相続税に強い税理士の探し方|確認する5つのポイントと、税理士に頼まなくてよいケース

更新日:2026年11月7日

この記事の要点

  • 相続税の申告は年間約20万件、税理士は約8万3,000人。単純平均では税理士1人あたり年2件程度にとどまり、相続税の経験は税理士によって大きく異なります。
  • 税理士を選ぶときに確認したいのは、年間の申告件数、土地評価の経験、税務調査への備え(書面添付)、料金体系の明確さ、二次相続まで見た提案の有無の5点です。
  • 財産が現預金中心で基礎控除をわずかに超える程度、特例を使わない、といった条件がそろえば、ご自身で申告する選択肢もあります。
  • 税理士に頼むなら、亡くなってから2〜3か月以内の相談が目安です。申告期限(10か月)が近づくほど、選べる事務所も検討の深さも限られてきます。

横浜市で相続税申告のサポートを行っている、岩本隆一税理士事務所の代表、岩本隆一です。

「相続税の申告を頼みたいが、どの税理士に頼めばよいか分からない」「会社の顧問税理士はいるけれど、相続税も頼んでよいのか」「財産はそれほど多くない。そもそも税理士に頼む必要があるのか」――ご家族が亡くなり、相続税の手続きを調べ始めた方から、このようなご相談をよくいただきます。

この記事では、税理士によって相続税の経験に差がある理由、依頼先を選ぶときに確認したい5つのポイント、税理士に頼まずご自身で申告してもよいケースとその注意点、相談のタイミング、横浜で探す場合の視点を順に整理します。

本記事は2026年11月7日時点の相続税法・税理士法と、国税庁・日本税理士会連合会・財務省が公表している統計に基づいています。

税理士でも相続税は得意不得意がある理由|1人あたり年2件程度という現実

税理士は税金の専門家ですが、すべての税理士が相続税の申告を日常的に扱っているわけではありません。これは能力の問題ではなく、仕事の構造によるものです。

国税庁の統計では、令和6年分に相続税の申告書が提出された被相続人は約20万6,000人(相続税額のある申告16万6,730人と税額のない申告3万9,755人の合計)でした。一方、日本税理士会連合会が公表している税理士登録者数は8万2,749人(2026年10月末)です。申告件数を税理士の人数で単純に割ると、1人あたり年2.5件。相続税申告の86.5%に税理士が関与しているという参考指標(令和6年度)を踏まえても、1人あたり年2件程度にとどまります。

実際には、相続税を年に数十件扱う税理士と、何年も扱っていない税理士に分かれています。法人の顧問業務や所得税の確定申告が中心の事務所では、相続税は数年に1件という場合も珍しくありません。

出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」、日本税理士会連合会「税理士登録者数」、財務省「令和6事務年度 国税庁実績評価書」(参考指標:税理士関与割合)

経験の差が結果に表れやすいのが相続税

相続税は、法人税や所得税のように毎年繰り返す申告ではありません。土地の評価、小規模宅地等の特例の適用判断、名義預金や生前贈与の確認、遺産分割の仕方による税額の変化など、1件ごとに判断する項目が多く、同じ財産でも担当者によって評価額や税額が変わることがあります。申告後に税務調査の対象になりやすい税目でもあり、調査で説明できるかまで見据えて申告書を作る必要があります。

こうした事情から、相続税については「普段お付き合いのある税理士」と「相続税の経験が豊富な税理士」を分けて考える方が増えています。顧問税理士に相談すること自体は自然な選択ですが、まず「相続税は年に何件くらい扱っていますか」と率直に聞いてみることが最初の一歩です。

