相続税申告に必要な書類一覧|戸籍・残高証明・不動産資料はどこで取る?取得日数の目安

相続税申告に必要な書類一覧|戸籍・残高証明・不動産資料はどこで取る?取得日数の目安

横浜市で相続税申告のサポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「相続税の申告に必要な書類は何か」「戸籍や残高証明はどこで、どうやって取るのか」「取るのに何日かかるのか」――資料集めは、相続税申告の中で最も時間がかかり、何度も役所や銀行に足を運ぶことになりがちな工程です。何を・どこで・どの日付で取るかを最初に把握しておけば、一度の訪問や郵送でまとめて済ませられます。

相続税申告の資料の4分類

何を・どこで取るかを最初に把握しておくと、まとめて請求できます。

1
身分関係(戸籍など)出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍・印鑑証明書、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書などです。
2
預貯金・有価証券金融機関や証券会社に、相続開始日現在の残高証明書と取引履歴を依頼します。定期預金は既経過利息も必要です。
3
不動産の評価資料区役所で固定資産評価証明書・名寄帳を、法務局で登記事項証明書や公図を取得します。
4
保険・債務・葬式費用生命保険の支払通知書、借入金の残高証明書、葬儀社などへの支払いの領収書をそろえます。
残高は相続開始日現在で依頼し、法定相続情報一覧図を先に作ると効率的です。
本文の説明を図にまとめたものです。窓口は横浜市の取り扱いに基づきます。

この記事では、身分関係の書類(戸籍・法定相続情報一覧図・印鑑証明)の取得先と日数、財産ごとの資料(預貯金・不動産・有価証券・保険・債務・葬式費用)、取得のコツ(相続開始日の残高・既経過利息・名寄帳)、集まらない資料の代わりになるもの、印刷して使えるチェックリストをまとめます。本記事は2026年11月6日時点の制度と、横浜市の取り扱いに基づいています。なお、税務調査の際に準備する資料とは目的が異なります(調査の資料は「相続税の税務調査とは?」)。

身分関係の書類|戸籍・法定相続情報一覧図・印鑑証明

  • 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む):相続人を確定するための基本資料です。本籍地の市区町村で取得しますが、2024年3月から「広域交付」が始まり、本籍地以外の市区町村の窓口でも、本人・配偶者・父母・祖父母・子・孫の戸籍をまとめて請求できるようになりました(兄弟姉妹の戸籍は対象外、郵送や代理人による請求は不可)。窓口で当日〜数日、郵送なら1〜2週間が目安で、本籍地が転々としている場合は役所ごとに請求する分、時間がかかります。
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本:相続人が生存していることの確認用です。
  • 亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票):最後の住所を確認します。
  • 相続人全員の住民票・マイナンバーが分かる書類:申告書に相続人のマイナンバーを記載するため、マイナンバーカードの写し(または通知カード+本人確認書類の写し)が必要です。
  • 法定相続情報一覧図:戸籍一式と相続関係を図にした一覧図を法務局に提出すると、認証文付きの写しが無料で交付されます(交付まで数日〜2週間程度が目安で、法務局により異なります)。相続税の申告書に戸籍の代わりとして添付でき(図形式で、子が実子か養子かが分かる記載のものに限ります)、金融機関の解約や相続登記でも使えるため、手続きが複数ある場合は最初に取っておくと戸籍一式を何度も出さずに済みます。
  • 相続人全員の印鑑証明書:遺産分割協議書に実印を押した相続人のものを申告書に添付します。金融機関の手続きでは発行後3〜6か月以内のものを求められることが多いため、取得のタイミングに注意してください。
  • 遺言書(検認済証明書付き)または遺産分割協議書:財産の分け方を示す書類です。

財産ごとの資料

預貯金

  • 残高証明書:各金融機関で「相続開始日(亡くなった日)現在」の残高を証明してもらいます。窓口または郵送で、1〜2週間が目安、手数料は金融機関により異なります(たとえばゆうちょ銀行は1通1,100円)。定期預金は、亡くなった日までの利息(既経過利息)の計算書も一緒に依頼します。
  • 過去の取引履歴(入出金明細):亡くなった方の口座について、過去5〜10年分を取り寄せます。生前の大きな出金や家族への資金移動を確認し、名義預金や贈与の有無を整理するためで、税務署も同じ資料を確認します。家族名義の口座も、亡くなった方が資金を出していた可能性があるものは通帳をそろえます。
  • 通帳のコピー:残高証明書の補助資料として、亡くなった日前後のページを含めて保存します。

国税庁が公表した事例:相続開始前に引き出した現金を申告から除外していた例

亡くなった方の預金口座から相続開始前に多額の現金が引き出されていたことから、税務署がその使い道を確かめるために調査に着手した事例です。相続人は「寄付したので残っていない」と答えながら寄付先は答えず、相続人宅を調べたところ、金庫から多額の現金が見つかりました。

