準確定申告とは?亡くなった方の確定申告が4か月以内に必要なケースと手続き

準確定申告とは?亡くなった方の確定申告が4か月以内に必要なケースと手続き

横浜市で相続税申告サポートと確定申告お急ぎサポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「亡くなった親の確定申告は誰がするのか」「期限はいつか」「年金だけだったが申告は必要か」「亡くなる前の入院費は医療費控除に使えるのか」――相続の手続きを進めている相続人の方から、相続税とは別にこうしたご質問を受けます。亡くなった方のその年の所得税の申告は「準確定申告」といい、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に行います。相続税の申告期限(10か月)より早く、相続の手続きの中で最初に期限が来る税務の手続きです。

この記事では、準確定申告が必要なケースと不要なケース(給与のみ・年金400万円以下など)、期限と提出先・相続人全員の連署、所得・控除の計算の特殊な点(死亡日までの所得・医療費控除の範囲・社会保険料)、納めた税金・還付金と相続税の関係(債務控除・相続財産)、必要資料と税理士に頼むメリットを解説します。本記事は2026年11月6日時点の所得税法124条・125条、相続税法に基づいています。相続税申告全体の流れは「相続税申告の流れと10か月のスケジュール」をご覧ください。

準確定申告が必要なケース・不要なケース

準確定申告は、亡くなった方(被相続人)が生きていれば翌年3月15日までに行っていたはずの確定申告を、相続人が代わって行うものです。したがって、申告が必要かどうかの基準は通常の確定申告と同じで、被相続人のその年1月1日から死亡日までの所得で判定します。

被相続人の状況準確定申告補足
事業所得・不動産所得があった(個人事業主、アパート・駐車場のオーナーなど)必要(所得控除を引いて税額が出る場合)所得控除後に税額が出なくても、青色申告の損失の繰越しや、相続人が事業を引き継ぐ場合の資料として申告しておくことが多い
給与所得のみで、勤務先が死亡退職時に年末調整をした原則不要給与が2,000万円超、給与以外の所得が20万円超、2か所以上から給与を受けていた場合は必要
公的年金のみで年金収入が400万円以下、かつ年金以外の所得が20万円以下不要(申告不要制度)年金から源泉徴収された税額が多い場合、医療費控除などで還付を受けるために申告することはできる(還付申告)
公的年金が400万円超、または年金以外の所得(不動産・配当・雑所得など)が20万円超必要—
不動産や株式を売却していた(その年の1月1日から死亡日まで)必要(譲渡所得が出る場合)特定口座(源泉徴収あり)内の株式は原則不要
前年分の確定申告をしないまま亡くなった(1月1日〜3月15日の間に死亡など)前年分も必要前年分と当年分の2年分を、それぞれ4か月以内に申告する
医療費が多かった、源泉徴収税額がある(申告義務はないが還付になる)任意(還付申告)還付申告の期限は、原則として翌年1月1日から5年間。還付金は相続財産になる

判定に迷う場合は、被相続人の前年の確定申告書(または源泉徴収票)を見て「前年は申告していたか」を確認するのが早道です。前年に申告していた方は、当年も準確定申告が必要になることがほとんどです。消費税の課税事業者だった場合は、消費税の準確定申告も同じ期限で必要です。

期限と提出先・相続人全員の連署

  • 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(所得税法124条・125条)。たとえば3月10日に死亡した場合、7月10日が期限です。納付も同じ日までに行います。期限を過ぎると、無申告加算税・延滞税の対象になります。
  • 提出先:被相続人の死亡時の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。
  • 申告書の様式:通常の確定申告書を使い、表題を「準確定申告書」とし、被相続人の氏名・死亡日を記載します。相続人が2人以上の場合は「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付し、各相続人の氏名・住所・相続分・税額(還付金)の按分額を記載します。
  • 連署:相続人全員が連署(付表に全員の氏名を記載し、各人がマイナンバーを記載)して1通で提出するのが原則です。相続人の間で連絡が取りづらい場合は、各相続人が別々に申告することもできますが、その場合は他の相続人に申告した内容を通知する必要があります。
  • e-Tax:準確定申告もe-Taxで提出できます。相続人代表者が送信し、他の相続人の確認書(委任状に相当する「確認書」)を添付します。
  • 納税・還付:税額は相続人が相続分(または遺言の指定割合)に応じて負担します。還付金は付表に記載した各人の口座に、相続分に応じて振り込まれます(代表者の口座に全額まとめる場合は、他の相続人の委任状を添付)。