相続税に強い税理士を見極める5つの確認ポイント

初回相談で次の5点を確認すると、相続税の経験と進め方が具体的に見えてきます。

ポイント1:年間の相続税申告件数

事務所として、そして担当する税理士本人が、年間どのくらいの相続税申告を扱っているかを聞きます。年10件以上を継続して扱っていれば、先ほどの平均(年2件程度)を大きく上回り、評価や特例の判断に慣れていると考えてよいでしょう。件数だけで優劣が決まるわけではありませんが、「担当者は誰で、何件経験しているか」まで確認すると、事務所全体の件数と担当者の経験の差を見誤りません。

ポイント2:土地評価の経験(現地確認・役所調査をするか)

相続財産のうち土地は金額で約3割を占め、評価の仕方で税額が最も動く財産です。路線価や倍率を機械的に当てるだけでなく、現地で形状・傾斜・間口・道路との関係を確かめ、役所で都市計画や道路の種別を調べることで、評価が下がる要素を拾えます。「土地は現地を確認しますか」「不整形地や貸家建付地を評価した経験はありますか」と聞いてみてください。土地評価の基本は「不動産(土地・建物)の相続税評価の基本」で解説しています。

ポイント3:税務調査への備え(書面添付制度を使うか)

国税庁の公表では、令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件で、その82.3%で申告漏れ等が指摘されました。文書や電話による「簡易な接触」も2万1,969件あります。年間の申告件数(約20万件)と比べると、実地調査は20件に1件、簡易な接触を含めると7件に1件程度です(事務年度と申告年分が異なるため概算)。相続税は、申告後に何らかの確認を受ける割合が決して低くない税目です。

ここで確認したいのが「書面添付制度」(税理士法第33条の2)を使うかどうかです。税理士が、申告書の作成で確認・検討した事項を書面にまとめて添付する制度で、国税庁の事務運営指針では、この書面がある申告書を調査する場合、調査通知の前に税理士から意見を聴き、調査の必要がないと認められれば「現時点では調査に移行しない」旨が通知されます。相続税の申告で書面添付があるのは、税理士が関与した申告の24.6%(令和6年度)です。書面添付を標準にしているかは、調査で説明できる水準まで財産を確認しているかの一つの目安です。

あわせて、調査で指摘されることが多い名義預金(家族名義の口座)をどこまで確認するかも聞いておくと安心です。詳しくは「名義預金と判断されるのはどんなとき?」をご覧ください。

出典:国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」、国税庁「資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」、財務省「令和6事務年度 国税庁実績評価書」(参考指標:書面添付割合)

ポイント4:料金体系が明確か

相続税申告の報酬は、遺産総額に応じた基本報酬に、土地の数・相続人の数・非上場株式の有無・申告期限までの残り期間などの加算を組み合わせる体系が一般的です。確認したいのは金額の高低より、次の点が見積書に書かれているかです。

  • 「遺産総額」の定義(基礎控除前か、特例適用前か)
  • 加算項目と発生する条件
  • 消費税込みか税抜か
  • 含まれる業務の範囲(遺産分割協議書の作成、書面添付、税務調査対応、二次相続の試算)
  • 財産が後から見つかった場合など、追加費用が発生する条件

前提と条件を書面で示してもらうと、後の行き違いを防げます。当事務所の料金の考え方は料金案内に掲載しています(報酬の一般的な相場は「相続税申告の税理士報酬の相場」で解説しています)。

ポイント5:二次相続まで含めて分け方を提案するか

配偶者が相続する財産は、1億6,000万円か法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかかりません(配偶者の税額軽減)。今回の相続だけを見れば最大限使うのが有利に見えますが、配偶者に財産を寄せすぎると、次に配偶者が亡くなったとき(二次相続)はこの軽減が使えず、法定相続人が減る分だけ基礎控除も小さくなるため、二度の相続の合計では税額が増えることがあります。

「今回の税額を最小にする分け方」と「二次相続まで含めて合計を抑える分け方」の両方を示し、ご家族の状況に合わせて選べるようにしてくれるかは、相続税の経験を測る分かりやすい指標です。考え方は「配偶者の税額軽減(1億6,000万円)の使い方と二次相続の考え方」で詳しく説明しています。

