年ぎりぎりになってしまう小規模法人の社長から、決算の段取りについてよくご相談を受けます。法人の決算は、決算日から申告・納税までの2か月(延長の特例を受けていれば3か月)に作業が集中しますが、実際には決算の3か月前から準備を始めると、申告期限に追われずに済み、節税や資金繰りの検討もできます。
この記事では、3月決算の法人を例に、決算月から申告・納税までの月別タスク、社長が用意する資料、決算前3か月で検討すること(在庫・経費の計上時期・設備投資・共済)、法人税・地方税・消費税の納付方法と中間(予定)納税、申告後の書類の保管と翌期の準備を解説します。本記事は2026年11月6日時点の法人税法・消費税法・地方税法に基づいています。決算月が3月以外の法人は、月をずらして読み替えてください。
決算月から申告・納税までの流れ月別タスク(3月決算の例)
法人税・地方法人税・法人事業税・法人住民税・消費税の申告と納付の期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。3月31日決算なら5月31日(土日祝なら翌営業日)が期限です。定款で株主総会の開催時期を事業年度終了後3か月以内と定めているなど、2か月以内に決算が確定しない常況にある法人は、税務署・都道府県・市に「申告期限の延長の特例」を申請すると、法人税・地方税の申告期限を1か月延長できます。消費税は別に「消費税申告期限延長届出書」を提出すれば同様に1か月延長されます。ただし納付期限は延びないため、本来の期限までに見込額を納付(見込納付)し、不足分には利子税・延滞金がかかります。
3月31日決算の法人で、社長が押さえておきたい主な時期です。
| 時期 | 社長・経理がやること | 税理士と進めること |
|---|---|---|
| 1月(決算3か月前) | 12月までの試算表で着地見込みを確認。設備投資・経費の前倒し・共済の加入や前納を検討。在庫の棚卸方法を決める | 着地見込みと納税額の試算、節税策の損益・資金への影響の確認 |
| 2月 | 決算賞与を出すなら支給額の通知。契約の更新・解約、不要資産の処分を決算日までに実行。未回収の売掛金の回収状況を確認 | 役員報酬・決算賞与の要件確認、固定資産の除却・売却の処理方針 |
| 3月(決算月) | 3月31日時点で実地棚卸(在庫・貯蔵品)。現金残高を数え、金庫の実査。3月末までの請求書を発行し、届いた請求書を集める | 期末日時点の資料の指示(棚卸表の様式など) |
| 4月(決算整理) | 3月分の通帳記帳・カード明細の取得。未入金・未払いの一覧、固定資産の購入・売却の資料、役員報酬の議事録、保険・共済の証明書を税理士に渡す。この月の上旬に資料をそろえると、残りの日程に余裕が生まれます | 決算整理仕訳(売上・仕入の計上時期、減価償却、未払費用、前払費用、引当金、消費税の精算)、決算書と申告書の作成、納税額の確定 |
| 5月(申告・納税) | 決算書・申告書の内容を確認し、株主総会(または社員総会)で決算を承認。5月31日までに法人税・地方法人税・法人事業税・法人住民税・消費税を納付(延長の特例を受けている場合は見込納付) | e-Tax・eLTAXで申告書を送信。納付書・ダイレクト納付の手配。申告書控えと決算書の納品 |
| 6月(延長の特例を受けている場合) | 株主総会で決算承認後、6月30日までに確定申告。見込納付との差額を精算 | 確定申告書の送信、差額の納付・還付の手配 |
| 7月〜10月(翌期の前半) | 申告書控え・決算書・元帳・証憑を保管。翌期の役員報酬は期首3か月以内に決める。月次の試算表で前期との差を確認 | 翌期の納税予定(中間申告)と資金計画の共有、月次の試算表の確認 |
| 11月(中間申告・納付) | 前期の法人税額が20万円を超える法人は、11月30日までに法人税・地方税の中間(予定)納付。消費税も前期の税額により中間納付 | 中間申告書の作成(前期実績による予定税額の確認。e-Taxで申告した法人などには納付書が送られないため、e-Taxのメッセージボックスのお知らせを確認)。業績が悪化していれば仮決算による中間申告の検討 |
資料が4月上旬にそろえば、5月の連休前に決算書の案ができ、連休後に納税額の確定と納付の準備ができます。逆に、資料が5月に入ってからそろうと、申告書の作成・確認・納税資金の手当てが数日に集中し、ミスや資金不足のリスクが上がります。期限直前になった場合の対応は「資料がそろわないまま期限が来るときの選択肢」をご覧ください。
社長が用意する資料
決算整理のために税理士に渡す資料です。月次で記帳を共有している法人は、太字の項目が決算時の追加資料になります。