相続人の確定(戸籍の収集)に時間がかかると4か月はすぐに過ぎます。相続税の申告が必要な方は、戸籍の収集を準確定申告と相続税申告で共用できるよう、最初にまとめて集めてください。

準確定申告から相続税申告まで

準確定申告の期限(4か月)は相続税の期限(10か月)より早いため、次の順で進めます。

申告が必要かを判定前年の確定申告書や源泉徴収票を見て、1月1日から死亡日までの所得で判定します。
戸籍を集め相続人を確定相続税申告と共用できるよう、被相続人と相続人の戸籍は最初にまとめて集めます。
4か月以内に準確定申告死亡時の納税地の税務署へ、相続人全員の連署で付表を添えて提出し、納付します。
相続税の計算に反映納めた所得税は債務控除、還付金は相続財産に含めます。相続税は10か月以内に申告します。
たとえば3月10日に亡くなった場合、準確定申告の期限は7月10日です。
出典:所得税法124条・125条、国税庁 No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」。本文の説明を図にまとめたものです。

所得・控除の計算の特殊な点

準確定申告の所得と控除は「その年1月1日から死亡日まで」で計算します。通常の確定申告と異なる主な点です。

項目準確定申告での扱い注意点
事業所得・不動産所得死亡日までの収入と経費。死亡日時点の売掛金・未収家賃は収入に、未払いの経費は経費に計上減価償却費は死亡月までの月割り。死亡日後の収入・経費は相続人(事業を引き継いだ人)の所得
青色申告特別控除要件を満たせば65万円(55万円・10万円)の控除が可能。準確定申告の期限(4か月)内の申告が「期限内申告」複式簿記・e-Tax(または電子帳簿保存)の要件は通常どおり
医療費控除被相続人が死亡日までに支払った医療費が対象。死亡後に相続人が支払った入院費などは、被相続人の医療費控除には含められない死亡後に支払った医療費は、相続税の債務控除の対象。また、支払った相続人が被相続人と生計を一にしていた場合は、その相続人自身の医療費控除に使える
社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除死亡日までに支払った分が対象年金から天引きされていた介護保険料・後期高齢者医療保険料は、年金の源泉徴収票の記載で確認。死亡後に還付された保険料は控除から除く
配偶者控除・扶養控除死亡日の現況で判定。配偶者・扶養親族の所得は、その年1年分の見積額で判定控除額は月割りせず、全額を控除できる。同じ親族を、同年中に他の相続人の扶養控除の対象にすることもできる(二重に使える)
基礎控除全額を控除(月割りしない)2026年分は合計所得金額に応じて62万〜104万円
小規模企業共済等掛金控除・寄附金控除死亡日までに支払った分—
個人事業税の見込控除死亡年分の事業所得に対する個人事業税は、翌年に相続人に課税されるが、見込額を準確定申告の経費にできる見込控除をしない場合は、相続人が納付した年の経費(事業を引き継いだ場合)または相続税の債務控除
予定納税被相続人が納付した予定納税額は、準確定申告の税額から差し引く。納付前に死亡した場合は、死亡後の納期分は納付不要減額申請の手続きが必要な場合がある