出典:国税庁 タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」

税理士に頼まなくてよいケース|自分で申告するときの注意点

相続税の申告は、必ず税理士に頼むものではありません。国税庁の参考指標では相続税申告の86.5%に税理士が関与していますが、残りの約13%はご自身で申告されています。

自分で申告してもよいケース

次の条件が重なる場合は、ご自身で申告することも現実的な選択です。

  • 財産が預貯金・上場株式・生命保険金など、評価額がはっきりしているもの中心である
  • 土地がない、または自宅1か所だけで、路線価を当てれば評価できる整形地である
  • 遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)をわずかに超える程度で、税額が小さい
  • 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、要件の判断が必要な特例を使わない
  • 相続人が少なく、分け方の話し合いがまとまっている
  • 生前贈与や家族名義の預金(名義預金)といった論点がない

一方、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使う場合は、税額がゼロになるときでも申告書の提出が必要で、要件の判断を誤ると特例が使えないままになる可能性があります。土地が複数ある、貸している不動産や非上場株式がある、相続人の間で意見が分かれている場合も、ご自身での申告はおすすめしていません。

自分で申告するときの進め方と注意

申告が必要かどうかは、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」に財産の価額と法定相続人の数を入力すると、おおよその判定ができます。申告書の作り方は、国税庁が毎年公表する「相続税の申告のしかた」に記載例と提出書類の一覧が載っています。なお、所得税で使う「確定申告書等作成コーナー」では相続税の申告書は作成できません。用紙に手書きで作成するか、e-Taxソフトで作成・送信します。

税務署での面接相談は事前予約制です。税務署は申告書の書き方を教えてくれますが、「この土地の評価を下げられるか」「どう分けると有利か」といった判断までは行いません。特に注意したいのは、土地を固定資産税評価額のまま計上してしまうこと(相続税では路線価方式か倍率方式で評価し直します)と、亡くなった方の名義以外の預金や生前贈与の確認漏れです。必要な書類は「相続税申告に必要な書類一覧」で確認してください。

出典:国税庁「B1-2 相続税の申告手続」、国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」、国税庁 e-Tax Q&A「確定申告書等作成コーナーで相続税の申告書を作成することはできますか」、国税庁「税に関する相談をするには」

税理士に頼むタイミング|亡くなってから2〜3か月以内が目安

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。10か月と聞くと余裕があるように感じますが、税理士に頼む場合は、葬儀や四十九日が落ち着く2〜3か月以内に初回相談をすることをおすすめしています。

理由は3つあります。1つ目は、相続放棄(3か月)や準確定申告(4か月)など前半に期限がある手続きがあり、財産の全体像を早く把握しておく必要があることです。2つ目は、戸籍や残高証明書などの資料収集に1〜2か月、土地の現地確認や役所調査、財産目録の作成にさらに時間がかかることです。3つ目は、分け方の検討です。小規模宅地等の特例をどの土地に使うか、二次相続まで見てどう分けるかは、選択肢を並べて家族で話し合う時間があってこそ生かせます。

依頼が申告期限の3か月前を切ると、事務所によっては期限間近の割増報酬が付き、受任できないと言われることもあります。時間が足りないと、現地確認を省いた評価や、特例の検討が浅い申告になりがちです。遺産分割がまとまらないまま期限を迎えれば、いったん法定相続分で申告・納税し、分割後に申告をやり直す手間も生じます。申告期限に遅れると、無申告加算税や延滞税の対象になります。月ごとの流れは「相続税申告の流れと10か月のスケジュール」でまとめています。

出典:国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」、国税庁 タックスアンサー No.9205「延滞税について」