- 通帳・カード明細:全口座の決算日までの記帳(インターネットバンキングは明細のダウンロード)、法人カードの明細。期末日時点の残高が決算書の現金預金になります。
- 売上の資料:決算月までの請求書の控え、売上台帳、期末時点で未入金の売掛金の一覧(相手先・金額・入金予定日)。納品済みで請求が翌期になるものも売上に計上します。
- 仕入・経費の資料:領収書・請求書、期末時点で未払いの買掛金・未払金の一覧(翌期に支払う当期分の経費)。クレジットカードの翌期引落し分も当期の経費です。
- 在庫:期末日の棚卸表(品名・数量・単価・金額)。商品・材料・仕掛品・貯蔵品(切手・印紙・消耗品のまとめ買い)が対象です。
- 固定資産:当期に購入・売却・廃棄した資産の契約書・請求書・領収書(車・機械・パソコン・内装工事など)。リース契約書。
- 役員報酬・給与:役員報酬を決めた株主総会・取締役会の議事録、給与台帳、源泉所得税の納付書控え、社会保険の決定通知。
- 借入金:金融機関の返済予定表(期末残高・利息の区分)、新規借入の契約書。
- 契約書:賃貸借契約(事務所・店舗)、保険証券、共済の掛金証明書、顧問契約・業務委託契約。
- 税金関係:前期の申告書控え、中間納付の納付書控え、税務署・自治体からの通知。
- その他:社長個人が立て替えた経費の精算書、役員貸付金・借入金の状況、消費税のインボイス登録番号。
決算前3か月で検討すること
決算日を過ぎてからできる節税策はほとんどありません。検討は決算前3か月、実行は決算日までに終える必要があります。小規模法人で検討する主な項目です。
- 在庫の整理:売れない在庫を決算日までに処分(廃棄・値引販売)すれば、その分の損失を当期に計上できます。廃棄の事実(写真・廃棄業者の証明)を残します。在庫を多く持ったまま期末を迎えると、仕入れた分が費用にならず利益が増えます。
- 経費の計上時期:当期中に役務の提供を受けた費用は、支払いが翌期でも未払費用として当期の経費です。逆に、翌期分の費用を期末に前払いしても原則は翌期の経費ですが、家賃・保険料など1年以内のサービスを継続して前払いする場合は、支払った期の経費にできる「短期前払費用」の扱いがあります(支払った日から1年以内に提供を受ける分であることと、毎期同じ処理を続けることが条件)。
- 設備投資:30万円未満の資産は、中小企業の少額減価償却資産の特例で年間300万円まで全額を当期の経費にできます(適用期限は延長を繰り返しているため、購入前に確認)。30万円以上の資産は期末に買っても減価償却は月割りで、当期の節税効果はごくわずかです。「決算対策で車を買う」が効きにくいのはこのためです。
- 共済・保険:経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は掛金が全額損金になり、1年分の前納も当期の損金にできます(解約時は益金)。小規模企業共済は社長個人の所得控除です。制度の比較は「小規模企業共済・経営セーフティ共済・iDeCoの比較」で解説します。
- 決算賞与:従業員への決算賞与は、期末までに、同時期に支給するすべての従業員へ各人別の支給額を通知し(支給日に在職する人だけに支給する条件付きの通知は認められません)、決算日の翌日から1か月以内に支払い、当期に損金経理すれば当期の経費になります。役員への賞与は、原則として事前確定届出給与の届出がなければ損金になりません(使用人兼務役員の使用人分の賞与などは別の扱いです)。
- 役員報酬:期中の増減は原則として損金になりません。当期の利益が多くても期末に役員報酬を増やす方法は使えないので、翌期の報酬を期首3か月以内に見直します(「役員報酬の決め方」参照)。
- 貸倒れ・不良債権:回収できない売掛金は、法律上の要件(債務者の破産など)を満たせば貸倒損失に、満たさなくても一定の場合は貸倒引当金の対象になります。回収努力の記録を残します。
いずれも「税金を減らすために現金を使う」判断になるため、節税額(支出の約2〜3割)と手元資金の減少を比べて決めます。資金繰りへの影響は「簡易版・資金繰り表の作り方」で確認してください。
法人税・地方税・消費税の納付方法と中間(予定)納税
納付期限は申告期限と同じです。延長の特例を受けていても納付期限は延びないため、本来の期限までに見込額を納めます。
| 税目 | 納付先 | 主な納付方法 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・消費税(国税) | 税務署 | e-Taxからのダイレクト納付(事前に口座登録)、インターネットバンキング(ペイジー)、クレジットカード納付(手数料あり)、納付書で金融機関・税務署窓口 |