事業や不動産賃貸を相続人が引き継ぐ場合は、相続人側で開業届・青色申告承認申請書の提出が必要です。青色申告の承認申請の期限は、被相続人の死亡日によって異なります(1月1日〜8月31日の死亡は死亡日から4か月以内、9月1日〜10月31日はその年の12月31日まで、11月1日〜12月31日は翌年2月15日まで)。この期限を逃すと、相続人の初年度は白色申告になります。

納めた税金・還付金と相続税の関係

  • 準確定申告で納める所得税・消費税:被相続人の債務として、相続税の計算で債務控除の対象になります。納付したのが相続人であっても、被相続人が負うべき税金だからです。同様に、死亡年分の住民税(翌年度に課税される分は死亡により課税されませんが、死亡年の前年所得に対する当年度分の未納額)、固定資産税の未納分、個人事業税なども債務控除の対象です。
  • 還付金:準確定申告で還付される所得税は、被相続人が本来受け取るべきものなので、相続財産(未収金)として相続税の課税対象に含めます。還付加算金(利息に相当する部分)は相続人の雑所得です。
  • 相続税の債務控除との整合:準確定申告の税額が確定してから相続税申告書を作るのが順序です。準確定申告の期限(4か月)が相続税の期限(10か月)より早いのはこのためで、準確定申告を終えてから相続税の財産目録を固めます。
  • 死亡後に支払った医療費・葬式費用:医療費控除には使えませんが、相続税の債務控除(医療費)・葬式費用控除の対象になります。領収書は相続税申告のために保管します。
  • 相続人の確定申告:相続人が事業・不動産を引き継いだ場合、死亡日の翌日以降の所得は相続人の所得として、翌年3月15日までに相続人自身が確定申告します。被相続人の準確定申告と相続人の確定申告で、収入・経費を死亡日で切り分けることが重要です。

(仮定例)アパートを所有していた親が年の途中で亡くなった場合

(仮定例)アパートを所有し、毎年確定申告をしていた方が5月に亡くなったとします。相続人は、1月1日から死亡日までの家賃収入と経費(修繕費や死亡月までの月割りの減価償却費など)で不動産所得を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に準確定申告をします。

死亡日の翌日以後の家賃は相続人の不動産所得となり、相続人が自分の確定申告で申告します。準確定申告で納めた所得税は相続税の計算で債務控除の対象になるため、準確定申告を先に済ませてから相続税の申告書を作ると、数字の整合がとりやすくなります。実際の事例ではありません。

出典:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

必要資料と税理士に頼むメリット

準確定申告で用意する資料です。相続税申告と重なるものが多いため、両方で使えるように整理します。

  • 被相続人の前年の確定申告書控え:申告の要否判定と、所得の種類・控除の確認に使います。
  • 収入の資料:年金の源泉徴収票(死亡後に日本年金機構・共済組合から相続人へ送付される。届かない場合は請求)、給与の源泉徴収票(勤務先)、事業の帳簿・請求書・通帳(死亡日まで)、不動産の家賃の入金記録、配当の支払通知書、売却があれば売買契約書。
  • 控除の資料:医療費の領収書(死亡日までに支払ったもの)、医療費通知、社会保険料の納付書・年金の源泉徴収票、生命保険料・地震保険料の控除証明書(保険会社に死亡を連絡すると発行される)、小規模企業共済の掛金証明書、寄附金の受領証。
  • 相続人の資料:相続人全員の氏名・住所・マイナンバー、相続分が分かる資料(戸籍・遺言書)、還付先口座。
  • 事業の引き継ぎがある場合:死亡日時点の売掛金・買掛金・在庫の一覧、固定資産台帳(相続人が償却を引き継ぐ)。

税理士に依頼するメリットは次の点です。①死亡日での収入・経費の切り分け、医療費控除の範囲、扶養控除の判定など、準確定申告特有の論点を正しく処理できる。②準確定申告の税額・還付金を相続税の債務控除・相続財産に正確に反映できる。③相続人が事業を引き継ぐ場合の開業届・青色申告の申請期限を逃さない。④相続人全員の連署・付表・e-Taxの手続きを代行し、4か月の期限内に完了できる。⑤前年分が無申告だった場合(「無申告の相談前に資料がない場合の進め方」参照)も含めて整理できる。