横浜で相続税に強い税理士を探すときの視点

5つのポイントに加えて、横浜市内やその近郊で税理士を探す場合に大切だと考えている点をお伝えします。

面談しやすい場所にあるか、自宅や施設まで来てくれるか

相続税の申告では、通帳や権利証、保険証券などの原本を見ながら確認する場面が何度かあります。横浜駅周辺など交通の便がよい場所にあるか、ご高齢の相続人のために自宅や施設まで訪問してくれるかは、手続き全体の負担を左右します。

横浜の土地を見慣れているか

横浜市内には、斜面地・崖地、間口の狭い土地、不整形な土地、私道に接する土地が多くあります。こうした土地は評価を下げられる要素を含むことが多く、現地を歩いて確認できる距離にある事務所の方が、見落としなく評価しやすい面があります。遠方に不動産がある場合の調査方法も、あわせて聞いてみてください。

遺産分割協議書まで一つの窓口で進められるか

遺言がない場合、相続税の申告書には遺産分割協議書の写しを添付しますが、協議書の作成そのものは税理士の業務ではなく、行政書士などの業務です。税理士と行政書士の両方の資格で対応している事務所であれば、分け方の試算から協議書の作成、申告までを一つの窓口で進められます。不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の業務ですので、連携先があるかも確認しましょう。協議書については「遺産分割協議書の作り方」をご覧ください。

オンラインでも進められるか

相続人が横浜と遠方に分かれて住んでいることは珍しくありません。初回面談から資料のやり取りまでオンラインで進められる事務所なら、全員が集まらなくても手続きを進めやすくなります。

「相続税に強い税理士の探し方」に関するよくある質問

Q. 会社の顧問税理士に相続税も頼んでよいですか? A. 顧問税理士が相続税の経験を持っていれば、会社の状況(非上場株式の評価など)を把握している分、スムーズに進むことがあります。ただし、相続税の申告が年に数件もない場合は、相続税を多く扱う税理士と連携できるかを確認してください。「相続税は年に何件くらい扱っていますか」と率直に聞くことは失礼ではありません。

Q. 自分で作った申告書を、税理士にチェックだけしてもらえますか? A. 当事務所では、申告書だけを見てのチェックはお受けしていません。申告書の数字が正しいかどうかは、通帳や登記事項証明書などの元の資料に戻らなければ判断できないためです。資料をお預かりして一から確認する形であれば、ご相談いただけます。

Q. 複数の税理士に相談してもよいですか? A. 問題ありません。初回相談を無料にしている事務所は多く、2〜3か所で話を聞いて、説明の分かりやすさや見積りの前提を比べる方は少なくありません。この記事の5つのポイントを同じ質問として用意しておくと、比較しやすくなります。

相続税に強い税理士をお探しの方は、横浜の岩本隆一税理士事務所へ。

岩本隆一税理士事務所は、横浜市西区で相続税申告のサポートを行っています。相続税の申告が必要かどうかの判定は無料、ご依頼に関する初回相談・お見積りも無料です。土地の評価は現地確認と役所調査を含めて代表税理士が直接行い、二次相続まで見た分け方の選択肢をお示しします。

代表税理士は行政書士の資格も持っており、遺産分割協議書の作成までワンストップで対応します。事務所は横浜駅から徒歩11分、Zoom・LINE・メールでのオンライン相談にも対応しています。「頼むべきか迷っている」という段階でも、お気軽にご相談ください。無理な勧誘はいたしません。

初回相談・お見積もりはこちら(相続税申告サポート)

参考(一次資料)

執筆者紹介

岩本隆一税理士

岩本隆一税理士事務所
代表税理士・行政書士
岩本 隆一Ryuichi Iwamoto

準大手税理士法人で多くの実務を経験後、横浜市西区で独立。「経営者の孤独と本音に寄り添うパートナー」を信条に、代表自らが直接対応します。IT(クラウド会計・LINE)を活用して業務を進めます。土日祝・夜間の対応は事前予約制です。横浜F・マリノスを愛する生粋の横浜っ子です

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