相続人は、申告が必要と知りながら関与税理士にも現金の存在を伝えずに申告から除外していたことを認め、増差課税価格は約2億5千万円、追徴税額は約1億2千万円(重加算税あり)でした。生前の大きな引出しは取引履歴から把握されるため、過去の入出金を確認し、引き出した現金の行方を整理しておくことが大切です。

出典:国税庁「令和6事務年度 相続税の調査等の状況」(調査事例 事例①)

不動産

  • 固定資産税の納税通知書・課税明細書:所有していた不動産の一覧と評価額の目安が分かります。毎年4〜6月に届くものを探してください。
  • 固定資産評価証明書:横浜市では、資産の所在する区の区役所税務課で発行します。現年度分の評価証明書は市内の他の区役所でも取得でき、郵送請求も可能です(相続人であることを示す戸籍などが必要)。
  • 名寄帳(固定資産課税台帳):その市区町村内で亡くなった方が所有していた不動産をすべて一覧にしたもので、申告漏れを防ぐために必ず取ります。横浜市では資産の所在する区の区役所税務課でのみ取得できます。共有名義や非課税の土地(私道など)も載るため、納税通知書だけでは分からない不動産が見つかることがあります。
  • 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局の窓口・郵送・オンラインで取得でき、即日〜数日です。地番と家屋番号が必要なので、納税通知書で確認します。
  • 公図・地積測量図・建物図面:法務局で取得します。土地の形状や間口・奥行きを確認し、評価の減額要素(不整形地・間口狭小・がけ地など)を検討するために使います。
  • 賃貸借契約書:貸家・貸地・アパートの場合、入居状況と賃料が分かるもの。
  • 路線価図・評価倍率表:国税庁のサイトで確認できます(評価は税理士が行います)。

有価証券

  • 証券会社の残高証明書:相続開始日現在の銘柄・数量。取引残高報告書や配当金の通知で口座を特定します。
  • 非上場株式:会社の直近3期分の決算書・法人税申告書、株主名簿。評価に時間がかかるため早めに依頼します。
  • 国債・投資信託・外貨預金:取扱機関の残高証明書。

生命保険・退職金・その他

  • 生命保険:保険金の支払通知書、保険証券(契約者・被保険者・受取人の関係が分かるもの)。亡くなった方が契約者で、被保険者が別の人の保険は、解約返戻金相当額の証明書も必要です。
  • 死亡退職金:勤務先からの支払通知。
  • 自動車:車検証。ゴルフ会員権・貴金属・骨董:証書や購入時の資料。貸付金:契約書。
  • 過去の贈与:相続開始前7年以内(2024年以降の贈与から段階的に延長)の贈与の記録、贈与税の申告書控え、相続時精算課税の届出書控え。

債務・葬式費用

  • 借入金:金融機関の残高証明書、返済予定表。
  • 未払いの医療費・税金:病院の領収書、住民税・固定資産税の納付書。
  • 葬式費用:葬儀社・火葬場・お寺への支払いの領収書(お布施など領収書が出ないものは、日付・金額・支払先のメモで構いません)。香典返しや初七日以降の法要の費用は控除できません。

取得時のコツ

  • 残高は「相続開始日現在」で依頼する:申告は亡くなった日の財産で行うため、請求時点ではなく相続開始日の残高証明を依頼します。
  • 既経過利息を忘れない:定期預金は、亡くなった日までの利息を加えた金額で評価します。残高証明と一緒に計算書を依頼すれば手間がかかりません。
  • 名寄帳で不動産の漏れを防ぐ:納税通知書に載らない共有地・私道・非課税地が見つかることがあります。複数の市区町村に不動産がある場合は、それぞれで取得します。
  • 法定相続情報一覧図を先に作る:金融機関が複数ある場合、戸籍一式を毎回出す代わりに一覧図の写しを使えます。
  • 金融機関には一度にまとめて依頼する:残高証明・既経過利息・取引履歴を同時に請求し、相続手続きの案内(解約に必要な書類)も同時に受け取っておきます。
  • マイナンバーカードがあれば証明書の一部はコンビニで:相続人自身の住民票・印鑑証明書はコンビニ交付が使える自治体が多く、横浜市も対応しています。

集まらない資料の代わりになるもの

  • どの銀行に口座があるか分からない:通帳・キャッシュカード・郵便物・スマホの銀行アプリで特定します。見当たらなければ、心当たりの金融機関に「口座の有無の照会」を依頼できます(戸籍などが必要)。証券口座は、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」で、亡くなった方の口座がある証券会社を調べられます。
  • 保険の契約が分からない:生命保険協会の「生命保険契約照会制度」で、亡くなった方が契約していた保険の有無を一括照会できます(有料)。
  • 不動産の所在が分からない:名寄帳を取れば市区町村内の不動産が一覧になります。他の市区町村にある可能性は、納税通知書の送付元や権利証で確認します。
  • 古い戸籍が読めない・たどれない:役所の窓口で「相続に必要なので出生までさかのぼって」と伝えれば、職員がたどって発行してくれます。
  • 葬儀費用の領収書がない:支払った日付・金額・支払先をメモに残せば控除できます。