当事務所では、相続税申告サポートの中で準確定申告をあわせて承っています。相続税の申告が不要な方の準確定申告だけのご依頼、期限が迫っている場合の確定申告お急ぎサポートでのご依頼も可能です。

「準確定申告」に関するよくある質問

A.公的年金が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら申告義務はありません。ただし、年金から源泉徴収された所得税があり、医療費控除や社会保険料控除を使えば還付になる場合は、還付を受けるために準確定申告(還付申告)をすることができます。還付金は相続財産として相続税の計算に含めます。入院が長かった方は、還付になることが多いので確認をおすすめします。

A.被相続人の準確定申告の医療費控除には使えません(死亡日までに被相続人が支払ったものが対象)。ただし、支払ったあなたが被相続人と生計を一にしていた(同居して生活費を共にしていたなど)場合は、あなた自身の確定申告で医療費控除の対象にできます。また、この入院費は被相続人の債務として相続税の債務控除の対象になります。領収書は両方の申告のために保管してください。

A.連署が原則ですが、やむを得ない場合は、各相続人が別々に準確定申告書を提出することができます。その場合、申告した相続人は他の相続人に申告内容を通知する必要があります。還付金は申告した相続人の相続分に応じた額だけが還付され、連絡の取れない相続人の分はその人が申告しなければ還付されません。納税の場合は、各人が自分の相続分に応じた税額を納めます。

A.納税額がある場合は、期限後申告として無申告加算税(自主的な申告なら5%、少額なら不徴収)と延滞税の対象になります。気づいた時点で速やかに申告してください。還付申告の場合はペナルティはなく、5年以内であれば申告できます。相続税の申告(10か月)に準確定申告の税額を反映させる必要があるため、相続税の申告前に済ませるのが順序です。期限が迫っている・過ぎている場合は、確定申告お急ぎサポートでも対応しています。

「準確定申告」まとめ

  • 準確定申告は相続人が被相続人の1月1日〜死亡日の所得を申告する手続き。事業・不動産所得、年金400万円超、給与以外の所得20万円超などで必要。年金400万円以下・給与のみ(年末調整済み)は原則不要だが還付申告は可能
  • 期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内、提出先は被相続人の住所地の税務署。相続人全員の連署と付表、e-Taxも可。前年分が未申告なら2年分
  • 医療費控除は死亡日までに被相続人が支払った分のみ。配偶者控除・扶養控除・基礎控除は死亡日の現況で全額。事業は死亡日で収入・経費を切り分け、相続人の青色申告承認申請の期限は死亡日で変わる
  • 納めた所得税は相続税の債務控除、還付金は相続財産。死亡後に相続人が払った医療費は債務控除(生計一なら相続人の医療費控除にも)
  • 前年の申告書控え・年金や給与の源泉徴収票・帳簿・医療費領収書・控除証明書・相続人全員の情報をそろえる。相続税申告と戸籍・資料を共用し、準確定申告を先に終える

亡くなった方の準確定申告と相続税申告は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。

「準確定申告が必要か判定してほしい」「4か月の期限内に相続人全員分をまとめて進めたい」「相続税の申告とあわせて任せたい」など、お気軽にご相談ください。横浜市内の相続人の方を中心に、代表税理士が直接対応します。相続税の申告が不要な方の準確定申告だけのご依頼、期限が迫っている場合のお急ぎ対応も可能です。ご依頼に関する初回相談・お見積もりは無料です。具体的な調査・検討が必要なご相談は、内容を伺ってご案内します。

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

税務・申告に関するご相談を承ります。

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どんなことでも一人で悩まずご相談ください。横浜市密着の岩本隆一税理士事務所が、税務・申告についてサポートします。
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