| 法人事業税・特別法人事業税・法人県民税 | 都道府県(県税事務所) | eLTAXの共通納税(口座振替・ペイジー・クレジットカード)、納付書で金融機関 |
| 法人市民税 | 市区町村 | eLTAXの共通納税、納付書で金融機関 |
中間(予定)納税は、翌期の前半に前期の税額の半分を前払いする制度です。前期の法人税額(確定申告書の法人税額)が20万円を超える法人は、事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内(3月決算なら11月30日まで)に、前期の法人税額の2分の1を中間納付します。地方法人税・法人事業税・法人住民税も同時に中間納付します。中間申告書を期限までに提出しなかった場合は、前期実績による中間申告書の提出があったものとみなされます(法人税法第73条)。なお、令和6年5月以降、前期の確定申告をe-Taxで提出した法人、e-Taxが義務化されている法人、ダイレクト納付など納付書を使わない方法で納付している法人には、税務署から法人税の予定申告分の納付書が事前に送られなくなりました(e-Taxで申告した法人には、予定申告の期限の月の上旬にe-Taxのメッセージボックスにお知らせが格納されます)。消費税の中間申告書兼納付書は、e-Tax義務化法人を除き引き続き送付されています(国税庁「法人税予定申告分の納付書等の送付について」)。地方税の申告書・納付書の送付は、各自治体の案内を確認してください。当期の業績が前期より大きく落ちている場合は、上半期で仮決算を行い、その実績に基づく中間申告をすると前払額を減らせます。
消費税の中間申告は、前期の消費税額(国税分)で回数が決まります。48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回です。前期の消費税額が48万円以下でも、届出をすれば任意に中間申告・納付ができ、年1回のまとまった納税を分散できます。中間納付した税額は、確定申告で年税額から差し引かれ、払い過ぎていれば還付されます。中間申告の期限には延長の特例は適用されません。
資金面では、「確定申告の納税(5月)」と「中間納税(11月)」が毎年の大きな支出になります。利益が出た翌期は中間納税も増えるため、前期の納税額の1.5倍程度を翌期の納税資金として見込んでおくと安全です。
(仮定例)3月決算の法人で、前期の法人税額が20万円を超えた場合
(仮定例)3月決算の法人が5月にe-Taxで確定申告をし、その法人税額が20万円を超えていたとします。この場合、翌期は事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内、つまり11月30日までに中間申告と納付が必要で、前年度実績による予定申告なら、前期の法人税額の12分の6が中間分の税額になります。
前期の申告をe-Taxで行った法人などには、法人税の予定申告分の納付書が事前に送られない取扱いになっています。e-Taxのメッセージボックスに届くお知らせを確認し、5月の納税と11月の中間納税を資金繰り表に入れておくと、納付漏れを防げます。実際の事例ではありません。
出典:国税庁「法人税のあらましと申告の手引(令和7年10月)」、国税庁「法人税予定申告分の納付書等の送付について」
申告後の書類の保管と翌期の準備
申告が終わったら、次の書類を事業年度ごとにまとめて保管します。法人の帳簿・書類の保存期間は原則7年、欠損金(赤字)が生じた事業年度は10年です(「帳簿書類の保存期間」参照)。
- 申告書の控え:法人税申告書(別表一〜十六)、地方税の申告書、消費税申告書、e-Taxの受信通知。別表五(一)・五(二)は翌期の申告の出発点になります。
- 決算書:貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書。
- 帳簿:総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛・買掛の台帳、固定資産台帳。クラウド会計の場合はデータのまま保存できますが、ソフトを解約する前に出力しておきます。
- 証憑:請求書・領収書・契約書・通帳・納品書。電子取引(メールで受け取った請求書など)のデータは、電子帳簿保存法の要件に沿ってデータのまま保存します。
- 議事録:株主総会議事録(決算承認・役員報酬)、取締役会議事録。
- 納付の記録:納付書の控え、ダイレクト納付の完了通知、中間納付の記録。