相続税申告の資料チェックリスト(印刷用)

  • □ 亡くなった方の出生〜死亡の戸籍一式(または法定相続情報一覧図)
  • □ 相続人全員の戸籍謄本・住民票・マイナンバー確認書類・印鑑証明書
  • □ 亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • □ 遺言書(検認済証明付き)/遺産分割協議書
  • □ 預貯金:残高証明書(相続開始日現在・既経過利息付き)、過去5〜10年の取引履歴、通帳コピー、家族名義の通帳
  • □ 不動産:納税通知書、評価証明書、名寄帳、登記事項証明書、公図・測量図、賃貸借契約書
  • □ 有価証券:証券会社の残高証明書、非上場株式は決算書3期分・株主名簿
  • □ 生命保険:支払通知書、保険証券、解約返戻金証明書
  • □ 死亡退職金の支払通知、自動車の車検証、会員権・貴金属などの資料、貸付金の契約書
  • □ 過去7年以内の贈与の記録・贈与税申告書控え・相続時精算課税の届出
  • □ 債務:借入金の残高証明・返済予定表、未払医療費・税金の領収書・納付書
  • □ 葬式費用の領収書・メモ

当事務所では、ご依頼後に資料の取得先と依頼文のひな形をお渡しし、金融機関や役所への請求もご一緒に進めます。申告までの全体の流れは「相続税申告の流れと10か月のスケジュール」、サービスと料金は相続税申告サポートのページをご覧ください。

まとめ:相続開始日の残高・名寄帳・法定相続情報一覧図の3つを押さえれば資料集めは一巡する

相続税申告の資料は、身分関係(戸籍・印鑑証明・法定相続情報一覧図)、財産ごとの証明(預貯金の残高証明と取引履歴、不動産の評価証明・名寄帳・登記事項証明、有価証券・保険の証明)、債務・葬式費用の領収書に分かれます。取得のコツは、残高を相続開始日現在で依頼すること、定期預金は既経過利息を付けること、名寄帳で不動産の漏れを防ぐこと、法定相続情報一覧図を先に作って戸籍の提出を一度で済ませることです。口座や保険が分からない場合も照会制度があるため、あきらめずに確認してください。

「相続税申告に必要な書類」まとめ

  • 戸籍は出生〜死亡の連続分。2024年3月からの広域交付で本籍地以外の窓口でもまとめて取得可(兄弟姉妹分・郵送は不可)
  • 法定相続情報一覧図(法務局・無料)を先に作ると、申告・金融機関・登記で戸籍一式を使い回せる
  • 預貯金は相続開始日現在の残高証明+既経過利息+過去5〜10年の取引履歴(家族名義も)
  • 不動産は納税通知書・評価証明書(横浜市は区役所税務課、現年度分は他区でも可)・名寄帳(所在区のみ)・登記事項証明・公図
  • 保険は支払通知と証券、非上場株式は決算書3期分、贈与は過去7年分の記録、債務・葬式費用は領収書(お布施はメモ可)
  • 分からない口座・証券・保険は、金融機関照会・ほふり・生命保険契約照会制度で調べられる

「相続税申告の必要書類」に関するよくある質問

A.相続税の申告は亡くなった日の財産で行うため、原則として相続開始日現在の残高証明書を取り直す必要があります。亡くなった日以降に入出金がなければ金額は同じですが、証明書の基準日が違うと税務署への説明資料として使いにくくなります。金融機関に「相続開始日現在」と伝えて再発行を依頼してください。同時に、定期預金の既経過利息計算書と、過去の取引履歴もまとめて依頼すると二度手間になりません。

A.亡くなった方の口座から生前に大きな金額が引き出されていた場合、その使い道(家族への贈与、家族名義の口座への移動、現金での保管など)によって相続財産や贈与の扱いが変わるためです。相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算され、家族名義でも実質的に亡くなった方の財産(名義預金)と判断されるものは申告に含める必要があります。税務署は金融機関から同じ履歴を入手して確認するため、申告前にこちらで把握しておくことが、申告漏れと税務調査のリスクを下げることにつながります。名義預金の考え方は別記事で解説します。

A.必要です。亡くなった方が所有していたすべての不動産が申告の対象になります。実家のある市区町村で名寄帳と固定資産評価証明書を取得し(郵送請求ができます)、法務局で登記事項証明書と公図を取ります。登記事項証明書はオンラインで全国の物件を請求できます。山林や田畑、先代名義のままの土地が残っていることも多く、名寄帳で確認するのが確実です。当事務所では遠方の不動産の評価にも対応しています。

相続税申告の資料集めからサポートします。横浜の岩本隆一税理士事務所へ。

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執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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