翌期の準備としては、①期首3か月以内に役員報酬を見直す、②中間納税の時期と金額を資金計画に入れる、③前期の決算で分かった課題(在庫の持ち方、売掛金の回収、経費の計上漏れ)を月次の確認項目にする、④毎月試算表を確認して着地見込みを早く持つ、の4点です。試算表の見方は「試算表の見方|経営者が毎月チェックする5つの数字」で解説しています。申告後に誤りに気づいた場合の修正申告・更正の請求と地方税への影響は「法人税を修正申告したら地方税はどうなる?」をご覧ください。当事務所の税務顧問・決算申告サポートでは、月次の試算表共有と決算3か月前の着地見込みの打ち合わせを標準の流れにしています。
「法人の決算スケジュール」に関するよくある質問
必要です。法人は所得がゼロや赤字でも、事業年度ごとに法人税・地方税の確定申告書を提出する義務があります。赤字(欠損金)は青色申告をしていれば翌期以降10年間繰り越して黒字と相殺できるため、赤字の年の申告は将来の節税のためにも重要です。法人住民税の均等割(最低年7万円程度)は赤字でも納付します。
法律上は株主総会で計算書類を承認する必要があり、一人会社でも「開催した」ことを議事録で残します。実務では、決算書を確認した日を開催日として議事録を作成します。役員報酬の決定も株主総会(または取締役会)の決議事項なので、同じ議事録に記載しておくと、税務調査で役員報酬の根拠を示せます。
法人税・消費税に自動的な分割制度はありませんが、一時に納付すると事業の継続が困難になる事情があれば、税務署に「換価の猶予」や「納税の猶予」を申請して、原則1年以内の分割納付が認められることがあります。申請前に申告は期限内に行い、納付できる分だけでも先に納めてください。何もせずに放置すると延滞税が加算され(2026年中の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、その後は年9.1%)、督促・差押えの手続きに進みます。中間納税については仮決算で減らす方法もあります。
変えられます。株主総会で定款の事業年度の定めを変更し、税務署・都道府県・市に異動届出書(定款の写しを添付)を提出します。登記は不要です。変更した期は1年未満の短い事業年度になり、その期の申告が1回発生します。繁忙期を避ける、売上の季節性に合わせて利益の着地を読みやすくする、消費税の免税期間を調整する、といった理由で変更する法人は多くあります。
「法人の決算スケジュール」まとめ
- 申告・納付の期限は決算日から2か月以内(延長の特例で申告のみ1か月延長、納付は見込納付)。資料は決算翌月の上旬にそろえると日程に余裕が出る
- 社長が用意する資料は、通帳・カード明細、未入金・未払いの一覧、期末の棚卸表、固定資産の売買資料、役員報酬の議事録、借入の返済予定表、契約書、前期の申告書控え
- 決算前3か月で検討:在庫の処分、未払費用・短期前払費用の計上、30万円未満の少額資産、経営セーフティ共済の前納、決算賞与(期末通知・1か月以内支払)。役員報酬は期中に変えられない
- 中間納税は前期の法人税額20万円超で翌期の6か月経過後2か月以内に前期の半分、消費税は前期48万円超で年1回〜。翌期の納税資金は前期の1.5倍程度を見込む
- 申告書控え・決算書・帳簿・証憑・議事録は7年(欠損金の年度は10年)保管。翌期は期首3か月以内の役員報酬の見直しと月次の試算表確認から始める
法人の決算と申告は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。
「初めての決算で何から始めればよいか分からない」「決算3か月前から着地と納税額を一緒に見てほしい」「月次の試算表を共有して決算をぎりぎりにしたくない」など、お気軽にご相談ください。横浜市内の小規模法人を中心に、代表税理士が直接対応します。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。
執筆者紹介

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto
準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です
税務・申告に関するご相談を承ります。
「税金のことが分からない」「税務署から連絡が来て不安だ」「申告期限が迫っている」など、
どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、税務・申告についてサポートします。
ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。LINEでのご相談も承ります。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。
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